最終更新: sen_no_risho 2009年05月24日(日) 23:09:21履歴
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さて、今回はやや実用的に、FXの注文方法について考えてみよう。
FXの注文には、成行、指値といったなじみ深いものから、OCOやIFOと呼ばれる複雑なものまで、さまざまなものが用意されている。
中には、「使ったことのない注文方法がある」というかたもいらっしゃることだろう。
また、FX会社のサービスの範疇で、会社によってできるもの・できないものもある。
同じ注文でも、「指値」「トリガー」「リミット」など、FX会社ごとに呼び方が少しずつ違うものや、同じ名前なのに機能が違うものもある。
これら各種注文方法がどういうものか知っておくと、いろいろ取引に幅が出てくることだろう。
さて、今回はやや実用的に、FXの注文方法について考えてみよう。
FXの注文には、成行、指値といったなじみ深いものから、OCOやIFOと呼ばれる複雑なものまで、さまざまなものが用意されている。
中には、「使ったことのない注文方法がある」というかたもいらっしゃることだろう。
また、FX会社のサービスの範疇で、会社によってできるもの・できないものもある。
同じ注文でも、「指値」「トリガー」「リミット」など、FX会社ごとに呼び方が少しずつ違うものや、同じ名前なのに機能が違うものもある。
これら各種注文方法がどういうものか知っておくと、いろいろ取引に幅が出てくることだろう。
FXで注文するときには、次の選択がまず基本となる。
・新規か決済か
・買いか売りか
・数量(何Lotか)
・レート(成行を除く)
・レバレッジ、スリッページ設定など
・注文の有効期限
上記の項目のいくつかは、特定の注文では無関係なものもある。
(例えば、決済注文では、後で述べるように買いか売りかは決まっている)
【新規注文】とは、新たにポジションを持つ注文で、「エントリー(entry)」とも言う。
新規では、買い(ロング)か売り(ショート)かを指定できる。
【決済注文】とは、保有中のポジションを手仕舞う(決済する)注文で、「エグジット(exit)」ともいう。
決済では、保有中のポジションの反対売買なので、買ポジなら決済注文は「売り」、売ポジなら決済注文は「買い」と決まってしまう。
保有中のポジションのLot数の一部だけ決済するのを【部分決済】という。
以下で紹介する単独の注文は、新規でも決済でも注文することができる。
レートを指定せずに、注文すると(マウスで気配値をクリック)、ただちに注文が執行されるものだ。とにかく「今買いたい」「今売りたい」ので、「レートは“なりゆき”任せ」となる。
この場合、クリックした時のレート(=気配値)に対し、実際に約定(やくじょう)するレートが同じとは限らない。
この差をスリッページ(slippage=スリップすること)という。
FX会社によっては、【許容スリッページ】を予め設定しておくことで、注文時の気配値と約定しようとした価格がこの許容スリッページを超えてずれたら取り消される。(=【不成(ふなり)】という)
成行注文は、新規注文でも決済注文でも行うことができる。
(成行エントリーとか、成行決済などと言う)
FX会社によっては、成行注文を「今」ではなく「何時何分」あるいは「何分後」に執行できる。
これを、「時間指定の成行注文」という。
いわば、カメラで今シャッターを押して撮影するのではなく、セルフタイマーで撮影するような感じである。
時刻、あるいは何分後という設定するほかは、成行注文と同じだ。
例えば仲値高値狙いやNYクローズ狙いの売買をしたいが、そのタイミングでは自分が取引画面から成行注文できない場合に使える。
成行と違い、今注文するのではなく、相場が、指定したレートになったとき注文が執行されるよう予約しておくものだ。
そのため、指値注文には、まず執行したい「レート」を指定する必要がある。
指値は、
・今のレートより安く買う 又は
・今のレートより高く売る
という方向にのみ、設定できる。
普通は安く買い、高く売りたいので、そのように指定する方法だ。流れで言えば、「逆張り」のトレードとなる。
つまり、
・買ポジの新規、売ポジの決済はいずれも「買い」なので今より安いレートを
・売ポジの新規、買ポジの決済はいずれも「売り」なので今より高いレートを
指定しなければならない。
そうでないレートを設定するとエラーとなる。
指値注文は、新規注文でも決済注文でも行うことができる。
(指値エントリーとか、指値決済(=リミット)などと言う)
指値注文を入れておくことを「ドル円○○に指しておく」などと表現する。
指値注文とリミットオーダーは同じ意味だが、リミットという言い方は決済を念頭に置いたもので、普通はリミットといえば「決済指値」を意味する。
これも、今注文するのではなく、相場が、指定したレートになったとき注文が執行されるよう予約しておくものだ。
そのため、逆指値も、執行したい「レート」を指定する必要がある。
逆指値の特徴は、指値と反対に
・今のレートより高く買う 又は
・今のレートより安く売る
という方向にのみ、設定できる。
一見、通常の感覚と逆に感じられるかも知れないが、「流れに乗る(=順張り)」という乗り方では、こちらの注文になる。相場が上昇していくときに流れに乗って買いたい場合は、今より高いところで買うわけなので、逆指値を使うわけだ。
(こちらの注文も「指値」と言う人もいるが、指値と逆指値は区別して使いたい)
つまり、
・買ポジの新規、売ポジの決済はいずれも「買い」なので今より高いレートを
・売ポジの新規、買ポジの決済はいずれも「売り」なので今より安いレートを
指定しなければならない。
そうでないレートを設定するとエラーとなる。
逆指値注文は、新規注文でも決済注文でも行うことができる。
(逆指値エントリーとか、逆指値決済(=ストップ)などと言う)
逆指値注文とストップオーダーは同じ意味だが、ストップという言い方は決済を念頭に置いたもので、普通はストップといえば「決済逆指値」を意味する。
また、ストップは、利益を確保する場合と、損失を限定する場合があるが、後者の場合は特に【ストップロス(オーダー)】という。
指値注文と逆指値注文は、成行と違って、条件が満たされて成立するまでは「注文中」の状態にある。
注文したまま放置している、あるいは注文を残したままにしていることから、指値注文・逆指値注文はどちらも「リーブ・オーダー(leave order)」といわれる。
また、どちらも「指定したレートになる」という条件がトリガー(引き金)となって注文が執行されることから、「トリガー注文」ともいう。
リーブ・オーダー、トリガー注文は、いずれも指値・逆指値の別の言い方だ。
(どちらなのかは区別しない総称の言い方)
指値注文と逆指値注文は、「指定したレートになる」条件が満たされるまでずっと有効だ。
キャンセルしない限り永遠に有効なものを「無期限」という。
これを「GTC(Good Till Cancel=キャンセルするまで有効)」ともいう。
無期限以外には、
「キャンセルしない限り有効だが、別途指定した日時になったら自動的にキャンセルする」
というものがある。これを「期限指定」の指値・逆指値注文という。
「GTDH(Good Till Day Hour=指定日時まで有効)」ともいう。
期限指定の場合は、
・当日中 =その日のNYクローズ、つまり日本なら翌日6時(or7時)まで
・今週中 =その週の金曜のNYクローズ、つまり日本なら土曜6時(or7時まで)
・今月中 =その月の最終営業日のNYクローズまで
のような指定のほか、日付を直接指定できる場合がある。
日付の指定は、日本時間では「指定した日付の翌日朝6時(or7時)」まで、となる。
期限が「当日中」のオーダーは【デイ・オーダー(day order)】ともいう。
期限が「今週中」のオーダーは【ウィーク・オーダー(week order)】ともいう。
朝6時(or7時)とは、米国夏時間なら6時、標準時間なら7時ということだが、FX会社によって、メンテナンス時間のために多少時間がずれるので注意しておいて欲しい。
(メンテナンス中に指値・逆指値が約定することはない)
指値・逆指値の「期限指定」では、上で述べたように、期限が来ても成立しなければキャンセルされる。
それに対し、期限が来ても約定が成立しなければ「その時点で成行注文にする」というものもある。
FX会社にもよるが、この場合、期限は「時刻(何時何分) もしくは 何分後」といった形で指定され、その時間内に指値、逆指値の指定レートにならなければ、その時のレートで成行が執行される。
指値や逆指値がヒットしなくても、今日中にとにかく売買したい、という場合に使うことができる。
逆指値注文はスリッページに注意が必要だ。
成行注文でも述べたように、注文時のレートと実際の約定レートはずれることがある。成行注文の場合は、許容スリッページを超えてずれたらキャンセルされる。
が、逆指値注文では、許容スリッページを超えてもキャンセルされることはなく、どんなにスリッページが発生しても逆指値注文は執行される。
特に月曜の窓開けでは、逆指値注文のレートよりさらに不利な方向からマーケットオープンすると、大変な損失をこうむる可能性がある。
(特に、ロスカット条件だった場合には、巨大なスリッページで証拠金以上の損失となり、追証(おいしょう)を求められる場合がある)
逆指値注文には、【トレール】という独特の機能を指定できることがある。
【トレール付き逆指値注文】とか【トレーリング・ストップ】と呼ぶものだ。
トレールというのは「曳航(えいこう)」という意味で、レートの変化に応じて、逆指値の注文価格も自動的にそれについていくようにするものだ。
例えば、買ポジの決済注文に逆指値(ストップ注文)を入れたとする。
今、現在レートが100円で、逆指値注文の指定レートを99.50にしたとする。
こうすると、現在レートが99.50まで下がると、逆指値の売りが執行される。
もしレートが一旦100円以上になっても、その後99.50まで落ちてきたら決済されてしまうのだが、もしレートが一旦100円以上になったのなら、逆指値も引き上げたいところだ。
そこで、現在レートが、逆指値の指定レートよりも「ある値幅」以上離れてしまわないよう、離れたときには、逆指値の指定レートのほうが相場を自動的に追いかけてくるようにする。これを【トレール】という。
そして、その「ある値幅」を【トレール幅】という。
例えば、現在レートが100円で、「逆指値の指定レートを99.50、トレール幅を50pips」に指定したとする。
ここで、レートがこのまま下落を続けて99.50に達すれば、先程と一緒で逆指値注文執行である。
逆に、現在レートが100.20まで上がったとする。逆指値の指定レートが99.50のままでは差が70pipsに開いてしまう。そこで、逆指値の指定レートが99.70まで自動的に引き上げられ、差が50pipsを超えないようにする。
その後現在レートが99.70まで落ちてくれば逆指値注文執行となる。
反対に、現在レートが、逆指値の指定レートに近づいてくる(差が小さくなる)場合は、逆指値の指定レートが「トレール幅を保って遠ざかる」ことは起こらない(それでは決済できない)。
なお、FX会社によって、
・「トレール幅」と「最初の逆指値の指定レート」の両方を設定できるところ
・「トレール幅」だけが設定できるところ
(逆指値の指定レートは、注文時レートからトレール幅だけ離れたところに設定される)
の違いがあるので確認して欲しい。
これまで述べた「成行」「指値」「逆指値」は、単独で1つの注文を出すものだったが、これらをいくつか組み合わせた【複合注文】というものがある。
有名なのは【OCO】【IFD】【IFO(IFD-OCO)】の3つだ。
これらを有効に活用すると、注文・取引の幅が広がるだろう。
OCO注文は、同時に異なる条件の2つの注文を出しておき、片方が成立したら自動的にもう片方はキャンセルされる。
OCOは、One Cancels the Other (一方が他方をキャンセルする)の意味で、一方が成立したら他方をキャンセルということだ。
OCOの2つの注文をA・Bとすると、
・もしAが先に成立したらBはキャンセル
・もしBが先に成立したらAはキャンセル
という具合なので、AかBかどちらかしか成立しない。
OCO注文で同時に発注する2つの注文は、どちらも、
・売りか買いか
・指値か逆指値か
が別々に指定できる。FX会社によっては、逆指値にトレールを付けることができる。
OCO注文は、新規注文でも決済注文でも行うことができる。
(OCOエントリーとか、OCO決済(=リミット○○、ストップ△△)などと言う)
OCOの2つの注文は、
・一方は今より高いレートで
・他方は今より低いレートで
執行される注文でなければならない。
(両方とも今より高いレートだったり、両方とも今より低いレートだったりすると、条件を満たすレートが遠いほうは絶対に条件を満たすことはなく、無意味だ)
よって、新規なら、
(1)指値売り と 指値買い
(2)指値売り と 逆指値売り
(3)逆指値買い と 指値買い
(4)逆指値買い と 逆指値売り
の4つしか組合せはない。
(いずれも、左側が今より高いレートで、右側が今より低いレートが条件になる)
決済でOCO注文する場合は、売買方向は1つに決まってしまっているから、上のうち
(2)指値売り と 逆指値売り
(3)逆指値買い と 指値買い
のように、売りだけ(又は買いだけ)で、指値と逆指値(リミットとストップ)を同時に入れる形になる。
使い方としては、保有したポジションのリミットとストップを同時に入れる場合に、OCO注文を使う。
指値・逆指値の有効期限で述べたのと同じように、OCO注文にも有効期限を設定できる。有効期限は1つだけ設定でき、OCOの2つの注文がどちらも成立しないまま有効期限を迎えると、両方同時にキャンセルされる。
IFDは、IF Done(もし成立したら)ということで、もし一方が成立したら、(それまで注文が待機中だった)他方の注文を有効にすることを意味する。
2つの注文を順序を付けて出すということだ。
IFDの2つの注文をA・Bとすると、
・初めは、Aが注文中で、Bは待機中
・もしAの条件が満たされて成立したら、Bは待機中から注文中に変わる
その後、
・もしBの条件が満たされたらBが成立
という風に、「A→B」の順序で注文される。なので、Aが成立する前にBが成立することはない。
なので、使い方は普通、一方(先の方)が新規、他方が決済にあてられる。
いわば、新規から決済までを初めから注文してしまうやり方だ。
つまり、新規の指値(又は逆指値)と、決済の指値(又は逆指値)を、先に両方とも書いてしまうと思えば良い。
基本的には、指値注文・逆指値注文のところを読んでいただければ十分である。
なお、FX会社によっては、新規の逆指値、決済の逆指値にトレールを付けることが出来る。
先程のIFD注文は、新規注文と決済注文の両方を出しておくものだった。IFDでは、決済注文は「指値か逆指値のどちらか」であったが、この決済注文を、「指値と逆指値の両方」を同時に設定できるOCOにしたいことがある。
つまり、新規注文が成立したら、OCO決済を有効にしたい、というもの。
「新規注文と、決済のリミット+ストップ」まで全部指定してしまう豪華な注文だ。
これを、【IFD-OCO注文】、あるいはこれを縮めて【IFO注文】という。
(IF Done One Cancels the Other)
この場合、
・新規注文(指値か逆指値)
・決済の指値(OCOの一方)
・決済の逆指値(OCOの他方)
の3つの注文を記述することになる。
新規注文をA、決済注文のOCOをB・Cとすると、
・初めは、Aが注文中で、B・Cは待機中
・もしAが成立したら、B・Cは待機中から注文中に変わる
その後、
・もしBが成立したら、Cはキャンセル
・もしCが成立したら、Bはキャンセル
という感じだ。
なお、FX会社によっては、新規注文の逆指値、決済注文のOCOの逆指値側にトレールを付けることが出来る。
成行決済と似ているが、成行決済では、許容スリッページを超えるずれが生じたらキャンセルされるのに対し、クイック決済は決済することを目的とするため許容スリッページを超えてもとにかく決済される。
以上、注文方法として見られるの名前をまとめてみると、
【新規注文】【エントリー】新たにポジションを持つもの。成行、指値、逆指値、OCOが可能
【決済注文】【エグジット】ポジションを決済するもの。成行、指値、逆指値、OCOが可能
【部分決済】1つのポジションのLot数の一部だけ決済し、他は残すもの
【一括決済】複数のポジションを一斉に成行決済するもの
【成行注文】【マーケット・オーダー】レートを指定せず今のレートで注文するもの
【時間指定成行注文】指定した時刻に成行を出すもの
【指値注文】【リミット・オーダー】指定したレートになったら執行
(今より安くなったら買い、又は今より高くなったら売り、の逆張り)
【逆指値注文】【ストップ・オーダー】指定したレートになったら執行
(今より高くなったら買い、又は今より安くなったら売り、の順張り)
【ストップ・ロス・オーダー】ストップオーダのうち、損失限定に使うもの
【トレール付き逆指値注文】【トレーリング・ストップ】トレール幅を指定することで注文レートが相場についてくるようにした逆指値注文
【リーブ・オーダー】注文を残したままの注文。つまり指値・逆指値の総称。
【トリガー注文】条件が満たされたら執行される注文。つまり指値・逆指値の総称。
【無期限注文】【GTC注文】キャンセルしない限り無期限有効な指値・逆指値。
【期限指定注文】【GTDH注文】有効期限になったらキャンセルされる指値・逆指値。
【デイ・オーダー】期限指定注文のうち、「当日中」まで有効なもの
【ウィーク・オーダー】期限指定注文のうち、「今週中」まで有効なもの
【時間成行付き指値(逆指値)注文】有効期限になったら成行で執行する指値(逆指値)。
【複合注文】指値・逆指値を複数組み合わせたOCO、IFD、IFOのこと
【OCO注文】2つの注文を出し、一方が成立したら他方がキャンセルされるもの
【IFD注文】順序を付けた2つの注文を出し、先の注文が成立したら他方が有効になるもの。新規注文と決済注文を同時に指定すること。
【IFO注文】【IFD-OCO注文】IFD注文のうち、決済注文がOCO注文になっているもの。
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