『スモールワールド･ネットワーク』

書名	スモールワールド･ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法
著者	ダンカンワッツ (著), Duncan J. Watts (原著), 辻竜平 (翻訳), 友知政樹 (翻訳)
発行日	2004/10
発行所	阪急コミュニケーションズ

サマリー

著者からのコメント
ある時、ある場所で、隣に座った他人がひょんなことから実は自分の知り合いの知り合いであることが分かり、「世間は狭いですね！（＝It's a small world！）」とつい感嘆の声をあげてしまった。このような思いがけない経験あるいは類似の経験は誰にでもあるはずである。「果たして世間は本当に狭いのか？」「もし狭いとしたらどれくらい狭いのか？」「世間が狭いとどうなるのか？」思いがけない経験を単なる偶然の出来事であるとは片付けず、『スモールワールド現象』と命名までし、答えを追い求めている科学者たちがいる（実は翻訳を担当した我々もそうなのであるが…）。
　名門コロンビア大学に勤務する若く才能溢れる社会学者、ダンカン・ワッツも「世間は本当に狭いのか？」という問いに取り付かれた一人である。本書はネットワーク科学の革命児と称されるダンカン・ワッツによる『スモールワールド現象』全般に関する初の一般書である。ワッツは言う。「ネットワークの科学は、世界についての新しい考え方を与えてくれる。」本書は前半部分でネットワークの科学に関する基礎的な知識を数式を一切使うことなく与えてくれ、後半部分では豊富な例をさまざまな角度から検証することにより、現実の社会をよりよく理解するのにネットワークの科学をどのように応用するかについてが記されている。
　ネットワーク ― 現代社会を語るうえで外すことの出来ないキーワード。その不思議に迫る本書を読めば、人間関係はもちろんのこと、狂牛病、鳥インフルエンザ、重症急性呼吸器症候群（SARS）、そしてコンピュータウイルスの流行から、ハリー・ポッターのヒット、株価の暴落、バブル経済の崩壊まで、実に様々な出来事の背後にひそむ『スモールワールド現象』が見えてくる。

第1章　結合の時代

1996年8月の大停電、アメリカのカスケード故障を例に。個々の機器がひどいダメージを受ける可能性を減らすことで、システムが全体として大規模な崩壊をおこしやすくしてしまった。システムにおいて故障を引き起こすものは何か。独立したランダムな出来事がつらなって足し算型の危機もあれば、複雑になると最初の故障によって後続の故障がおきやすくなり大惨事になることもある。一つの故障ではなく、故障が組み合わさることで生じる結果についても考える必要がある。

複雑なシステムを考える

複雑なシステムを複雑にしているのは、全体は部分の単純な総和ではないということ。部分は単純な要素でも、相互作用により振る舞いの幅が増えることがある。個々の振る舞いは、どのように集合的行動に集積されるのかが問題。

新たなネットワークの科学

ネットワークはグラフに置き換えて考えられてきた。学問分野によってネットワーク理論が多少異なるのは、それぞれの分野によって個々の振る舞いの集団行動への集積の仕方が違うから。ネットワークはただの点と線の構造ではない。個々の構成員はそれぞれ権力を持ち、他の構成員やネットワークに影響を与えている。ネットワークは進化を続け、自らを再構成し続けるシステムの統合体である。

シンクロはなぜ起こるのか

振動子用語でパックとは同期した状態のこと。システムが同期するかどうかは、固有振動数の分布と結合力に依存する。

人かあまり歩かない道

コオロギの鳴き声が同期するのはなぜか。一匹はある特定の一匹の鳴き声を聞いてあわせているのか、それとも何匹かの声を聞いて決めているのか。何匹とは何匹なのか。そのネットワークの構造とはどういうものだろう。という疑問から、ネットワーク問題に興味を持った。

スモールワールド問題

1967年社会心理学者のスタンレー･ミルグラムはスモールワールド問題を実証すべく「ファーストネームで呼び合う仲の知人を中継して手紙をターゲットに届ける」実験を行った。結果は平均6ステップ程度で到達。
１人が100人の友人を持っているとすると、二次で1万人、三次で100万人、四次で1億人、五次で90億人とつながっていることになる。自分の友人たちは互いに知り合いである場合(クラスタリング)、この考え方は通用しない。友人グループを超えた友人はそれほど多くはいない。友人一人一人は経験･場所・関心を共有する小さなクラスターのようであり、ある集団の個人が別の集団に所属するときにからなりが出来ることによって、お互いがム図日付いている。このネットワークの特性がスモールワールド問題に関係がある。クラスタリングの重複により自分の知らない人にメッセージを届けるときに自分を介する必要がなくなるから。ミルグラムの示した社会ネットワークのパラドックス→世界が高密度のクラスターを形成していて、私の有人の置くが相互に友人なのだが、もう一方では平均するとほとんど何ステップかでどんな人にでもうたつすることができる。

第2章　「新しい」科学の期限

ランダムグラフの理論

約40年前、数学者のポール・エルデショはアルフレッド･レーニーと共に「ランダムグラフ」の形式理論を発明。ボタン1000個を長短バラバラの糸で無作為につなげることで、ネットワークを説明。それぞれのボタンに平均1本の糸がかかると、ボタンの総数に対する連結成分の最大数の占める割合が突如急に0から1へと変化する。この現象を「相転移」といい、相転移が起こりだす瞬間を「臨界点」と呼ぶ。相転移が起こると大きな連結成分の存在が生まれるため、他に与える影響力が突如大きくなる。しかし、現実世界はランダムでは無い。非ランダム構造に向き合わなければならない。

社会ネットワーク

ネットワーク考察技術の一つは「組織に属するメンバー間の紐帯の集合であるネットワーク構造と、それに対応する社会構造の関係」について扱うこと。行為者間の社会的距離を測ることで研究が進んだ。もう一つは「ネットワークは情報の伝達の道筋」であると考える方法。個人がどの集団に属し、どんな位置にいるかという距離測定法の開発が起こった。
マーク・グラノヴェターは効果的な社会的共同は高密度に結合した「強い紐帯」からは生じないとして「弱い紐帯の強さ」を唱えた。弱い紐帯は個人レベルと集団レベルとの分析をつなぐ架け橋である

ダイナミックスの重要性

それまでの社会ネットワーク分析にはダイナミックス(相当する行動理論)が欠如していた。
一見脱中心化しているように見えるネットワークにも実は中心があり、影響を発信するパワーを持つ人がいるのではないかと考えられてきた。ネットワークの中心性を論じることで、既存の中心を持つシステムを適用したいがためだ。しかし、本当に中心が無かった場合、周辺部からの小さなアクションが当事者たちにも予想できない大事へと発展するとすれば、中心は出来事の結果としてしか生じないだろう。ライブでいつの間にか手拍子が始まり、ばらばらだったものがリズムがあっていくのはなぜだろう。誰が誰にあわせたのか。
中心的な権威なしに、親しい人たちの相互行為によって団結した大域的な活動家生じるのか。ダイナミックスには二つの意味がある。「ネットワークのダイナミックス」は紐帯の発生・消滅によりネットワーク自体の構造が進化すること。「ネットワーク上のダイナミックス」は個人行動がどれだけネットワーク構造に影響を受けているか。

ランダムさからの旅立ち

数学者のラパポートは人間の特徴である「同類志向」を用いてランダムグラフを拡張した。今は他人でも、友人の知合いと直接の友人になることはよくあることである。この三角形(三社閉包)が構成されすいという特性を「バイアス」と呼ぶ。そして新しいモデル「ランダム－バイアスト・ネット」を考えた。ネットワークをダイナミックに進化するシステムと捉えたわけだが、この研究は理論的・経験的に暗礁に乗り上げた。

物理学者たちの登場

磁気は微少の磁気のスピン(矢印)が同方向を向いたときに生じる。磁気スピンの整列はどのような条件下でおこるのか。1つのスピンは近くのスピンの影響を受け、並びあっていくのか。相互作用は純粋に局所的でありながらも、転移の臨界点でシステムの全ての部分が反応しているように見える。個々のスピンが影響を受け与えている距離は「相関長」と呼ばれ、臨界点を考える上で重要となってくる。小さな振動が、波紋のように無限に大きく広がっていく可能性があるからだ。システムが臨界状態になると、中心は必要ない。全位置からすべてに影響を与えることが出来るからだ。システムのどの要素もすぐ隣にある要素にしか注意を払わなかった場合でさえ、ある規模で生じた出来事がシステム全体の特性にどう影響を与えるか。「スピンシステム」の研究は何千もの論文が生まれた。

第3章　スモールワールド現象

友人たちの小さな力をかりて

我々は単に個々の友人を持つのではなく、友人のグループを持っている。グループとは特定の環境の集合、大学の寮や職場といった「背景」によって定義される。グループ内部では密度の高い個人間のつながりができるが、他のグループとのつながりは希薄になる傾向。グループとグループは、両方に所属している個人によって結合される。2グループ間で共通の友人が増え、オーバーラップにより融合していくケースもある。

モデルの中に取り入れたい4つの要素
①グループ内部では密な結合が見られ、複数の所属を持つ個人によってオーバーラップされている社会ネットワーク
②新しい関係が出来、古い関係は消えていく
③明日知り合う人は、今日の知り合いに依存する
④自己の選好による行動で全くつながりのなり新しい人との出会いがある
つまり人は、行動する際に、社会の構造による影響と自己の主体による影響とを受けている。社会ネットワークの進化は、この2つの間のトレードオフによってい発生。主体による行為は社会構造には影響されないのでランダム事象。一方では新しい社会を切り開くためランダムな決定をし、他方では既存のグループ構造を強める行動をする。ランダム性と規則性をパラメータとして、その相対的な重要性を考える。

ドーム都市住民からソラリア人まで

新規の友人選択に関する一般原理は相互作用規則によって表現される。モデルは、紐帯と点で結びついたネットワークであり、時間を追うにつれて、人々が特定の相互作用規則に従いながら新しい友人を作る、というもの。AとBが共通の友人の数と、AとBが出会う可能性を図式化し、調整可能なパラメータαによって相互作用規則を表現する。ネットワークは大きなクラスタリング係数をもつ必要がある一方、ランダムに選ばれた二人を数人の連鎖で結びつけることが可能というパラドックスを含んでいる。

スモールワールド現象とは

αの値が低い(友人の友人とだけ結合する)とき、得られたグラフはクラスター化する傾向が高い。ネットワークは断片化し、密なグループがいくつもできた(短いパス)が、グループとグループをつなぐラインが弱かった。αが中間の値のとき、パスの長さは突出。ある二者をつなごうとしたとき、つながるときは即座につながるが、つながらないときは全くつながらない。また、αの値が高い(新規の結合が友人に頼らない)ときは、度の人へのほぼ同じくらいに簡単に到達できる(短いパス)。
クラスタリング係数は最大値まで上昇し、急に下降する。この陰影部こそ、局所的なクラスターが存在しながらも、どの点からも平均して数ステップで到達できるネットワーク領域。クラスタリング係数がパスの長さほど急激に減少しないということが、重要。

できるだけ単純に

上記のαモデルは、新しい友人を作るときに人が従う規則という観点から、スモールワールド･ネットワークがどのように作られるかを理解する試み。
βモデルを考える。規則的なネットワークと不規則なネットワークの間を補完するようなモデルを考案。単純にある確率によって近道を作るとする。円格子において、β=0のとき規則的ネットワークに変化は起こらないが、β=1に近づくにつれランダムに組み替えられる不規則ネットワークになっていくものとする。規則的な円格子は多人数で構成されている場合、任意の二点間のステップ数は長くなる傾向がある。円格子はクラスター化の程度が高く、不規則なランダムグラフでは、クラスタリング係数は小さく(友人同士で固まっていない)、数ステップで全ての人に到達できる。その中間では、高いクラスタリングを保持したまま、長距離のランダムリンクをもつことになる。ランダムリンクはショートカット(近道)を作り、以前は遠かったパスを短くする役割がある。大きなネットワークでは、ランダムリンクは遠く離れていた人々を結合しやすくし、ネットワークの野頃の大部分も近づけることが出来る。少数のランダムリンクが非常に大きな影響をもたらす点に注目。ネットワークのサイズに関係なく、平均して最初の5回ほどのランダムリンクの出現により平均的なp素の長さが半分に短縮。クラスタリング係数はランダムリンクの出現によりゆっくりと減少。陰影部はクラスタリング係数が高く、パスが短いスモールワールド空間である。よって、スモールワールド･ネットワークは、規則と不規則の単純な混同によって生じるということがわかる。

現実世界の実例から

22万人の映画俳優が競演したことのある俳優を辿って、ある俳優までにたどり着くまでに平均ステップ数は４以下。現実のいくつかのネットワークでもスモールワールド性を確認。規則性を持ちわずかながらも不規則性を有している限り、どのようなネットワークもスモールワールドになりうる。

第4章　スモールワールドを超えて

スケールフリー･ネットワーク

著者は社会ネットワークに属する個人の友人数に注意を払ってはこなかった。友人の定義が定まらないものの、おおよそ正規分布に近い次数分布のような曲線であらわすことができると考えていた程度だった。身長の分布は正規分布に近いが、富の分布はべき法則分布となる(小数が莫大な富を手にし、大多数が貧しい）。べき法則はカットオフを有しないのでスケールフリーと呼ばれる。
スケールフリー・ネットワークは、ランダムネットワークとは違い、ほとんどの点は比較的結合が乏しいが、少数のハブは非常に高度に結合していると想定。

金持ちはより金持ちに

ランダムグラフにおけるカットオフ現象は、公平性の前提が用いられていた。ある点は今は結合が少ないが、いつか豊富な結合を持つようになる、と。しかし現実は公平ではない。多くの結合を持った点は新しいリンクをひきつける可能性が高いが、結合の乏しい点はそのまま貧しいままでいる可能性が高い。新規の点よりも古い点のほうがリンクを受けやすいのである。ネットワークの次数分布は、長い時間をかけてべき法則分布に吸収される。システムが成長の原則と優先的結合の原則に従うならば、帰結するネットワークはスケールフリーとなる。

金持ちになるのは難しい

スケールフリー･ネットワークのベキ法則分布はネットワークの大きさが無限のときの限って本当にスケールフリーとなる。しかし、現実の次数分布にはスケールフリー領域と有限カットオフ領域がある。現実世界にはスケールフリーネットワークに当てはまらない構造を持つものが多いことも確認された。

集団構造の再導入

二人が共有する文脈が増えれば増えるほど彼らはより近くなり結合する可能性が増える。現実社会では個々人は社会的アイデンティティをもっているのであり、それは社会ねとワークの構築を促進するもであるといえよう。現実の社会構造とネットワーク構造に両方を同時に考える点から、今までの数学的な格子方法とは異なっている。

所属関係ネットワーク

「所属関係にある」とは二社が同じ集団または文脈に属しているということ。所属関係ネットワークは基幹となり、その上に社会的紐帯からなる実際のネットワークが成立する。彼らが置かれている文脈の性質に依存する。アマゾンで本を買ったときに「この本を買った人はこんな本も買っています」と出るが、この本を買うことで、同じ本を方人たち全てと所属関係となる。ネットワークに参加するメンバーにデータを入力してもらうことで、データ記録の主たる限界は事実上解消されデータベースは限界をもたずに成長する。
集団と行為者で構成された二部ネットワークを考えよう。二人の行為者が同じ集団に属していれば結合関係。一人が二つの集団に属していたらオーバーラップが生まれ、集団同士の相互連結がおこる。行為者の視点からのシングル・モード・ネットワークである行為者所属関係ネットワークは今まで取り扱ってきたものだが、集団の視点からの相互連結ネットワークは新しい発想。二部ネットワークを用いて所属関係と相互連結のねとワークをどじに理解しようとすした。

取締役と科学者のケースのネットワーク

共同著書と研究者の二部グラフを作成。どの研究者も短いリンクで誰とでもつながっていた。

困難な問題に直面して

研究者のネットワークは高度にクラスター化しており共著差の数はポワソン分布のようなピークを持たずベキ法則分布に似ていた点から、ランダムネットワークとは異なるとわかる。ランダムな所属関係ネットワークは常にスモールワールド･ネットワークになるとの結論が得られた。二部ネットワークによるアプローチはダイナミックスを説明することが出来、社会構造とネットワーク構造の両方を追うことが出来る。

第5章　ネットワークの探索

社会心理逆者ミルグラムによる実験：登場人物は被験者、監督者、サクラの三人。被験者は、サクラが失敗するたびに、監督者の指示で電気ショックの罰をサクラに与える。電圧は上がり、サクラは痛みを訴えるが、罰の指示は出る。被験者は脅迫されたわけでもないのに、他人に痛みを与えている状態。40人中37人が電圧を致死レベルまで上げた。官僚制では、人は残虐行為を実行しやすくなる。個人の信念は役に立たない。
当該コミュニティによって認められているものは信用できることだと受け入れなくてはならない。

ミルグラムは何を示したのか

ミルグラムの六次の隔たり実験では、300人の連鎖のうち、ターゲットと同じ州に住んでいたのが100人、ターゲットと同じ職業の人が100人、残りはランダムな約100人だった。ランダムで選ばれた人の手からターゲットに手紙が届いたのはたった18通。この結果でスモールワールド論を語っていいのだろうか。現代では鎖の完成率は1%未満である。協力的な人を中継できない＝無関心が多い。スモールワールド現象を経験的に解決することは難しい。

六次は多いか少ないか

二人をつなぐ短いパスに大きな違いがあること＝全てのスモールワールド・ネットワークが主張すること
ミルグラムは一方向モードでの伝達を考えたら、全方向モードではどうだろうか。起点とターゲットをつなぐ最短のパスを実現する確率は上がる。実現するだろうがこの一本を見つけるには相当な苦労が伴うだろう。一方向モードでは数人の伝達で済むがそれが最短であったかどうかの確認は難しい。全方向では、理論上の最短を見つけられるものの、他の労力がすさまじい。友人の友人の友人の友人関係を把握していなくてはならないから。

スモールワールドの探索問題

クラインバーグは、ネットワーク中の個人が、実際にどのようにしてパスを見つけるのかを考えていた。格子モデルにおいてランダムリンクが既存のリンク関係を解除することなく新たに加えられるものだとしよう。ランダムリンクが出現する可能性は、距離が増大するにつれ減少するものとする。彼の研究結果は「すべての長さ尺度で同程度に結合するという条件が満足されたならば、ネットワークは全ての点と点の対の間にある短いパスが明らかになるばかりでなく、個々の送り手がターゲットにもっとも近いと思える友人の一人にメッセージを転送するだけでパスをみつけられるのだ」

社会学からの反撃

個人の有する社会的アイデンティティは多次元性(地理的に近いとか、同じ趣味など)をもっている。ある視点から分類すると二人は近しい存在にみえるが、別の視点から見ると遠い存在にみえることがる。
自分自身と同じような他社と知り合う傾向(同類志向)がある限り、複数の社会的次元で類似性が測定されるかじり、誰と誰との間にも短いパスが存在するだけでなく、ネットワークについて局所的な情報しか持っていない個人でも短いパスを見つけることが出来る（一時現に並びすぎておらず多次元に散らばりすぎてもいないとき）。次元数が2程度(地理条件・職業条件)のときが具合が良い。
自分と他者との類似点を判断できる次元を少なくとも二つ持っていれば、よく似たもの同士がつながっていることの多い世界であっても、遠くてなじみのない他社への短いパスを探すことが出来る。

ピア・トゥ・ピア・ネットワークの探索

一般的には、中央ディレクトリ型は高価で管理が効率的に可能だが中央がダウンすると全てがダウンするという脆弱性を持っており、逆に全方向型は中心が無いため強度はあるが予想外の波及が起こりやすく恩恵よりも多くの問題を引き起こしやすい。

第6章　伝染病と不具合

ホット・ゾーンのウイスル

ウイルスの力は伝染力が強いこと、ホスト(宿主)を生かしておく期間が長いことで効率的となりうる。

インターネット上のウイルス

ネットワークの全方向探索でウイルスは広まり、できるだけ遠くまで到達しようとする。どのような条件かで局所的な伝染病の発生が大規模な伝染病へと発展するのか。

伝染病の数理

SIRモデル：S(感染していない人)→I(感染した人、人に感染させうる人)→R(回復or免疫力を持ったor死亡)、新たな感染はIがSに接触することでのみ起こる。

スモールワールドにおける伝染病
伝染病のパーコレーション・モデル
ネットワーク、ウイルスそしてマイクロソフト
不具合と堅牢性

第7章　意思決定と妄想と群集の狂気

チューリップ経済
不安と私欲と合理性
「割り勘のジレンマ」と「共有地の悲劇」
情報の雪崩的現象
情報の外部性-他人の意見に左右される
強制的外部性-「沈黙のらせん」減少
市場外部性-商品の効用を決めるもの
同調外部性-集団的利益の認識
社会的意思決定の重視

第8章　閾値とカスケードと予測可能性

意思決定の閾値モデル
差異をとらえる
社会ネットワークにおけるカスケード
大域的なカスケードが起こる条件
社会的伝播の特徴
溝を越える-イノベーションの成功条件
非線形の歴史観
大衆に力を
堅牢かつ脆弱な複雑系

第9章　イノベーションと適応と回復

トヨタ=アイシン危機
市場と階層組織
産業分水嶺
ビジネス環境の曖昧さ
第三の方法
曖昧さに対処する
マルチスケール・ネットワーク
大惨事からの回復

第10章　始まりの終わり

9･11同時多発テロ
結合の時代への教訓

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カテゴリ：学問・文系 > 経済学

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2005年12月09日(金) 21:45:36 Modified by zin941_9x19

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卒論用戯言置場

『スモールワールド･ネットワーク』

サマリー

第1章 結合の時代

第2章 「新しい」科学の期限

第3章 スモールワールド現象

第4章 スモールワールドを超えて

第5章 ネットワークの探索

第6章 伝染病と不具合

第7章 意思決定と妄想と群集の狂気

第8章 閾値とカスケードと予測可能性

第9章 イノベーションと適応と回復

第10章 始まりの終わり