アイドルマスター シンデレラガールズに登場するアイドル「村上巴」のWikiです。

あらすじ

セリフ
アイドルとして、歌へ真摯に向き合おうとする肇。だが、形のない歌の表現は容易なことでなかった。そんな肇を、Pは陶芸体験へと誘う。土に触れ、Pと話すことで、自身を見つめ直していった肇。自身はまだ、あらかねの器。未完成でも自分らしく、心のまま歌っていこうと肇は決意するのだった。

本編

セリフ
━━61話 - Touch to Unseen
━━肇がアイドルになる前
過去の肇「その日まで……私は。夜行バスに乗ることはもちろん、ひとりで故郷の岡山から離れることも、ありませんでした。」
過去の肇「手荷物は、ほんの少しの着替えと……アイドル選抜オーディションの申し込み用紙。そして……。」
過去の肇「木箱に入った、手製の器。作った私自身のように……小さくて、地味な器……。」
肇「う、ううん……。」
こずえ「んー……?はじめ、おひるねー?」
こずえ「じゃあー、こずえもー。」
━━夢の中
夢の中の肇「……地味で、つまらない器しか作れない自分を変えるため。私は、知る限りで、一番華やかな場所を目指して……アイドルのオーディションを受けることにしました。でも……。」
夢の中の肇「……こ、ここが……新人アイドルの、オーディション会場……?」
夢の中のこずえ「いらっしゃーい。しんさはねー、おさかなつりだよー。」
夢の中の肇「えっ?ええぇっ……!?」
肇「わかり……ました……。12番、藤原肇……大物、釣ります……♪」
こずえ「がん……ばれー。……はじめー……。」
美穂「お疲れさまでーすっ……あれ?肇ちゃん、こずえちゃん?寝ちゃってる……?」
夢の中のこずえ「ふぁ……つぎはねー、あつさがまんたいけつ、だよー♪」
夢の中の肇「くぅ……あ、暑い……!でもこのくらい……窯の熱さを思えば!」
夢の中の美穂「私も、負けません!火の国の女ですからぁ〜っ!」
[お疲れさま]
〇〇P「……?」
美穂・肇「う、ぅぅん……。」「ふぅ、ふぅ……。」
こずえ「すやーすやー……。」
━━肇とこずえと美穂が、固まって寝ている。少し暑そうだ……
肇「うーん…………あ、あれ……?プロデューサーさん……?」
こずえ「ふわぁー……、……おはよぉー……♪」
美穂「……?あっ……!私、寝ちゃってました……!?」
[それはもう、ぐっすりと]
美穂「はぅ……自主レッスンをしようと思ってきたんですけど。ふたりとも、気持ち良さそうだったから……つい……。」
こずえ「おひるね、きもちよかたー。」
肇「元はと言えば……私がうっかり、居眠りしてしまったせいですね。すみません。」
美穂「ううん、居眠りなら私もよくしちゃうし。肇ちゃん、新曲のためにレッスンたくさんしてるもんね!えっと……『あらかねの器』っていう曲名だっけ。」
こずえ「あらかねー?」
肇「地面から掘り出したばかりの鉱石とか、金属とか、まだ練っていない土を指す言葉なんですよ。こずえちゃん。私も、曲をいただいてすぐに調べました。」
こずえ「へぇー。」
美穂「ふふっ。さすが肇ちゃん、熱心だね♪」
肇「ありがとうございます。……でも、肝心の中身のほうは、まだ思うように歌いこなせなくて。」
美穂「そうなんだ……難しい曲なのかな、。」
肇「確かに、難しくはあるんですが……それはつまり、私が至らないということでもあるんですよね。アイドルになる前に比べれば、上達はしていると思うんですが。」
こずえ「はじめー、まじめー。」
[肇なら、大丈夫]
肇「ふふ。ありがとうございます。任せてください、必ず形にしてみせます。プロデューサーさんが、くれた歌ですから……。」
━━帰り道
肇「(……とは、言ったものの……。まだ、私には……完成形が、見せそうにありません。)」
肇「(私という器は、果たして……この歌を受け止めるに、足りているのでしょうか……?)」
━━数日後
巴「なるほどなぁ。苦戦してるようじゃのう、肇よ。」
肇「……はい。悩んでいるうちに、『歌とは何か』って、考えるようになって。」
巴「じゃからこうして、うちをたずねて来たわけか。確かに、うちはちっさい時分から歌を習い覚えとるけぇな。」
肇「私は……きちんと歌を習ったのは、事務所に来てからで。だから、もしよければ聞かせてほしいです。巴ちゃんにとって、歌とはなんでしょう……?」
巴「うちがわかるのは、演歌じゃ。肇の求めてる答えかどうかはしらん。」
巴「じゃが、演歌っちゅうんは魂じゃ。うちはそう思っちょる。アイドルとしてうちらが歌う歌も、そこは同じじゃろ。」
肇「……魂。」
涼「よっ、ふたりとも。これからレッスンかい?」
巴「おう、涼の姉御!ちょうどええところに来たな。姉御もそう思うじゃろ?」
涼「んん?なんの話?」
涼「歌とは何か、か……。難しいコト考えるんだなぁ、肇って。」
肇「そうでしょうか?難しいというよりは……少しだけ、頭が固いみたいなんですよね。」
巴「ったく、しょうがないのぉ。涼の姉御、ハッキリ言ったれ。」
涼「うーん。歌……歌ね……。……巴みたく、スパッと言い切るのは難しいかな。」
巴「なんじゃ?らしくないのう。」
涼「アタシはさ、物心ついた頃から歌うのが好きで。バンドのボーカルやって、いろいろあってアイドルになって……今もまだ、歌い続けてて。」
涼「歌ってもんが、アタシ自身になってるからな。自分自身をハッキリ言い表すのって、難しいだろ?」
肇「……たしかに、そうですね。私も……何かを突き詰めて、追い求める最中は、それを言葉で言い表せなかったりしてしまいます。……でも……」
肇「自分自身……。それに、魂……。」
肇「……ありがとうございます、おふたりとも。まだ、はっきりと見えたわけではありませんが……手がかりをもらった気がします。」
涼「そっか?なら、いいんだけど。」
巴「にしても肇よ。ワレも変わったな。」
肇「えっ?」
巴「前はもっと、悩んどるときはズーンと落ち込む感じで、大丈夫なんかと思ったもんじゃが。今は悩んでても、どこか楽しそうじゃ。」
肇「そ、そうでしょうか?私としては、いつも通り……真剣に、丁寧に向き合おうとしているだけなんですが。」
涼「……肇はさ。歌うのって好きかい?」
肇「ええと……。……嫌いでは、ないと思います。」
涼「なら、いいんじゃないか?真剣なことと、楽しむことは両立するさ。むしろ、良い傾向じゃないかと思うけどな。」
巴「そうじゃのう。それに……さっきうちは歌は魂じゃと答えたが。その魂っちゅうんがなんなのか、言葉にしにくいのは、うちもそうじゃ。」
巴「じゃがの。実際に歌を通じてなら、いくらでも答えちゃる。ちょうどレッスン室も空いとるしの。どうじゃ?」
涼「えーっと……今からボーカルレッスンしよう、ってことかい?」
肇「ふふ。それならもちろん、喜んで。涼さんも、いかがですか?」
涼「そんな誘い方されちまったら、断れないね。聴かせてやるよ、ロックのソウルってやつをさ!」
━━帰り道
肇「(魂……。それは目に見えるものではありません。でも、手で触れられる陶芸であれば……少しくらいは、表現できるようになったかもしれないと思っています。)」
肇「(ですが歌は、手で触れることさえできないものです。もちろん、丁寧に歌うことも、情熱的に歌うこともできますが……それは果たして、魂をこめた表現と呼べるのでしょうか?)」
━━肇のオーディション時
過去の肇「えっ……アイドルになって表現したいもの、ですか……?それは……それは……まだ、わかりません。」
肇「最初のオーディションのとき。プロデューサーさんに、何を表現したいかと聞かれても……私は、答えることができませんでした。」
肇「でも……アイドルになって、悩むことへの取り組み方が変わったように。今の私は……あのときとは、変わってきているはず、です。」
━━翌日
肇「……もう、少し。あと少しで……何かが……。」
肇「……。」
[……]
美穂「ただいま戻りましたー……あれ?プロデューサーさん?どうしたんですか?」
こずえ「ぷはー。あったかーい。」
[ごちそうさま]
美穂「えへへ、お粗末さまです。熊本は球磨産の玉緑茶でした♪」
美穂「ところで……プロデューサーさん、さっきはどうしたんですか?肇ちゃんのこと、見てたみたいでしたけど……心配だったら、声を掛けてあげればよかったのに。」
[うん、でも……]
〇〇P「ただ声をかけるだけじゃ、ダメなんだ。肇は自分で答えを掴むことが大事だから。」
美穂「あぁ……肇ちゃんって、職人気質というか……頑固なところ、ありますからね。もちろん、そこがいいところなんですけど……。」
こずえ「んー……ぷろでゅーさー。それ、はじめがつくったゆのみー?」
[そうだよ]
美穂「へぇ……、ふふっ。肇ちゃんらしい、深みのある色の湯飲みですよね。」
[すごく手になじむんだ]
こずえ「はじめが、こころをこめてつくってー。ぷろでゅーさーが、たいせつにつかったからだねー。」
〇〇P「……!」
美穂「プロデューサーさん?どうかしたんですか?」
[ちょっと、出かけてくる!]
こずえ「いってらっしゃーい。」
[肇!]
肇「あっ……プロデューサーさん、お疲れさまです。どうか、したんですか?お仕事ですか?」
[ううん。息抜きに行こう]
肇「えっ……ええっ?」
━━陶芸教室前
店員「陶芸体験コーナー、ご予約おふたりさまですねー。お待ちしておりましたー。」
肇「と、陶芸体験……!都内でも、ロクロを回せるお店がいくつかあるのは知っていましたが……プロデューサーさんから誘ってもらえるなんて!」
肇「あっ、手びねりもできるんですね♪わぁっ、あっちにあるのは新しい型の電動ロクロ……!?」
店員「……あ、あの、お客さま?」
肇「……はっ!すみません、私ったら興奮してしまって。ですが、またとない好機ですし……今日はプロデューサーさんに陶芸の魅力をたくさん感じていただかなくては……!」
━━肇に一から教えてもらいつつ、陶芸を楽しんだ……
━━陶芸体験終了後
肇「ふぅっ……本当に、素敵な時間でした……♪」
肇「最近、故郷に帰っていないこともあって、土の感触が恋しかったんです。窯焚きまで面倒を見てあげられないのは残念ですが……。」
肇「なにより、プロデューサーさんも陶芸の素晴らしさに目覚めはじめてくれているみたいで。とってもうれしいですね……♪」
[肇のおかげだよ]
肇「あ……。そっか……。……そう、ですよね……。」
肇「曲だとか、ユニットだとか。プロデューサーさんからは……私、もらってばかりだと。そう思っていたんですけど……。」
[肇がくれた器、大切に使ってるから]
肇「ふふ……ありがとうございます。備前焼は、使っていただくほど、味わいが出るものなので……。」
肇「そして……器だけじゃなくて。プロデューサーさんも……私たちと関わることで、少しずつ変わっていく。当たり前かもしれないですけど……そうなんですよね。」
肇「私も……私の歌だって、きっとそう。私が変わっていくなら……同じ歌でも、同じことは二度と無くて……。」
肇「……あの、プロデューサーさん。私、自分は、歌うのがあまりうまくないと思っていたんです。最初は、発声練習にもつまずいてしまうくらいでしたし。」
[声が瞑れるくらい、たくさん練習したね]
肇「そうですね……やるからには、妥協したくないですから。だから歌にも、完成した形を求めていたんですが……。」
肇「けれど……歌い続ける限り、完成することはないのかもしれません。……それでも、より良くし続けていくことは、できる……。」
肇「(これまでの苦悩も。アイドルとしての成長も。喜びも。興奮も。みなさんとの縁も……それらすべて、今の私を作るもの。)」
肇「(……未完成でも、いい。これからも、この小さな輝きを、増やし続けていれば……きっとそれが、私の、魂と呼ぶべきものになる。)」
肇「(それなら。歌にこめるべきは、表現すべきは、私自身が感じてきたもの。私の記憶。目蓋に残る光。星屑のような、小さな輝き。)」
肇「私らしく、真剣に……楽しんで、輝きを増やし続ければいい。それでいいって……ふふっ。そう思うと……!」
肇「……。」
肇「『川の水を注ぎます……やっと出来たこの器に……』♪」
[……イメージ、掴めた?]
肇「…………はい……。」
肇「……はい。はいっ、プロデューサーさんっ!」
肇「いま、歌が……私の中から、自然にあふれてきました!体中に、力が満ちて……心の躍動が、そのまま旋律になったみたいに……!」
肇「これがきっと……歌で表現する、ということなんですね!私、もっと、歌いたい……もっともっと、表現したいです!」
[レッスン室を予約しておくよ]
肇「ありがとうございますっ。でも私、気持ちが昂ってしまって……事務所まで、待ちきれそうにないです……!」
肇「だから、プロデューサーさん。お願いです。私と歌いながら、一緒に事務所に帰りましょう♪」
━━そして、肇のソロ曲初披露のステージは無事に終了した……
肇「みなさん、お疲れさまです。」
こずえ「はじめー。」
[お疲れさま]
美穂「肇ちゃん、LIVEお疲れさまっ。」
涼「感じたぜ、肇の魂。」
巴「悩みは吹っ切れたみたいじゃな。良かったのぉ、肇よ。」
肇「はいっ。プロデューサーさんと、みなさんのおかげです。それに……。」
肇「……前に、涼さんに聞かれたこと。『歌うのが、好きか否か』……あのときの私は、曖昧にしか答えられませんでしたけど……。」
涼「うん。」
肇「いまは胸を張って、こう言えるようになりました。歌うのが、大好きですって!」
涼「ふふっ。そいつは良かったな!」
巴「おうおう、キラキラしおって。こりゃ、うちもウカウカしとられんわ!」
こずえ「こずえも、はじめのおうたすきー。」
美穂「うん、私も好きだよ♪今日も、すっごく良かったし!」
肇「ありがとうございます♪ですが、いまの私は。そして私のこの歌は、まだ……ようやく窯から取り出したばかりの、あらかねの器です。」
肇「これからも、もっともっと磨き上げてみせますから!楽しみにしていてくださいね、プロデューサーさん……♪」

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