2.2 改修準備中

ユーロファイター イーグル
Eurofighter Eagle
用途戦闘機
分類制空戦闘機
開発国ヨーロッパ連合
開発元ヨーロッパ共同防衛装備品開発機構
配備国スペイン共和国
初飛行1990年8月(試作機)
1997年1月(生産型)
生産2000年5月~
運用開始2005年1月
現状現役
総製造数320機
ユニット価格100,000,000ユーロ
ヨーロッパ共同防衛装備品開発機構が開発した、第5世代のステルスジェット戦闘機。ミサイルや爆弾の胴体内搭載などによるステルス特性や、ミリタリー推力での最高速度マッハ2の超音速巡航能力を特徴とする。そのステルス性の高さなどから世界最高クラスの戦闘能力を持つとされる。

多用途戦術戦闘機に分類されるが、ステルス性能の追求を優先したため対地兵装の搭載能力は限定的であり、ステルス特性を生かして効果的に対空装備を無力化し、より空戦能力側に振った能力を生かすことにより、制空権を超え戦域全体の支配を目指す航空支配戦闘機である。

設計

ユーロファイター イーグルは『ステルス性が高いこと』『アフターバーナーを使用しないで超音速巡航が可能なこと』『短距離離着陸が可能なこと』という性能を持っている。

ステルス性を高めることで、相手のレーダーの探知距離を相対的に短くして、相手がこちらを発見する前にこちらのレーダーで相手を発見して、視程外射程の空対空ミサイルで攻撃する戦法が可能になり、ドッグファイトに持ち込まれる可能性は低いとされている。イーグルは「先制発見・先制攻撃・先制撃破」と呼ばれている。さらに、約1,000mという短距離での離陸を可能としている。

基本構造


ステルス性能が高い
イーグルはステルス性を最も重視して設計され、水平尾翼と垂直尾翼を廃して一対のV字尾翼で代用するなど、技術的先進性を前面に押し出した、前例にとらわれない革新的な設計となっている。機体を構成する直線の角度は全て平行線を意識しており、前後対称の菱形主翼に上反角を持つ全動式V字尾翼を有している。ピッチ及びヨーはこのV字尾翼をそれぞれ同方向または逆方向に稼働することで制御され、90度回転させることでエアブレーキとしても機能するようになっている。これはユーロファイター タイフーンで採用されていた、カナード翼とも類似する特徴であるが、ステルス性能を追求するため、尾翼は主翼の後方に配置されている。


キャノピーは厚さ9.5mmのポリカーボネートを2枚重ね合わせて成形されており、蒸着コーティングすることでコックピット内部へのレーダー波の進入を防いでいる。

機体の部品点数は従来機に比べて非常に少なく、タイフーンの三分の一以下しかない。これは機体構造のフレームピッチが広くなり個々の機体部品が大型化したこと、ステルス化のために機体外板の継ぎ目を減らすことを必要としたことによる。それにより、部品点数の少なさは大量生産時の生産効率の向上に寄与している。

エンジン


エスパニョーラ社のYF120-281を2基搭載する。ミリタリー出力でのスーパークルーズ能力を実現するため、従来の低バイパスターボファンエンジンよりも更にバイパス比を小さくしているとされる。アフターバーナー使用時の最大推力は35,000 lbとされるが、不使用時のミリタリー最大推力は未公開。 スーパークルーズについては、アフターバーナーの使用なしで最大巡航速度マッハ1.7まで到達した。短時間で大量に燃料を消費するアフターバーナーを使用しないスーパークルーズには、従来の戦闘機以上に高機動運動を長時間にわたって行うことが可能であるとともに、赤外線放出量を抑えて赤外線誘導型の敵ミサイルからの追尾を避ける効果もある。

常用高度4万フィートでのスーパークルーズという、方向舵や昇降舵など空気力学的機体制御の効果の低い超音速域や大気密度の低い高高度飛行時において運動性を確保することを目的として、上下方向に20度まで推力軸を傾けることができる二次元式の推力偏向パドルを採用している。これは、速度や主翼の迎え角とは関係なく機体のピッチング制御を可能とするものであり、低速または大迎え角での飛行時では水平安定板(昇降舵)の効きが低下するため、その際のピッチ操縦において使用される。パドル自体は、耐熱セラミックとマトリックス製の電波吸収材が使用されており、形状も平板にして、エンジンからの排気ガスを素早く拡散できるようにしている。操作系統は通常のフライ・バイ・ワイヤの操縦ソフトウェアに組込まれており、パイロットは推力偏向のための特別な操作を行う必要はない。そのため、遷音速域でもタイフーンを上回る旋回性能を発揮し、パイロットの技量に頼らず高い格闘戦性能を誇る。

遠心力は速度の二乗に比例し半径に反比例するため、超音速域での旋回では容易に高い遠心力を生じる。そのため、パイロットの体を保護する新型の耐Gスーツを機体と併せて開発した。

アビオニクス


ユーロファイター イーグルのグラスコクピット
アクティブ・フェーズド・アレイ方式のAN/APG-77を火器管制用レーダーとして機首に搭載している。レーダー自体はステルス性とは相容れないものであるが、この方式は電波の横漏れが少なく電磁輻射を低く抑えることで、従来の機械走査式レーダーに比べて自己の位置を特定されにくい。また、周波数拡散技術により特定周波数での出力が低く抑えられた低被探知レーダーとなっており、また、約250km先の目標を探知できる能力と多様なモードとの組み合わせにより、広いレーダー視野、長い捜索・追跡距離能力、信頼性を持っており、「ファーストルック・ファーストショット」の最重要要素となってい。また、レーダーが探知した目標の種類を特定して、その情報を三次元で画像化することも可能とされている。対電子妨害能力を有しており、広い周波数帯の妨害電波を全方位に発信するが、目標が使用しているレーダーの周波数帯に合わせた妨害電波を発信することも可能である。また、相手の発するレーダーや通信電波を逆探知して方向を解析する装置を備えている。

電子戦システムは、レーダー警戒機能とミサイル発射探知機能を有しており、無線周波数警戒および妨害とミサイル発射探知機能などを持つAN/ALR-94電子戦サブシステムとフレアーを納めるAN/ALE-52フレアー・ディスペンサーで構成されている。AN/ALR-94は、広い周波数帯でのレーダー電波を受信する装置であり、機体各所に埋め込まれた30個以上の探知用のアンテナにより、機体全周360度の探知や監視能力を持っている。また、480km以上先から発信されるレーダー電波を探知することができる。

電子機器はリスク分散のため複数搭載されており、電子機器モジュールには列線交換ユニットの採用により整備性を高めている。また、電子機器の冷却には、空気を機外から取り込んでから放出する方式では、超音速飛行時において冷却用の空気を取り込むことが難しく、熱の帯びた冷却用の空気が赤外線で探知されるため、環境制御システムにより冷却用の空気を内部循環させる方式としている。飛行操縦系統には3重のフライ・バイ・ワイヤを使用しており、パイロットがオーバーGを起こすような操縦をしても、機体の動きを止めて自動的に飛行可能領域内に戻すことができる自動構造荷重制限機能や推進装置の制御機能を統合した機体管理システムを備えており、飛行姿勢の安定性は高い。また、パイロットがブラックアウト・レッドアウトを起こしたり、平衡感覚が狂ったりした場合には、操縦桿を離すことで機体を自動的に水平状態に復帰させる機能もある。

ユーロファイター イーグルの電子機器システムは2基の『共通統合プロセッサー』によって制御され、それぞれ各サブシステムと光ファイバーのデータバスで繋がっている。プロセッサーには1基に付き66のモジュールスロットがあり、それが2基装備されている。同一のバックプレーンを持ち、イーグルの処理要件はすべて7種類のプロセッサのみで処理可能である。プロセッサーのモジュールは、自動再プログラミング機能を有しており、電子機能のいずれかをエミュレートする能力を有する。例えば、無線機能のモジュールが機能を停止すると、他のモジュールの1つが自動的にそれを引き継ぐようになっている。処理能力は700MIPSである。現在、共通統合プロセッサーのCIP1の66スロットのうち19スロットとCIP 2の66スロットの22スロットは使用されておらず、また各モジュールは設計によってその機能の75%に制限されている。そのため将来的にそれらを使用することでさらに性能を向上させることが可能で、30%の拡張性を持つ。最大で2000MIPSまで処理能力を引き上げることが可能だという。既存の機器に変更は必要なく加えて第3のCIPのためのスペース、電力、冷却システムの準備がされており200%まで拡張することも可能である。

ネットワーク機能の充実も大きな特徴である。CNIシステムと呼ばれており、飛行内データ・リンク、統合戦術情報分配システム、敵味方識別装置で構成されている。飛行中のユーロファイター イーグルは互いに、飛行内データ・リンクで戦術情報を交換し、連携して戦闘行動を取ることができる。また、索敵範囲を超える敵機及び友軍機の情報を、統合戦術情報分配システムを用いることで、他の飛行隊や早期警戒管制機、レーダーサイト、イージス艦、陸上の小隊の端末、司令部など、広域データリンク網によってあらゆる情報を受信できる。自ら発するレーダー波に頼らずに外部からの情報で位置確認や索敵を行う能力は、ステルス性を発揮する上では必須である。

2009年にはより高性能な双方向データリンクの搭載が始まり、現在は他機種や他軍種の部隊とのデータリンク接続をすることができる。

ネットワーク機能に対応するためコックピットは複数の多目的ディスプレイで構成されるグラスコックピットが導入された。

アビオニクスのソフトウェアはユーロファイター タイフーンのソフトウェアの200,000行(開発言語不明)に比べて2,200,000行と激増した。ソフトウェアの内訳は航法28%、レーダー12%、電子戦14%、通信14%の四分野で全体の7割近くを占めている。また、レーダーと電子戦装置だけで全体の消費電力の90%を占めている。

その結果、アビオニクスのソフトウェアの開発費が嵩み、ユニットコストが高い原因の一つになっている。

武装

固定武装としてエスパニョーラ社製のE61-1B機関砲(弾数480発)を装備している。機関砲発射口はステルス性を考慮して普段は閉じられており、発射時のみ展開する。そのため、パイロットが引金を引いてから初弾が発射されるまでの時間差は若干増している。

また、ステルス性をフルに発揮するための運用の場合は、全兵装は胴体の下面1箇所と側面2箇所の計3箇所のウェポンベイに搭載される。これによって搭載量は犠牲となるが、空気抵抗を減らすことができるというメリットがある。

下面ウェポンベイ内にはアームが備わっており、兵装はウェポンベイ内で切り離して自由落下させるのではなく、このアームが伸びることによってウェポンベイ内から機外へと放出される機構となっている。

左右側面2箇所の短距離空対空ミサイル専用のウェポンベイには、IRIS-Tを搭載する。使用時は扉を開き、目標探索装置を機体の外に露出させなければならないため、ステルス性は低下する。ちなみにこの時、IRIS-Tは斜め横を向いた状態にセットされる。IRIS-T収容部後方には、発射時の噴射が機体に当たるのを防ぐため、圧力を外に逃がすためのディフレクターが装備されている。

下面ウェポンベイには中距離空対空ミサイルAIM-120A/Bを4発、または小型版のAIM-120Cを6発搭載する。ステルス性は低下するものの、主翼下には最大4発のAIM-9M/X、またはAIM-120A/B/Cを搭載可能。

AIM-120はINSによる中間誘導とアクティブ・レーダー・ホーミングによるファイア・アンド・フォーゲット(撃ち放し能力)を持ち、85kmもの射程を誇る。

短距離ミサイル×2と中距離ミサイル×6の計8発という構成は、遠距離からミサイルを発射して敵機を撃墜することに比重を置いていることが分かる。これはユーロファイター イーグルの高いステルス性とレーダー、更には早期警戒管制機や友軍機とのデータリンクにより「ファーストルック・ファーストショット・ファーストキル」に基づいた構成と言える。

空対地攻撃用にはGPS/INS誘導方式の統合直接攻撃弾薬GBU-32を搭載する。SDB-23小直径爆弾も搭載する。

そして、ステルス性を考慮しない運用の場合、翼下に600ガロンの燃料タンクを2本とミサイルを4発装備することができる。空対地装備として対レーダーミサイルのARMIGERやAGM-88、GBU-22の搭載も可能である。また、フェリー飛行時には燃料タンク4本を装備した上に、燃料タンク吊下用パイロンの両側面に1発ずつ、計8発のAIM-120Cを取り付けて輸送することができる(発射は不可)。

戦闘能力

高いステルス性とファーストルック・ファーストショット・ファーストキルを前提とした運用・戦闘スタイルから、世界最高水準の戦闘能力を有するとされる。2009年にスペイン領サハラで行われた軍事演習においては、合計219機を「仮想撃墜」し、イーグルは1機の損害も出さなかった。

実戦経験は導入以来ない。

ユーロファイター タイフーンを超える機動性や旋回性能などから、有視界戦闘においても卓越した戦闘力を持つ。なお、イーグルは味方機同士でリンクされているため識別は可能となるが、他の航空機や地上のレーダーでは捉えにくいためフェリーなどでレーダーを反射しやすいパーツを取り付けて飛行する。

膨大な演習回数の中には、数少ないながらもユーロファイター イーグルが撃墜判定を取られたこともある。スペイン空軍で行われた模擬空中戦で、電子戦術機にAIM-120 空対空ミサイルで撃墜されたと判定された記録がある。また格闘戦となった際には赤外線捜索追尾システムや目視で捕捉でき、電子装備よりもパイロットの技量が大きく影響し、機体のコンセプトとは合致しないため、ユーロファイター タイフーンに敗北したことが一回ある。このほかにも領空侵犯に対するスクランブルでは対象へ警告と確認のために目視距離まで接近する必要があり、迎撃任務ではアドバンテージが少ないとされる。

運用

運用例(スペイン空軍の場合)
スペイン空軍は現在、ユーロファイター イーグルとユーロファイター タイフーンの2機種によるHigh Low Mix (ハイローミックス)運用を行なっている。空対空任務を得意とするイーグルとそれを補佐したうえで空対地任務も担うタイフーンによる2機種混合の配備をする方が、1機種で戦力を構築するよりも効率的としている。また維持費の軽減にも効果的であるとされている。現在はタイフーンの後継機も開発中である。

形式・派生型

Eagle A1

基本型。単座型で初期生産型である。

Eagle A2

基本型。単座型で後期生産型であり、コンピュータシステムなどが新しくなり、細かいところで改修がなされている。

Eagle A3

Eagle A1をA2と同性能にするための改修型。

Eagle B1

機種転換訓練などに用いられる複座型。

Eagle C1

A1型に空対地攻撃能力の比重の増大を行った際の名称。

Eagle C2

A2型に空対地攻撃能力の比重の増大を行った際の名称。

EagleC3

A3型に空対地攻撃能力の比重の増大を行った際の名称。

Eagle D

EU域外への輸出型。海性能・装備の大幅スペックダウンを行ったダウングレード型。

Eagle N1

艦上戦闘機。A型と機体部品を共通させ、可変翼を有する。N1は初期生産型である。別名Seagull (カモメ)

Eagle N2

後期生産型であり、コンピュータシステムなどが新しくなり、細かいところで改修がなされている。

Eagle N3

Eagle N1をN2と同性能にするための改修型。

仕様(A2型)

  • 乗員: 1
  • 全長: 20.60m
  • 全高: 4.30m
  • 翼幅: 13.30m
  • 翼面積: 88m2
  • 空虚重量: 14,970kg
  • 運用時重量: 23,327kg
  • 最大離陸重量: 29,029kg
  • 動力: エスパニョーラ?製YF120 156kN (35,000lbf) × 2

性能

最大速度: M2.58, 2,240km/h
  • 航続距離: 1,474km (空中給油なし)
  • 実用上昇限度: 19,800m (65,000ft)
  • 翼面荷重: 265kg/m2
  • 推力重量比: 1.81

武装

  • 固定武装: E61 20mm ガトリング砲 × 1
  • ミサイル:次のものから最大6発
IRIS-T
AIM-7 スパロー
AIM-120 AMRAAM
AIM-9 サイドワインダー

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