エネルギー的な優位を確保しても、敵機を撃墜するためには攻撃する必要があります。
しかし敵機は生き残ろうと動き続けるため、簡単に撃墜させてはくれません。
実戦ではあなたも敵に撃墜されないように動き続ける必要がありますが、
そのためには自機と敵機の相対的な状況の変化を利用する必要があります。
相対的旋回
実際に敵機を攻撃するためには敵機の未来位置に向かって進路を取る必要があります。
つまり旋回する敵機を攻撃する場合には、敵機の旋回のさらに内側を旋回する必要があるということですが、
実戦では旋回する敵機よりも自機の旋回力が優れていなければ攻撃を行うことが出来ないというわけではありません。
何故なら空戦における旋回とは相対的な関係性によって成り立っているからです。
図１ 相対的な旋回の例１
旋回力の異なる青と赤、図１の位置関係では青は赤を攻撃することは出来ません。
図２ 相対的な旋回の例２
図２の位置関係では図１と全く同じ旋回でも攻撃をすることが出来ます。
例えば図１のように、旋回率の高い敵機を旋回率の低い機体で追いかけるだけでは攻撃の機会は得られませんが、
図２のように位置関係の異なる旋回を行った場合には敵機を攻撃することが出来ます。
実戦において敵機を撃墜するためには、旋回における相対的な位置関係の変化を理解し、利用する必要があります。
相対的旋回は相対速度、交差角、距離の三つの要素で構成されています。
・相対速度
相対速度とは自機と敵機の速度差と交差角によって決まり、
相対速度が大きいほど急激な接近か離脱をしています。
・交差角
交差角とは自機と敵機の進路のずれを指します。
どちらかが接近しようとしている場合には交差角が大きいほど相対速度が増加し、
追跡のために必要な旋回率が高くなります。
角度が小さい場合には相対速度が減少し、追跡のために必要な旋回率が低くなります。
下図は左から交差角0度、90度、180度の状態。
・距離
距離とは敵機と自機の相対距離を指し、遠いほど追跡するために必要な旋回率が低くなり、
近ければ追跡のために必要な旋回率が高くなります。
空戦とは格闘戦でも一撃離脱でも、相手が旋回していても直線飛行していても
この三つの要素とエネルギーによって成り立っているため、これらへの理解は空戦において極めて重要です。
例えば図3のように敵機を追いかけて旋回する場合、敵機に接近するほど交差角が大きくなるため、
追跡するために必要な旋回力が増大、これは最接近点で最大となり、
自機の旋回力を上回った時点で敵機との距離が離脱に転じます。
この原理を防御的に応用した機動がシザーズやバレルロールと言った空戦機動です.
図4 シザーズ機動
�＼弔�赤に対して攻撃を行うために追跡
�∪弔旅況盖＿�
�Ｄ表召里燭瓩防�要な旋回半径を上回り、赤と青が離れる
�の承，�最接近して再び交差
�ズ討嗄イ譴�
実戦ではこの変化を考慮し、攻撃する場合には敵機に最も追従しやすく、
攻撃される場合には敵機が最も追従しにくい位置関係を得る必要があります。
・接近
接近は最も基本的な相対的旋回です。
例えば攻撃を行うためには接近し、射撃する必要がありますが、これは交差角を変化させ、
相対速度が増大し、距離が詰まるという基本的な相対的旋回の流れです。
しかしいち早く接近しようと過大な偏差角を取った場合、射撃時間が極端に短くなる。
交差後、敵機の進路から大きく逸脱してしまい、再攻撃に時間が掛かる。
最悪の場合オーバーシュートしてしまい、撃墜される等の危険性があります。
このような問題を回避し、敵機を追従しやすい位置関係を得るためには三つの追跡方法を使い分ける必要があります。
敵機の前方に対して偏差をとる追跡方法です。
最大の交差角によって相対速度が最大になり、最も短時間で接近出来ますが、
自機に求められる旋回率は最高となるため、近距離や交差角が大きい敵機に対しては
オーバーシュートの危険性があります。
遠距離の敵機に対して素早く接近する場合や、機銃によって攻撃を行う場合に用いられます。
図6 リードパーシュートによる過度な接近
接近段階で偏差を取り過ぎているせいで優位性を失ってしまっている
敵機の後方を目標にして追跡する方法です。
最小の交差角によって相対速度が最低となり、自機に求められる旋回率は最小となりますが、
接近には最も時間がかかってしまうため、
遠距離の敵機や速度の速い敵機に対しては攻撃機会を失ってしまう危険性があります。
敵機との過大な相対速度や、交差角等によってオーバーシュートの危険性がある場合に、
リードパーシュートによって攻撃体勢に入る前のクッションとして距離の調整に用いられます。
図7 ラグパーシュートによる距離の調整
敵機自体を目標として追跡する方法で、他二つの中間に当たります。
攻撃の立場から解説してきましたが追跡方法への理解は防御にも役立ちます。
例えば攻撃を行うためにはリードパーシュートの形にする必要がありますが、この形は高い旋回力を求められる欠点があります。
そこで防御側はその欠点を利用し、敵機の旋回の内側に旋回することで攻撃を難しくさせることが出来ます。
しかし逆に相手の旋回の外側に旋回した場合、自らリードパーシュートを成立させてしまうため不利になってしまいます。
また、追跡方法は空戦機動と併用することで真価を発揮します。
例えば「機銃の射線を確保するため、リードパーシュートに必要な旋回率をハイヨーヨーによって確保する」や
「高速で近距離を通り過ぎる敵機を追撃するため、ローヨーヨーで加速しながらラグパーシュートで後方につく」などです。
空戦において生き残るためには様々な要素を複合して利用するための柔軟な思考が必要となります。
回避機動
攻撃機動
しかし敵機は生き残ろうと動き続けるため、簡単に撃墜させてはくれません。
実戦ではあなたも敵に撃墜されないように動き続ける必要がありますが、
そのためには自機と敵機の相対的な状況の変化を利用する必要があります。
相対的旋回
実際に敵機を攻撃するためには敵機の未来位置に向かって進路を取る必要があります。
つまり旋回する敵機を攻撃する場合には、敵機の旋回のさらに内側を旋回する必要があるということですが、
実戦では旋回する敵機よりも自機の旋回力が優れていなければ攻撃を行うことが出来ないというわけではありません。
何故なら空戦における旋回とは相対的な関係性によって成り立っているからです。
図１ 相対的な旋回の例１
旋回力の異なる青と赤、図１の位置関係では青は赤を攻撃することは出来ません。
図２ 相対的な旋回の例２
図２の位置関係では図１と全く同じ旋回でも攻撃をすることが出来ます。
例えば図１のように、旋回率の高い敵機を旋回率の低い機体で追いかけるだけでは攻撃の機会は得られませんが、
図２のように位置関係の異なる旋回を行った場合には敵機を攻撃することが出来ます。
実戦において敵機を撃墜するためには、旋回における相対的な位置関係の変化を理解し、利用する必要があります。
相対的旋回は相対速度、交差角、距離の三つの要素で構成されています。
・相対速度
相対速度とは自機と敵機の速度差と交差角によって決まり、
相対速度が大きいほど急激な接近か離脱をしています。
・交差角
交差角とは自機と敵機の進路のずれを指します。
どちらかが接近しようとしている場合には交差角が大きいほど相対速度が増加し、
追跡のために必要な旋回率が高くなります。
角度が小さい場合には相対速度が減少し、追跡のために必要な旋回率が低くなります。
下図は左から交差角0度、90度、180度の状態。
・距離
距離とは敵機と自機の相対距離を指し、遠いほど追跡するために必要な旋回率が低くなり、
近ければ追跡のために必要な旋回率が高くなります。
空戦とは格闘戦でも一撃離脱でも、相手が旋回していても直線飛行していても
この三つの要素とエネルギーによって成り立っているため、これらへの理解は空戦において極めて重要です。
例えば図3のように敵機を追いかけて旋回する場合、敵機に接近するほど交差角が大きくなるため、
追跡するために必要な旋回力が増大、これは最接近点で最大となり、
自機の旋回力を上回った時点で敵機との距離が離脱に転じます。
この原理を防御的に応用した機動がシザーズやバレルロールと言った空戦機動です.
図4 シザーズ機動
�＼弔�赤に対して攻撃を行うために追跡
�∪弔旅況盖＿�
�Ｄ表召里燭瓩防�要な旋回半径を上回り、赤と青が離れる
�の承，�最接近して再び交差
�ズ討嗄イ譴�
実戦ではこの変化を考慮し、攻撃する場合には敵機に最も追従しやすく、
攻撃される場合には敵機が最も追従しにくい位置関係を得る必要があります。
・接近
接近は最も基本的な相対的旋回です。
例えば攻撃を行うためには接近し、射撃する必要がありますが、これは交差角を変化させ、
相対速度が増大し、距離が詰まるという基本的な相対的旋回の流れです。
しかしいち早く接近しようと過大な偏差角を取った場合、射撃時間が極端に短くなる。
交差後、敵機の進路から大きく逸脱してしまい、再攻撃に時間が掛かる。
最悪の場合オーバーシュートしてしまい、撃墜される等の危険性があります。
このような問題を回避し、敵機を追従しやすい位置関係を得るためには三つの追跡方法を使い分ける必要があります。
- リードパーシュート
敵機の前方に対して偏差をとる追跡方法です。
最大の交差角によって相対速度が最大になり、最も短時間で接近出来ますが、
自機に求められる旋回率は最高となるため、近距離や交差角が大きい敵機に対しては
オーバーシュートの危険性があります。
遠距離の敵機に対して素早く接近する場合や、機銃によって攻撃を行う場合に用いられます。
図6 リードパーシュートによる過度な接近
接近段階で偏差を取り過ぎているせいで優位性を失ってしまっている
- ラグパーシュート
敵機の後方を目標にして追跡する方法です。
最小の交差角によって相対速度が最低となり、自機に求められる旋回率は最小となりますが、
接近には最も時間がかかってしまうため、
遠距離の敵機や速度の速い敵機に対しては攻撃機会を失ってしまう危険性があります。
敵機との過大な相対速度や、交差角等によってオーバーシュートの危険性がある場合に、
リードパーシュートによって攻撃体勢に入る前のクッションとして距離の調整に用いられます。
図7 ラグパーシュートによる距離の調整
- ピュアパーシュート
敵機自体を目標として追跡する方法で、他二つの中間に当たります。
攻撃の立場から解説してきましたが追跡方法への理解は防御にも役立ちます。
例えば攻撃を行うためにはリードパーシュートの形にする必要がありますが、この形は高い旋回力を求められる欠点があります。
そこで防御側はその欠点を利用し、敵機の旋回の内側に旋回することで攻撃を難しくさせることが出来ます。
しかし逆に相手の旋回の外側に旋回した場合、自らリードパーシュートを成立させてしまうため不利になってしまいます。
また、追跡方法は空戦機動と併用することで真価を発揮します。
例えば「機銃の射線を確保するため、リードパーシュートに必要な旋回率をハイヨーヨーによって確保する」や
「高速で近距離を通り過ぎる敵機を追撃するため、ローヨーヨーで加速しながらラグパーシュートで後方につく」などです。
空戦において生き残るためには様々な要素を複合して利用するための柔軟な思考が必要となります。
回避機動
背後からの一撃離脱の回避方法
後ろ上空から一撃離脱を仕掛けてくる敵機に対しては相手の射線の内側、つまり相手の腹に潜り込むように斜めした方向に旋回すると回避がしやすい。しかし何度も反復攻撃をされるとエネルギーが無くなり回避も出来なくなるので一撃離脱をされない状況、相手の頭を押さえることが大事。
正面からの一撃離脱の回避方法
正面から一撃離脱を仕掛けてくる敵機に対してはバレルロールが有効。しかしエネルギーが無い状態でバレルロールを行うのは自殺行為なので、エネルギーがない場合は当たらない事を祈りつつブレイクなどで回避しよう。
後ろ上空から一撃離脱を仕掛けてくる敵機に対しては相手の射線の内側、つまり相手の腹に潜り込むように斜めした方向に旋回すると回避がしやすい。しかし何度も反復攻撃をされるとエネルギーが無くなり回避も出来なくなるので一撃離脱をされない状況、相手の頭を押さえることが大事。
正面からの一撃離脱の回避方法
正面から一撃離脱を仕掛けてくる敵機に対してはバレルロールが有効。しかしエネルギーが無い状態でバレルロールを行うのは自殺行為なので、エネルギーがない場合は当たらない事を祈りつつブレイクなどで回避しよう。
攻撃機動
ハイ·ヨーヨー
斜め宙返りの攻撃応用。目標敵機の速度が自機より遅いときに、斜め上方旋回で速度を抑えながら敵機の背後に付き、オーバーシュートを防ぐ。速度を高度に変換することで、（上から見て）小さい半径で旋回し、降下によって速度を取り戻すことが出来る。
ロー·ヨーヨー
目標敵機の速度が速いときの追撃法。機首を下げて降下加速しながら目標の後下方に旋回して、上昇し敵機を捉える。加速には限度があるため、一度の降下加速で腹の下にもぐりこめないほど引き離されている場合には、あまり役に立たない。またハイヨーヨーと違い、水平旋回より大回りになることもある。
燕返し
前方からヘッドオン等を仕掛けてくる敵機に対するカウンターマニューバ。日本機等の高機動な機体が得意とする。正面から攻撃を仕掛けてくる敵機に対してこちらもヘッドオンを仕掛けると見せかけ、タイミングを見計らい上か下方向に旋回し、敵機の攻撃を回避した所で相手の後ろに付ければ成功。しかしこの技は上級技でタイミングを間違えるとただの的になってしまう。コツは相手をガッツリ食いつかせる事。
斜め宙返りの攻撃応用。目標敵機の速度が自機より遅いときに、斜め上方旋回で速度を抑えながら敵機の背後に付き、オーバーシュートを防ぐ。速度を高度に変換することで、（上から見て）小さい半径で旋回し、降下によって速度を取り戻すことが出来る。
ロー·ヨーヨー
目標敵機の速度が速いときの追撃法。機首を下げて降下加速しながら目標の後下方に旋回して、上昇し敵機を捉える。加速には限度があるため、一度の降下加速で腹の下にもぐりこめないほど引き離されている場合には、あまり役に立たない。またハイヨーヨーと違い、水平旋回より大回りになることもある。
燕返し
前方からヘッドオン等を仕掛けてくる敵機に対するカウンターマニューバ。日本機等の高機動な機体が得意とする。正面から攻撃を仕掛けてくる敵機に対してこちらもヘッドオンを仕掛けると見せかけ、タイミングを見計らい上か下方向に旋回し、敵機の攻撃を回避した所で相手の後ろに付ければ成功。しかしこの技は上級技でタイミングを間違えるとただの的になってしまう。コツは相手をガッツリ食いつかせる事。
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