田中さんとねんねすると、普段言わないことをいっぱい言ってくれる
だから私は、田中さんを気持ち良くさせるのが大好きだ

「…ねえ田中サン、気持ちイイ?」
「…あっ…ぅん…はあ、ジュン…ね、名前…」
溶けそうな甘い声でそう言われる。
名前?
ああ
田中さんて呼ぶのイヤ?
いつもは名前で呼んだら怒るくせに

「…れいなちゃん。好きだよ」
「はぁ…ん、ジュン…ジュン…っ」
しがみついてくる腕が、細くて真っ白で
きつく抱いたら折れてしまいそう
私は壊れ物を扱うように抱きしめる

潤んだ目がこっちを見つめて、私も見つめ返して
頼りなく揺れる視線を受け止めたまま、私は田中さんを気持ち良くさせることに集中する

「ふあっ!…あ、あ…。ん、ねえジュン…」
「…はい」
「…どこにも行かんどって…れいなのそばにおって…」

その声に、ゾクっとした
可愛すぎておかしくなりそう
私の体の熱が一気に上がった

「…ずっとそばにいるヨ」
できるだけやさしく聞こえるようにそう言うと、田中さんは体を震わせた
もう限界?
私、この瞬間がきっと一番好き

「…んっ…ジュン…はぁ、あっ…好き、好き…っ!ああっっ!」
田中さんの声が耳に直接響く
好きが体に満たされる
まだ少し震えてる体をやさしく抱きしめたら、ふわふわと幸せな気持ちになった。
でも、甘い甘いれいなちゃんの時間は、いつもここまで。
恥ずかしいのか、田中さんは絶頂の後は必ずそっぽを向く。
今だってほら
もう布団被って横向いてる。

「…れいなちゃん、可愛カッタ」
「うるさい…言わんどってよ」
顔は見えないけど、背中から抱きしめる
耳たぶが真っ赤だ

「気持ち良くなかった?」
「…教えん」
「えー。じゃあじゃあ、ジュンジュンのこと好き?」
「嫌い」
一度もこっちを見ないで即答する
さっきまであんなに好きって言ってくれたのに
いつものことってわかってるけどなんだか悔しくて、ぐいぐい田中さんの肩を揺すった

「ねえー、好きって言ってヨー。言ってヨー」
「やめり!」
田中さんはだるそうに、それでもゆっくりこっちを向く。
さっきの可愛い田中さん、もう一度戻ってきてくれないかなあ
そう思って、じっと目を見た。
「…ねえ。ジュンジュンのこと好き?」
どうしても言ってほしくて、ゆっくりそう言った。
田中さんは少し唇を噛んで。
それから、いつにない強引さで口づけてきた。

「…んっ…」
普段はしないくらい激しく、気持ちをぶつけるみたいに。
熱を持った舌が絡んで、力が抜けてしまう。
唇が離れた後、田中さんは勝ち誇ったみたいに呟いた

「…大嫌い」
ニッ、て笑った顔はすごく意地悪で
ああもう、この人には敵わないなって思って
でもなんか悔しいから、少し乱暴に抱きしめて、『もう一回しよ』って言った。

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