あと数分でジュンの誕生日
普段はいろいろ言いようけど、やっぱりちゃんとお祝いしたい
れいな、バースデーデコメにはこだわりがあるけん
ちゃんと時間かけてメール作って、あとは送信するだけにしといて準備万端
これを0時ぴったりに送れば完璧たい!

そう思って、ずっと携帯片手に時計見てたのに

〜♪〜

「はっ!?」
23時59分、まさかの着信
しかも相手はジュン

ちょっとちょっとちょっと
…そもそもこんな時間に!

「…もしもし、ジュン!?何!?」
『あー、田中サン起きてましたネ』
マイペースに喋るジュン
ていうかこれ、計画台無しっちゃん!!
バカジュン子!!

「なんでこのタイミングで電話すると!?」
ジュンにしてみたら理不尽かもしれんけど、やっぱり腹は立つ
ストレートに怒ると、それでもジュンはマイペースに言った

『ダッテ誕生日なった一番に田中サンの声聴きたかったダモン』
「え…」
『ジュンジュン22歳になりマシタ。22歳も、田中サン大好きだヨ』
自分勝手なタイミングで電話してきて
しかも自分勝手に愛情ぶつけてきよる
れいなやってまだ『おめでとう』も言ってないのに

でも、こんなにペース乱されて、それでも嫌じゃない自分に腹が立って
本当はちょっと嬉しかったっちゃけど、そんなん言えんくて悪態ついた

「…別にジュンに好きでいてもらわなくたっていいと」
『えー。ヤダ。ヤダヤダ。好きだもん』
「バカ、キモい。ていうか『好き』くらい誰にでも言うとろーが、ジュンは」
『そんなわけないヨ、田中サンは他の人とは全然…』

…あぁ
もーいい
めんどくさ

なんかぐだぐだ言われる前に、れいなは大声で言ってやった

「れいなの方がずーっと好きと!!腹立つくらい好いとーと!!バカ!」
『えっ …あ、あの』
ジュンの焦った声が一瞬聞こえよったけど、何か言われる前に電話切ってやった

…あー、顔あっつい
……マジ恥ずい

携帯をベッドに放り投げて、時計を見る
0時3分

「…はー…」

計画丸つぶれやし
結局おめでとうは言えんくて
でも、明日ジュンがどんな顔してれいなに会うとやろって思ったら
ちょっとだけ、いい気分やった

明日は改めて、ジュンにプレゼント渡しちゃろ
…今日の電話も、これはこれでサプライズやね

誕生日おめでとう、ジュン

どなたでも編集できます