(注:ジュンリンは中国語で会話しています!)

リンリンが何か書いている。
自分じゃ普段選ばないような、可愛いピンクの便箋。
同じ中国人の私から見ても、リンリンは字が下手だと思う。

「何してんの?」
「うわ!見ないで変態!!」
「ア?」
ちょっとイラッとしたから、ひょいっと手紙を取り上げた。
「えーと、『可愛い道重さんへ…』」
「ワア!ワア!返して!見ないで!!」
本当に読む気はないけど、跳びはねながら取り返そうとしてるのはちょっとおもしろい。
でも本気で怒らせたら面倒なことになりそうだから、すぐに返した。

「…手紙書かなくなって、もうすぐ会えるのに」
「いいの!これはいわゆるひとつの…こだわり!」
「…絶対どうでもいいこだわりだよね?それ」

どうも、会って目の前で手紙渡すらしい。
何書いてあるかわかんないけど。
寂しかったです、とか書いてるかもしれない。

「…まあでも、道重さん喜びそうだよね、手紙とか」
「喜んでくれるよ、いつも」
「なにそれ?さりげない惚気?」
「違う!!ジュンジュンうるさい!」

リンリンは普段日本語でメンバーと話すときは穏やかそうなくせに、私と話すときは割と言いたいことを言う。
…そこんとこ、いつか道重さんにバラしてやろう。

「ジュンジュンもたまには田中さんに手紙とか書いたら?田中さんも意外と喜ぶと思うよ?」
「…キモいとか言われたらヘコむからいい。それに、私なりに田中さんへのアプローチはぬかりなくやってるし」
思わず真面目にそう答えてしまったら、露骨にニヤっとされた。
…このガキ。
「みんなの前でぶりっ子してるけど、ジュンジュンて結構あざといよね!」
「嬉しそうに言わない、そういうこと」
「そのうち田中さんにバラしちゃおうかな♪」
「なっ…」

子供丸出しのくせにそんなこと言うから、また手紙取り上げてやった。
「アアー!!返して!スケベ!」
「うるさいガキ!」


隅っこで二人で騒いでたら、田中さんが来た。
「ジュンジュンリンリンうるさい!何やっとーと!?」
「「あっ」」
私は慌ててリンリンに手紙を返して、リンリンはそれを隠す。
同郷同志のケンカを中断して、日本語モードに切り替えた。

「田中サンごめんネ。あっ、チョコ食べル?」
「ぶりっ子してごまかしたらいけん!…でもチョコはもらう」
「はいドーゾ♪」
「あー、れいなこれ好きなやつっちゃん!」

『ごまかしたらいけん』って言ったくせに、田中さんはやっぱりすぐご機嫌になる。
わかりやすいし、可愛い。
なんとなく二人で仲良しムード出してたら、リンリンが隣でちょっと寂しそうな顔をした。

…ああ。
やっぱ本当に寂しいんだろうなあ。

「…リンリンも食べていいヨ、チョコ」
「ん?…あー、アリガト」
道重さん早く帰ってくるといいね。
…っていうのは、心の中でだけ付け足して。
めったにしないけど、道重さんの代わりにリンリンの頭を撫でてあげた。



川*`A´)ノシ<ジュンジュンなに!キモい!
川#`・_o・)<(このガキ…)

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