女神の涙(2)〜見つかったかけら 8

博識アシッドリック・ガットスプリッターによって再発見・再編された世界の歴史第8巻。
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著者アシッドリック・ガットスプリッター

「去れ!立ち去れジャウル!2の月が始まったのだぞ。私の前に現れるな、そして二度と2の月の邪魔をするな!お前の血を大切な木の樹液に混ぜたくはない…」シルヴォッスの呻るような声が響く。ジャウルは起き上がり、よろめきながら南へと逃れていった。



 同じ頃、サクリエールを迎えるための神々の集会が開かれていた。「彼女が一体何をしたって言うんだ!?ここへ迎え入れるなんて!」ルシュが叫んだ。「ルシュ、お前だって分かっているだろう。彼女には忠実な信者がたくさんいるんだよ。」イオップが応え、そして加えた。「そして、その数は日に日に増えている。」

 「証拠がないじゃないか!彼女はこの場所にはふさわしくない。私には分かる!」無表情のままの女神を指差し、ルシュが叫んだ。

 「証拠なんかいらないよ。」再びイオップが答えた。さらにもう一言加えようとしたとき、サクリエールが神聖な時計を手に取った。

彼女はまるで信託をするときのようにそれに触れた。その時計で毎秒刻まれるのは、世界中の命のつぶやき…。彼女も、そしてその他の神々も、アマクナの人々の苦しみと恐怖を聞いた。彼らは狂わしいほどの恐怖に苦しんでいる。わき上がるうめき声のコーラスの中で、神々はしかし、柔らかく低い、落ち着いた音を聞いた。人々を哀れんだ女神の頬に一粒の涙が伝い、神聖な時計の上に落ちた。涙は時計の歯車の中に吸い込まれ、時間をむさぼるカエルの上にすべり落ちた。驚いて鳴くカエル。突如、時計が生き生きと動き出した。時と空間、過去と現在が交錯する…。


 その瞬間、ゼロールは預言した。いがみ合う二つの街、ボンタとブラクマールは戦いの中で滅びるだろう。そして女神の涙により、二つの街は歴史の中で生まれ変わるだろう。ゼロールはこのとき時間をいじらなかった。それはこの二つの街に与えられた二度目のチャンスだった。ルシュははじめ茫然としていたが、やがて大きな微笑みを浮かべた。満足そうな微笑み。そして足早に会議の場を去った。10の世界はこうして、11の世界になった。
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