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国際連盟全権に対する訓令

    暗  巴里 昭和七年十月二十二日午後二.十五発
       寿府     十月二十二日午後五.一〇着

澤田局長

合第四九号 (理事会及び臨時総会代表へ対する訓令の件)

外務大臣発本官宛電報

第一〇二号(二十一日付)(極秘)

長岡代表両大使へ

二十一日の閣議に於いて理事会及び臨時総会帝国代表に対する訓令別電第一〇三号の通り決定せり
尚同日東京発の松岡代表にも右別電の通り訓令を手交せり
米、上海、北平、満へ転傳し上海をして南京に又満をして長春へ転報せしめたり
土を除く在欧大使へ転電ありたし
(尚連盟事務局より軍縮会議陸海軍代表に又右各公館より陸海軍「アタッシェ」に内示方取り計らはれたし)

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    暗  巴里     十月二十二日後二.〇五
       寿府     十月二十二日後五.四五

澤田局長

合第五〇号 (理事会及び臨時総会代表へ対する訓令)

外務大臣発本官宛電報

第一〇三号(二十一日付)(極秘)

日支紛争事件に関し本年十一月十二寿府に於いて開催せらるべき理事会及び右に次いで開催せらるることあるべき
臨時総会に臨むに当たり閣下等は左記要綱に基づき接置せらるると共に該要綱の趣旨を体し連盟諸国殊に英仏等聯
盟国たる立場以外に極東の緊密なる利害関係を有する各国との折衝及言論機関の利用等を計り以て帝国の言正なる
目的の達成方極力御努力相成たし
尚右要綱の運用に關しては御裁量により随時請訓せられたく就中萬一要綱第四及第五の段取りに入る場合には政府
との間に特に密接なる連絡を保ち萬遺漏なきを期せられたし

要綱

第一 満州問題に対する帝国の方針は日満議定書の条章及精神並に九月十五日帝国政府声明の趣旨に即してその解
  決を図ること既に朝議の決定を見居る次第なるのみならず我が国亦茲に一致し居れり依って政府は右方針に依
  り「リットン」報告書を処理すべく該報告書の審議すべき理事会及び理事会に次いで開かるることあるべき臨
  時総会に於いては凡ゆる機会を捉えて前記根本方針を徹底せしめむことを期す

第二 従って右等会議に際し我方は帝国の言正なる態度及満州国の内外に対する穏健妥当なる政策を明らかにする
  と共に支那問題殊に満州問題が世界に比類無き特異性を有する複雑困難なる問題にして右の如き例外的性質の
  濃厚なる問題の取扱振は世界の他の何れの問題の取扱振りに対する先例ともなるべきものに非ざることを懇切
  丁寧に説明し以て連盟が日支紛争の解決は其の責任を盡さざりしことの非難を受くることを避くるを得しむと
  共に満州問題の解決は結局前記帝国の方針に依る外無きことを解せしむること努められたし

第三 尤も連盟側に於いて右我方の主張を肯定しつつ而も帝国の方針に追随することを困難とする場合には強いて
  右方針の是認を求むる事無く連盟側そして或程度にその面目を立てつつ事実上本件より手を引かしむる様誘導
  するよう努力せられたし

第四 叙上我方の努力に拘わらず連盟が
   (イ)帝国を以て侵略国家又は規約違反国と断定せむとする場合
   (ロ)或いは右断定を前提として他の決議を為さむとする場合
   (ハ)又は日満議定書の効力を左右し又は運行を拘束するが如き決議を為さむとする場合
   (ニ)その他の本年三月十一日の臨時総会決議の抽象的趣旨以上に出で苟も前記根本方針の実行を実質的に
      制縛するが如き決議を為さむとする場合は我方に於いては極力これと抗争すると共に連盟側をして翻
      意せしむる為凡ゆる努力を為すものとす

第五 右に拘わらず我方の目的を達成すること能わざる場合に於いては事情を目一し訓話せられたし

第六 尚第十五条適用の反対留保に関する件及手続き問題等細目の点は追訓すべし

                                   (終)

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    暗  東京     十月十八日後 五.一〇
       寿府     十月十八日後一〇.一〇
澤田局長          内田外務大臣

第三〇六号 (理事会及び臨時総会代表へ対する訓令の件)

至急極秘

三代表へ

巴里連盟宛往電第一〇三合の第六の追訓は別電第三〇七号の通りと承知ありたし尤も何等御意見あるに於いては折
り返し稟申ありたし
別電と共に土を除く在欧各大使へ転電あり度
米、支、満、北平へ転電せり
支より南京へ転報ありたし

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    暗  東京     十月十八日後八.〇一
       寿府     十月十八日後二.一〇

澤田局長        内田外務大臣

第三〇七号 (理事会及び臨時総会代表へ対する追訓)

至急極秘

一.理事会対策
(一)報告書を総会に移牒する件にはテハ第十五条留保の関係を宣明して「アブステーレ」し実質上右移牒を阻止
   せざる態度に出でられし差支えなし
(二)報告書の総会移牒に附せらるべき理事会「コレメント」を我方に有利ならしむるよう努力すべきは勿論なる
   も右努力に拘わらず不利なるものとなる所ある場合には我方としては之に対し反対の投票を為すの外なきこ
   と豫め連盟側に告げ■めて何等の「コレメント」を附することなく移牒するよう仕向けられたく而も尚理事
   会が不利なる「コレメント」を決議せむとする場合には反対の投票を行われたし
(三)尚申すまでも無き義なるも臨時総会の形勢を成るべく我方に有利ならしむる様豫め理事会を誘導せられたし

二.臨時総会対策
(一)帝国代表氏名の通告書には我方は規約第十五条は日誌事件に適用あるべきものにあらずとの主張引き続き維
   持するものなる旨を簡単に記載し置かれたし
(二)右の如き我方に於いては引き続き留保を堅持するも大体左の標準により賛成及び反対は投票を行われたし
 (a)我方有利なる決議案に対しては賛成の投票を為すこと
 (b)巴里連盟宛往電第一〇三号(訓令原文は松岡代表携行)の第四の(イ)乃至(ニ)の如き決議案に対して
    は反対の投票を為すこと
 (c)我方に有利ならざる右(ロ)の程度に至らざる決議案(即ち満州問題解決に關する帝国政府の規定方針
    (右往電の第一参照)の実行を実質的に制縛するの所なきもの)にして之に反対するに於いては連盟の形
    勢を著しく悪化する危険あるが如き場合には「アブステーレ」すること
(三)十九人委員会対策
   必要に応じ代表(代理)又は随員を単に説明者として出席せしめ差し支えなし
(四)日満議定書登録問題
   連盟側に於いて日満議定書の登録を問題とすることあるべき処右に対する我方の態度は先の通りと心得られ
   たし
   同議定書は一方の当事者国たる満州国が連盟国ならざる関係上之を登録せざるも其の効力は何等の影響なき
   次第成が一方帝国は連盟国として右登録の義務を有する訳なり尤も登録は時期の制限なきを以て我方は之が
   実行を急がざる内意なり

 満、支、米、北平へ転電せり

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    暗  東京     十月十八日後 五.〇一
       寿府     十月十八日後一〇.一〇

澤田局長        内田外務大臣

第三〇七号 (連盟への我代表通告に関する件)

至急

巴里宛電第一五四号に関し
松岡代表が臨時総会に対する帝国代表たるべきこと及主席代表変更の件に關する連盟に対する通告は往電第三〇七
号二の(一)の趣旨に依り第十五条留保を簡明に記載し置かれたし又長岡・左藤両代表の氏名を改めて通告する必要ある場合にも同様の措置せられたし
                  (終)


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    暗  寿府     十月十九日後

澤田局長

第三一二号 代表演説中に織込むべき我方態度の件

巴里往電第一五三号末尾括弧内に関し三代表へ

日本は満州問題が自国にとり死活問題たるの故を以て連盟を軽視せむとし若しくは日本一般的に連盟の東洋進出を
好まずとの疑いは相当強く連盟擁護者並に■国側の頭を支配し居るやに感ぜらる従って帝国政府意見書中には支那
問題殊に満州問題は例外的特殊問題にして現存する平和機関は其のままにては之を適用するの困難なることを仔細に記述し居る次第なるが右に関し
(一)

  
2009年01月03日(土) 17:34:26 Modified by sityorunokana




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