30 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/06/07(金) 01:53:49.82 0
今日は道重さんの地元、山口県でのコンサートだ。
最近メンバー内では優樹ちゃんを中心によく鬼ごっこをやっている、もちろん道重さんも。
田中さんが卒業してからは、よく私たち後輩と接してくれる道重さんはもしかしたら寂しいのではないかと衣梨奈は思っていた。
「はーい、まーちゃんタッチ!」
「ねぇ!?なんでどぅーはまさばっかり狙うの?あっ!!うぃくたさーん」
その寂しさを衣梨が紛らわせたらいいっちゃけどね・・・
そんなことを思ってると優樹ちゃんが衣梨奈めがけて走ってきた。
「ええええ何ぃ?ちょっと待ってぇ、優樹ちゃん」
まずいボーっとしてた逃げなきゃ
コンコン
「失礼します」
全力で逃げようとした瞬間、急に壁が盛り上がった――
ドンッッ!!!
のではなくスタッフの開けたドアに勢いよくぶつかったのだ。
目の前が真っ暗になり衣梨奈は地に伏した。

32 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/06/07(金) 01:54:33.39 0
ここはどこだろう?目を覚ますと知らない土地に衣梨奈は立っていた。
見慣れない街並みだ、すこし歩くと公園が見えてきた。
小さな女の子が遊んでいる、あの娘に話を聞いてみよう。
「ねぇ?ちょっといいかな?」
しゃがんで砂遊びをしている女の子はこちらを振り返った
「なぁに?」
綺麗な黒髪にうさちゃんヘアー
ぱっちりとした二重と白い肌
おちょぼ口の左下のホクロがトレードマークの可愛らしい娘がそこにはいた。
―どこかで見たことあるような・・・
「ねぇ何してるの?」
「さゆみはねぇお友達と遊んでるの」
―さゆみ?
「うげぇ」
彼女の足元を覗くとダンゴムシが
「さゆみのお友達はね、ダンゴムシなの」
―友達がダンゴムシ?えっ
「名前は何ていうのかな?」
「さゆみはね、道重さゆみっていうの」
衣梨奈は頭が真っ白になり言葉を失った。

33 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/06/07(金) 01:55:15.09 0
色んな考えが頭を巡った、そっくりさん?同姓同名?いやそんなはずない道重は相当珍しい苗字のはず
「さゆみちゃんは何歳なのかな?」
「さゆみはねぇ9歳」
まさか衣梨奈タイムスリップしてしまったと?あまりに強い衝撃で昔の山口県に来てしまったと?
「ねぇお姉ちゃん、さゆみと遊ぼ」
「えっ?」
「さゆみとお友達になって」
いや今はそれどころじゃなかと、なんとかして元の世界に帰らなけ・・・
ふとさゆみちゃんを見ると今にも泣きだしそうだ
「お姉ちゃんはさゆみのこと嫌いなの?」
「いや、そういうわけじゃないっちゃけど・・・」
「じゃ鬼ごっこしよ!?」
そう言うと半ば強引にさゆみちゃんとの鬼ごっこが始まった。
さゆみちゃんはホントに楽しそうだ、元気いっぱいに公園を走り回る。
ほんとにこのさゆみちゃんは道重さんなのだろうか?そんな風に思いながら楽しい時間が過ぎてった。

34 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/06/07(金) 01:57:09.74 0
――夕暮れ
疲れたのかさゆみちゃんとベンチに座って2人でお話をすることになった。
「お姉ちゃんは何をしてる人なの?」
「衣梨奈はねぇ、モーニング娘。ってグループにいるっちゃよ」
「何それ?」
さゆみちゃんはキョトンとして目を丸くしている
「モーニング娘。はね歌って踊れるアイドルグループやね」
内心、歌はあんまりやけどねと衣梨奈は苦笑した
「すごいね!お姉ちゃん、さゆみも大きくなったらなれるかなぁ?」
「うん!じゃあ衣梨奈さゆみちゃんがモーニング娘。になれるまで待っとうけんね」
約束を交わしたその直後、公園の入口にまた1人女の子が来た。
「さゆちゃーん!もう帰っておいでー」
「はーいお姉ちゃん」
この娘が道重さんだとしたらあの娘は姉重だろうか?するとさゆみちゃんは髪を縛ってるリボンをほどいた。
「お姉ちゃん今日はありがとね、これお礼!」
さゆみちゃんからピンク色のリボンが差し出された。
「ありがとね、気を付けて帰るんだよ」
衣梨奈にリボンを渡すとさゆみちゃんは姉重のもとに走って行った。
そしてポケットにリボンをしまった、その時ふとある疑問が浮かんだ。
今日、衣梨奈どうすると?このまま野宿するとぉ!?
とりあえずダメ元で道重さんの両親にこのことを話してみよう。
「さゆみちゃーん!!」
さゆみちゃんを呼びに公園飛び出た瞬間、
ドンッッ!!!
また強い衝撃が・・・今度は車に轢かれたのだった。
宙を舞い地面に叩きつけられ目の前が真っ暗になる。

35 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/06/07(金) 01:58:32.87 0
目を開けるとそこは・・・コンサート会場の楽屋だった。
メンバーみんなが自分を囲み心配そうに見ている。
「うぃくたさああああん」
優樹ちゃんは涙交じりに抱き着いてきた。
「もう、心配したんだからぁ!!バカ生田!!」
道重さんも泣いている、そっか衣梨奈はドアにぶつかって気を失ってたみたいやね。
じゃあ、あれは夢・・・?それに、どこも痛くないどころか痣の一つもない。
「衣梨奈は丈夫やけん、みんな心配せんといて」
みんなに心配かけさすわけにはいかないと思い衣梨奈は元気に立ち上がった。
――ん?
ポケットに何か入ってる
「これは・・・」
そこにはさゆみちゃんがくれたリボンが入っていた。

36 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2013/06/07(金) 01:59:26.61 0
あれからしばらく経ったが衣梨奈の周りは今までと変わりなく過ぎていった。
一つ変わったことがあるとすれば・・・
「生田ー」
「いくたー」
「ねぇイクター」
最近なんだか道重さんとの距離が近くなった気がする
「道重さん、今行きまーす!」
道重さんがラジオで言ってたらしいが、子どもの時衣梨奈によく似た人に遊んでもらったことがあるらしい。
そしてその人からモーニング娘。を教えてもらったことも・・・
もしかしたらあの夢はホントだったのだろうか?
今でもあのリボンは大切に保管してる。
まだ誰にも話していないこの話、道重さんなら信じてくれる気がする。
「道重さーん衣梨奈、道重さんに話したいことあるんですよ」
「ふーん何?」
「いやこの話結構長くなりそうなんですよ、だからご飯でも食べながらぁ」
「生田は何が食べたいとかあるの?」
「んーそうですねぇ」






「道重さんスパゲッティーを食べませんか?」






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