中国語を話す君を見ると不安になるんだ。
知らない人を見ているみたいだから。

リンリンは、たまに、故郷の友達に電話する。
あたしたちといるときには使わない中国語を話し、無邪気に笑う。
電話の向こうの知らない誰かに、嫉妬してしまう。

あたしに好きだと言って微笑む君は、紛れもなく君なのに、時々不安になるんだ。
今まであたし以外の誰かに、好きだと伝えたときは君はどんな言葉を使った?

「ねぇ…リンリン」
「はい?」
「好きって言って」
「好きですよ?」

首を傾げながら、答える。違う、そうじゃない。あたしが首を振ると、リンリンは困ったように頬をかいた。

「ほんとに好きですよ」
「そうじゃなくて…リンリンの言葉で言ってほしい」

しばらく部屋を包む沈黙。それを破ったのは、リンリンだった。

「我愛…イ尓」
「もっと、言って…お願い」

我慢したのに、涙が頬を伝った。あたしを抱き締めて、何度も何度も愛を伝えてくれた。
たまに、聞き取れないような言葉も話した。何を言ったのかはわからない。
でも、一生懸命にあたしに気持ちを伝えようとしてくれるだけで、幸せだった。

いつかあたしも、リンリンに、中国語で、愛を伝えたい。

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