自分を見失う

■とつげき東北


本当の自分」なるものが存在するかのような言説がはびこっているために、不満足な状況に置かれた人々の多くは、現在の自分は偽りの自分であると認識することによって精神的安定を得る。
 通常、人生には何度か困難な状況が訪れるものだが、稚拙な判断に基づき行動し、必然的に失敗する人ほど、しきりに「あの時は自分を見失っていた」と感じる経験を持つ。だがそのような失敗を繰り返す姿こそが、彼らのスタンダードな姿に他ならないのであり、その意味においてのみ、彼らは「常に本当の自分を見失っている」といえるだろう。
2006年05月06日(土) 16:20:48 Modified by totutohoku




スマートフォン版で見る