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プロローグ

2.序章

僕は怯えていた。
また、夜がやって来る。毎回、湧き上がるこの感情に飲み込まれる事に…
特に空腹な訳ではないのだが、衝動的に左前腕を噛み千切る。口の中で何度か咀嚼を繰り返すと満腹感から少しぽっかりと開いた虚無感が満たされた気がした。
何度も繰り返されているこの自傷行為にも見えるネオテニーの食事の仕方は、他の種族から見たらどう、映るだろうか?等と自問自答しながら、ガンパウダーの入った瓶に手を伸ばした。

−シド(そろそろ、切れるな。)

底の見えた瓶に入ったガンパウダーを口へと勢い良く煽り、脳を廻る脳内麻薬の心地良さを楽しんだ後、切らしたガンパウダーを調達する為に、シドはマンハッタンの街へ繰り出すのだ。


20XX年−
世界は壊滅し世界は新たな危機に面していた。新人類「ネオテニー」が産声をあげて増殖したのはあっという間であった。
ネオテニーとは天使若しくは堕天使の力を身に宿している人間以外の人類を指す。
その為、今の世界は世界壊滅から逃れた人間とネオテニーが共存している。ネオテニーは人間とは違い、知能が劣り、人間に比べて治癒能力は早い。

だが、外見的なものは一切変わらず、夜行性で夜にしか活動が出来ない為、昼間のマンハッタンは物悲しい雰囲気が漂っている。
今やマンハッタンは崩壊前の面影はなく、朽ち果て建造物は錆び、鉄骨が剥き出しの状態だった。

しかし、ネオテニーの文化が混ざり合い、ぽつぽつといかれた色鮮やかな毒々しい色合いのメリーゴーランドや観覧車にまで、神経や血管、臓物や眼球が根を這っている。
その事から、建造物にまでネオテニーは寄生しているのが分かる。
 


 空が赤黒く空を染め替えようとする瞬間、マイクは丁度、飼い猫のネロに食事をあげている最中だった。
−マイク「どうだ?美味いか?」
にゃ〜と一声嬉しそうに鳴くネロに満足したのか、マイクは葉巻に火を点ける。煙を肺へ存分に送り込むと、口から煙を一気に吐き出す。
マイクはこの時間が一番好きなのだ。

時計を見遣ると18時。

そろそろ、店の準備を始めようと重い腰を上げるのだった。



 マンハッタンの裏路地に入ると、電飾で飾られた存在感がある建物が見えて来る。
まだ、ネオテニー達が活発になる時間にしては早いが店は繁盛している様だった。
路地裏では全身黒で武装した人間やネオテニー達が酒やドラッグを飲み散らかし、下品な笑い声を響かせていた。

何でも、最近、嫌でも目に入るインナーサークル集団の中でカリスマ存在的のバンド「アンセム」が今夜、パフォーマンスをするらしい。特別、興味も湧かないので、いつも通り素通りして店に足を踏み入れるのだ。

−マイク「あぁ、シドか…今日は早いな。」

カウンター越しで客の注文を受けシェイカーを振るうこの男はマイク。
ガンパウダーと引き換えに「仕事」を与えてくれて、僕の中の「奴」の存在を唯一知っている。

僕が行う仕事は簡単に言えば始末屋。
何でも、このバーでは色々な情報が集まり、その中には悪行を働く天使や堕天使の情報も集まる。その中でも目立つ悪行を働く奴を始末するのだ。

そう言う意味で僕の中に住み付く「奴」の力は非常に有効的だった。相手の精神を取り込み、肉体を滅ぼす力を持っているからだ。


暫く僕が黙っていると、マイクはいつもの事かと深い溜息をつき、物腰柔らかく切り出した。

−マイク「最近、ガンパウダーに頼りすぎてないか?ガンパウダーと言っても、あれは、麻薬だ。その事は見当に入れておかないとな。それに、残念ながら今日は仕事の予定は入ってない。」

昨日、起きた惨劇が頭を過ぎる。
また、自分は罪を犯してしまうのではないか?そんな、不安に駆られた事が顔に出てたらしく、マイクが僕の唯一食べれる、蛸のカルパッチョを手際良く振舞ってくれた。

いつもながら、周りに気が配れる男だと思った。

蛸のカルパッチョと言っても、世界が崩壊する前は野菜やシーフード等が、やや酸味のあるドレッシングで絡めてあるらしいのだが、僕は「奴」の生態には逆らえない。

本来の人間だったら肉や野菜、魚介類にタンパク質に、炭水化物、色々、摂取する楽しみがあるが、僕の中に住み着く「奴」は中でも人肉を好んで食す為、どうしても、人肉に有りつけない時は、魚介類を食すのだった。それが、堕天使の烙印を押されたと言う事なのだ。

暫くカルパッチョを口に運んでいると、長いストレートの髪を振り乱し、派手なエクステで着飾った女が此方へ歩み寄って来た。そして、吃驚した様に疑問をぶつけて来たのだった。

−キャンダイス「生の蛸なんてあたしらの食うもんじゃないよ!!!気持ちわるくねぇ?あんた、正気なの?」

派手な外見通りRIOTを吐き出した女の性格は外見や化粧にもよく出てると思った。
ピンクと金髪のエクステに黒い長い髪は脱色を繰り返し痛みに痛んでいるが、猫科の様な整った顔立ちにギラギラと輝く黄金の目は獲物を狩る豹を連想させられた。

正直、僕はこの手の人間とは一番関わりたくない。後々、厄介な事には成りかねないのもあるが、こう言った人種と分かり合えた事がないからだ。

察するに彼女は天使や神を崇めるキリシタンであることが分かるからだ。この意思を持った人種は蛸やイカ、鯨を食べる習慣はないし、タブーとされている。
彼女はその手の人間だろう。

−シド「別に、美味しいと思ってるから食べてる。」

わざと突き放した態度を取ったのだが、彼女は何故か満面の笑みを浮かべるのだった。
それも、大笑いをしながらご機嫌良く。
そうか、この子はただの人間だったか…少しばかり、予想は外れたが特に害がなければそれで良い。

−キャンダイス「あんた、最高にクレイジーだね。あんたもこっち側の人間だったりする?」

多分、僕があの気違い地味たインナーサークル集団と勘違いされたらしい。

−シド「少なくとも…あんたと違ってキリシタンではない。」

手の中で蛸のカルパッチョを遊ばせながらも、間は置かない。突っ返す様に会話のキャッチボールを投げ返す。
「此処は強気に出て置く冪だ。舐められたくない。」しかし、その、気持ちに焦りが出始めているのは確かだ。
彼女の持つオーラ…嫌いなタイプのオーラではないが野獣の様な荒々しさを持っていて何故か近しく感じたのだ。

−キャンダイス「あたしは人が崇める神は信じない。」

彼女は眉間に皺を寄せながらも表情からは意志の強さが感じられる。しかし、神への冒涜的な発言に微塵も罪悪感を抱いては居ない様だった。

それに、僕自身も彼女のこの一言に強く共感が出来て、ちょっと興味が湧いてきた。
一瞬、場の雰囲気が緩和した瞬間にタイミング良くマイクが提案を出した。

−マイク「まあ、そんなに喧嘩腰じゃ理解し合えるものもできないだろ?キャンダイス、良かったらシドにアンセムの今日のライヴ観に来て貰ったらどうだ?」

彼女は「そうね!」とばかり、強引にチケットを渡して、自慢げに酒を浴びるように食らいながら、自分のバンドについて語りだして呉れたのだ。
僕も音楽は、ジャンルは偏ってこそいるが嫌いではないのだ。

それに、彼女が生み出す世界観には非常に興味があったので、今日は彼女のライヴに誘われるがまま、感情のままに観てみようと思った。

それも、きっと悪くない。そう、思えるくらい、彼女の印象は僕の中で変わっていたのだ。

−キャンダイス「あんた、何て名前?あ、自分から名乗るのが筋か…あたしはキャンダイス。アンセムのヴォーカル。」

−シド「シド…」

−キャンダイス「シド…分かった。記憶しておく。」

煙草に火を灯し、勢い良く吐き出した。顔面に吐き出された煙に咳き込んだら「ごめんごめん」と言いつつ、悪戯っぽく笑うのだった。
先程までは張り詰めていた空気が一気に緩み自分からも質問をしてみようと思った。
誰か他の人間に興味を持ったのはマイク以来かも知れない。

−シド「アンセムってどんなバンド?」

−キャンダイス「音楽性はブラックメタルだけど、ラウドロックに近い要素もあれば、ハードコアの要素もある。今までのブラックメタルの要素を汲み取りながらも、より攻撃的で時にバラードも唄う。でも、共通して言えるのは悪魔崇拝である事かな。悪魔と堕天使万歳!!みたいな?」

そう、告げるとキャンダイスは時間を確認した。
−19時20分

一気にビールを飲み干し、瓶を机に叩きつける様に置く。ショーの時間を大幅に過ぎてしまったらしい。
メンバーと思われる人達が「キャンダイス嬢!」と困り果てた様子で駆け寄ってくる。

「仕方ねぇな…」とぼやきながらも先程、何本も消化した酒で濁った筈の目の濁りはすっかり消え失せていた。
戦闘態勢とでも例えようか?そのくらい鬼気迫るものが今の彼女にはあった。

−キャンダイス「シド!!ライヴ観に来いよ!!」

振り向き様に、笑顔でそう、言われると、彼女に抱いた最初の第一印象の悪さははもう、とっくに僕の中から跡形もなく消えていた。


ライヴが始まるとキャンダイスは猛獣の様にステージに駆け上がり、観客たちに向かって煽りに煽るのだ。
会場内はキャンダイスを悪魔と崇め、拝む者すら居る様だった。

絶対に触れてはいけない、入り込んではいけない境地を越えてしまった様な複雑な感情さえ入り混じった空間には正しく「混沌(カオス)」と言う言葉がぴったり合うだろう。

彼女はファンのインナーサークル達を「マゴット」と罵り、彼等のテンションをヒートアップさせた。曲が始まると、彼女のデスボイスに圧倒されて言葉を失う。

高速に叩き付けられる様な、絶叫にも似たシャウトだった。

歌詞は所々しか聴き取れないが、怒りや憎しみ神に対する嫌悪感を全面的に歌い上げている。

今、彼女をステージへと駆り立てているのは怒りの感情だけだった。

そんな、罵倒だらけの歌詞の中にも「悲しみや絶望感」等が滲み出ていて、僕の感情を鷲掴みにしたのだった。
ショーの最後は壊れた様に嘲笑うキャンダイスが「今夜こそこの糞みてぇな世界から抜け出すんだ…今夜こそ…」と途切れ途切れに囁き倒れ込むようにステージが締め括られるのだった。

今夜はショーが終わってからはキャンダイスはバーに姿を見せなかった。








2p〜

このページへのコメント

紀羅さん

成程!| ´ω`|φ参考になりましたよ〜(*´∀`*)

想像力と言うか妄想力がないといかんなと実感しております。(笑)

他に印象に残った所とかありますか?

スライディング土下座は協力して頂いてるこちらがしたいですよ〜!!(TдT) アリガトウ

0
Posted by Trash 2011年12月16日(金) 08:17:05 返信


ご返事ありがとです!

やっぱり世界壊滅→何かしらでネオテニー出現って感じになりますかね_(:3 」∠ )_

想像力がないので全然思いつかないorz
すみません(スライディング土下座

また考えときます〜(`・ω・)

0
Posted by 紀羅 2011年12月15日(木) 14:50:19 返信

紀羅さん

コメント有難う御座います![壁]`・ω・´)b テンキュ

世界観は異質と言うか良い言い方をすればとても、ファンタジックかも知れませんね:(;゙゚'ω゚'):
世界は壊滅してますが(笑)

世界が壊滅したのとネオテニーの誕生については模索してります。(´ε`;)ウーン…

紀羅さんならどんな関係が面白いと思いますか?(・ω・ )

マイクの過去の話はスピンオフ展開や作品の中で色濃く書くのか悩んでおきます!!

また、返信頂けると嬉しいな(*´∀`*)

0
Posted by Trash 2011年12月15日(木) 12:39:12 返信

早速拝見しました!

世界観がめっちゃ好きです\(^o^)/

気になったところと言えば、世界が壊滅したのとネオテニーの誕生には何か関係があるのかな〜なんて思いました(´∀`)

後は個人的な意見ですが、マイクの過去のお話がもっと見てみたかったり…w

0
Posted by 紀羅 2011年12月14日(水) 23:27:29 返信

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