タグ検索でかずさ196件見つかりました。

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ご褒美

- //  五位入賞という結果に終わったかずさの挑戦。他人から見れば十分に輝かしい成績だけれど、結局一番重要なのは当人の感受で。かずさは会場を出て以降、俯きがちに俺のあとをついてくるだけだった。  幼い頃から数々の大会で優秀な成績を残してきたかずさにとって、必死の努力が報われなかった今日がおそらく最初の屈辱を味わった日。かずさはどんな気持ちで、あのアナウンスを聞いていただろうか。  コンクール直後は、二年のブランクがあるとか本選に残れただけでも奇跡だとか、最初から無理だってわかってたとか、まだ口だけは…

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2月4日

が変わって初めての日曜日。いよいよ俺は、かずさの本当の本気に触れる。  コンクール、本選の日。俺は曜子さんの隣の席で、固唾を飲んでかずさの出番を待ちわびていた。 ――そう、今日は本選。かずさの人生を左右する肝心の予選は既に終わっていた。予選は平日開催だったが応援に行った方がいいかと俺が訊くと、かずさに来るなと突っぱねられた。会いたいと言ったり会いたくないと言ったり、最近のかずさはよくわからない。  ただし、指定した時間にケータイの留守電に何でもいいから一言残せと命令された。 ……本当によくわからな…

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アルバイト

、その三日間、帰宅後の業務の復習のせいでかずさを不機嫌にした責任は重かった。 「北原さん、今度はこっちお願いします」 「はいただいま!」  そんなわけで、現在俺はホールもキッチンもこなすマルチプレイヤーとして名を馳せていた。  その正体は時給950円のアルバイト。 …………  冬の真っ直中なのに厨房は暑い。手狭な厨房も、四人も入れば身動きがとれなくなって逆に効率が悪くなる。  その理由はきっと調理器具の配置や手順の徹底がなっていないせいだと思っているが、まだ新人で付属生の俺にそんな偉そうなこ…

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パトラッシュ

衆の視線を集めるに値する痛い光景が、俺とかずさと同じテーブルを占拠する友人三人に多大な迷惑をかけていた。 ……いや、俺だってその一人なんだけど、それは当事者が言うべきことじゃないよな? 「春希、……まあ冬馬さんもだけどさ、あんたたち最近気を抜き過ぎじゃない? いろんな意味で」  友人Bで唯一の女子である水沢依緒は言う。 「春希にも名前通りの季節が到来したことは喜ばしい限りなんだけどさ、こうもあからさまだと……」 「もう春を通り越して夏だよな、この”熱さ”は」  その左隣に座る友人Aの飯塚武也が…

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ゆっくり、少しずつ

、目線を冬馬に合わせた。 「好きだよ、かずさ」 「は、はる……ぁんっ、ん、んぅ……」  かずさの唇は、彼女の嗜好を反映してか、なんだかとても甘い香りがした。  柔らかくて、湿ってて、熱くて……俺の脳を溶かして、夢中で吸わせてしまう魔力を持ってて。  夢のような感触の唇を味わっていたいけれど、ずっとこの快感に浸っていたいけれど、もっと先まで進みたいけれど……俺はかずさの体をゆっくりと離した。 「…………ぁ」  かずさの瞳は物足りなさそうに潤んでいて、てらてらと塗れた唇と相まって、必死で抑えた俺…

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クリスマスイブパーティ

「はいはい、ギター君はここ座って。ほらかずさ、なに黙ってるのよ。あなた恋人なんでしょ? ちょっとは気を利かせなさい」 「………………本当にごめんな、北原」  謝るという行為をする冬馬を目撃したのはこれが二度目。本来なら非常に珍しい行動だが、近日ではそうでもなくなった。記念すべき一度目がこのパーティに招待するときだったのもポイントだ。 「なーによぅ。そんな邪険にしなくてもいいじゃない。せっかくのクリスマスパーティなんだから」 「せっかくのクリスマスパーティをぶち壊した本人に言われたくない」  目…

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のちょっと前

い) // ---- // 「やっほー、かずさ。元気してる?」 「……電話口で大声出すな。酔ってるだろ」 「そんなわけないじゃなーい。娘に酔っぱらって電話する母親なんて母親失格よ」 「そうだな。ものすごく説得力あるよ」 「相変わらずつれないわねぇ」 「それで急になに? こっちは明日から期末試験で構ってる余裕なんかないんだけど」 「嘘おっしゃい。あなたがピアノ以外の勉強をするはずないでしょう。大方、惰眠を貪ってるところを起こされて機嫌が悪いから早く切りたいってところかしらね」 「あたしもそっち…

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の少し前

んな、人生の節目となるべきこの日に、冬馬かずさは、とうとう期末試験全科目の合格点を取りつけた。 ……ちなみに俺は一週間前には余裕で取りつけていた。  五科目七回におよぶ追試の歴史も、今となってはいい思い出だ。  めでたくも卒業がほぼ決まったと言っても過言ではない記念日。祝勝会の会場である第二音楽室に移動した途端、浮かない顔をした冬馬が突如頭を下げた。  こいつが人に謝る姿……初めて見た。教師に使う、全然謝意の感じられない空謝罪をのぞいて。 「どう切り出そうか悩んでて、北原にずっと黙っていたことが…

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クリスマスイブ

一人。つまり俺の相手であり恋人である冬馬かずさ。女一人で住む家に男を一人招くのだから、期待するなという方が土台無理な話だ。少なくとも法的には勝訴できる状況であることは特筆するべきだろう。 ……いや、そんなことするつもりは毛頭ないけれど。  そんなわけで、俺は邪な欲を抱きつつ、放送禁止のあらゆる妄想を頭に描きつつ、期待に胸を膨らませながら、家内からの応答を待ちわびている――わけではなかった。  なぜなら…… 「いらっしゃーい! あなたがギター君ね?」 「……北原です」  迎えてくれたのは『冬馬さ…

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二人

E組で俺の隣の席でいつも寝ている――冬馬かずさだったから。 「お前……だったのか、俺のギターに合わせてくれてたのは」  なぜか冬馬はバツの悪い顔をした。ピアノを弾いてたこと、そんなに秘密にしたかったのか。まさか無断使用してたとか。ならちゃんと俺が責任を持って説教してやらないと。 「あたしが出てくるまでずっといるつもりだったのかよ。出待ち? それともストーカー?」 「んなっ!?」  そんな思惑を容赦ない突風が吹き飛ばす。突風のくせに俺の顔を熱く真っ赤に染め上げた。 「ち、違うって! 俺はただ、今…

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Concert route 1

ってまで雪菜を遠ざけたのだ。  もし冬馬かずさが日本に残っていたら、二人の心にここまでの傷跡は残らなかっただろう。ほんの少しの傷を追い、痛みを背負っても、三年の時間が癒してくれたはずだ。  けど彼女は日本を発つことを選択し、二人の前から姿を消した。残された二人は傷だらけになりながらも、相手を思うからこそ決して離れられず、茨に包まれたような日々を過ごす羽目になった。  けれどそれも今日で終わり。   「雪菜……」    聖夜に結ばれて二人は幸せな恋人同士になる。おとぎ話じゃないけれど、そうなるはずだった。 …

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/Concert%20... - 2014年04月16日更新

第五十話「許すということ」

ァイオリン、『同好会』よりピアニスト冬馬かずさ  ピアノ、『だれとく』より矢田美穂子  ドラム 、『だれとく』『同好会』兼任ドラマー、小木曽孝宏  以上7名、ありえない巡り合わせから生まれたステージだった。  かずさは自分の曲が、譜面の上のものでしかなかった自分の思いが形になることに歓喜していた。  雪菜、おまえは明日、堅苦しい結婚式で春希とお祝いしてもらえるんだろうが、わたしは今日春希とお祝いしてもらう。  今日は新しい『届かない恋』の日だ。古い伝説は上書きさせてもらう。  雪菜はこんなアツいステ…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e8%b8%... - 2014年04月07日更新

大晦日のコンサートに向かったら 第十八話

ったら 第十八話 1月8日  今日、かずさがウィーンへと戻って行く。 家を出る時間ぎりぎりになってもベッドで寝続けているかずさに代わり、春希がかずさの荷造りをしていた。 かずさを起こして少しぐらい手伝わせたいところだが、昨夜ベッドでの事を考えると、仕方が無いのかもしれないと諦める。 ――昨夜、伊吹町から帰ってきた春希とかずさは、三年ぶりに結ばれた。 三年前と違い、順番にシャワーを浴び、これから自分たちが何をしようとしているのか、今自分が愛しているのは誰なのか、そしてこの行為が高校の卒業式の日と…

https://seesaawiki.jp/white_album2_ss/d/%c2%e7%b3%... - 2014年01月20日更新

大晦日のコンサートに向かったら 第十四話

は場所の変更を申し出なかった。 自分はかずさと共に歩む、そして雪菜に全てを話す、その決意の表れ。そしてもう雪菜がかずさと自分の関係に影響を与えることはないことの証明に。 1月1日、春希とかずさは二人のこれからへの想いを伝え合った。 それから四日間、春希はかずさの買ってきたドイツ語の参考書を読みながらベッドの上で静かに暮らした。 かずさは悪戦苦闘しながらうどんを作ったり、薬の用意をしたり、恥ずかしがる春希をなだめながら体を拭いたりと、春希のために尽くした。 かずさの献身のおかげで春希の熱は完治し、…

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大晦日のコンサートに向かったら 第十三話

のコンサートに向かったら 第十三話  かずさと依緒がグッディーズから帰ってきた。 春希は二人の間に家を出る前の緊張感が無くなっていることに胸を撫で下ろすと同時に、どんな話をしていたのか気になった。 「これ、土産…」 かずさが口元を緩めながらグッディーズの袋をテーブルの上に置いた。 春希はかずさの嬉しそうな表情とバイトしていた経験からその中身がなめらかプリンだとすぐに分かった。 四人でプリンを食べる。プリンは六個入っていて、春希、武也、依緒が一つずつ、かずさは再び一人で三個食べようとしたが、依緒がさ…

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大晦日のコンサートに向かったら 第十二話

らいいのかと……」 「――そうだ」 かずさと依緒が出て行ったから30分、あれから武也は春希の話を聞いていたのだが、わざと的を外しているのかと思ってしまうような彼の考えに武也は大きなため息を吐いた。 「はぁ……春希って他の男と違う考え方なのな?」 「どういう…ことだ?」 「普通好きな女相手に嫌われること覚悟でやる行動ってさ。自分の本心でやりたい行動をやるもんなんだよ。好きな女の子がラブラブな彼氏がいるのに告白してみたりさ。 それなのに春希は、嫌われること覚悟で自分がしたくないことやるんだもんな。冬…

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大晦日のコンサートに向かったら 第十七話

し時計を止めるのは毎朝いつも春希だった。かずさがうるさがらないように、目覚ましが鳴り出した瞬間に起き、すぐに止める。 それなのに今日の春希はいつまでも目覚ましを止めようとせず、そしてかずさは布団の中に春希のぬくもりを感じることが出来なかった。 かずさは今日がいつもと違う朝などだと気づいた。ぱちっと目を開き、布団を放り出す。 けたたましく鳴り続ける目覚まし時計を叩くようにして止め、部屋を見渡す。 ――春希の姿がどこにもない。 ベッドを飛び出てキッチン、トイレ、お風呂場を探すが、春希はどこにも居なか…

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大晦日のコンサートに向かったら 第十六話

ンサートに向かったら 第十六話 『――かずさがウィーンに戻る日が決まったら教えてね、私も成田に見送りに行きたいんだ』 雪菜はそう言って、微笑みながら玄関のドアを開けていった。 春希はキッチンで先ほど使った食器の洗い物をしている。かずさはリビングでテレビを見ていた。かずさが自分からテレビを点けるのは、春希の家に来てから初めてだった。 三年間の溝を埋め、雪菜と親友に戻れたとしても、何か気を紛らわせるものが必要だった。 「――どうだ、日本のテレビは?」 洗い物を終えた春希が、かずさの隣に座った。 …

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大晦日のコンサートに向かったら 第十五話

しぶりです。 元旦に依緒から聞きました。かずさが帰ってきたこと。 春希君が元旦に熱を出して、かずさが看病していたこと。 春希君にメールをしようか、ずっと悩んでいました。 でも、かずさがいつ帰っちゃうか分からないから、 どうしてもかずさに会いたいから、 かずさと春希君が二人で居る時に、伝えたい事があるから。 クリスマスの事で春希君が私を許せないのは分かります。 でも1度だけ三人で会う時間を私に下さい。 場所も時間もいつでもいいです。お願いします。                          雪菜』 …

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