セリフ |
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第5話 - 特別な貴女 |
瑞樹「綺麗な夕日ね……。まるで初めて会ったときみたい。」 |
瑞樹「それで……巴ちゃん。話って何かしら?」 |
巴「ああ……。」 |
巴「うちは……うちは、姉御に憧れとる。」 |
巴「じゃけぇ、ユニットの話が来たときは小躍りしたもんじゃ。ウチの若い衆が驚いとったわ。はは。」 |
瑞樹「ふふ、見たかったわ。巴ちゃんのはしゃいでるところ。……それからは、どうだった?」 |
巴「それからも、うちの気持ちは変わらん。いや……むしろ、その気持ちは強くなっとる。毎日のように隣にいるんじゃ。当たり前じゃろう。」 |
巴「……そう、隣にいるんじゃ。こんなにすごい女が、うちの隣にな。」 |
瑞樹「巴ちゃん……。」 |
巴「姉御に比べれば、うちはまだまだじゃ。経験も浅い。周りもしっかりとは見えとらん。それはわかっとる。なら……いっそのこと、ユニットとして並び立つなら、姉御とは別の道に行くのが正しいのかもしれん。」 |
巴「元々、我の強い正確じゃ。うちはうちにしかなれん。越の道を行くほうが、性に合っとるじゃろう。」 |
巴「ユニットとして、『フォーリンシーサイド』として、きっとそれが正しい。それでも……!」 |
巴「それが出来たら、苦労はせん……!」 |
巴「諦められないんじゃ!うちは姉御のような女に憧れた!」 |
巴「吠えるだけしか能のない乱暴モンとは違う、柳のようにしなやかで、芯のある強さ。余裕のある堂々とした色気。」 |
巴「清濁併せのんで綺麗に見せる、人間としての強さ━━アイドルっちゅうもんに!!」 |
巴「だからといって、姉御の足を引っ張りたくもない!うちのせいで、姉御を立ち止まらせたくない!姉御には、前を向いていてほしいんじゃ!」 |
巴「スジが通らんことを言っとるのは、自分でもわかる!それでも、それでも……!」 |
巴「うちは……追いかけたいんじゃ。心底惚れこんだ、川島瑞樹という女を……!」 |
瑞樹「…………。」 |
瑞樹「……話してくれてありがとう。巴ちゃんの気持ち、よくわかったわ。」 |
瑞樹「私たちは対等なパートナー。だけど……本当の意味で対等になることは出来ないのね。巴ちゃんが、私に憧れてくれる限り。」 |
巴「……すまん、姉御。」 |
瑞樹「謝らないで。大丈夫。私は、巴ちゃんから憧れを奪わない。」 |
瑞樹「私は巴ちゃんの先を進むわ。決して立ち止まらずにね。だから……追いかけてきて。」 |
瑞樹「これから、私たちは……そう。」 |
瑞樹「ライバルよ。並び立つことはない。でも、唯一無二で、かけがえのない。あなたにとって、私にとって、最高の。」 |
巴「……ライバルか。へへ、ちょいと変わったライバルじゃな。」 |
瑞樹「いいじゃない。アイドルはたくさんいるもの。一組くらい、こういうユニットがあってもいいでしょ♪」 |
瑞樹「それにしても……私は幸せ者ね。」 |
巴「ん……?」 |
瑞樹「だって……こんなに自分のことを想ってくれるひととユニットが組めるんだもの。」 |
━━その日の夜 |
瑞樹「…………。」 |
(TOUCH:ここにいたんだね) |
瑞樹「ええ。あ、巴ちゃんならもう寝てるはずよ。色々あったから、疲れちゃったみたい。」 |
(TOUCH:瑞樹の隣に座る) |
瑞樹「……プロデューサー君。昼間、君のことを優しいって言ったわよね。あの言葉、取り消すわ。君って厳しい。」 |
瑞樹「巴ちゃんと話して気づいたの。私たちのユニットが抱える最大の課題は……私自身だったんだって。」 |
瑞樹「思えば……そうよね。楓ちゃんと奏ちゃんのこと、知ってたのに。対等なんて言葉に甘えちゃってたのね。」 |
瑞樹「巴ちゃんの気持ちは分かってたし、私もその気持ちには応えようと思った。今でも、大切なパートナーであることに変わりはないわ。」 |
瑞樹「だけど……心の底から、巴ちゃんを特別なライバルだと思うことが……出来ていなかったのよ。」 |
(TOUCH:貴方は素敵なひとだ) |
瑞樹「えっ……?やだ、もうっ。どうしたの、急に?」 |
〇〇P「自分にストイックで、周りには優しくて。アイドル全員をライバルと認め、大切な仲間とも思える。簡単にできることじゃない。」 |
〇〇P「でも、だからこそ……誰にでも分け隔てなく接することが出来るからこそ、たった一人を特別扱い出来なかったんだ。」 |
瑞樹「……ふふ。まるで恋が下手な優等生って感じね。」 |
〇〇P「巴にとてt、貴方へのあこがれは特別だ。その思いを受けられるのは、貴方だけなんだ。どこを探しても、代わりはいない。」 |
瑞樹「……ええそうね。代わりがいないからこそ、私は超えられてはいけないの。」 |
瑞樹「和かい女の子が、憧れに身を焦がして綺麗になるように……私たち大人の女は、憧れを背負って、綺麗になるのね。」 |
瑞樹「……刺激的じゃない。さすがに意識しちゃうわ。村上巴という存在を、ね。」 |
(TOUCH:正直言って、少し妬けるよ) |
瑞樹「ふふっ、羨ましいでしょ。でも、代わってあ〜げない♪」 |