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10p〜

ガタイの良い男達に担ぎ込まれたアレンは白い部屋と実験室を行き来する生活を続けていた。
その、施設は白で統一されており、窓硝子は設置されていない為、外部の様子は一切分からない。この施設が何の為に存在するのか、どんな組織が動いているのか想像を巡らせてみるが、思考を乱すばかりか、思考が追いつかなくなる状態までに、この、僅か何日間かでアレンは追い込まれていた。

そんな施設で働く人間は皆、人間味がなく、会話と言う会話が交わされない。その中でも一際、威圧感を放つ存在が居る。
ガススマスクを身に付け、スーツを着込み、白衣という名の防護服を羽織った男。此奴が指示を出している、と言う所までは、理解が出来た。
彼の表情はガスマスクで覆われており、読み取る事は困難だったが、黒いフェイスペイントを顔に塗り白い大きな目と眼球がギョロギョロと視線を泳がせている事だけは分かった。

彼は人間なのか、それすら分からないまま、また、意識が遠のくのをアレンは感じた。

儀式がやってくる。
時間に追われて、締め付けれれそうな仕舞いそうな壁。
薬品独特の鼻を付く匂いが身体に染み渡り、吐き気を催した。
何度、拭っても消えないこの匂いは偏頭痛さえも引き起こし、頭を一日中悩ませ、左右に身体を捩るが、拘束具で身柄を拘束されて、身動きが取れず、精神的苦痛は増すばかり。

拘束台から見える景色はいつだって変わらない。
悪魔の様な形相の看守達と、無表情と言うテクスチャが張り付いた研究医達が忙しなく動いている。
何に使われるか詳しくは分からないが、アレンを苦痛に追いやる道具達は綺麗にデスクに並んでおり、アレンの恐怖をより一層深く刻むのだった。

どの位、この部屋に留まっただろうか。少なくとも、1週間は、この、6畳の白い空間で過ごした。
殺伐とした雰囲気や鋭い視線だけでアイコンタクトを送る研究医達は何かのデータを読み取ろうと、モニターとパソコンと睨み合い、
「これは違う、あれは違う」等とボソボソと会話を交わしている、やがて、この空間は緊張と溜息と混じり合い、微妙な空気を漂わせている。

13時になろうとしている。この時ばかりは秒針が止まれと祈る。
細胞の再生能力を診る為だと、細胞の一部を麻酔なしで持って行かれるばかりか、血液や体液の採取等、非人道的な行為が行われるのだ。
精神を食い潰され、身もボロボロになるまで、研究材料して使われて、人間以下の扱いをされて来たのだ。
もう、苦痛しか感じない。それ以上は、何も感じられない。

感情の籠らない口調で指示を出す検査医達の言葉でさえも、死を願わずには居られなく成る程の錯乱状態が延々と続く気がした。
唯々、与えられる苦痛に耐えられなくなり、悪魔にでも縋るつもりで、
何でもするから、解放して呉と無様にも涙と汗に塗れ嗚咽し、泣き叫んで、血と涙に塗れ窒息した。

悪魔達から降された名は「ルシファーの人格を宿す者を取り込む事。」

一枚の写真を差し出された。
写し出されているのは、淡白な少年。純粋に綺麗だと思えた。
自分はこんなにも穢れきっているのに、自分は今迄、美しく白いキャンパスに黒く出来たシミの様なものだと思っていた。
シミこそが自分。

自分とは対照的な白いキャンパスの様に穢れていない彼に惹かれた。

−アレン「でも、俺には彼を生きたまま捕獲出来る様な力もないし、どうしたら…」

「お前には人を惹き付ける“情欲の神”が付いているだろう?」

悪魔が囁く。
これ以上は、罪は重ねるなと忠告する自分と向き合う時間もなく次の疑問が産まれる。
人間とはこんなにも脆く弱いのだ。

−アレン「情欲の神?」

「お前には天性の力があるんだよ。人を魅了させる力がね。」

悪魔と対面しているとまるで、マインドコントロールにでもかけられたかの様にしっかり、頭に入ってくる。
今まで女にも男にも不自由した事はないし、その出逢いが切っ掛けで人を殺める事も出来た。衣食住にも困らなかった。
この時ばかりは自分の命が掛かっている。NOとは言えず、アレンは重い口を開くのだった。

−アレン「分かった。」

悪魔が長い舌だらりと出し、牙を見せ微笑む。

「そうだ…それで良い。」

悪魔とシドの対面はあと、もう少し先になる。
でも、もう後には戻れない。後悔も苦痛も、全てが無意味だと思い知らされる。

12p〜

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