達成感?実プレイ?何の事です?

対応レベル:2〜4



導入

半月ほど前、PCが拠点としている街に吟遊詩人の美女がやって来たとする。
彼女は体が不自由だが歌唱力は非常に高く、街に来てすぐに人気者となった。
それほどの吟遊詩人なのに過去の経歴はほとんど不明。
彼女の活動が知られるようになったのはせいぜい数ヶ月前で、各地の街を転々としている程度しか分からない。
一応レイナと名乗ってはいるがそれが本名かどうかも不明。
いつも首に赤いスカーフを巻いていることから彼女は「スカーフの歌姫」と呼ばれている。
レイナ(女、20代?)
一般技能:シンガー8
伴奏は周囲の者に任せ歌に専念する吟遊詩人の美女。
全身が不自由で手の動きや歩き方もぎこちないが歌の才能は非常に高い。
自分の歌を大勢の人間に聞いてもらうことを生きる喜びとしている。
老若男女問わず多くのファンがいるが、誰かと親しく関わることは避けている様子。

……というのを説明しておいてからシナリオ本編開始。
PC一行が冒険者の店にいると、カルロスと名乗る吟遊詩人の青年が仕事を依頼してくる。
人気の歌姫レイナに関する重大な依頼らしい。

カルロスの話

実は吟遊詩人カルロスもこの街の人間ではない。
他の街にいる時にレイナと出会い、その美貌澄んだ声にすっかり惚れ込んでしまった。
それ以来、レイナについて回って旅をしているらしい。
カルロス(人間、男、22歳)
冒険者技能:バード3
レイナにべた惚れの吟遊詩人。ただし彼女からは相手にされていない。
決して悪人ではないがストーカー体質なので周囲からは敬遠されている。

で、本題に入るとカルロスは声をひそめる。
彼は昨夜(いつものようにレイナを尾行していたら)、大変な現場に遭遇した。
それはなんとレイナが邪悪な暗黒司祭に脅迫されている現場。
暗黒司祭はレイナに何か邪悪な行為をさせようとしていて、彼女はそれを必死に拒んでいる様子だった。
とりあえずその場では危害を加えられずに解放されたようだが……

気分が盛り上がったカルロスは声をひそめるのも忘れ、「レイナさんが悪人に脅されているのは許せない!」とテーブルを叩く。
というわけで暗黒司祭を撃退してくれないか、とカルロスはPCに頭を下げる。
暗黒司祭と関わりがあるという噂が立ってはレイナの今後の活動に支障が出るだろうから、
官憲に知らせず極秘に暗黒司祭を始末してほしい、というのが彼の依頼。

カルロスは地味に良家の出なので報酬はかなりの高額を約束される。
この仕事を受けるかどうかはPCの任意だが、特に断る理由はないだろうから受けたものとして話を進める。

歌姫の秘密

とりあえずPCとしては、暗黒司祭の正体を突き止めようとするはず。
しかし今のところ盗賊ギルドでもそれらしい目撃情報は掴んでいないため、レイナ本人から話を聞く以外に進展はない。

レイナは毎日のように街角で歌を披露しているが、なぜか今日はどこにも姿を見せていない。
しかしストーカーのカルロスは彼女が泊っている宿屋を知っているので自慢げに案内してくれる。

宿屋の主に話を聞けば、彼女は今日は一度も二階の部屋から出ていないという。
宿泊している部屋をノックすれば弱々しい返事はあるが、鍵を開けて迎え入れることはない。
彼女は誰にも心を許そうとしないが、今は暗黒司祭のことで少し弱っているので、
PCがそこにつけ込んでうまく説得したなら警戒しつつ扉を開けてくれる。
(もしPCが諦めそうになった場合などはカルロスに熱弁させて扉を開けさせよう)

レイナは泣きはらした顔で薄暗い部屋にたたずんでいる。
(憂いのある顔も素敵だ、と空気を読めないカルロスがつぶやいたりする)
外出時と異なりラフな部屋着なのに、なぜかいつものスカーフは身につけたまま。

PC一行を部屋に入れたレイナは話せる範囲で暗黒司祭との関係をPCに話してくれる。
彼女は暗黒司祭にある弱みを握られていた。
それは彼女の人生を左右するほどの重大な秘密であり、誰にも話すわけにはいかない。
彼女は暗黒司祭から逃げつつこれまで旅を進めてきたが、ついにこの街で追いつかれてしまった。

彼女を見つけた暗黒司祭はある道具を使えと脅迫してきた。
さもなくばお前の秘密を街の人間に暴露するぞ、と。
暗黒司祭が使わせようとしているのは以下のアイテム。
サイコウェーブ・ワンド
短い杖の形状をしたマジックアイテム。ぶっちゃければ魔法のマイク。
8レベル以上の歌い手がこの杖を持って歌えば、それを聞く者たちを支配することができる。
これは歌の達成値をそのまま目標値とする精神系の魔法に相当する。
抵抗に失敗した者は自由意思を失い、歌詞の通りに操られる人形となってしまう。

暗黒司祭はこのワンドを古代遺跡で発見したが、8レベルもの歌い手はまずいない。
そして目をつけられたのがレイナだった。
暗黒司祭はこのワンドを使って社会に大混乱を起こそうと目論んでいる。

レイナは暗黒司祭に「市民を操り五大神の神殿を襲撃させろ」と脅されていた。
歌をそのような邪悪な目的に使うことは彼女の信念に反する。
が、言うことを聞かなければ彼女の秘密がばらされて人生の破滅。

「いったい私はどうすれば……」とレイナは不自由な両手で顔を覆って嗚咽を漏らす。
それを見てカルロスは大張り切り。
「私たちにお任せ下さい!」と無駄に大見栄を切り、どさくさに紛れてレイナの両手を握る。
するとレイナは慌てて手を引っ込める。
彼女曰く、不自由な体を触られるのは恥ずかしいからだとか。
それを聞いて妙に興奮したのか、カルロスは暗黒司祭を人知れず倒すと勝手に約束してしまう。
(もちろん助けられたレイナが自分にメロメロになるという都合のいい考えがある)

レイナは半信半疑の様子だが、それでもわずかに希望が見えたらしく表情を明るくする。
PCもできれば彼女を元気づけてやること。

なお、暗黒司祭に従うかどうかの返答は今日の夜という約束。
そして邪悪な計画の決行は早くも明日という予定らしい。

現在の時刻がすでに午後なので、夜までに暗黒司祭の潜伏場所を見つけるのは困難。
むしろ待ち合わせ場所で暗黒司祭を始末するのがいいのでは……とカルロスは提案する。
PCがこれに従うか、別の方法を選ぶかは自由。

廃屋の戦い

夜になれば、暗黒司祭が数人の護衛を連れて待ち合わせ場所(街外れの廃屋)にやって来る。
廃屋にはPCが隠れる場所はいくらでもあるので問題ない。
暗黒司祭(人間、男)
データは暗黒の神官戦士・高司祭(完全版P250参照)を使う。
傭兵(人間、男)×4人
データは山賊・首領(完全版P248参照)を使う。

暗黒司祭は「返答はどうだ?」とレイナに迫る。
レイナは戸惑った様子で「それは……」と口ごもる。
そのまま傍観しているなら、痺れを切らした暗黒司祭たちは強引にレイナを拉致しようとする。
ここで確実に戦闘は発生するはず。

戦闘終了後、レイナは大変なことを言い出す。
なんと彼女を脅していたのはこの暗黒司祭ではないらしい。
実は廃屋にやって来たのは首謀者ではなく、あくまで手下の一人に過ぎなかった。
予想外の事態にレイナはオロオロとするばかり。

レイナの正体

ここでお待ちかね、スカーフの歌姫レイナの正体発表。
実は彼女の正体は美女の生首から汚い四本の触手が垂れ下がったヘッドディスプレーサー(完全版P207参照)。

彼女もかつては人間を襲うだけの魔獣に過ぎなかった。
そしてあるとき、森に迷い込んだ一人の吟遊詩人を背後から襲おうとした。
しかし吟遊詩人は彼女の存在に気付かないまま歌を唄いはじめた。
その歌声の素晴らしさに彼女は魅了された。
歌とはなんと素晴らしいものなのだろう。
魔獣として生みだされた彼女は、その時初めて涙を流した

彼女は自分の罪を悔い、その償いとして歌で人々の心を癒す道を選んだ。
人里離れた暗い森で何十年も歌の練習を続け、いつしかその技量は達人級にまで成長した。
しかし醜い怪物である彼女が人間の前に姿を現せるわけがなく、
ただ森の中で姿を見せないまま歌声だけを聞かせるという状況が続いた。
そこは美しい歌声が響く不思議な森として知る人ぞ知る観光名所となったが、
一人の暗黒司祭が歌声に興味を持ち、その正体を調べたことで状況は変わる。
暗黒司祭(人間、男、40歳)
冒険者技能:ダークプリースト6、ファイター3
普通のファラリス司祭。普通の悪人。

歌声の主がヘッドディスプレーサーだと気付いた暗黒司祭は、
「街でもっと大勢の人間に歌を聞かせたくないか?」と持ちかけた。
彼はどこからともなく首のない女性の死体を用意し、
それにプリザーベーション(防腐呪文)を施してヘッドディスプレーサーに与えた。
もちろん真の狙いはサイコウェーブ・ワンドを使わせること。

暗黒司祭の狙いに気づいた彼女は、胴体を支配するとすぐに逃げ出した。
そしてレイナと名乗り、吟遊詩人として人間の街を巡るようになった……というのが真相。
(彼女も胴体の本来の持ち主については罪悪感を抱いているが、どうしようもないのでスルーしている)

この真相はレイナが諦めて告白するとしてもいいし、計画を邪魔された暗黒司祭が腹いせにばらすとしてもいい。
PCがどこで真相を知るかはGMが気分で適当に決めよう(最後まで知らないままでも可)。

世間に正体を知られた場合に魔物として排除されることはレイナ自身が一番よく分かっている。
だからこそ極度に人づきあいを避けていたのだし、体温のない体を触られることも嫌っていた。
彼女は周囲の人間に正体を知られることを死以上に恐れているので、
もし正体を暴露されるか暗黒司祭に従うかという二択を避けられない状況に陥った場合は、
例え多くの人々を傷つける結果になるとしても暗黒司祭に従う道を選ぶ。

ちなみに彼女がサイコウェーブ・ワンドを使った場合、基準値10なので一般人はまず抵抗不可能。
数百人以上が暴徒となって神殿や領主の館を破壊し尽くすという地獄絵図となる。

この後の展開

レイナの反抗に気づいた暗黒司祭としても、実はすぐに真相を広めることはできない。
サイコウェーブ・ワンドを使える8レベル以上の歌手なんて滅多に見つからないので、
もし正体を知られたレイナが自暴自棄になったら計画が台無しになってしまう。
というわけで、暗黒司祭側に余裕がある間はレイナの正体が暴露される心配はない。
(ただしこれはあくまでGM情報であってPCに知らせる必要はない)

暗黒司祭は数日ほどは動きを見せないが、その間はレイナも歌う気になれず活動休止中。
しかし彼女のファンの市民たちが何十人も集まり「また歌を聞かせてくれ」と直談判に来る。
心を動かされたレイナは街の広場で久しぶりに歌うことを決意する。
と思ったらその場に暗黒司祭が来ていたりしてgdgd展開。

これはあくまで一例で、GMが望むなら別の形でもいい。

怒れる民衆

なお、レイナの正体が一般市民に知られた場合はこんな感じ。

まず強引にスカーフを剥ぎ取られ、首と胴体が繋がっていないと確認される。
その後、必死に頭を押さえるレイナの髪を掴んで無理やり首が抜き取られる。
醜い触手が胴体からニュルニュルと出てきて、レイナは羞恥のあまり悲鳴。
それを見ていた市民も悲鳴を上げたりゲロを吐いたりして大混乱。
やがて狂乱した誰かが「怪物を殺せ!」と武器を振り回して生首レイナに襲いかかる。
周囲にも狂気が伝播し、大勢の市民がレイナをぶち殺そうと追いかけ回す。
レイナは泣きながら飛んで逃げようとするが、市民に触手を掴まれ引きずり下ろされる。
……と、こんな感じの嫌な展開になる。

ちなみに依頼人のカルロスは正体を聞いただけなら「そ、そのくらい気にしませんよ!」と必死に虚勢を張るが、
実際に彼女の醜い正体を目撃してしまうと限界に達し「バケモノめ!」と手のひらを返す。
レイナが市民に襲われる状態になったら、先頭に立って彼女を追いかけ回す。

冒険の結末

どのように事態を収拾するかはPCの行動次第。シナリオが成功か失敗かはGMが判断すること。

暗黒司祭の陰謀が成功した場合は確実にシナリオ失敗だが、
レイナの処遇については意見が分かれると思うので口プロレスを楽しむべし。

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