(515)の設定資料集。当wikiは18歳未満(R-18)の閲覧を遠慮して頂いてます。性的な表現、過激な暴力表現・グロテスクな表現があります。このwikiの権限は全てTrashにありますので、記載されている文章・画像・イラスト等の無断使用・無断転載は禁止致します。※PC推奨2011/12/14 Trash

2p〜

3.Sick Of Man

何度も何度も同じ行為を繰り返している。衝動的に抉られ裂かれた血肉達は醜く潰れ、頭蓋は柘榴の様に潰され、腸は轢きづられ路面一面を汚した。

(それは僕の心の欠損を埋めてくれるのか?いや、何も…変わらないのは分かり切った事だ。)

息のない亡骸にそう、告げても僕の声は届くはずもない。
張り詰めた感情に行き場をなくし、涙が生理的に溢れる。生温い死臭と温度が肌を通して伝わって来た。
「理性なんてとっくに捨てた筈だろ?殺戮と言うなの救いに涙する者さえいるというのに。」と僕の中の「奴」が言うが耳には入っては来ない。

既に事切れ散々遊ばれたそれは…多分、生がある時よりかずっと美しく、純粋に綺麗だと思えた。
だから、ぶちぶちと切れる肉筋に歯を立て、それを何度も何度も口へと頬張り消化されていくのを待つのだった。




−シド「−ッ!!!」

今、泥沼の様な深い夢から這い上がって来た事だけは分かった。

過去のフラッシュバックなのか、ただの「悪夢」だったのか「奴」の過去の断片の一部なのかは僕にも分からない。

ただ、受け止め切れなかった感情の情報量の多さに気が焦りだしたのだった。
荒い呼吸を整えて、感情の波に「奴」が出て来ない事だけを祈り、怯え、奥歯を噛み締め必死に耐える。
そんな、心境とは裏腹に、心拍数は上昇し、眼球の動きも定まらなくなり、やがて、呼吸も絶え絶え、嗚咽しそうな声を殺すのだった。

何とか理性で痙攣を抑え、震える手足を庇いながらガンパウダーの瓶に口を持っていく。
だが、口に注いだ端からカプセルは流れ落ちると鮮やかな青と白が床を彩る。

視界は歪み、極限まで追い込まれ…倒れ込む。

そんな時に願いが具現化したかの様なタイミングでドアをノックする音が聞こえた。
勿論、客人を招き入れる事など出来ず、突っ伏していると、ノックは激しくなり、やがて、鍵を施錠する音が聞こえ、ふと思い出す。
そうだ。今日はマイクが差し入れに来てくれる日だ。
きっと、マイクだ、と確信を得た瞬間、僕は少し安心したのか、緊張の糸が切れ、やっと繋ぎ止めていた精神が剥奪された。

痙攣は酷くなり嘔吐を繰り返す。流石に限界だ…

薄れ行く意識の中。瞼すら動かす事を諦め…目を閉じる。

−マイク「大丈夫か!?」


慌てて部屋に飛び込んだマイクは現状を直ぐに把握した。
あの時の様に同じ過ちは繰り返したくないとマイクは必死に処置を施そうとするのだが、フラッシュバックにも似た感覚に陥る。
目の前で人が死に逝く様は嫌に成る程、直視しているが「この子だけは!!」と言うマイクの使命感に何が隠されているのか、

この時のシドには、きっと分からないだろう。

マイクは非常用に持ち歩いている、LSDを静脈に注射して、シドをベッドに担ぎ込んで暫く様子を見ていると、
再生能力の早いシドの血液中にLSDは直ぐに染み渡ったのだが、不安なのか必死にしがみ付いて来るシドに答える様に腕を貸してやる。


あっという間に呼吸も痙攣も落ち着いて来たシドを見て、マイクは少し安心し、煙草を取り出し、ベッドに背を凭れる。
火を灯すとぼんやりと部屋が暖かい雰囲気に包まれた。

−マイク「何があった?また、話しては呉れないのか?」

ベッドに横たえマイクに背を向け聞こえぬ振りをしているシド。
無視を決め込むらしい。

−マイク「だから、あれ程ガンパウダーの過剰摂取は避けろと言ったろ?こんな事が度々、あるんじゃ、ガンパウダーをお前に捌いてる俺が罪悪感で押し潰されそうだ。」

ODはしていない。マイクを裏切る事はしたくなたのだ。マイクはそれだけ、シドの中では他の人間より近しいとシドは感じていたのだ。
だから、マイクを裏切る様な真似だけはしない。それだけは絶対伝えたい…だが、こんな時、理性が邪魔をする。素直に成れない自分のプライドが揺らぐ…

−シド「ODは…してない…ただ、恐い夢を見た。」

やっと、伝えられた言葉は掻き切れるくらいか細かった。

マイクは重い溜息を付き、また、深く煙草の煙を吸い込む…何か思い詰めている様にも思えるその横顔は見ていて気持ちの良いものではなかった。
不安が僕を襲う。取り留めのない不安が…不安は水面に落としたインクの様に広がり思考が停止する。

沈黙が重い。

−マイク「誰だって背負ってるものの一つや二つある。それを共有出来なきゃお互い信頼関係は気付けない。
     言葉にしなきゃ伝わらない事もある。不安に思ってる事があれば俺は言って欲しい。少なくとも、そう、俺は思ってる。」

そう、口にすると吸い終わった煙草を、律儀に灰皿に押し付け、僕の肩を軽く叩くのだった。




4p〜

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます