最終更新:ID:px6fntgA6w 2022年10月01日(土) 18:08:23履歴
作者:ベリーメロン
もはや日常とでも言うべきだろうか。アルケミック・マジシャンが足しげくシャイニート・マジシャンの家に通ってきては、彼女の怠け癖を治そうとするのは。
その日もアルケミックはシャイニートの家を訪れて、だらけ続けている彼女を叩き起こして世話を焼いていた。貯まった洗濯物とか、食い散らかした保存食とか、その他諸々を働きもせずにだらけているシャイニートを起こしてそれらを一緒に片付けさせる。
やっと一息つける頃にはすでに昼をとっくに過ぎている。「一人暮らしなのに、普段からやらなきゃいけないことをやらずにだらけてるからこうなるのよ!」というありがたいお説教もくらい、適当に駄弁って夕方になる頃にアルケミックは帰ることになった。
その折に
「ねぇ、シャイニート。前々から思ってたことがあるんだけどさ」
「えぇ……まだなんかあんの?」
げんなりした様子で聞き返すシャイニート。あからさまに嫌そうな顔をするが、アルケミックは無視して言った。
「私は女だから問題ないけど、部屋着くらいはまともにしときなさいよね!アンタがいくら外に出るつもりがないからって、下着姿で過ごしたりタンクトップ一丁とかはやめなさい!」
アルケミックが言う通り、彼女が来てすぐのシャイニートはブラジャーも着けずにタンクトップを着ているだけという、とんでもない格好をしていた。もはやラフどころではない。
「えー、だってあれが楽だもん。洗うの面倒臭いし」
「あのね、ここがいくら町外れで私以外ほとんど来る人がいないからって、もし来客があったらどうすんのよ?」
「もしもなにも、こんなとこ誰も来ないんだし、アンタくらいしか来る物好きいないよでしょ。たまーにアカシックが来るくらいだし」
引きこもりであるシャイニートは基本的に二人の友人以外とは滅多に交流しない。というか基本的に他人との交流が大の苦手で、だからこそこんな辺鄙なところに住んでいるまである。
定期的に食料などが入った物資が届くが、それも置き配にしてもらうほどには誰かと顔を合わせることがない。
「……正直私らとしてもあの格好は目のやり場に困るしどうにかしてほしいんだけど……はぁ、もう好きになさい、それで後で泣きを見ても知らないわよ?」
「こーゆーのはラフなのが一番だし」
もう一度呆れたようなタメ息。頭抱えながらも別れを告げて帰っていくアルケミックを、シャイニートはひらひら手を振りながら見送った。
と、思い出したようにアルケミックが離れたところから叫ぶ。
「――あっ、今日干した洗濯物はちゃんと家に入れときなさいよー!もう乾いてるはずだからねー!」
「あー!もう、わかってるってば!」
アンタはオカンか!なんて思いながらシャイニートは返事を返す。正直なところ忘れかけていたのだが、こういう時は彼女は都合が良いタイプだった。
やがて帰っていく友人を見送ったあと、シャイニートは言われた通りに洗濯物を取り込みにいく。
さすがに怠け者の彼女でもそれくらいはするのだ。
「あー、もう面倒くさい……ん?」
ブツクサ言いながらも洗濯物を取り込んでいたシャイニートは、ふと違和感に気が付いた。
(下着も洗ったと思うんだけど……)
間違いがなければパンツやブラジャーも洗っていた気がする。数え間違いか、それとも動物の仕業か、はたまた別の何かか。
少しだけ考えたシャイニートだったが、
「ま、いっか。たぶん勘違いね」
アルケミックに洗って干してもらったので、シャイニート自身は特にどれを洗ったとかはよく覚えていない。
さらに服に頓着しないシャイニートは、下着に好みとかも考えたことがないし、わざわざ覚えてもいなかった。ほぼ着心地最優先だ。
どうせ気のせいだし、どっかのゴミの下にでも埋まっているのだろう。探すのも面倒臭いし、今度の物資には下着でも頼んでおくか。なんて考えつつ洗濯物を抱えて家に入っていった。
後に彼女はこの時の判断と、少し前の発言を大きく後悔することになる。
○ ○ ○
「――うにゅ?」
シャイニートは基本的に朝は惰眠を貪っている。適当にゴロゴロしながら、二度寝にふけるのが最高の贅沢だと彼女は本気で思っている。そんな彼女がいつも起きるにはずっと早い時間に目を覚ましてしまった。
その理由がいきなり鳴り始めたけたたましい呼び鈴である。
「うっさ……なに?こんな朝早くから?」
朝早くとはいうが、常人がとっくに起きて活動している時間なのは明記しておく。
欠伸をかきながら、眠い目を擦って玄関まで歩いていく。この時、彼女は「どうせアルケミックがなんか忘れ物でもして取りに来たんだろう」なんてボンヤリ考えていた。
「はいはい、今開けるから」
今のシャイニートは短パンに肌着という寝間着そのままの格好だが、アルケミック辺りは見慣れた格好のはずだ。
玄関ドアの鍵を開け、ドアノブを捻ったところでふと気づいた。
(……ん、そういえばアルケミックは鍵持ってたような)
と気付いたところでもう遅く、ドアを開ける手が止まることはない。ギィと軋んだ音を立てて開くドアは、やがて来訪者の姿をさらけ出した。
「………………え?」
そこに立っていたのは見知らぬ男だった。
赤の他人に免疫がないゆえに思わずフリーズするシャイニート。次いで今の自分の格好を思い出し、それを異性に晒してしまったという事実にさらにフリーズする。
数秒間ほど硬直している間に、男の目線が彼女の身体をじっくり見つめていたのだが、それに気付ける余裕すらない。
「!?!?!!!??」
声にならない叫びを上げて、シャイニートは慌てて玄関ドアを閉めた。かと思われたが、それよりも男の足が割って入り閉めきることを阻害されてしまう。それどころか隙間から差し込まれた手が、シャイニートの脆弱な抵抗など無視してドアを抉じ開けてしまった。
「な、なに!?なんなの!?でてってよ!」
距離を取るように扉から離れていくシャイニート。その間にも男は家に侵入を果たしてしまった。
試作品の魔法薬やトゲトゲ神印の殺虫スプレーを構えて抵抗の態度を取るシャイニートだが、その様子は怯え震える少女と変わらない。それもそうだ。家に引き籠もるようになったのも、知り合い以外との対話や交流がまともにできないが故だった。突如来訪した不審者に、そんな彼女が冷静に対処できるわけもない。
「それ以上、ちっ、近寄ってきたらこれぶっかけてやるからっ!」
実のところ魔法薬の効果が何だったのかなんて覚えていない。強盗ならとにかくハッタリにでも何にでもなればと手を伸ばしたのがそれだっただけだ。
しかし男はそれを見ても動じる様子はない。一歩、また一歩と突き進んでくるその男は、まるで舐め回すかのような目つきでシャイニートを見つめている。とうとう気持ちの悪さにたまらなくなって、シャイニート男へ向けて殺虫スプレーのボタン押し込んだ。
ぷしゅぅ……という気の抜けた音。
「なっ、ええっ!?」
気の抜けた空気の抜ける音しか出さないスプレー缶。そこになってから思い出す。この殺虫スプレーは先日黒光りするGを退治するのに使いきって空になっていたことを。
そのついでに思い出してしまう。魔法薬の中身がただの植物の成長促進剤であることを。
(やばっ、これどっちも武器にならないっ!?)
手に持ったものがことごとく武器にならない事実に固まるシャイニート。そんな隙を男が見逃すわけもない。伸びできた太い男の腕は、運動不足で細っこいシャイニートの腕をいともたやすく掴み上げてしまう。もはや抵抗もできないシャイニートはそのまま玄関に押し倒されることとなった。
「やだっ、離してぇっ!」
泣きながら抵抗しようとするが、普段からずっとだらけている彼女の腕力で大の男に敵うわけもない。
「いっ……いやっ……」
男は躊躇いもなくシャイニートの肌着を捲り上げた。面倒臭がってブラすらしてなかったせいで、小振りながらも形の良い乳房がそれだけで露わになってしまう。
マジマジと見つめる男に対し、シャイニートはただひたすら時が過ぎるのを待つことしかできない。やがて男がシャイニートの乳房にむしゃぶりついてきても、それ以外のことができない。
「…………っ」
シャイニートの小振りな乳に吸い付く男の唇。緊張で汗ばんできていたせいか、男は汗を舐め取るようにぐちゅぐちゅと水音を立てて肌に吸い付く。
空いた方は左手で揉みしだき、柔らかい胸の感触を楽しんでいるかのようだった。
(キモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいぃぃぃぃぃいいいいいいいっっ)
シャイニートは目尻に涙を溜めながら、心の中で絶叫する。声にだせなかったのは恐怖のせいか、はたまた叫べば何をされるかがわからない警戒によるものか。
涙目で耐え忍ぶしかできないシャイニートに男は気を良くしたのか、今度はその口をシャイニートの唇へ近付け始めた。
何をするつもりなのか、すぐに理解するシャイニートだが拒絶する間もなく男の口がシャイニートのモノに吸い付く。
「ん゛んぅ〜〜〜〜!??!?!」
一切躊躇のない口付け。名も知らぬ男に無理やりファーストキスを奪われたシャイニートは目を見開き、涙を浮かべながら震えることしかできない。
男は我が物顔で舌を無理やり捩じこむと、汚い水音を鳴らしながらシャイニートの口内を蹂躙していく。
呼吸の暇すら与えないディープキスは、やがてシャイニートの気力を奪ってしまった。
「あ、ぅ……さい、あく……」
やっと解放されて溢れた罵倒は男を止めるどころか、さらにその欲望を加速させるだけ。さらに踏み込んでくる。
(どこみて……)
男の視線が下半身に向いていることに気付いたシャイニートは顔を青くするが、抵抗する間もなく遠慮も欠片もない手が短パンを力任せに引き降ろしてしまう。
「ひっ」
曝け出される女性の象徴。毛の感触が気持ち悪いからと、最低限の手入れはしていたせいで惜しげもなくさらされた秘部は、名も知らぬ男に晒されることとなった。
「い、いやっ……」
慌てて隠そうと手を伸ばすシャイニートだったが、男は容易くその細腕を取り出した手錠で拘束する。
ガチャガチャと半泣きで外そうとするシャイニートだったが、外れるわけもなく男は次の行動へと移った。
「やっ……!やめてってばっ……んんぅっ!」
曝け出されたシャイニートの秘部に男が顔を近づけていく。間近でしげしげと眺めつつ、男は舌なめずりをするとあろうことかシャイニートの秘部に口付けを始めた。
クンニという行為は知っていたシャイニートだが、実際にされるなんて考えたこともなかっただろう。しかも好意どころか知り合いですらない初対面の男に。
「くひっ……やめてっ!こらっ……ひぅんっ……」
生暖かく唾液で濡れた舌でちゅるちゅるとデリケートゾーンを舐め回される不快感。
それだけで目尻に涙を溜めて嫌がるシャイニートだが、男は決してやめることなく続けていく。舌で無理やり膣肉を抉じ開けて中を直接舐められれば、未経験だったシャイニートも思わず腰をくねらせた。
「あっ……もういやっ!やめてよっ……ひぐうっっ!」
舌をグリグリとドリルのように蠢かせながら、刺激されシャイニートは口をパクパクと開閉させた。
不快なはずなのに未知の感覚に翻弄させられて、底知れない恐怖を抱いていく。
やがて、男が口を離した時にはもう抵抗の気力すら奪い切られていた。
「やめ、て……もう許して」
シャイニートは震えながら許しを請うが、男は当然のように止まることはない。ズボンを下げて取り出すのは剛直した肉の棒。それを唾液で無理やり濡らされたシャイニートの秘部に擦り上げていく。
「やめて……むり……絶対そんなの入んないって……」
シャイニートは何をするのかをすぐに察して、ふるふると首を振りながら必死に懇願した。自堕落で、気怠げでな彼女とて、こんな形でハジメテを迎えることは受け入れ難かった。
しかし男は止まらずに、腰を前に進めていく。
「いぎっ……やめっ……あっ、ああっ……」
ミチミチミチミチ……と肉を割り開く激痛がシャイニートを襲う。初めて受け入れるこの雄は、シャイニートにはあまりにも大きすぎたのだ。
シャイニートの下腹部を歪に膨らませながら突き入れられた肉棒が、限界まで入った頃にはシャイニートは放心状態となっていた。
「あ゛ぐっ……いだいっ、からっ……やめっ……」
そんな本心状態を覚ますように、男は強引に腰を前後させていく。広げられたばかりの膣はシャイニートに激痛を齎すばかりで、気絶することも許さずに蹂躙していった。
「こんな、ことならっ……ちゃんと……しておくべきだったっ……うぐっ……ひっく……」
涙の膜で視界は歪み、零れ出る嗚咽は後悔が入り混じる。アルケミックの言うとおりにまともに暮らしていればこうはならなかったかもしれない。そう考えるとシャイニートは涙が止まらない。
男はそれが煩わしいのか、さらに腰を強く打付けていく。
「あぐっ……あっ……あぎっ……むりっ……こわれ……」
シャイニートはもはや人形のようにがくんがくんと首を揺らすことしかできない。
それが一際激しくなってきた時、シャイニートは膣内を暴れまわる肉棒のさらなる膨張を感じ取った。すぐに何の合図なのかを悟って顔を青くするシャイニート。
「やめっ……だすなっ……やだっ……ひぎっ……やだあっ……」
こんな男の精が、己の中に放たれようとしている。その事実にシャイニートは必死に抵抗するが、あまりにも非力なそれは男を止めれるはずもない。
一段と強く突きこまれた時、怒張した肉棒が脈打った。
「あ゛ッ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッ!!」
大量に放出される精液。それはシャイニートの膣内から逆流して、結合部から血混じりのモノが噴き出すほどだった。
最後の一滴まで吐き出さんとする男は、グリグリと先端を最奥に押し付けながら捻り出していく。
「う゛……アぁ……うそ……」
放心状態のシャイニートは、男が捻り出そうと腰を揺らすたびに人形のように揺らされる。
もはや精神も体も限界で動けず、されるがままなのだ。同時にやっとこれで終わると、脱力しながらも希望に縋るシャイニート。
しかし
「あ……やだ……もう終わってよ……」
男の手がシャイニートを離すことはない。さらに膣内に入ったまま膨らんでいく男の象徴。
悪夢が終わらないことを悟ったシャイニートへ、男の欲望が再度襲いかかった。
◯◯◯
「あ゛っ……う゛ぇっ……あ゛あ゛っ……♡」
あれから数時間が経過しても男はシャイニートを犯し続けている。犯され続けたシャイニートは途中で飲まされた薬のせいで前後不覚の有様で、その瞳には快楽によがる熱に浮かされていた。
「あ゛っ……♡いあ゛っ……もう……やあ゛っ♡」
ベッドをミシミシと揺らす勢いで、シャイニートの中を蹂躙する男の怒張。シャイニートが力なく伏しても男は許さずに後ろから玩具のごとく犯していく。
最悪の気分なのに無理矢理齎される快楽はシャイニートの正気を著しく削り、男の欲望への抵抗も失せさせていた。
「はぁはぁっ……♡あ゛うっ……い゛うっ♡」
しばらく前に、シャイニートが仕事で作ったそれは強力な媚薬効果を齎すポーション。それは凄まじい精力と体力をもたらすが、それに比例するように暴力的な快楽を生んでしまうというもの。
それを飲まされてしまったシャイニートはどれだけ嫌がったとしても、どれだけ不快だとしても、どれだけ絶望したとしても、男の強引な欲望に感じさせられてしまうのだ。
「こしぃっ……とまっでぇっ……♡やだっ……のにぃ゛っ……♡」
男も一方的に犯すのは飽きたのか、今度は自らが下になりシャイニートにマウントを取らせた。そのまま腰がを突き上げつつ、徐々に快楽を求めて腰を振ってしまう女を眺めている。
当のシャイニートはやめたくて仕方がないのに、やめることができない絶望に泣きじゃくりながら腰を振ることしかできなかった。
……………
…………
……
「う゛……ぁ゛……」
その後、夜まで犯され抜いたシャイニートに男は告げる。
内容は単純に、『この日のことは他言無用。もし他言すれば大事な友人も巻き込むものと思え』と付け加えて『またくるね』と。
力なく動けなかったシャイニートは、それを静かに聞きながら泣くことしかできなかった。
◯◯◯
「――――どうしたの?」
「え?」
そんな声に慌てて振り向くと、不思議そうな顔をしたアルケミックの姿が目に入った。
自分が今日は彼女と買い物に出ていたのだと思い出したシャイニートは、取り繕うに言葉を濁す。
「な、なんでもない」
あれから数週間が経つが、今のところは男が現れることはなかった。幸いにもすぐに避妊は出来たため、最悪の最悪の自体も防げていた。
それなのにシャイニートは時折あの日を思い出して固まってしまうのだ。
「しかし、アンタが外に出るようになるなんてねー」
「ま、アタシだって反省したってことさね」
適当に言いながらも、それは半分は本当で半分は嘘だった。
本当に懲りたのはそう。
あれ以来、シャイニートは杜撰な管理はしなくなった。
あれ以来、アルケミックマジシャンが自ら入ってくるまで玄関を開けることはなくなった。
あれ以来、荷物が届いても取りに行く時は細心の注意を払うようになった。
同時にあの日のこともなんとか乗り越えて、少しでもまともな生活に戻りたかったのだ。
反対は
「…………っ!」
視線を感じて辺りを見回す。疎らな人々が歩いているくらいで、せいぜい魔導雑貨商人がアルケミックへ叩き売りをしているくらいだった。
家に一人でいたくなかった。最近になって湧いてきた不安感からか、シャイニートは度々視線を感じるようになっていたのだ。
故に、人嫌いであるはずなのにアルケミックとわざわざ買い物に出てかけているのである。
(気のせい気のせい……うんうん……)
たぶんもう来ないはず。願望に似たそれを懐きながら、シャイニートは魔導雑貨商人にさらなる値切りを始めたアルケミックを「恥ずかしいからやめて」と止めに行く。
しかし気付かなかった。彼女が注目もしなかった路地裏から、再び覗き出すその双眸を。
もはや日常とでも言うべきだろうか。アルケミック・マジシャンが足しげくシャイニート・マジシャンの家に通ってきては、彼女の怠け癖を治そうとするのは。
その日もアルケミックはシャイニートの家を訪れて、だらけ続けている彼女を叩き起こして世話を焼いていた。貯まった洗濯物とか、食い散らかした保存食とか、その他諸々を働きもせずにだらけているシャイニートを起こしてそれらを一緒に片付けさせる。
やっと一息つける頃にはすでに昼をとっくに過ぎている。「一人暮らしなのに、普段からやらなきゃいけないことをやらずにだらけてるからこうなるのよ!」というありがたいお説教もくらい、適当に駄弁って夕方になる頃にアルケミックは帰ることになった。
その折に
「ねぇ、シャイニート。前々から思ってたことがあるんだけどさ」
「えぇ……まだなんかあんの?」
げんなりした様子で聞き返すシャイニート。あからさまに嫌そうな顔をするが、アルケミックは無視して言った。
「私は女だから問題ないけど、部屋着くらいはまともにしときなさいよね!アンタがいくら外に出るつもりがないからって、下着姿で過ごしたりタンクトップ一丁とかはやめなさい!」
アルケミックが言う通り、彼女が来てすぐのシャイニートはブラジャーも着けずにタンクトップを着ているだけという、とんでもない格好をしていた。もはやラフどころではない。
「えー、だってあれが楽だもん。洗うの面倒臭いし」
「あのね、ここがいくら町外れで私以外ほとんど来る人がいないからって、もし来客があったらどうすんのよ?」
「もしもなにも、こんなとこ誰も来ないんだし、アンタくらいしか来る物好きいないよでしょ。たまーにアカシックが来るくらいだし」
引きこもりであるシャイニートは基本的に二人の友人以外とは滅多に交流しない。というか基本的に他人との交流が大の苦手で、だからこそこんな辺鄙なところに住んでいるまである。
定期的に食料などが入った物資が届くが、それも置き配にしてもらうほどには誰かと顔を合わせることがない。
「……正直私らとしてもあの格好は目のやり場に困るしどうにかしてほしいんだけど……はぁ、もう好きになさい、それで後で泣きを見ても知らないわよ?」
「こーゆーのはラフなのが一番だし」
もう一度呆れたようなタメ息。頭抱えながらも別れを告げて帰っていくアルケミックを、シャイニートはひらひら手を振りながら見送った。
と、思い出したようにアルケミックが離れたところから叫ぶ。
「――あっ、今日干した洗濯物はちゃんと家に入れときなさいよー!もう乾いてるはずだからねー!」
「あー!もう、わかってるってば!」
アンタはオカンか!なんて思いながらシャイニートは返事を返す。正直なところ忘れかけていたのだが、こういう時は彼女は都合が良いタイプだった。
やがて帰っていく友人を見送ったあと、シャイニートは言われた通りに洗濯物を取り込みにいく。
さすがに怠け者の彼女でもそれくらいはするのだ。
「あー、もう面倒くさい……ん?」
ブツクサ言いながらも洗濯物を取り込んでいたシャイニートは、ふと違和感に気が付いた。
(下着も洗ったと思うんだけど……)
間違いがなければパンツやブラジャーも洗っていた気がする。数え間違いか、それとも動物の仕業か、はたまた別の何かか。
少しだけ考えたシャイニートだったが、
「ま、いっか。たぶん勘違いね」
アルケミックに洗って干してもらったので、シャイニート自身は特にどれを洗ったとかはよく覚えていない。
さらに服に頓着しないシャイニートは、下着に好みとかも考えたことがないし、わざわざ覚えてもいなかった。ほぼ着心地最優先だ。
どうせ気のせいだし、どっかのゴミの下にでも埋まっているのだろう。探すのも面倒臭いし、今度の物資には下着でも頼んでおくか。なんて考えつつ洗濯物を抱えて家に入っていった。
後に彼女はこの時の判断と、少し前の発言を大きく後悔することになる。
○ ○ ○
「――うにゅ?」
シャイニートは基本的に朝は惰眠を貪っている。適当にゴロゴロしながら、二度寝にふけるのが最高の贅沢だと彼女は本気で思っている。そんな彼女がいつも起きるにはずっと早い時間に目を覚ましてしまった。
その理由がいきなり鳴り始めたけたたましい呼び鈴である。
「うっさ……なに?こんな朝早くから?」
朝早くとはいうが、常人がとっくに起きて活動している時間なのは明記しておく。
欠伸をかきながら、眠い目を擦って玄関まで歩いていく。この時、彼女は「どうせアルケミックがなんか忘れ物でもして取りに来たんだろう」なんてボンヤリ考えていた。
「はいはい、今開けるから」
今のシャイニートは短パンに肌着という寝間着そのままの格好だが、アルケミック辺りは見慣れた格好のはずだ。
玄関ドアの鍵を開け、ドアノブを捻ったところでふと気づいた。
(……ん、そういえばアルケミックは鍵持ってたような)
と気付いたところでもう遅く、ドアを開ける手が止まることはない。ギィと軋んだ音を立てて開くドアは、やがて来訪者の姿をさらけ出した。
「………………え?」
そこに立っていたのは見知らぬ男だった。
赤の他人に免疫がないゆえに思わずフリーズするシャイニート。次いで今の自分の格好を思い出し、それを異性に晒してしまったという事実にさらにフリーズする。
数秒間ほど硬直している間に、男の目線が彼女の身体をじっくり見つめていたのだが、それに気付ける余裕すらない。
「!?!?!!!??」
声にならない叫びを上げて、シャイニートは慌てて玄関ドアを閉めた。かと思われたが、それよりも男の足が割って入り閉めきることを阻害されてしまう。それどころか隙間から差し込まれた手が、シャイニートの脆弱な抵抗など無視してドアを抉じ開けてしまった。
「な、なに!?なんなの!?でてってよ!」
距離を取るように扉から離れていくシャイニート。その間にも男は家に侵入を果たしてしまった。
試作品の魔法薬やトゲトゲ神印の殺虫スプレーを構えて抵抗の態度を取るシャイニートだが、その様子は怯え震える少女と変わらない。それもそうだ。家に引き籠もるようになったのも、知り合い以外との対話や交流がまともにできないが故だった。突如来訪した不審者に、そんな彼女が冷静に対処できるわけもない。
「それ以上、ちっ、近寄ってきたらこれぶっかけてやるからっ!」
実のところ魔法薬の効果が何だったのかなんて覚えていない。強盗ならとにかくハッタリにでも何にでもなればと手を伸ばしたのがそれだっただけだ。
しかし男はそれを見ても動じる様子はない。一歩、また一歩と突き進んでくるその男は、まるで舐め回すかのような目つきでシャイニートを見つめている。とうとう気持ちの悪さにたまらなくなって、シャイニート男へ向けて殺虫スプレーのボタン押し込んだ。
ぷしゅぅ……という気の抜けた音。
「なっ、ええっ!?」
気の抜けた空気の抜ける音しか出さないスプレー缶。そこになってから思い出す。この殺虫スプレーは先日黒光りするGを退治するのに使いきって空になっていたことを。
そのついでに思い出してしまう。魔法薬の中身がただの植物の成長促進剤であることを。
(やばっ、これどっちも武器にならないっ!?)
手に持ったものがことごとく武器にならない事実に固まるシャイニート。そんな隙を男が見逃すわけもない。伸びできた太い男の腕は、運動不足で細っこいシャイニートの腕をいともたやすく掴み上げてしまう。もはや抵抗もできないシャイニートはそのまま玄関に押し倒されることとなった。
「やだっ、離してぇっ!」
泣きながら抵抗しようとするが、普段からずっとだらけている彼女の腕力で大の男に敵うわけもない。
「いっ……いやっ……」
男は躊躇いもなくシャイニートの肌着を捲り上げた。面倒臭がってブラすらしてなかったせいで、小振りながらも形の良い乳房がそれだけで露わになってしまう。
マジマジと見つめる男に対し、シャイニートはただひたすら時が過ぎるのを待つことしかできない。やがて男がシャイニートの乳房にむしゃぶりついてきても、それ以外のことができない。
「…………っ」
シャイニートの小振りな乳に吸い付く男の唇。緊張で汗ばんできていたせいか、男は汗を舐め取るようにぐちゅぐちゅと水音を立てて肌に吸い付く。
空いた方は左手で揉みしだき、柔らかい胸の感触を楽しんでいるかのようだった。
(キモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいぃぃぃぃぃいいいいいいいっっ)
シャイニートは目尻に涙を溜めながら、心の中で絶叫する。声にだせなかったのは恐怖のせいか、はたまた叫べば何をされるかがわからない警戒によるものか。
涙目で耐え忍ぶしかできないシャイニートに男は気を良くしたのか、今度はその口をシャイニートの唇へ近付け始めた。
何をするつもりなのか、すぐに理解するシャイニートだが拒絶する間もなく男の口がシャイニートのモノに吸い付く。
「ん゛んぅ〜〜〜〜!??!?!」
一切躊躇のない口付け。名も知らぬ男に無理やりファーストキスを奪われたシャイニートは目を見開き、涙を浮かべながら震えることしかできない。
男は我が物顔で舌を無理やり捩じこむと、汚い水音を鳴らしながらシャイニートの口内を蹂躙していく。
呼吸の暇すら与えないディープキスは、やがてシャイニートの気力を奪ってしまった。
「あ、ぅ……さい、あく……」
やっと解放されて溢れた罵倒は男を止めるどころか、さらにその欲望を加速させるだけ。さらに踏み込んでくる。
(どこみて……)
男の視線が下半身に向いていることに気付いたシャイニートは顔を青くするが、抵抗する間もなく遠慮も欠片もない手が短パンを力任せに引き降ろしてしまう。
「ひっ」
曝け出される女性の象徴。毛の感触が気持ち悪いからと、最低限の手入れはしていたせいで惜しげもなくさらされた秘部は、名も知らぬ男に晒されることとなった。
「い、いやっ……」
慌てて隠そうと手を伸ばすシャイニートだったが、男は容易くその細腕を取り出した手錠で拘束する。
ガチャガチャと半泣きで外そうとするシャイニートだったが、外れるわけもなく男は次の行動へと移った。
「やっ……!やめてってばっ……んんぅっ!」
曝け出されたシャイニートの秘部に男が顔を近づけていく。間近でしげしげと眺めつつ、男は舌なめずりをするとあろうことかシャイニートの秘部に口付けを始めた。
クンニという行為は知っていたシャイニートだが、実際にされるなんて考えたこともなかっただろう。しかも好意どころか知り合いですらない初対面の男に。
「くひっ……やめてっ!こらっ……ひぅんっ……」
生暖かく唾液で濡れた舌でちゅるちゅるとデリケートゾーンを舐め回される不快感。
それだけで目尻に涙を溜めて嫌がるシャイニートだが、男は決してやめることなく続けていく。舌で無理やり膣肉を抉じ開けて中を直接舐められれば、未経験だったシャイニートも思わず腰をくねらせた。
「あっ……もういやっ!やめてよっ……ひぐうっっ!」
舌をグリグリとドリルのように蠢かせながら、刺激されシャイニートは口をパクパクと開閉させた。
不快なはずなのに未知の感覚に翻弄させられて、底知れない恐怖を抱いていく。
やがて、男が口を離した時にはもう抵抗の気力すら奪い切られていた。
「やめ、て……もう許して」
シャイニートは震えながら許しを請うが、男は当然のように止まることはない。ズボンを下げて取り出すのは剛直した肉の棒。それを唾液で無理やり濡らされたシャイニートの秘部に擦り上げていく。
「やめて……むり……絶対そんなの入んないって……」
シャイニートは何をするのかをすぐに察して、ふるふると首を振りながら必死に懇願した。自堕落で、気怠げでな彼女とて、こんな形でハジメテを迎えることは受け入れ難かった。
しかし男は止まらずに、腰を前に進めていく。
「いぎっ……やめっ……あっ、ああっ……」
ミチミチミチミチ……と肉を割り開く激痛がシャイニートを襲う。初めて受け入れるこの雄は、シャイニートにはあまりにも大きすぎたのだ。
シャイニートの下腹部を歪に膨らませながら突き入れられた肉棒が、限界まで入った頃にはシャイニートは放心状態となっていた。
「あ゛ぐっ……いだいっ、からっ……やめっ……」
そんな本心状態を覚ますように、男は強引に腰を前後させていく。広げられたばかりの膣はシャイニートに激痛を齎すばかりで、気絶することも許さずに蹂躙していった。
「こんな、ことならっ……ちゃんと……しておくべきだったっ……うぐっ……ひっく……」
涙の膜で視界は歪み、零れ出る嗚咽は後悔が入り混じる。アルケミックの言うとおりにまともに暮らしていればこうはならなかったかもしれない。そう考えるとシャイニートは涙が止まらない。
男はそれが煩わしいのか、さらに腰を強く打付けていく。
「あぐっ……あっ……あぎっ……むりっ……こわれ……」
シャイニートはもはや人形のようにがくんがくんと首を揺らすことしかできない。
それが一際激しくなってきた時、シャイニートは膣内を暴れまわる肉棒のさらなる膨張を感じ取った。すぐに何の合図なのかを悟って顔を青くするシャイニート。
「やめっ……だすなっ……やだっ……ひぎっ……やだあっ……」
こんな男の精が、己の中に放たれようとしている。その事実にシャイニートは必死に抵抗するが、あまりにも非力なそれは男を止めれるはずもない。
一段と強く突きこまれた時、怒張した肉棒が脈打った。
「あ゛ッ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッ!!」
大量に放出される精液。それはシャイニートの膣内から逆流して、結合部から血混じりのモノが噴き出すほどだった。
最後の一滴まで吐き出さんとする男は、グリグリと先端を最奥に押し付けながら捻り出していく。
「う゛……アぁ……うそ……」
放心状態のシャイニートは、男が捻り出そうと腰を揺らすたびに人形のように揺らされる。
もはや精神も体も限界で動けず、されるがままなのだ。同時にやっとこれで終わると、脱力しながらも希望に縋るシャイニート。
しかし
「あ……やだ……もう終わってよ……」
男の手がシャイニートを離すことはない。さらに膣内に入ったまま膨らんでいく男の象徴。
悪夢が終わらないことを悟ったシャイニートへ、男の欲望が再度襲いかかった。
◯◯◯
「あ゛っ……う゛ぇっ……あ゛あ゛っ……♡」
あれから数時間が経過しても男はシャイニートを犯し続けている。犯され続けたシャイニートは途中で飲まされた薬のせいで前後不覚の有様で、その瞳には快楽によがる熱に浮かされていた。
「あ゛っ……♡いあ゛っ……もう……やあ゛っ♡」
ベッドをミシミシと揺らす勢いで、シャイニートの中を蹂躙する男の怒張。シャイニートが力なく伏しても男は許さずに後ろから玩具のごとく犯していく。
最悪の気分なのに無理矢理齎される快楽はシャイニートの正気を著しく削り、男の欲望への抵抗も失せさせていた。
「はぁはぁっ……♡あ゛うっ……い゛うっ♡」
しばらく前に、シャイニートが仕事で作ったそれは強力な媚薬効果を齎すポーション。それは凄まじい精力と体力をもたらすが、それに比例するように暴力的な快楽を生んでしまうというもの。
それを飲まされてしまったシャイニートはどれだけ嫌がったとしても、どれだけ不快だとしても、どれだけ絶望したとしても、男の強引な欲望に感じさせられてしまうのだ。
「こしぃっ……とまっでぇっ……♡やだっ……のにぃ゛っ……♡」
男も一方的に犯すのは飽きたのか、今度は自らが下になりシャイニートにマウントを取らせた。そのまま腰がを突き上げつつ、徐々に快楽を求めて腰を振ってしまう女を眺めている。
当のシャイニートはやめたくて仕方がないのに、やめることができない絶望に泣きじゃくりながら腰を振ることしかできなかった。
……………
…………
……
「う゛……ぁ゛……」
その後、夜まで犯され抜いたシャイニートに男は告げる。
内容は単純に、『この日のことは他言無用。もし他言すれば大事な友人も巻き込むものと思え』と付け加えて『またくるね』と。
力なく動けなかったシャイニートは、それを静かに聞きながら泣くことしかできなかった。
◯◯◯
「――――どうしたの?」
「え?」
そんな声に慌てて振り向くと、不思議そうな顔をしたアルケミックの姿が目に入った。
自分が今日は彼女と買い物に出ていたのだと思い出したシャイニートは、取り繕うに言葉を濁す。
「な、なんでもない」
あれから数週間が経つが、今のところは男が現れることはなかった。幸いにもすぐに避妊は出来たため、最悪の最悪の自体も防げていた。
それなのにシャイニートは時折あの日を思い出して固まってしまうのだ。
「しかし、アンタが外に出るようになるなんてねー」
「ま、アタシだって反省したってことさね」
適当に言いながらも、それは半分は本当で半分は嘘だった。
本当に懲りたのはそう。
あれ以来、シャイニートは杜撰な管理はしなくなった。
あれ以来、アルケミックマジシャンが自ら入ってくるまで玄関を開けることはなくなった。
あれ以来、荷物が届いても取りに行く時は細心の注意を払うようになった。
同時にあの日のこともなんとか乗り越えて、少しでもまともな生活に戻りたかったのだ。
反対は
「…………っ!」
視線を感じて辺りを見回す。疎らな人々が歩いているくらいで、せいぜい魔導雑貨商人がアルケミックへ叩き売りをしているくらいだった。
家に一人でいたくなかった。最近になって湧いてきた不安感からか、シャイニートは度々視線を感じるようになっていたのだ。
故に、人嫌いであるはずなのにアルケミックとわざわざ買い物に出てかけているのである。
(気のせい気のせい……うんうん……)
たぶんもう来ないはず。願望に似たそれを懐きながら、シャイニートは魔導雑貨商人にさらなる値切りを始めたアルケミックを「恥ずかしいからやめて」と止めに行く。
しかし気付かなかった。彼女が注目もしなかった路地裏から、再び覗き出すその双眸を。
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