dofus図書館

　何も分からない。あらゆる方面から考えてみたが、それでもやっぱりおかしい。エムルーブから飛び降りて、本当の世界へやってきたはずだったのだ。オマエが今から何年も前に、私たちから奪ったあの場所に...。
　しかしそれにしても、この旋風...この村の霧の中で渦巻く...私は息を吸い込む...そして自分が荒涼とした地面の上にいることに気が付く...氷の上に寝そべったまま...
　キミはいったいこの世界に何をしたんだ、バルタザール？どうしてここへやってきて、説明してくれないんだい？

　まただ...同じことの繰り返し...それにしても、彼は結局私に何を望んでいるのだろうか？私は彼の機械を手にし、必死で研究したけれども、何も出来なかった...。シドなら何か出来たはずだ...でも私は...何の役にも立たない。
　この機械は危険だ。血も凍ってしまうほどに。
　伯爵は私をサカイと呼ばれる島へ送り出した...今では使われなくなった炭鉱のある島だ...ここで待つようにと言われた...伯爵は、私はあまりに優れているために、悪意を持った人々が私の力を欲しがっていると考えているのだ...。
　罠にはまってしまったような気がする...。
　それに加えてこの不潔な「ゴブリン」にはもううんざりだ！
　すごく寒い...この忌々しい機械...そしてこの痛み...バルタザール、私がどれだけオマエに会いたいと思っているか、オマエは知っているだろうか...。
そう、もう一度会って、オマエを消し去ってしまいたい...


　妙な気分だ...これらの記憶...ついに私は女神のことを思い出した...キミは彼女の場所を奪った。私たちの父になるような振りをして...しかしキミはただの詐欺師に過ぎない！
　何もかもはっきりした。
　この世界には人が住んでいたことが分かった。この、「フリゴスト」という地域の住民たちにさえ会ったのだ。
　神々は存在する。私は彼らの国にいる。12の神々の世界！そこにはたくさんの信者がいる...全員が利口というわけではないが。イオップという名の剣の使い手。長髪のサディダ。金目のものの前では目を輝かせる小人たち、エヌトロフ。
　最近、ゼロールの信者に出会った。彼は少し変わっている。時間を操ることが出来るのだ...彼なら、私の状況が理解出来るかもしれない...家に帰る手助けをしてくれるだろう。おそらく...。

　ああそうさバルタザール...私はオマエのことを忘れたりはしていない。我々には、ケリをつけなくてはならないことがあるのだから。<


　ゼロールは「ハルブルグ伯」と名乗った...どうやら重要な人物のような気がする。
　伯爵はこの世界をよく知っている。私も少しずつ学んではいるが、全てをきちんと理解するのは大変だ。
　伯爵を信用していいのか分からない。彼は私が他の次元からやって来たと考えている。だが、それは本当だろうか？
　伯爵は私に、彼の発明の話をした。時間を操る機械の話だ。彼はそれを「おもちゃ」と呼び、私にはその修理が出来ると言ってきた。彼にとって、私は「4次元空間において理解できなかった部分を繋げてくれる鎖」のようなものなのだそうだ。私には全く訳の分からない話だが、彼はもし私が手助けをすれば、私を自分の世界へ戻してくれると約束してくれた。実際のところ、家に帰りたいのであれば、選択肢はそれほどないのだ...。
　その後も、記憶は度々ふいに蘇る...。


　私は正しかった！
　見たか、ドラゴンよ。私は世界の境界を超えたのだ...そう書いてあった通り、霧の旋風が私を呼んだ...エムルーブを飛んだのだ。
　その日から、私はこの氷の世界で答えを探している。ここは寒く、何もない世界だ。しかし、私は自由なのだ...そう、ついに。
　そしてオマエからも遠く離れたところにいる。