ああ、今この瞬間だ。呼吸ができないくらいに締め付けられた胸に手を当てる。
今あたしは、君に、恋に落ちた。

背中から近づいて、頭のてっぺんに手のひらを置いた。
そのまま隣に腰かけると、柔らかい笑顔が目の前に。

「道重さん」
「んー?」
「夢に、道重さんでてきたんです」
「え、さゆみなにしてた?」
「えっとー・・・」
「うん」
「カレー食べてました」

この胸の高鳴りを返せ、そう言いたかった。

夢に、かあ。さゆみの夢には毎日のようにリンリンがでてくるよ。
そりゃあたしだって年頃の女の子だから、リンリンが裸でベッドの上にいて、そのリンリンに思い切りいやらしいことしたりなんて夢も見る。
こんな夢も見る。君に触れたくてしかたがないのに、指が動かない。君の名前を呼びたくてしかたがないのに、声が出ない。
夢の中でさえ、あたしは臆病なんだ。「今日、ひま?」
「はい、暇ですよ」
「ご飯いこっか」
「ほんとですか?わーい!」

無邪気な笑顔に、心奪われる。呼吸ができないくらいに、胸が締め付けられる。
あたしは何度も、君に恋をする。恋に、落ちる。

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