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昭和九年 麻薬條約日誌

麻薬條約日誌       
                        條約一課
                        昭和九年一月八日現在

麻薬條約日誌

日時          備 考
昭和七年
十二月九日       批准奉請

昭和八年
二月十日        参考として最終議定書添付

二月中旬乃至三月上旬  枢府事務局下審査

三月八日        訂正上奏

四月七日(金)     第一回審査委員会(政府側出席)

四月八日(土)     枢府事務局と懇談(松田局長、金森参事官、張間、左藤、井上、工藤出席)委員会に留
            保説有力なりと謂う、当方留保困難なるを力説す、席上二上案、金森案及び外務省案の
            三個提出さる、折衷案として連盟事務局宛の書翰案を立て午後六時事務局に送る、此の
            案は外務省案と金森参事官との案を合併したるものなり

四月十日(月)     審査委員会(枢府側のみ)
            二上書記官長の言に依ればこの日先日の留保期間問題を討議す、八日の外務省案をも審
            議したる由なるも外務省案は実質上自己の有する権限以上のものを要求するを以て不可
            なり又事務局に声明を送るのみにては留保の効力薄しと為し議決せず、其の儘延期す留
            保論者は二上書記官を筆頭とし平沼、原、元田の顧問官の如し

  十日午後      枢府事務局会議(松田局長、佐藤三課長出席)
            留保に関する先例を調査することとす

四月十二日(水)    不戦条約批准の当時調査したる諸留保先例を基礎とし左の四点に附き覚書を書記官長に
            送る
            (一)予め他国の承認を得て為したる例二
            (二)予め承認を求め拒絶せられたる例二
            (三)一方的に留保して拒絶せられたる例二
            (四)一方的に留保して反対を受けたりし例三

四月十四日(金)    枢府事務局会議(松田局長欠席、張間、左藤、井上、工藤出席)
            各国の批准国三十四となり条約実施の条件整いたる旨を告ぐ、十二日の覚書を審議す、
            何ら纏まる所なし

四月十五日(土)    枢府事務局に対し左記印刷物を送る
            (一)十二日の覚書に不戦条約に関する帝国宣言一項を加えたるもの二十通(附、一九
               二七年の法典編纂委員会報告)
            (二)米国上院の留保の先例
               (フォーンシル国際法に見ゆるもの)の翻訳二十通
            (三)連盟関係の諸委員会構成等の表(但し当方にて作成せし常設委員会、保健委員
               会、阿片諮問委員会等の表は送付せず)二十通

五月十七日(水)    十六日有田外務次官辞職し重光公使これに代わる、新次官に条約批准手続き経過を述ぶ
            綴込「麻薬製造制限批准手続経過情況」参照

五月二十六日(金)   特命全権大使兼条約局長松田道一氏兼職を免ぜられ大使館参事官栗山茂氏新条約局長と
            なる

五月二十七日(土)   二上書記官より政府は本件留保問題に付き如何なる意向を有するやとの疑問が二十四日
            (水)枢府定例の会議後に於いて審査委員間に出でたる旨通報ありたるを以て松田大使
            は政府に於いては無留保にて御批准を仰ぎ度も枢府側の意のある所を斟酌して事務総長
            に宛てて条約実施に関する委員会に本邦人が選出せらるること必要なる旨の書翰を送付
            し度しと述べたり、又別に「実施上連盟関係機関と関係を有する未批准条約」(税関手
            続き条約及び経済統計条約)なる「タイプ」を一部事務局に提出し置たり 

七月十八日(火)    第二回審査委員会(詳細は議事録参照、参考として二つの留保案を委員会に示す)

七月十九日(火)    第三回審査委員会

九月十九日(水)    枢府側留保宣言対案を示す此の安は委員会の構成及び任命に付き各締約国が現に有する
            地位を保持すべしとするものなり

九月二十八日(木)   栗山条約局長二上書記官長と会見し右枢府案に於いて「各締約国が地位を保持すべし」
            とあるを「各締約国の地位が考慮せらるべし」との趣旨の対案を示す

十二月  日      枢府側は当方の対案に満足せず遂に「条約に掲げらるる委員会の構成及び委員の任命に
            付き帝国の現に有する地位は帝国が連盟国たると非連盟国とを問わず失うものに非」ざ
            る趣旨の留保宣言を為すことに決しその旨在寿府横山国際事務局長代理権総領事に電報
            す

麻薬条約我方留保に同意せる国

1.瑞西
2.アイルランド
3.ポルトガル
4.英国
5.ヴェネズエラ
6.スダン
7.土耳義
8.ルーマニア
9.ポーランド
10.土耳古
11.ブルガリア
12.イラク
13.印度
14.オーストラリア
15.フランス
16.チェッコスロバキア
17.米国
18.シャム
19.ダンチッヒ
20.カナダ
21.独逸
22.ブラジル
23.ペルシャ
24.瑞典
25.和蘭
26.佛牙利 

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昭和9  八五八 暗 寿府    十五日後発
           本省  一月十六日前着

 廣田外務大臣       横山局長代理権総領事

第八号

貴電第五号に関し

九月十日十一日阿片次長と意見交換し又十二日事務総長とも協議せるが客年貴電第十号の我方原案及び客年往電第
一四三号同部長私案は遺憾乍ら何れも我目的達成上種々不備の点有る事判明せるに付き詳細の事情別電す 

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昭和9  八六九 機 寿府    十五日後発    条三
           本省  一月十六日前着  

 廣田外務大臣        横山局長代理権総領事

第十一号ノ一?(極秘)

往電第八?号に関し

事務局長にて問題の重要機微なる点をも考慮し全般的に研究せる結果なりとて阿片部長は左の通り語れり
(一)先ず留保付帯批准に代わるべき方法に関し研究せるも種々難関あり殊に理事会の決議に依りて日本の地位を
  確保する方法(客年往電第一四三号末段)は関係諸条約締約国全部の同意を経ずして条約規定を変更せんとす
  ること故理事会に対しこれを勧告する事は不可能なりとの結論に達せり
(二)又留保附批准による方法は過日述べし通り
  (イ)萬一一小国が単に主義又は技術的の理由に依りて右に反対せば日本の批准を不可能ならしめ連盟及び関
    係各国が如何に日本の協力を望むも結局これを不可能ならしむる惧あり
  (ロ)仮に幸い期限内に意義を述ぶる国無き場合にも日本が此の留保に依り何の程度の権利を確保し得るかは
    後述の通り事実上疑問なり
  (ハ)故に右も事務局としては双方の為に歓迎し得ず殊に今急に斯かる方法を執らずとも日本の地位は当分変
    更の惧無きは次の通りなり
                                              (続く)

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昭和9  八七七 機 寿府      十五日後発
           本省    一月十六日後着

  廣田外務大臣        横山局長代理権総領事

第一一号ノ二(極秘)

(三)阿片関係各種委員会について日本の現地位は
  (イ)諮問委員会構成に関しては一九二〇年十二月十五日総会決議に依り日本の現地位は完全に確保せられ此
    の地位は連盟脱退後も何ら変更無し何となれば今後総会自身此の決議を変更し日本を除外する如きこと到
    底想像し得ず
  (ロ)中央委員会に付いては客年日本委員の再選を見たれば爾後少なくとも五年間其の地位を保留せられ居る
    のみならず同委員会構成は一九二五年寿府条約に依るを以て仮令連盟が如何に日本の現在の地位確保を希
    望するとするも日本にのみ斯かる特殊の権利を付与するは同条約を変更せざる限り不可能にして単に理事
    会決議又は批准に伴う日本の留保のみを以てしては之を実現し得ざるべし
  (ハ)監督機関は条約指定の四機関より各委員会を選出し居り且此の各機関には現に日本委員参加し居れり即
    ち右の二委員会の外公衆衛生事務局には当該条約に依り日本委員参加し居り又保健委員会にも向こう三年
    間日本委員参加のこととなり居る故実際上同期間に於ける日本の現地位は当分変更の惧無く又(続く)
    
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昭和9  八七六  暗  寿府       十五日後発     条三
             本省     一月十五日後着

 廣田外務大臣       横山局長代理兼総領事

第一一号ノ三(極秘)

   同委員会の構成は稍複雑なるも凡て連盟専門機関の構成は一九二一年九月二十三日総会決議に依り原則とし
  て総会の権限に属し居るを以て単に理事会の決議又は日本の留保のみに依り同委員会の構成及び任命の手続き
  を変更すること不可能なり
(四)
       
2009年01月22日(木) 09:21:14 Modified by sityorunokana




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