最終更新: muranodoor 2020年10月12日(月) 00:19:11履歴
MTGのカジュアルルールのひとつであるタワーマジックには、公式ルールも何もありません。しかし手持ちのカードだけで追加の出費なく楽しむことができ、いろいろなカードのルールを遊びながら覚える目的にちょうど適しているのでご紹介したいと思います。
- 手持ちの適当なカードの束を持ち寄ってライブラリーとする。数百枚あると良いです。このとき、原則土地カードは入れません*1。
- 手札のカードを、その色のマナが出せる土地としても戦場に出せる。
- 単色のカードを土地として出す場合、アンタップ状態で戦場に出し、その色に対応する基本土地タイプを持つ、基本土地として扱う。つまり、《稲妻の一撃》を土地として出したときの挙動は《山》と全く同じ。同様に《ルーン爪の熊》は《森》と同じです。
- 多色のカードを土地として出す場合、タップ状態で戦場に出し、タップしてその色マナのいずれかを出せる、基本土地タイプを持たない、基本でない土地として扱う。つまり、《コラガンの命令》を土地として出したときの挙動は《燃え殻の痩せ地》(古くはアーボーグの火山)と同じ。また3色のカードを入れるかは好み次第ですが、《包囲サイ》を土地として出すと《砂草原の城塞》と全く同じ扱いで良いと思います。
- 無色のカードを土地として出す場合、アンタップ状態で戦場に出し、タップして無色マナを出せる、基本土地タイプを持たない、基本でない土地として扱う。特にアーティファクトを土地として出すと、アーティファクト土地として扱う。
- 土地として出したカードが戦場以外に移動したら、元のカードの扱いに戻る。
- マリガンは原則しない。
- ライブラリーを各プレイヤーが別々に持つのではなく、中央に一つだけ置き、全プレイヤーが共有する。こうすると、次のように従来と違う対戦の駆け引きが発生して、これはこれで楽しめます。
- 自分のターンに占術でカードをライブラリーの一番上に置くと、それをめくるのは対戦相手になるので、相手の手札を知って行動できたり、わざと弱いカードを引かせたりなどの駆け引きが発生して面白くなります。
- 対戦相手のターンに《アゾリウスの魔除け》や《捕海》で敵クリーチャーをライブラリーの一番上に置くと、それをめくるのは自分になるので、強いクリーチャーを「乗っ取る」ことができます。
- 他に、ライブラリーは全プレイヤーが共有しますが複数の山に分けておき、どの山からでも引けるというのも有りだと思います。
- 墓地も全プレイヤーが共有する。こうすると、フラッシュバックや魔巧を持つ呪文で駆け引きが発生して面白いです。反面、ルール上の扱いに注意が必要なカードも増えるため、採用可否は好み次第かと思います。
- 多色のカードを土地として出す場合に「アンタップ状態で出す」「平地・島などの基本土地タイプを持つ」「既存の他のレア2色土地と同じ挙動をする」などの案もあります。例えば《コラガンの命令》を《燃え殻の痩せ地》ではなく《血の墓所》、《硫黄泉》、《竜髑髏の山頂》、《黒割れの崖》、《燻る湿地》などの扱いにすることもできます。
- 他に、多色のカードを土地として出す場合、「アンタップ状態で出す代わりに、1マナ払う必要がある」(3色のカードなら2マナ)というのも有りだと思います。
- アーティファクトを土地として出しても単に普通の土地として扱い、アーティファクト土地にはしない。
手持ちのカードの束を適当に使っても楽しめるタワーマジックですが、強すぎる、弱すぎる(意味がない)、処理が混乱するなどの理由で除外した方がよいカードもあります。
- 単色で色シンボルが2つ(ダブルシンボル)以上の、あまり強くないカード。ダブルシンボルのカードを使うには他のカードを2枚土地として「犠牲」にする必要があるため、性能がそれに見合わない物はほぼ毎回土地にされてしまいます。
- ライブラリーを削る、サーチする、シャッフルするカード。ライブラリーアウトで勝つことは無理ですし、サーチやシャッフルはカードが多いと大変です。
- 戦場以外の場所にある土地を参照するカード。《サテュロスの道探し》、《溶鉄の渦》、《根囲い》、《田舎の破壊者》、《欄干のスパイ》など。能力が無意味だったり、扱いが混乱したり、1枚でゲームが終わってしまったりします。イーブンタイドの回顧やイクサランの探検を持つカードも同様です。
- 飛行、威迫などの回避能力を持ち、かつパワーが5以上のクリーチャー。相手が対処できなければ1枚でゲームが終わってしまいます。パワー4も結構危ない。パワー4飛行も《セラの天使》、《センギアの吸血鬼》など単色ダブルシンボルの物に絞り、《大気の召使い》や《ダスクマントルの予見者》は強すぎて不採用という境界線でしょうか。
- 《猛火》、《不敬の命令》などの本体X火力。毎ターン土地が置けるタワーマジックではX火力が強力になりやすく、これで勝負が決まると興ざめです。
- その他、「ライブラリーに土地が含まれていない」「毎ターン必ず土地が置ける」という特性によって驚異的に強化されるカード。上陸持ちや複数ドロー、ライブラリーの上からN枚めくって○○する、などのカードは強力になりやすいので要注意です。二つ例を挙げますと《冒険者の装具》や《精神叫び》は、タワーマジックでは超危険カードに変貌します。
- 土地を手札に戻せるカード。《コーの空漁師》、《風のゼンディコン》、《上天の貿易風》、《解放の天使》などが有名ですが、最近のカードだと《食い荒らす炎》や《悲劇的教訓》が該当します。またラヴニカブロックの《ボロスの駐屯地》などのバウンスランドや、アラーラ再誕の「境界石」サイクルもお勧めです。
- 「〜の魔除け」「〜の命令」サイクルなどのモードを持つ呪文
- 代替コストや追加コスト(変異、想起、キッカー、双呪、融合など)を持つ呪文
- 上でご紹介した占術や、パーマネントをライブラリーの一番上に置く効果を持つ呪文
手持ちのカードの束を適当に使っても楽しめるタワーマジックですが(くどい)、何でも投入というよりは、最低限以下の事項だけは留意すると一層楽しいタワーになると思います。
- 各色のカードの枚数は大体でもいいので揃える。
- 全カードの内60%前後をクリーチャーにする。
- 飛行や威迫などの回避能力持ちも一定数入れる。全部陸上戦力ばかりだとにらみ合いで膠着してしまいます。
- 低マナクリーチャーは終盤に引いても役に立つものを選ぶ。例えば接死、賛美、強請などを持つクリーチャーは、終盤に本人は棒立ちでも仕事します。
- エンチャントやアーティファクト破壊カードも一定数入れる。1枚も入っていないことが事前に分かっているのといないでは緊張感が違います。
クリーチャーとソーサリー単体除去が大半を占めるようなタワーだと、どうなるでしょう。プレイヤーは大抵、「殴ってさらにクリーチャーを並べる」か「除去して殴る」しかやることがないため、せっかく色々なカードをタワーに入れても「やることは毎ターン同じ」新鮮味のない展開が多くなります。さらに1対1交換を繰り返すことは結局、先攻有利で進むゲームが多くなってしまいます。
これを防ぐには、「逆転要素を入れる」「1ターン2アクションを取れる機会を増やす」のが有効です。例えば次のようなカードが有効です。
さらに「1ターン2アクション」をしやすくするには次のような配慮も有効です。
これを防ぐには、「逆転要素を入れる」「1ターン2アクションを取れる機会を増やす」のが有効です。例えば次のようなカードが有効です。
- 瞬速持ち
- 《神の怒り》、《紅蓮地獄》などの全体除去
- 《弧状の稲妻》、《発火》、《血のやりとり》などの複数除去
- 《霜のオオヤマネコ》、《排斥する魔道士》、《貪欲なチュパカブラ》など戦場に出てすぐ一仕事するクリーチャー
さらに「1ターン2アクション」をしやすくするには次のような配慮も有効です。
- 1マナのコンバットトリックや除去を多めに入れる。《巨大化》、《ショック》、《送還》、《超常的耐久力》、《火をつける怒り》などが最適。逆に3マナ以上のコンバットトリックはほぼ出番がありません。
- マナカーブは3マナが頂点なのはいいとして、2マナのクリーチャーも十分な数を入れる。
- 多色カードを入れすぎない。多色カードを例えば1枚土地として使うと、大抵の場合土地4枚で5色出るようになるのでプレイヤーは土地4枚で頑張ろうとしますが、4マナでは中々2アクションは取れません。タワーマジックでは、多色カードは大抵の場合、土地として出した方が本来のカード性能よりも強いです。土地で消費するのを迷う位の強いカードや《化膿》や《屈辱》のような確定単体除去に絞ると面白いと思います。
タワーマジックの親戚にキューブレットというものがあるようです。これは、タワーマジックとほぼ同一のルールですけれども、1点だけ、手札を土地として戦場に出すとき、裏向きに出し、それは全ての基本土地タイプを持つ(=タップして好きな色マナが出せる)基本でない土地として扱う点が特徴です。つまり《虹色の前兆》が常に出ている状態でゲームをします。
このルールだと色拘束という概念が全くないので、《絡み根の霊》、《銀刃の聖騎士》、《大歓楽の幻霊》、《ボロスの反攻者》などのダブルシンボル以上の構築戦で活躍した強力カードも普通に使えます。したがって、シールド戦よりもキューブドラフトに近い感覚になるために、この名前がついたのだと思います。
また、キューブレットでは各色のカード枚数のバランスを考慮する必要もないため、自分の好きなカードだけを厳選して入れることができます。
※ちなみに強力カード同士の叩き合いになるキューブレットでは、どうしても先攻が有利になります。これを修正するため、デジタルゲームのHearthstoneと同じように「後攻は宝物トークンを1個持って始める」つまり一度だけマナ加速ができるルールにすると丁度拮抗して一層面白いと思います。
このルールだと色拘束という概念が全くないので、《絡み根の霊》、《銀刃の聖騎士》、《大歓楽の幻霊》、《ボロスの反攻者》などのダブルシンボル以上の構築戦で活躍した強力カードも普通に使えます。したがって、シールド戦よりもキューブドラフトに近い感覚になるために、この名前がついたのだと思います。
また、キューブレットでは各色のカード枚数のバランスを考慮する必要もないため、自分の好きなカードだけを厳選して入れることができます。
※ちなみに強力カード同士の叩き合いになるキューブレットでは、どうしても先攻が有利になります。これを修正するため、デジタルゲームのHearthstoneと同じように「後攻は宝物トークンを1個持って始める」つまり一度だけマナ加速ができるルールにすると丁度拮抗して一層面白いと思います。
タワーマジックと類似のカジュアルフォーマットにファットスタック(Fat Stack)やBattle Box(The Danger Room)という物があり、日本で言うタワーマジックやキューブレットのことも欧米圏ではしばしばFat Stackと呼ばれるようです。タワーマジックと異なる方のそれらはこちらのページでご紹介しています。面白さに一長一短あるので、好みで遊び方を選ぶと良いと思います。
コメントをかく