君だけに向けられた祝福。
君の頬を伝った涙。

生まれて初めて、ファンのみんなに嫉妬を覚えた。

イベントが終わり、メンバーの後ろについて楽屋に入ろうとするリンリンの腕を掴んだ。
さっきまでの余韻にひたって、ぽーっとしてる。
胸が、ちくりと痛んだ。

「あの、さ…」

誰にも聞こえないように耳打ち。私の言葉に君は、はい、と笑顔で頷いた。

待ち合わせた駅前。パタパタと足音を鳴らし、私のもとまで走りよってきた。
抱き締めると、君の匂いが体中に広がる。幸せだなあって感じる。

「リンリン、さゆみ…」
「はい」
「本当に、誰よりもリンリンのこと、好きだから」
「…リンリンもです」
「だから、本当に…さゆみが一番リンリンの誕生日のことおめでたいって思ってるの」

リンリンは黙って笑った。子ども染みた私の独占欲にも、呆れることなく優しく笑ってくれる。
そういうところも、大好きなんだ。

「ありがとうございます」
「今日、やっぱり嬉しかった?」
「ハイ、でも…今も嬉しいです」

はにかむ君。照れる私。
自然と繋がる手。二人で笑うと、白い息が空に溶けた。

君と迎える3度目の春。
3つ目のプレゼントの前に、キスを一つ落とした。

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