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【定義】

大本山總持寺貫首を勤めた西有穆山?禅師によって明治23年(1890)4月に撰述された、曹洞宗檀信徒教化基準となる著作のこと。詳しくは『洞上信徒安心訣』といい、別名として『帰依三宝訣』とある。明治26年(1893)2月に鴻盟社から発行された。一説には、『修証義』の内容に反発して作られたともされるが、実際には『洞上在家修証義』よりは遅れるものの、現行『修証義』よりは完成は早い。ただし、刊行はやや遅れた。現在では、同朋舎『曹洞宗選書?』第5巻・教義篇に所収。

【内容】

本著に関してだが、西有禅師ご自身による、撰述由来が示されている。
吾宗教導に従事する者、信徒安心の教導に苦しむ者多しと。是れ何が故ぞ、向上の話頭に転ぜられ、或は文字の学解に汲々として、自ら仏法を信ずるの浅き所以なり。

このように、当時の布教教化に前提となる、僧侶の「信」が大きく問われる事態に陥っていると指摘されている。
今此安心訣は、二三子の求めに応じて未発菩提心の雛僧及び吾信者の安心帰着に迷ふ者の為にす。敢て大方に示すの意にあらず。故に簡単卑近を要とす。

また、このように、当初は刊行を予定しておらず、周囲の者達への慈誨として明らかにされたものと分かる。しかも、簡単に示したとあるが、具体的な内容は以下の通りである。

第一
遇い難い仏法に遇うことを示す。

第二
安心決定の後の起行と三帰戒を示す。

第三
仏陀釈尊大地有情同時成道の妙旨を示す。

第四
四恩への報謝を説く。

第五
中国禅宗二祖慧可大師の心不可得話を示す。

第六
他力往生を『学道用心集』によって否定する。

第七
仏心について示す。

第八
宗門の悟りと、阿弥陀信仰との差異を明示する。

第九
我が身を仏法に捨てることを示す。

第十
因果歴然道理と、南無帰依仏の教えに依って、十方仏に帰依することを示す。

それぞれの項目は、決して長文ではなく、全体として、教誡的文章になっているのが特徴である。また、殊の外阿弥陀信仰を意識した内容になっているが、当時、その教えが説法として一般的に用いられていた風潮を、逆に照らし出すものとなっている。

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