「田中さんは寝相悪いですから」
「うっさい、れいなばりおとなしいけんね!ジュンジュンが知らんだけとよ!」


皆が寝静まった車内、ひそひそ声で田中さんが怒った。
最近いつも移動中は田中さんが隣に居て、ジュンジュンは楽しい。

楽屋に居たら、ジュースを取ってあげたしお弁当も田中さんの分一番に取ってあげた。
のどが痛いと言われれば美味しくて喉に良いのど飴をあげた。
肌の調子が悪いと聞けば、人から聞いた良いクリームとかを紹介したりあげたりもした。
田中さんの気に入りそうなモノがあればそれがなんだろうと買ってきた。

最初田中さんは「何から何までされたら気持ち悪いっちゃんね」とか言って
ジュンジュンの事を嫌がっていたのに、今では自分から隣に座ってきてくれる。

「ちょっと、ジュンジュン今れいなの話聞いとった?!」
「ハッ、なんですか?」
「うっわ、サイテー、今聞いてなかったんや」
「ち、違いますヨッ。田中サンに見とれてただけですカワイイから!」


慌ててそう言ったら田中さんは途端に顔を真っ赤にして頬を膨らませた


「うっさい、誰にでも言うようなん言われたって嬉しくなか!」


・・・・あらぁ、ついこの前まではこう言ったらすぐに機嫌直っていたのに。
あれですな、ライブで色々バラされてしまったせいで、ずっと拗ねてるんですな。田中さん。
何度も何度も田中さんはトクベツだよと言っても解ってくれないところが、またカワイク思えてしまう。
たカワイク思えてしまう。

「・・・もうれいな寝る」
「ジュンジュンの上着かけて寝てクダサイ」
「別にいらんし」
「ダメですよ、田中さん風邪ひいたらジュンジュン死ぬホド、心配だから」
「・・・ありがと」
「ハイ、田中さん聴きながら寝るデショ?」
「あ、ありがと。なんで持ってると?」
「さっき、田中さんがワタシに預けたんじゃないですカ」
「あれ?そやったっけ」


なんて言いながらイヤホンを耳につけると、田中さんは目を閉じた。
上着をもぞもぞっと、肩くらいまでずりあげて、首を丸くしてうつむいた。
ジュンジュンはその動きを見ながら、ニコニコした。だって、かわいいですから


「・・・ジュンジュンの匂いする」
「だって、ジュンジュンの服ですからネ」
「・・・」


トックに音楽の再生が始まってて、ジュンジュンの返事には答えがなかった。

しばらく経って規則正しい寝息が聞こえて、ああ寝たんだなと思った。
そしてすぐにガツンガツンジュンジュンの肩にもたれては元の場所に戻る頭。
どうせならずっと肩に乗せていてくれていいのに、案外気を使うのかすぐに起き上がる。

寝てるクセに、変なトコで気を使うんダナ、この人。

そんな風に常にゴロゴロ頭が動いてしまうから、せっかくの上着もずれ下がってくる。
耳からもイヤホンがポロポロ落ちる。寝顔は乱れないトコロが、なんか、田中さんぽかった。


イヤホンをはめなおしてあげたり、上着をちゃんとかけなおしたりしてあげてるうちに
周りのメンバーは皆起きて、車も目的地に着いたのでした。


ジュンジュンも・・・ちょっとだけ、寝たかったデス


     ――――――・・・


「ほれ見ぃ!れいな、全然寝相悪くないやん!なんも寝る前と変わっとらん!」
「オー、ホントですねぇ」


ハイハイ、スゴイスゴイ

川´・_o・)クスクス

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