「リンリンさん、どこが痛いですか?」

楽屋で、道重さんが唐突に言った。意味が分からなくて首を傾げたら、道重さんはわたしの胸に聴診器をあてるしぐさをした。

「さゆみがお医者さん、リンリンは患者さんね」

今日のロケで白衣を着た。でも、道重さんだけではなくわたしも着ている。患者も白衣だという奇妙な状態でお医者さんごっこは始まった。

「リンリンさんが痛いのは、胸ですね」
「え?」
「さゆみのことを想って、痛くなったり苦しくなったりするんですよね?」

笑顔で尋ねられる。そうまっすぐに聞かれたら恥ずかしい。頷くことができなくて、うつむいた。

「さゆみといるとドキドキする。そうですね?」
「え、は、はい」
「それは恋の病ですね。重病です。もしかしたら治らないかもしれない」

思わず道重さんの世界に引き込まれ、実際には存在する病気じゃないのに、とても緊張してしまう。

「でも、治せるように最善を尽くします。今から治療しますね」

ではここに座ってください。と、道重さんは自分の太ももをポンポンと叩いた。
躊躇いながらもそこに跨がる。向かい合わせに座ると、距離なんて存在しないんじゃないかというほど近い。

道重さんはわたしの白衣のボタンを一つずつ、丁寧に外した。

「まず、悪い箇所を診てみたいのですが、その前に」

頭を引き寄せられ、口づけられた。何度も唇を重ねあわせ、その間から舌を絡ませる。
鼓動が大きく響く。わたしの髪をすく道重さんの指先に、ドキドキする

「とても心臓がドキドキいってます。これは大変ですね」

そう言って、わたしの胸に当てた手をゆっくりと動かし始めた。優しく揉みしだかれる。

「んっ…」
「どうしました?ますますドキドキいってますよ」

いつの間にかブラを外され、直に触れられていた。冷たい指先。
首筋にもキスを落とされる。指先とは反対に、熱い唇。濡れた舌先が、わたしの熱を煽る。
はだけた白衣は、もう服としての意味を為さない。いっそ、脱がしてほしいが、さゆみさんはそうさせてはくれない。

「やっぱり治りませんね…せっかくほぐしたのに。このままじゃ死んでしまう」
「そんな…」
「では、今晩わたしの家に来てください。本格的に治療します」

意地悪く微笑む道重さん。黙って頷いた。あなたといる限りは、わたしの病気は治りそうにないけれど。


新狼1さゆみん 427-429

どなたでも編集できます