『クチコミュニティ・マーケティング』
| 書名 | クチコミュニティ・マーケティング |
| 著者 | 日野佳恵子 |
| 発行日 | 2002/09/01 |
| 発行所 | 朝日新聞社 |
サマリー
商品の評判を作るのは、マスコミでも企業でもない。女性である。おしゃべり好きは女性の本能であり、放っておいてもクチコミは生まれる。意図的に、しかも、プラスイメージでクチコミを誘発できれば大きな力になるのは間違いない。女性を味方に付ければ会社は伸びる。その方法を紹介するのが本書。
はじめに
クチコミュニティ・マーケティングとは：偶発的に起こると考えられていたクチコミを、コミュニティという「場」の中で意図的に起こしていこうというもの。コミュニティ作りは難しいが、工夫、知恵、アイディアを仕掛ければこのマーケティング方法は成功する。クチコミュニティ・マーケディングは、企業にとって、社会にとって、生活者にとって、よりよい社会構築に向けた相互発展を促すシステム
第1章 クチコミュニティ・マーケティングって何？
- もうクチコミでしかモノは売れない！？
- クチコミと宣伝広告を信用する割合＝83%がクチコミ、17%が広告
- 日本全体を覆う不安と不信
人は広告では心を動かされなくなった。なぜなら、それは宣伝だから。宣伝には良いことしか書いていないから、半信半疑になる。大手ブランドですら不祥事を連発。一体誰を信じればいいのか。そこで、クチコミである。「自分が知っている人の体験談」が唯一の品質保証。経験者が語る真実味こそ信用できる。クチコミ社会を加速させたのがインターネットである。個人総メディア化時代。クチコミを意識しなければモノは売れない。
- クチコミュニティ･マーケティングの秘密
企業の発展は客に支援されてこそ。支援されるとはファンになってもらうこと。ファンになってもらえれば、自然に客が客を呼んでくる。お客様と相互にかかわり、コミュニティを築き、継続してつながることでお客様にクチコミで広げていただける会社体質をつくることが大事。
- 三つのプレゼントはこうして生まれる
- 右肩上がりの成長線…クチコミをブームや一過性のものと捕らえずに事業継続のために行うと位置づけるべし
- 小コストで効果大…大勢の人をコミュニティ化するまでは費用と労力がかかるが、この準備期間にいかに質の良いクチコミュニティをつくることが大切。一定の規模に達したとき、宣伝をしなくても仕事が入ってくるようになる。
- 無形財産の蓄積…支援者や共感者との出会い、内部の活性化、外需情報も自然に収集できる
- 絶大な威力を誇る主婦(女性）のクチコミ
購買決定権の8割を女性が握っている。給与が銀行振り込みであり、伝統的に買い物は女性の仕事だったから。家庭内の決定権を握るのは主婦であり、主婦を制すれば世帯全体を制することが出来る
- モノづくりの発想も進化する
買う人の立場になるだけでは足りない。買う人自身を巻き込んだ商品作りがなくては、買い手の気持ちはつかめない時代。クチコミュニティ・マーケティングは、消費者・生活者と共に成長していこうとするマーケティング手法
第2章 論より証拠-私の会社をクチコミで伸ばす！
- クチコミ会社誕生物語
1990年、著者日野佳恵子とさとうみどり、�襯蓮次Ε好函璽螢Ａ篭�
現在の事業内容は全国の主婦を登録制度で集め、モニター、マーケティング、広告制作、HP製作に協力、企業の販売促進のコンサルティングなど
- 主婦が会社を起こしちゃった！
二人で始めた会社なのでまずは仲間探し。近所のポストにチラシを配布＋新聞に紹介文掲載、300人の女性が共感して集まった。※共感して集まったということは、ポイントカード会員などとは室が異なる。口コミュニティ･マーケティングの成功には、企業に共感してくれる人をどれだけ集めるかが重要
- シーダー、最初の種を撒く人の称号
シーダーは刺激を受けると元気に行動を起こし、周囲にタネを蒔く力を持つ人々。クチコミュニティ＝シーダー同士が横につながった状態で、仲間意識を共有する関係。マーケティング用語で言うオピニオンリーダーに相当？要するに共感者の集合であることが大切
- 仲間がやってきた
クチコミとは人が自らの意思で伝達するか否かを決める行為。人の自由意志を基本にした情報伝達手法。クチコミを得意とする人をシーダーにすることもポイント
- 女性のクチコミは男性の3倍以上の伝達力
女性は地域に密着したネットワークを持つため、ビジネス社会で生きている男性よりも多面的な広がり方を持っている。長電話や井戸端会議で伝達力はすさまじい。男性は自分ひとりの場所を持つ傾向がある
- アッという間に1000人！人が人を呼ぶ法則
人は増えたが仕事がない？ 離れていくのを防ぐため、接触回数を増やした。会ったり情報交換したり。同じ思いを抱いている女性は多い。彼女たちを横につなげる場をつくろうとした。心理学で「単純接触の原理」があるあえば会うほど相手に好感を抱くというもの(初対面の印象が悪いと逆になる）シーダーを増やすには、アクティブなシーダーの動きを公開→会社のイメージを出すこと
- 夢を絵にする、夢を公開する
- 営業マン不在でどうやって売るの？
- 1本立てる！お客様がやってくる！
ライバル企業や自社を見つめて、はっきりと自社にしかないキーワード＝他社にはない強みを探すこと。相手の判断に役立つ、こちらの得意分野を表明、他社にはない印象。1本立てれば情報は放っておいても集まる。「集める」から｢集まる」へ。
- 一石三鳥！仕事は自家発電する…クチマケの成功には、自分たちの特徴を明確に対外発信するために自家発電の企画を打ち出すこと
- 自分に代わるツールに手を抜かない
ツールとは、人目に触れるもの、メッセージを伝えることの出来るもの。名刺・会社案内・チラシ・パンフレット・ホームページ・ポップ・看板など。人間の五感の中で第一印象を決めるのは、視覚55%、聴覚38%、そのほか7% これはクチコミを誘発するときにも当てはまる。「見る」「聞く」で93%を占める
- 会社案内を優秀な営業マンにする
立てた1本が相手に伝わるのが基本、自分がもらったら読みたいかということを考える。本来のお客様とは自分自身だ。名刺や会社案内など人に渡っていくツールは「クチコミ拡大の道具」であるという意識をもって製作するべし。
- デジタル時代の手書きの効力
- 手書きの手紙の開封率は100% クチコミとは「人の心を動かすこと」から始まる
- 発進なければ受信なし、情報発信上手になる！
- 私がであったキーパーソン
- マスコミ取材を呼び込む方法
- シーダーが動けばクチコミの種が飛ぶ
HER STORYは商品もビジネスモデルも無いのに、ネットワークという無形なまま知名度だけが上がっていった。クチコミはシーダーを飛ばすことで催促できる。（シーダーは旅行好きが多い）
- 発信源が動く
「売りたい」というモノありきの発想ではなく、「伝えたい」という気持ちありきの発想 営業マンではなく伝道師であることが感動を生む
- ネットコミの威力
インターネットとクチコミの関係。伝達威力、量、スピード、コスト、従来のアナログ作業の比ではない。掲示板での発言、メーリングリスト、メールマガジンの影響力は大きい。インターネットは、個と個をつなぐだけでなく、個と多数をつなぐ仕組みをもたらした。訪れる人を制限しない公開の場で、自分の意見を述べるケースが多い。簡単に大勢をつなげることができる。
｢｢あつまれ！！ご意見ネット>http://www.herstory.co.jp/goiken/haji/index.html｣｣
- クチコミと在宅ワーク…クチコミを広げるには、少しでも多くの人に接するほうが良い。雇用者に制限がある場合は在宅ワークを活用すべし。
- 通販に学ぶ顧客とのダイレクトなコミュニケーション…こちらの都合のいいときに、売りたいものだけ売り込むのではお客さまに本当のファンになってはもらえない。お客様と頻繁にかかわりを持ち、悩みや不満を解決するカウンセラーとなってこそ注文率は上がる。買い物とは買ったら終わりなのではなく、買ったときが出会いであり、そこからが始まり。
- クチコミが起こる要因
- クチコミ企画大失敗の巻き
- クチコミフレーズの弱さ…もらって損はないがどうしても行きたいという動機づけには弱い場合
- 適切なコミュニティに伝える…一時的に集客できたとしても店のファンになるお客様ばかりだとは限らない。シーダーは、店そのものを支援してくれる人たちでなければならない。共通の興味を持った客を長くひきつけ、シーダーが発信源となって友人、知人をつれてくるようなコミュニティでなければクチコミはしないほうがいい。成功しても単発で終わる。
- シーダーへの情報伝達方法…スタート時にはサクラを混ぜる勢いで。無作為に配布するよりは、ほしいと思ってくれる人に的確に渡したい。よかったら友達に渡してねというツールもあればさらに広がりやすい。「情報伝達(取得)→クチコミ→ツール」という流れは、クチコミから購買に結びつける上で効果的。
- クチコミュニティ化するための動機…共通の価値観を持つ人が集まってくる仕組みを作ること。ビジネスとして儲かるか儲からないかの前に、どんな店にしたいのか、なぜそうするのかという、オーナーのポリシーが必要。ニーズや消費者動向を見る前に「自分たちはどうあるべきか」を決めて発信することでお客様側の選択を容易にすることから始まる。クチコミュニティに参加した人の満足度がクチコミを起こすといえる。ビジョンよりミッションが優先される。
- クチコミの成果
- クチコミ企画大失敗の巻き
- 女性の行動特性を知る…消費の8割は女性が決定しているが、開発の現場では男性が決定権を持っている。男性の使用と女性の思考について抑える必要がある。
- 結論型とプロセス型
男と女は脳性差を持つ。女性は左右両方の脳を使うが、男性は大抵左脳を中心に使う。左脳は言語・計算といった論理を、右脳は情緒や感覚などを司る。男性は右脳の発達が弱いため現実世界がファジーであろうとも論理で解こうとする。女性は男性より右脳と左脳をつなぐ脳梁がうまれつき大きい。脳梁には直感力を司る部分がある。
男性は「結論型」女性は「プロセス型」で会話をする。女性の会話に結論は無く、経緯を話しているにすぎない。「っぽい」「感じ」といった女性言葉を理解し、プロセス思考を受け入れることが重要
- クチコミは助け合い運動
「女性は子宮でものを考える」というがあながち間違ってはいない。女性特有の母性があるとかんがえられるから。母性とは種族保存の本能であり家族を守るという本能である。男性の種族保存は戦いであり、相手を減らして生き残るという思考。女性は産み増やして生き残るという思考。互いの本能は逆をむいている。
企業が女性を味方につけるためには悪いイメージやうわさに対して気を使うべき。消費者の評判は力強い支援になることもあれば想像以上のダメージにもなる。
売れなきゃ意味がない。この思考こそが企業病。熱烈なプロモーションで反響があったといってもマイナスイメージを持たれてしまっては意味がない。おしゃべりとは本来人と人との情報交換。女性たちはおしゃべりを通じて自分にとっての「善悪」を直感的に判断しているのだ。身を守る手段でもある。クチコミとは女性にとっての助け合い運動だといえよう。
- 女性が集まるキーワード…「学・遊・働・交」
- 学…資格取得に熱心な女性が多い。意識の高いシーダー的女性が集まりやすくなる。
- 遊…日常レベルのお得感、非日常レベルで自分にごほうびを楽しむのが女性。
- 働…働くことで社会とつながり、今までにない経験を求めている
- 交…全く新しい出会いをもとめている人が多い
＜クチコミュニティ・マーケティングのキーワードまとめ＞
１
- 共感者を「シーダー」と呼ぶ
- 自分たちの考えを発信することで共感者は集まる
- マスコミによる紹介がクチコミュニティづくりを後押しする
- ☆クチコミュニティ・マーケティングの成功の鍵は、共感者であるシーダーをできるだけ多く集めたクチコミュニティマーケティングを持つことにある
- アクティブで、何か面白そう、という好奇心旺盛なシーダーを集める
- クチコミを得意とするシーダーを集める
- 男性よりは女性のほうがクチコミは得意
- ☆クチコミュニティ･マーケティングに適しているのは、アクティブ･好奇心旺盛･おしゃべり好きな女性たち
- シーダーの活性化は、シーダーの共通項をつかむことに始まる
- シーダーの活性化は、シーダー同士が横につながる機会の提供にある
- シーダーの活性化は、元気なシーダーの姿を公開することにある
- ☆クチコミュニティ･マーケティングでシーダーを早く確実に増やすには、すでにシーダーとして活躍している人の姿を公開すること
- 夢やビジョンを言葉ではなく絵にする
- 誰もが一目瞭然、目で見ただけで未来の姿がわかるようにする
- 夢を公言公開することで、多くの人と共有できる環境をつくることが大切
- 1本立てれば、お客様のほうからやってくる
- 1本立てれば同業社から仕事がやってくる
- 1本立てれば商談が有利に運びやすくなる
- ☆クチコミュニティ･マーケティングの営業戦略は、「1本立てること」が柱。お客様が発見しやすく、わかりやすくすることは相互のメリット
- 「1本立てる」を柱にした自家発電型の企画を打ち出す
- 雑誌、イベント、講座などの場を通じて、関心のある人を集める
- 話題を地域に提供しマスコミへの露出度を高める
７
- 相手の手元に渡るツールづくりに手を抜かない
- 視覚55%、聴覚38%、目と耳がクチコミを引き起こす
- 特徴、メッセージ、情報など、名刺は自分たちの姿勢を映し出す
- ☆クチコミュニティ･マーケティングは、名刺1枚から始まる。自分たちの姿を映し出すツールを作れば、相手に渡ってからも仕事をしてくれる
- 「1本立っている」会社案内か
- 自分がもらったら読みたいか
- ターゲット層が読む雑誌のデザイン、記事を参考にする
- クチコミは期待させすぎてはいけない。期待を裏切って「ここまでとは」と言わせたほうがインパクトはある
- ☆クチコミュニティ･マーケティングを広げるには、人から人に渡してもらえるツール作りを意識するかしないかで大きく変わる
- デジタル時代のほうがひとは「手書き」に心惹かれる
- 手紙は、会ったことの無い人に提案する営業手法として効果的
- 会社からの情報も、個人から個人にあてた印象を与えることが大切
- ☆クチコミュニティ・マーケティングは、個人の気持ちに訴えることだ。デジタル社会になっても主役は人。「人と人をつなぐ道具」に変わりは無い
- キーパーソンとは、ある分野に大きな影響力や発言力を持つ人
- キーパーソンとの出会いは、講演会、取材、団体加盟などを通じて
- キーパーソンとは自分のビジネスを必要な人に正しく伝えてくれる支援者
- ☆クチコミュニティ・マーケティングの成功は、誰とつながるかが大きな鍵となる。キーパーソンとの友好関係はクチコミを最速、最短で後押しする
- マスコミに載るには、マスコミネタになりやすい企画を創る
- 社会性や話題性など、多くの人に伝える価値のあるネタが必要
- 成長していく会社は、社名の露出度を上げる努力をしている
- ☆クチコミュニティ・マーケティングはマスコミによって後押しされる。あとは知名度を自分の力と錯覚せず、実績作りに努力する。
- 転勤族の妻は、元気で、アクティブで、好奇心旺盛な人が多い
- クチコミのシーダーが動けば、クチコミが飛ぶ
- 情報発信源が動くとクチコミは拡大する
- ☆クチコミュニティ・マーケティングの拡大は、シーダーが移動したり発信源が移動することでも促進される
- インターネットはクチコミ向きの情報ツールだ
- 伝達威力、量、スピード、コストがアナログ的クチコミとは比較にならない
- ネットワークの価値は、ある時点から爆発的に高まる(メトカーフの法則)
- ☆クチコミュニティ･マーケティング成功の鍵は、ネットコミをいかに戦略的に取り入れることが出来るかにかかっている
- クチコミを広げる発想で在宅ワーカーを活用する
- 自分で仕事を抱え込むよりできるだけ人に出す
- 最初は不安でも、必ず人のスキルは上がり、後々自分が楽になる
- 外部の人がかかわることは、確実に身内が増えることに等しい
- ☆クチコミュニティ･マーケティングはクチコミュニティに参加するシーダーだけでなく、仕事というかかわり方を通じて仲間を増やす方法でもある。
- 通信販売ではお客様とかかわり続ける無店舗ならではのシステムができている
- これからの小売業、サービス業には通信販売的な発想が求められる
- クチコミは偶発的ではない。お客さまに好きになっていただくことから始まる。
- ダイレクト･マーケティング、ワンツゥワン・マーケティングの思考はかかせない
- ☆クチコミュニティ･マーケティングの成功は、通信販売の成功事例に学ぶことが多い。無店舗ならではのリスクを超える顧客作りを研究してみよう。
- クチコミしやすいフレーズをつくる
- 適切なコミュニティを探す
- シーダーへの情報伝達方法を持つ
- シーダーが増殖するためには、ビジョンよりミッションである
- クチコミの成果をどう捕らえるか考える
- ☆クチコミュニティ・マーケティングを成功させるには、クチコミが起こる要因を知り、成果をどう捕らえておくかも大切
- 女性は母性という判断基準を持っている
- 母性本能とは、種族保存の本能である
- 種族保存のために男性は「戦い」、女性は「産み増やす」行動をとる
- ☆クチコミュニティ・マーケティングは、女性の持っている母性判断基準をクリアしなければならない。クチコミは女性にとっては助け合い運動だ。
- 女性は母性という判断基準を持っている
- 母性本能とは、種族保存の本能でもある
- 種族保存のために男性は「戦い」、女性は「産み増やす」行動をとる
- ☆クチコミュニティ･マーケティングは、女性の持っている母性判断基準をクリアしなければならない。
- 女性は向上心が強い
- 女性はより身近な日常と非日常の両方に関心を示す
- 社員ではない人と一緒に仕事が出来る「参加」の場をつくる
- しらない人と出会う機会を増やす
- ☆クチコミュニティ･マーケティングは、「学遊働交」をキーワードにすると女性が集まりやすい
第3章 あなたの会社をクチコミで伸ばす実践法
- 心構え編…良い会社というイメージを持ってもらう準備
- 「クチコミで会社を伸ばす」とはどういうことか確認しよう！…商品の短期的なライフサイクルの繰り返しの中で、長期的に渡って支援してくれるファンを増やすということ。商品が話題になることよりも、お客様に会社を好きになってもらうことの方が重要。
- 広告宣伝とクチコミの違いについて…人が何かのファンになる段階は「認知」→「理解」→「共感」→「行動」
認知：知らない会社より知っている会社が信用される
理解・共感・行動：ファン活動であり、広告宣伝では重視されなかった人と人との絆づくり。購買の意思決定時に大きな影響をもたらす。
クチコミで会社を伸ばすとは、会社の理解者を増やし共感者作りをする活動である。広告宣伝とは異なる。 - 商品寿命と企業寿命について…プロダクト・ライフサイクル→導入期・成長期・成熟期・衰退期
企業寿命は平均30年。通常、商品を買ってくれる顧客を探すが、そうではなく商品に興味を持ちそうな人をプールするという発想がクチコミュニティ。右肩上がりの成長線はシーダーの数だと考えられる。ファン数を蓄積することで、顧客の求める商品を掘り下げ、思考にあった商品を作ることが出来る。 - どんな成果を目指すのか…広告の二つの見方
- 広告費を売上高に直結して捉える見方…費用対効果が分かりやすいが、持続性が無い。ダイレクトメールやチラシなど。
- 広告は、売上をアップさせるための市場を開拓し、定着させるためにする見方…スポンサーのイメージ広告などの認知アップ広告など、即効性よりも新規の仕事を創出するために広告費を使う。クチコミュニティ･マーケティングはこの考え方。
- ~客層の分類：即客、近未来客、中未来客、遠未来客、外客。
営業マンは即客を追いかけるのがメイン。クチコミュニティを作るときは、営業チームとは分けて考えるべし。近い未来に向けた顧客作りには別チームを用意したほうがいい。販促費用配分は即客：未来客＝4：1程度。 - 目標設定。いつまでに共感者何人と出会うかを決める。積極的な増加のためにただの会員集めにならないよう注意。
- 双方向性を高めるために情報のやりとりが行える「情報ツール」を介在させ、質の高いシーダーを集める。
- 企画を実施し広報物に掲載することで、さらなる参加者を。
- クチコミュニティ･マーケティングによって未来客を増やす活動を継続していれば、将来の広告費は大きく減少する。
- ☆ケーススタディ�．▲Ε肇疋▲侫．�3万人の口コミュニティで年商14億円目指す
- 96年立ち上げ当初、広告方法は織り込みチラシか新聞広告のみ
- 「モノ」ではなく「行動」を考え、お客様が喜ぶような情報を検索できるようにした
- お客様が自分のサークルをもてる：クチコミで人が集まる仕組み
共通する価値観の人が何万人も集まればそれだけでひとつの大きな市場になりうる
- 絶対に守らなければならないオキテ…手広い商売はデメリットがある。多様化ではなく、絞り込んだターゲットに深く情報を掘り下げて送っていくことでクチコミュニティという「場」の信頼も、横の絆もいっそう強くなる。キーワードは「○○なあなたにとことん付き合います」
- 準備編
- 会社を魅力的に見せる10の方法…「良い会社である」としても「良い会社に見え」なくては意味が無い。良い会社に見せるのが準備編である
- ネーミングを変える
- 「らしさ」、イメージを統一する
- デザインを変える
- 提供価格を変える
- 使え方を変える。(営業トーク・宣伝方法)
- 「気持ちに訴える」ツールをつくる
- お客様の声を公開する
- 社員の声を公開する
- キャッチフレーズを作る
- ロゴと色を決める
- お客様に選ばれる会社作り…「お客様なら誰でもいい」ではなく「どんな人たちから指示されたいのか」を会社意識で統一しておくことが大切。その人たちのNo1であるために何をすればいいかがわかるから。安さで勝負なら安いものを探しているお客様にこだわるべきだ。客質を上げたいという会社は、ポジショニングが悪いせいで会社自体が安っぽく見られていることに気づくべき。
- ポジショニングを上げる…「誰でも良い」「何でも出来る」ではなく「こんなお客様に支持されたい」という立場を明確にすることで、営業のいらない指名される会社作りが実現。
- 共感ツールづくり…チラシ、パンフレット、名刺サイズのカード、会社案内、HPなど人目にゆれ、人から人へと渡っていくことができるもの。共感ツールとは、モノを売るのではなくメッセージを届けることが目的。
- 語り部を増やす…単に話題にするだけではなく熱烈に語る人を増やそう。自社製品が好きな社員を雇おう。前社の悪口を言う人、商談中に自社の悪口を言う人は信用しにくい。身内のクチコミは強力すぎる。会社を「語り部」体質にしてしまおう。まず、社長自身が「語り部」になるべく、なぜ会社を始めたのかを人間的な魅力を持って語れるようにしておくべし。そして、社員を「語り部」にしていくのだ。上司は部下との会話を質問型にし、考えた回答をさせる。さらにはお客様の中にも語り部を増やしていくことが大事。そのためには、情報を公開し、社員やお客さまを主役にしたスタイルを確立、お客様同士が「語り合える場」をつくる。最後は語り部を増やすべく講習会などでスキルアップをはかるべし。
- ☆ケーススタディ：人口1272人の小さな村の特産品が年商27億円に
特産品のゆずで大成功。ゆず加工品を売るのではなく「村を丸ごと売り出す」というブランディング戦略。 - ☆ケーススタディ：下請けの造園業者から、消費者に氏名される会社に変身
安さではなく庭造りにこだわりを持つ人と対象に。ショーガーデンを会社に設け、イメージを統一させる展開を行い、クチコミでも大人気店に。 - ☆ケーススタディ：サマンサジャパン株式会社
3Kイメージのある清掃・警備などの会社であったが、女性に受け入れられやすいようにテーマカラーを変え、ユニフォームを変え、マナー研修を用意し、採用システムを作り、求人チラシのデザインを一新。応募が50倍に増えた。ポジショニングを上げると小さなことでお叱りをいただくが、それでいい。 - ☆ケーススタディ：社長婦人が書いた創業物語を配ったら大反響
商品より理念を売る。まず気持ちがあるからこそ動かされる。毎月お客様から寄せられたクレームや感謝の声をそのままフィードバックする会社がある。全てを正直に公開するこの姿勢は、お客様の安心感を誘発する。
- 会社を魅力的に見せる10の方法…「良い会社である」としても「良い会社に見え」なくては意味が無い。良い会社に見せるのが準備編である
- 実践編
- クチコミュニティ発展のプロセス
- 共通の価値観の人(シーダー)が接触できる「場」をつくる
- シーダーたちと接触する双方向の関係を持つ
- シーダーたちが仲間を呼べる機械を用意する
- シーダーたちが仲間を呼んで、活発に交流している姿を公開する
- 交流する姿をシーダー候補達に発進する
- 新しい人たちが加わり、上記内容を繰り返す。逆スパイラルで輪は広がっていく。
- 目かトー不の法則。参加人数が増加すると、ある瞬間爆発的に価値は高まる。
- ビジネスの規模に振り回されずクチコミュニティ的成長線を考える
- クチコミになりやすい商品、なりにくい商品
- クチコミュニティ発展のプロセス
クチコミランキングの上位：情報が入りにくく、自分や家族の未来に直接大きく関わるものが多い
子供の塾、幼稚園・小学校選び、病院、増改築、レストラン・カフェなど、化粧品、健康食品・サプリメントなど
ビールヤコーヒーなどの嗜好品、車などのように好みが左右するものはクチコミと広告の両方の評価を重視し、比較検討している
- クチコミされやすいフレーズ…「旨い」「安い」ではインパクトが無い。特徴を一言で魅力的にあらわしたキャッチーなフレーズでこそクチコミが起こる
- 消費者ニーズってなに？…消費者ニーズは存在しない。消費者自身にニーズは無く、商品を購入してからの判断でよかった悪かったが決められる。損得勘定抜きに好き勝手な意見を本音で語ってくれる人たち(共感者)がいれば、その多くのコメントのなかからニーズを感じることは出来る。
- クチコミは身内から始まる…人間関係の深さは他人→知人→友人→親戚→家族の順。’’売り手と書い手はどこまで行っても他人の関係の域を脱していない。’’クチコミを起こすには身内の支援が得られるかどうかにかかっている。クレームや意見をいってくれる人たちは、最上級の会社のファン。愛情が無ければ、黙って去るはず。イエスマンではなく、言い合っても同じ方向を共有しようとするブレーンを持つことで組織は強くなる。
- クチコミュニティ・マーケティング度の自己診断
- ☆ケーススタディ：�衞�膳総合コンサルティング
もとは「やせるお茶」販売会社だったが伸び悩み、「東洋医学の考え方を基本にした女性のための美と健康の会社」というコンセプトに変更。地域に密着したセミナーやイベントで顧客名簿を蓄積、お客様と頻繁に関われる体制を実現。 - ☆ケーススタディ：街の小さな薬屋さんがネットげ月商1000万円
千葉県の�襯�スリのらくだは母娘で経営している。ネットで1000万円、実店舗で500万円。地方の小さなクスリ屋が実店舗だけでこんなに伸びることは無かっただろう。HP上は集客と情報提供であり、販売は電話で行っている。リピート率は50%。良質な客とのつながりが確立されている。立ち上げ当初は伸び悩んでいたが、実際の薬局が運営しているということで安心感を強調しページ構成を整えることでアクセス数が伸びた。 - ☆ケーススタディ：大型店乱立で経営危機に陥るもクチコミュニティ全開で大逆転
- ☆ケーススタディ：クレーム処理を感動に変える、即時対応、即時共有、即解決。
四国管財�蠅亮卍垢魯好圈璽妊２魴茵Ｌ簑蠅�発生したら即座にボイスメールで伝達。365日お客様のために東奔西走している。クレームがあれば5分で社長に届くシステムであり、一番に社長が飛んでいく。クレームをファン作りに変えるのは究極のクチコミュニティ・マーケティング。「とにかく社長の熱心さ、行動力に脱帽。だからみんなが尊敬して社長についていこうと思う」 - HER STORYのクチコミュニティ・マーケティングはこれだ！
- ファーストコンタクト…話題性、信頼性、高感度、安心感、欲求度を考えクチコミで伝達しても良い商品かどうかを考える
- 現状の課題や問題点を抽出
- 女性会員にファーストメール配信…地域や年齢などを考慮し、対象者に認知を促す。印象・意見・感想を集める。この時点でシーダーになりたいという人を募る。
- クチコミフレーズの抽出…フレーズとプロモーション・ツールを作る
- クチコミリーダーの選出・決定…シーダーの中からクチコミリーダーを選出。お客様ではなくすでに会社の友人となりえる人を。
- クチコミ開始！ シーダーは応援団への誘い人…イベント、セミナー、パーティ、アンケートを企画・実施。地域におけるクチコミュニティ活動を1年間は実施する。
- 収集した意見を分析･検討…改善策やプロモーション計画などを再検討、クチコミ体質企業への起動作りをお手伝い。
- クチコミュニティ活動を繰り返し実施し、熟成させる…接触・交流を繰り返すことで企業への好感度は増す。活動成果はわかりにくいが、確実に売上に貢献している。
- クチコミュニティを増幅させクチコミ体質へ…お客様とのコミュニケーションで良好なクチコミュニティを育成、常に活性化し続ける
- クチコミュニティ・マーケティング実践のための七つの柱
会社の姿勢の明確化、お客様に指示される商品作り、会社の魅力を具体化する力、会社の魅力を発進する力、人をひきつけるイベント・発行物・企画の実施、人を維持する力、人から人へ増幅させる仕組み…これらのうち一つも欠けてはならない。
- クチコミ体質を持つ企業は、どのような「成果」を得るか…リピート客・固定客が大幅に増える。紹介客が大幅に増える。ファンが増える。自社にとって良質な顧客が増える。広告宣伝費が大幅に減少する、ブランド力がアップする。新規顧客を探すより、興味を持ってくれた人、既に顧客になっている人、会社に近い身内、そういった目の前の人々を中心にクチコミュニティをつくり、関係を深めていく名が出人から人へと情報が伝わっていくのがクチコミュニティの世界。
そして、ここからエピローグ
感想・まとめ
女性ならではの視点から、女性の特性をよくおさえたマーケティング方法を紹介していた。あまりにもファジーであり理想論に近いと感じる点は多いものの、その経験から得られた独自のノウハウは貴重。クチコミの危険性に関する章が少なかったのが残念。マイナスの噂はプラスの噂より数倍早く広まるというのがクチコミの弱点であり、どう対応すべきがについての話が薄かった。また、企業にとって都合のいいシーダーやクチコミリーダーがそう簡単には見つからないように思う。
2005年12月06日(火) 20:11:27 Modified by zin941_9x19