397 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 22:31:48.43 0

お風呂から上がると、言っておいた通り部屋の明かりは落としてあった。
でもさゆみがちょっと作業するにも困らない程度に明るめにもしてあって、
こういうところはすごく気を遣える子なんだよな、と思う。
さっきもお風呂、先に入るのかなり遠慮してたし。

もう寝てると思ってた生田は、ベッドサイドに立って外を眺めてた。
荒れ模様がそんなに珍しい?
今日は寒かったし、この一月は忙しいんだから、早く寝ないと。
これじゃ、何のために電気消していいって言ったかわかんないじゃん。

「生田――」 声をかけるかかけないかのタイミングで、生田が振り向いた。
オレンジの明かりの中、ちょっと不安そうな顔で目線を上げて――
その瞬間、心臓が変な風に跳ねた。

「みちしげ、さん?」

下がり眉毛で覗き込まれて、思わず目を逸らした。
まさか、生田にこんな風に感じることがあるなんて。
確かにこのこ綺麗な顔してるし、可愛いとこあるし、意外と頑張り屋さんなとことか、好きだけど。

「あの…」

指先に触れられて少し反応してしまう。
落ち着け。
さゆみは先輩。モーニング娘。のリーダー。
生田はポジティブもネガティブも行き過ぎるとこあるから、こんな反応じゃまた泣いちゃうかもしれない。

398 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 22:32:36.65 0
「あ、ごめんね。ちょっとぼーっとしてた。明日もあるし早く寝よ?」

早口にそう言って自分のベッドに向かおうとする。
でもそれも叶わず、さゆみの右腕は生田につかまえられた。

「道重さん、ごめんなさい!」

右腕にかかる圧力に意識を奪われながらも、なんとか生田の話を聞いてみる。
案の定生田はさゆみの反応をネガティブに受け取ってて、
でもなんでさゆみが不機嫌なのか分からず、
とにかく全力で謝ってみたらしい。

生田のそういうところけっこう好きだよ、
って違う、そういう意味じゃないんだけど…
…さゆみ誰に言い訳してんの、これ。

ため息。
それをまた生田がネガティブに取るかも、ってことも頭に浮かんだけど
もう気にする気になれなかった。
……なんか腹立つし。

生田を改めてじっと見つめてみる。
今度は生田が慌ててきょろきょろしだして、
そういうのもけっこう可愛くて……ってもういいや。

399 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 22:33:17.71 0
「生田」
「あ、はい」

側のベッドに座って、生田を呼ぶ。
生田はさゆみの隣に座って姿勢を正す。
色気も何もない、先輩に言われたからそうする、
そんな体育会系なお返事。
だけどそんな素直な返事を聞けるのもこれが最後かも、ね。
少し笑って、何かを捨てる。
生田の目を見ながらゆっくり顔を近づけ、
生田がまたうろたえ始めるのを見計らって、唇を重ねた。

「み、道重さん!?」
「黙って。じっとしてて」
「は、ええっ?」

生田は心底慌てて、心底困ってた。
下がり眉も絶好調。
だけど、もっと困ってもらうから。

400 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 22:33:54.13 0
改めて唇を重ねて、今度は舌をすべり込ませた。
ただでさえ固まってた生田が更に固まる。
生田の手がさゆみの腕をぐっと握ってちょっと痛い。
だけどそれを無視して生田の中をかき乱す。
舌。歯の付け根。上あご。
ときどきびくっと身体が動いて、
腕から伝わる振動に余計に熱くなる。

「はぁ…生田ぁ……」

うっとりと口を離してしまってから、
今回はそんなロマンチックな状態じゃなかったことを思い出した。

生田が何か言いかけたのが分かって、
それを塞ぐようにまた唇を重ね、舌を差し込む。
生田が固まってたって構わない。
もっと。
短めの髪に指を差し入れて、小さな頭を引き寄せる。

この状況を諦めたのか、それとも何が気持ちいいか理解したのか。
生田も徐々に反撃し始めた。
さゆみはその反撃で余計に火がついて、
生田を感じさせることに夢中になる。
そうすると、生田の反撃も強まる。

ああ、これはもしかして負けず嫌い精神なのかも。
生田って勝ち負けめっちゃこだわるもんね。
そんな風に考えるのも妙に楽しい。
楽しくて、ついまた調子に乗ってしまう。

401 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 22:34:41.20 0
「んん!」

くぐもった声が聞こえる。
さっきから繰り返し聞いてきた声。
だけどきっと今回は快感の声じゃなくて、肌に直接触れたことへの抗議。

「じっとしてて」

同じ言葉を、今度は耳許で囁く。
一度は共犯者になったはずの生田がまた「先輩の無茶振りに困ってる真面目な後輩」に戻って、慌ててる。


嘘つき。さっきはあんなに激しかったくせに。


「やっ…!」

服をインナーごと一気に持ち上げたら、
生田がほとんど泣きそうな表情で嫌だと言いかけて、止まった。
涙目で口を押さえてて、
ああ、きっとさゆみの言いつけを思い出したんだろうなと思ったら、なんか。

……ううん、ただ、生田が泣くと後が面倒だから。
そう、こんな荒っぽいやり方じゃ、生田に逃げられちゃう。から。

402 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 22:35:46.21 0
「怖い?」

嫌?とは聞かなかった。
生田は躊躇いながら頷く。

「さゆみも脱ぐから」

できるだけ優しくそう言った。
生田が続ける気になるように。
でも自分で言っておいてちょっとなんか恥ずかしくて、横を向いてパパッと脱いでしまう。
ちらっと生田に視線を戻すと、ハッとしたように目線を逸らされた。
あ。
見てたんだ。
口角が上がりそうになるのを頑張って抑えた。

「腕上げて?」

優しいモードのまま、そっと囁く。
生田の動きに合わせて服をゆっくり引き抜いて、
ちょっとクサいかなと思いながら「綺麗だよ」って言ってみた。
本当に腕とかおなかとか綺麗だと思ったから言ったんだけど、……なにこれ恥ずかしい。
顔に熱が集まるのを感じて、慌てて生田の胸元に顔を埋める。
と、柔らかい感触と一緒に、綺麗に乗った筋肉を感じた。
ああ、これはさゆみにはないな。
そこから脇腹、腹筋に手を滑らせる。

403 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 22:39:15.12 0
「みちしげさん…!」

何か言いかける生田に、指を口の前に立てて言う。

「黙って。ね?」

もう、生田に返事はさせない。
首筋に舌を這わせ、耳を通り、右手で生田の胸を包む。
生田の手が耐えるようにぐっと握りしめられたのが視界の端に映ったけど、
さゆみにはどうにもできないから見なかったことにした。

綺麗に浮いてる鎖骨にキスをして、ふと、唇にもまたキスをしてみた。
一度、角度を変えて二度。三度目に唇を舐めたら止まらなくなった。
生田もまたやり返してくる。
うれしくなって腹筋に手を這わせると舌が一瞬止まったけど、
そのまま続けてたらおずおずと手を伸ばしてきた。
遠慮してるのかその手はなかなかさゆみに触れてくれなくて、
さゆみが自分で同じ場所に誘導してあげないといけなかった。

さゆみが脇腹を触れば、脇腹を。
首筋を触れば、首筋を。
肩から腕に、そして指を絡ませてみて。
胸を触った時はちょっとためらってたみたいだけど、
さゆみの胸に生田の指が触れた時、
達成感みたいなもので満たされた。

404 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 22:39:53.40 0
「はぁ、っ…!」

背中を何かが駆け上がって、つい唇を離してしまう。
しまった、と思ったけど、生田の手は離れず、
むしろ熱心にさゆみの胸をいじり始めた。

「道重さん…かわいい……」

かっと熱が上がる。
生田、さゆみのこと好き?
……ふふ、そんなわけないか。

自分のやってること棚に上げて、
一瞬でも勘違いしちゃう自分に笑っちゃう。

そうだな、生田ならふくちゃんかなあ。
ううん、きっと生田は普通に男の人が好きだよね。
後輩だから、さゆみのいうこときいてるだけ。
いつかはきっと、さ……

「道重さん…?」

よほど酷い顔でもしてたのか、生田に心配されてしまった。
お人好しだね、生田。
何されてるのか分かってるのかな、この子。

405 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 22:40:58.81 0
ふっとおかしくなって、笑みがこぼれる。
自分でやっておいて。何この勝手な先輩。
そう、だけど、今ここに生田がいるのは事実なんだから。

「もっと」
「もっといっぱい、いろんなとこ触って」

目の前の首筋に顔を埋めて囁いた。
息がかかったのか、生田がぴくっと肩をすくめる。
生田がまた固まるから、その腕を背中に回させた。
さゆみが首筋を舐め始めると、生田の手がさゆみの背中を這い回る。
気持ちいい。
背中ってこんなに感じるんだったっけ。
今度はわざとわかりやすく声を出してみた。生田に気持ちいいとこが分かるように。

だんだんリラックスしてきた生田は、
さゆみが特にそう言わなくても首筋に移ったり、髪や耳に指を差し入れてみたり、し始めた。
胸に触れられてももう固まりはしなかった。
気持ち良さそうな吐息さえ聞こえるようになって、
たまらなくなって左手を太腿に這わせた。

406 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 22:43:30.05 0
「や、待っ…!」
「嫌?」
「あ、ちが、あの、」

こわいんです、そう途切れながら言う生田が可愛くて。
つい頭を撫でてしまった。
生田がちょっとほっとした顔になったから、
ゆっくり太腿の手を上下させてみた。
動かすとまた表情が固まるんだけど、しばらくすると慣れてきたのか、

「えりも、触っていいですか?」
「いいよ。たくさん触って」

さゆみ大人だから、生田よりすぐ気持ち良くなっちゃうけど。
リラックスさせるつもりで軽口を言ったら、生田の表情が曇った。
あ、これまずいこと言ったパターンだ。
せっかく頑張ってたのに否定された感じがしたのかなって思って、
「生田、上手なんだもん。初めてっぽいのに」って言ってみた。
これも正解ではなかったみたいで、生田はちょっと困ったように笑った。
さゆみも困って、笑ってみた。
あれ、もしかして初めてじゃなかった?

407 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 23:04:04.32 0
ぎこちない空気になりながらも、また唇を合わせる。
気持ち良さで頭にもやがかかって、
その中にぼんやりとさっきの会話が蘇る。

でも、初めてじゃないなら、どうしてあんなに固まるの。
ああ、だけど、それだけのことをやってるんだもん、さゆみ。
嫌われたって、嫌がられたって、しょうがない……
ちょっと悲しくなって、唇を離す。

少し息を乱しながら真顔でじっと見上げてくる生田。
軋む空気に耐えられなくて、ごまかすように笑う。
生田もきっとそうすると思ったけど、生田は今度は笑ってくれなかった。

どうしたらいいのか迷ってたら、今度は生田からキスをしてきた。
びっくりしてると、次は太腿に手が。
久しぶりの感触に、身体がびくりと反応する。
あ、そっか… さっき触ってって言ったもんね。
頑張ってくれてるんだなと思ったら、うれしいような切ないような気持ちになる。
無理に頑張らなくていいのにって気持ちと、やめないでって気持ちがさゆみの中でケンカする。
さゆみも、って生田の腿を触ったら、その腕を掴まれた。

408 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 23:04:41.03 0
「道重さん…」
「ダメ?」
「じゃなくて、あの」
「怖い?」
「ちが…」

目を泳がせて、何か言いたげに口を動かしたけど、結局何も言わずに口を閉じてしまった。
手を止められちゃったから、さゆみからは動けない。
ずっとこの態勢で止まってるのもキツイかも、ってちょっと身体を起こしたら、また生田に止められた。
なんだかもう。笑っちゃう。
さゆみにどうしてほしいの、生田。

だけど笑ってられたのはそこまでで、
腕を引かれてぐるっと回ったら生田に見下ろされてた。
真剣な顔に息を飲む。
その顔がさゆみ目掛けて降りてきて、さゆみは反射的に目を閉じた。

唇に柔らかいものが触れて、押しつけられて、離れる。
また触れて、離れて、触れて。
深くしないのかなと思ったら、生田のお目当てはそこじゃなかったみたい。

409 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 23:05:13.56 0
胸にそっと触れ、中心をくわえる生田。
ピリッと痛みと快感が走って、少し声が漏れる。
さゆみの胸って寝るとほとんど流れちゃうからなんか申し訳ないんだけど、
生田はそんなことは気にならないみたいだった。
脇から胸、肋骨のあたりやおなかも撫でられて、
ゆっくりした快感に浸る。
生田に抱きついてみると、それはOKだったみたいでさっきみたいに腕を止められることはなかった。

ちょっと背中や首筋を撫でて生田の反応を楽しんでみる。
生田は鼻にかかった声を出しながら一度身体を起こし、その後鼻先をさゆみに擦り付けてきた。
犬みたい、生田。
……本当に犬みたいに、優しく面倒見たら見ただけ懐いてくれたらいいのにな。
ううん、違うか。そうやって面倒見てもらったからガキさんに懐いたんだよね。
こんなことしちゃうような、
悪い先輩のさゆみじゃなくて。

「みちしげさん」
「…なに?」
「あの…、あのっ……いいですか?」

なにが?って思ったけど、きっとこの状況で中学生が思いつくことなんてそう多くはない。
きっとあれとかそれだろう、と目星をつけて、
そんな自分に内心苦笑しながら頷いた。
極力生田をリラックスさせられるように、優しく見えるように努力しながら。
でもさゆみの返事を聞くと、生田はいっそう緊張したみたいだった。

410 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 23:05:43.90 0
生田の手が内腿に来て、
やっぱりという思いと快感が交差する。
膝や腰、おしりも撫でられてだんだんと快感に塗りつぶされて、
同時に胸を舐めてきた時には思わず声が漏れた。
それを逃さず、生田はすぐに中心に手を伸ばしてきた。

「んんっ!」

そこはたぶんかなり濡れてた、と思う。
生田が一生懸命手を動かすから、さらに身体が反応する。
生田はたぶんまだよく分かってないんだけど、
触り方を変えてるうちにさゆみの気持ちいいところを理解したみたいだった。
それはいいんだけど、入り口のところを何度も抉ってきながら中に入ってこないのが、
もう少しのところでおあずけされてるみたいで
……そう思った瞬間、そこが余計に熱くなる。

「いくた、っ……! も、」
「みちしげさ…」
「もっ、はやく、っ!」

はやくいれて、と言い切れなくて、
そのまま生田の指に翻弄される。
「はやく」にだけ対処した生田がどんどん攻めてきて、
いろんなことを考えられなくなる。
もうこのまま外でいくのもいいかもと思い始めたところで、そこに指が入ってきた。

411 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 23:06:14.23 0
「ああぁっ……!」

希望とは違うけどある意味完璧なタイミングで欲しかったものがきて、全身に快感が駆け巡る。
背中をぐっと抱き寄せると、生田も後ろに腕を回してきた。
生田がさゆみの反応を見ながらゆっくり進んでるのが分かって、
それがなんか嫌だったから生田の頭をつかまえて思い切り唇を合わせた。
舌で口の中をかき回してやったら、仕返しというように指がさゆみのなかで暴れる。
ときどきそれがさゆみの好きなところに当たって、
声をあげるけどキスでくぐもった音にしかならない。
生田とこんなぐちゃぐちゃになってるのが楽しくておかしくて、目尻に水が溜まっていく。
嫌がられるかもと思いながら我慢できなくて、腰に、おなかに、胸に手を這わせた。
生田はもしかしたら嫌だったのかもしれないけど、やっぱりその声はくぐもった音にしかならない。

一番大事なとこだけはきっと本当に怖いんだろうから、そこだけは避けて、
さゆみが気持ちよくなってしまうまでの短い間、生田をできるだけたくさん味わった。

412 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 23:06:55.24 0
道重さんは衣梨奈をぎゅっと抱きしめて、
かすれた声をあげて、
それから少し痙攣しながら衣梨奈から離れた。
短い息がゆっくり整って、
道重さんの目が開いて、
瞬きとともに涙が流れ落ちる。

「み、道重さん!」

焦って道重さんの顔に手を伸ばしたら、べたっとした感触がしてさらに焦ることになった。
さっきまで道重さんの中にいた指にはもちろん道重さんのがついてたわけで……

「ごごごめんなさい!」
「あー、いいよいいよ」

ベッドサイドのティッシュを取って拭きながら衣梨奈にもそれを差し出してくる道重さん。
こんなんなってたんださゆみ、って衣梨奈の手を見て笑う顔がなんか、
もうさっきまでのことは終わりっていうか、
こんなことなんでもないって感じがして、
道重さんと自分の距離を感じてしまって切なくなる。

413 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 23:07:33.09 0
「拭くだけじゃ気持ち悪いでしょ? 手洗ってもっかいシャワー浴びてきなよ」
「あ、はい」
「服持って」
「あ、はい……」

片手が使えない衣梨奈の代わりに服を集めて腕に乗せてくれて、
「いってらっしゃい」と浴室に送り出されて。
ぼうっとしたままとりあえず手を洗って、
そこでようやく道重さんに先に入ってもらうべきなんじゃないかと思い当たった。

さっきの服を手早く着て、深呼吸をしてから部屋に戻る。
道重さんは服もまだ着ず、ベッドの上で膝をかかえて座ってた。

「道重さん!風邪ひきますよ!」
「あー生田。早かったね」

てか早過ぎじゃない? シャワーはいいの?
のんきにそんなことを言う道重さんに服を渡して、「道重さんが先にシャワーしてきてください!」と腕を引いた。
道重さんはちょっと困った顔してたけど、そのまま押し切った。

414 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 23:09:36.49 0
部屋に一人になると、いろんな思いが浮かんでくる。
最初、怖かった。びっくりした。
やっぱり道重さん怒ってたんだ、と思った。
だけど道重さんは一方的じゃなくて、
衣梨奈にも触らせてくれたし、「もっと触って」とも言ってくれた。
衣梨のこと、好きってわけじゃないと思う、けど……
きっと衣梨のしたことが嫌やったわけやないと思う。

(でも、道重さん、泣いてた)

やっぱり嫌だった?
衣梨は触らせないのに、道重さんにだけあんなことして、やなやつって思われた?
だって、怖くて、
わけがわかんなくなっちゃったら道重さんに触る余裕がなくなっちゃいそうで、
だけど道重さんは不公平って思ったかも。
でもでも、道重さんは大人で、
そう、大人だから慣れてて……だからすぐ気持ちよくなっちゃうって……だから、されてるだけで終わるのはやだった。
だけど、いくら頑張ったって衣梨なんて、道重さんにとっては。

その時カチャンと音がして、道重さんが戻ってきた。
衣梨の顔を見て困ったように笑って、「ごめんね」と頭を撫でられた。
ぽたりと水滴が落ちる。
それを自覚したら、ぼたぼたっと続けて雨が降った。

「ごめん」

415 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 23:10:41.76 0
道重さんは何を謝ってくれてるっちゃろ。
衣梨奈を一人にしたこと?
それとも、さっき衣梨奈にしたこと?
衣梨のこと何とも思ってないのに、こんなことしたこと?
わかんない。
わかんないままどんどん涙が溢れてきて、ベッドに膝に染みを作る。

「ほら、濡れちゃうから」

渡されたティッシュで拭ってもあとからあとから涙が溢れてきて、
呼吸も胸も苦しくて、
道重さんに抱きしめてほしかった。
だけどそんなこと言えないから泣くことしかできない。
道重さんが困ってるの、分かってるのに。
こんなことしてたら道重さんに余計に嫌がられるって、分かってるのに。

「ごめんね、怖かったよね」

顔をあげる。
あげてすぐ、酷い顔だったことを思い出して俯いた。
質問に答えなきゃ、と思ったけど、どう言ったらいいかわからない。
怖かった、けど、嫌じゃなかった。
首を横に振って、歯を食いしばってなんとか涙を止めようとする。
だけどそれがうまくいかないうちに、道重さんの声が降ってくる。

416 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/05/11(土) 23:11:50.16 0
「生田は一人じゃない方がいい、よね?」

なんの話か分からなかったけどとにかく頷く。一人はやだ。

「じゃあ、さゆみいない方がいいと思うから、マネージャーさん…もう寝てると思うけど、部屋代わってもらってくるね」

道重さんが言ってることが咄嗟にわからなくて、
でもとにかく道重さんが出て行こうとしてることだけは分かって、道重さんの袖を必死でつかんだ。
やだとか行かないでとか言って、道重さんが困ってるのは分かったけど一生懸命引き止めた。
そしたら、道重さんはため息をつきながらだけど行くのをやめてくれて、
隣に座って衣梨奈の頭をずっと撫でていてくれた。
だんだん気持ちが落ち着いてきて、涙も呼吸も落ち着いて、
「もうこのまま寝る?」って道重さんの言葉に頷いて……
横になったらすぐ寝てしまったみたいだった。


起きたら側に道重さんがいなくて焦ったけど、
衣梨奈が寝た後に自分のベッドに戻ってたみたいで、道重さんは隣のベッドで寝息をたてていた。
ちゃんと、ここにいてくれたんだ。

「道重さん……」

薄明かりの中に道重さんの白い肌が浮かんでる画は綺麗だった。
衣梨、この人としたんだ。
なんか嘘みたい。だけど、嘘じゃない。
その証拠に今、衣梨の目は腫れて大変なことになってた。……これ、なんとかしないと。
慌てて濡れタオルを準備しながら、
道重さんが起きたら、今度は道重さんが謝らなくていいように元気な衣梨を見せようと決心した。






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