昭和八年十一月 麻薬條約の留保に関する措置振りの件
昭和八年十一月十六日起草 條約局第一課
昭和八年十一月廿一日次官決裁
高裁案
麻薬の製造制限及び分配取締に関する條約の留保宣言の件
昭和七年十二月九日御批准奉請を為したる「麻薬製造制限及び分配取締に関する條約」は昭和八年三月上旬枢密院
事務局の下審査を了し審査委員会に付議することなくして本会議に上程せらるる筈なりしも其の間帝国の連盟脱退
の事ありたる為帝国が本条約批准の暁条約の拘束を受くるのみにて之が実施に必要なる諸委員会殊に常設中央委員
会、連盟保健委員会及び阿片諮問委員会の構成及び委員の任命に関し非連盟国たる故を以て発言権なきに至らんこ
とを虞れ此の点に関し何等かの留保を為し置くこと必要ならずやとの論枢府側に起こり四月七日、七月十八日及び
七月十九日の三回に亘り審査委員会を開き此の問題を討議し更に其の後も枢府側と折衝したる結果今回別紙留保案
を作成せり仍て本留保案を枢密院書記官長に示し之に付き審査委員会の諒解を得たる上（イ）連盟事務総長を通し
右留保案を麻薬条約の一切の締約国政府に送付して之に異議ある向きは相当の期間内に事務総長迄申し出てしむる
こととし（ロ）右期間内に反対の意思表示なかりし場合は右留保が承認されたるものと看做し（ハ）今回の御批准
奉請の件を撤回し改めて右留保を附して御批准奉請を為すことと致度
右仰高裁
宣言案
日本国政府は千九百三十一年七月十三日「ジュネーヴ」に置いて署名せられたる麻薬の製造制限及び分配取締に関
する條約を最有効に実施するには各締約国の親密なる協力を必要とするに鑑み右条約に揚げられたる諸委員会の構
成を定め及び其の委員の任命をなすに当たりて日本国の現に有する地位は日本国が連盟国たると否とを問わず維持
せらるべきものなりと了解することを宣言す
The Japanese Government declare that, in view of the necessity of close co-operation between
the High Contracting Perties in order to carry out most effectively the provisious of Convention
for Limiting the Manufacture and Regukating the Distribution of Narcotic Drugs, signed at Geneva on
July 13, 1931, they understand that the present position of Japan, regardless of whether ahe be
a member of the League of Nations, or not, is tobe maintained in the matter of the composition of
the organs and the appointment of the members thereof mentioned in the said Convebtion.
昭和六年七月十三日「ジュネーヴ」で署名せられたる麻薬の製造制限及び分配取締に関する条約御批准文案
天佑を保有し万世一系の帝祚を踐める
日本国皇帝（御名）此の書を見る有衆に宣示す
朕昭和六年七月十三日「ジュネーヴ」に於いて帝国全権委員が関係各
国委員と共に署名し且昭和 年 月 日付を以て帝国政府が
宣言する所ありたる麻薬の製造制限及び分配取締に関する條約を
閲覧点検し右帝国政府の宣言を存して之を嘉納批准す
神武天皇即位紀元二千五百九十 年 月 日
に於いて親を名を署し璽を�┐擦靴�
御名御璽
外務大臣副署
昭和八年十一月廿一日次官決裁
高裁案
麻薬の製造制限及び分配取締に関する條約の留保宣言の件
昭和七年十二月九日御批准奉請を為したる「麻薬製造制限及び分配取締に関する條約」は昭和八年三月上旬枢密院
事務局の下審査を了し審査委員会に付議することなくして本会議に上程せらるる筈なりしも其の間帝国の連盟脱退
の事ありたる為帝国が本条約批准の暁条約の拘束を受くるのみにて之が実施に必要なる諸委員会殊に常設中央委員
会、連盟保健委員会及び阿片諮問委員会の構成及び委員の任命に関し非連盟国たる故を以て発言権なきに至らんこ
とを虞れ此の点に関し何等かの留保を為し置くこと必要ならずやとの論枢府側に起こり四月七日、七月十八日及び
七月十九日の三回に亘り審査委員会を開き此の問題を討議し更に其の後も枢府側と折衝したる結果今回別紙留保案
を作成せり仍て本留保案を枢密院書記官長に示し之に付き審査委員会の諒解を得たる上（イ）連盟事務総長を通し
右留保案を麻薬条約の一切の締約国政府に送付して之に異議ある向きは相当の期間内に事務総長迄申し出てしむる
こととし（ロ）右期間内に反対の意思表示なかりし場合は右留保が承認されたるものと看做し（ハ）今回の御批准
奉請の件を撤回し改めて右留保を附して御批准奉請を為すことと致度
右仰高裁
宣言案
日本国政府は千九百三十一年七月十三日「ジュネーヴ」に置いて署名せられたる麻薬の製造制限及び分配取締に関
する條約を最有効に実施するには各締約国の親密なる協力を必要とするに鑑み右条約に揚げられたる諸委員会の構
成を定め及び其の委員の任命をなすに当たりて日本国の現に有する地位は日本国が連盟国たると否とを問わず維持
せらるべきものなりと了解することを宣言す
The Japanese Government declare that, in view of the necessity of close co-operation between
the High Contracting Perties in order to carry out most effectively the provisious of Convention
for Limiting the Manufacture and Regukating the Distribution of Narcotic Drugs, signed at Geneva on
July 13, 1931, they understand that the present position of Japan, regardless of whether ahe be
a member of the League of Nations, or not, is tobe maintained in the matter of the composition of
the organs and the appointment of the members thereof mentioned in the said Convebtion.
昭和六年七月十三日「ジュネーヴ」で署名せられたる麻薬の製造制限及び分配取締に関する条約御批准文案
天佑を保有し万世一系の帝祚を踐める
日本国皇帝（御名）此の書を見る有衆に宣示す
朕昭和六年七月十三日「ジュネーヴ」に於いて帝国全権委員が関係各
国委員と共に署名し且昭和 年 月 日付を以て帝国政府が
宣言する所ありたる麻薬の製造制限及び分配取締に関する條約を
閲覧点検し右帝国政府の宣言を存して之を嘉納批准す
神武天皇即位紀元二千五百九十 年 月 日
に於いて親を名を署し璽を�┐擦靴�
御名御璽
外務大臣副署
2009年01月20日(火) 09:33:36 Modified by sityorunokana