【定義】
��戒本を読誦すること。声聞戒であれば、それに必要な戒本を読み、また菩薩戒としてであれば『梵網経』を誦すること。同経が『梵網菩薩戒経』とも呼ばれることから『戒経』と略す。
��特に、布薩会の時に行われ、その際には戒師（本来なら「説戒師」と呼ばれるべき配役である）が『梵網経』を誦する。差定としては、同経の序文にある「仏子掌を合わせて至心に聴け」というところで磬子が入り、大衆は斉しく合掌して諦聴する。終わるまで合掌は解かない。終われば、維那（制中は首座）が、『処世界梵』を長声に唱える。
【内容】
� 憖靆峽弌戮鳬屬垢襪海箸砲弔い討蓮�特にその「序」について、『宝慶記』で如浄禅師が誦するように示している。
ここにある「菩薩戒」というのが、『梵網経』であるとされ、隆禅はその序を唱えながら、修行を進めていたことになり、更に道元禅師もそれを、如浄禅師から勧められたようである。ただし、これについては、後になって、拘ることを否定している。
これは、持戒だけを修行と思い、また『梵網経』を一日唱えてばかりいた五根房（隆禅?とされる）に対し、それを止めさせたという経緯を、道元禅師が語ったものである。また、「誦戒経」は懺悔にも用いられているが、これは懺悔する具体的な内容を確認するために、戒本の確認が必要だからである。
ここから、現在の布薩で「誦戒経」が行われるものと理解できるが、本来の布薩とは戒本の確認が重要である。
��現在の布薩会は、「誦戒経」を要するが、これは典拠となる『梵網経（下）』に、布薩の時に十重四十八軽戒の確認が必要だと説かれているためである。
これを受けて、面山が以下のように指摘する。
これらに見るように、戒の内容確認をすること（＝説戒）が示されており、それが布薩である。また、『梵網経』に見るように、行うのは毎月２回ということも分かる。戒の内容確認ということから、現在の「布薩会」には「誦戒経」があるが、当時と違って現代は、出家在家問わずに「十六条戒」のみをもって受戒しているため、本来であれば、『梵網経』の全てを誦する必要はなく、唱えても「十重禁戒」のみに略す、または『梵網経』を使わずに『仏祖正伝菩薩戒作法』を用いて「十六条戒」だけを唱えれば良いはずだが、無批判に『梵網経』を使った「誦戒経」が残り続けている。ただし現行の『行持軌範』では「説戒を省いては布薩にならぬから、戒師取捨して簡易にでも説戒すべきである」（72頁）とはされるが、「止むを得ぬ場合」として、それすらも略す方法が書いてある。これは、不思議なことだ。それならば、「十六条戒」だけで良いと思われる。
��戒本を読誦すること。声聞戒であれば、それに必要な戒本を読み、また菩薩戒としてであれば『梵網経』を誦すること。同経が『梵網菩薩戒経』とも呼ばれることから『戒経』と略す。
��特に、布薩会の時に行われ、その際には戒師（本来なら「説戒師」と呼ばれるべき配役である）が『梵網経』を誦する。差定としては、同経の序文にある「仏子掌を合わせて至心に聴け」というところで磬子が入り、大衆は斉しく合掌して諦聴する。終わるまで合掌は解かない。終われば、維那（制中は首座）が、『処世界梵』を長声に唱える。
【内容】
� 憖靆峽弌戮鳬屬垢襪海箸砲弔い討蓮�特にその「序」について、『宝慶記』で如浄禅師が誦するように示している。
身心悩乱する時は、直に須らく菩薩戒の序を黯誦すべし。問うて云く、菩薩戒とは何ぞや。和尚示して曰く、今、隆禅?の誦する所の戒の序なり。 『宝慶記』第5問答
ここにある「菩薩戒」というのが、『梵網経』であるとされ、隆禅はその序を唱えながら、修行を進めていたことになり、更に道元禅師もそれを、如浄禅師から勧められたようである。ただし、これについては、後になって、拘ることを否定している。
また云ク、戒行持斎を守護すべければとて、また是レをのみ宗として、是レを奉公に立て、是レに依ツて得道すべしと思ふもまた是れ非なり。〈中略〉是れに依つて一門の同学五根房、故用祥僧正の弟子なり、唐土の禅院にて持斎を固く守りて、戒経を終日誦せしをば、教へて捨テしめたりしなり。 『正法眼蔵随聞記』巻2-1
これは、持戒だけを修行と思い、また『梵網経』を一日唱えてばかりいた五根房（隆禅?とされる）に対し、それを止めさせたという経緯を、道元禅師が語ったものである。また、「誦戒経」は懺悔にも用いられているが、これは懺悔する具体的な内容を確認するために、戒本の確認が必要だからである。
受戒と誦戒とは別なり。懺悔のために戒経を誦ずるはなほ是レ念経なるが故に、未受の者、戒経を誦せんとす。彼がために戒経を説カん事、咎有ルべカラず。下ノ文には「利養のための故に、」未受の前に是レを説くことを修せんとす。最も是レを教フべし。 『正法眼蔵随聞記』巻2-4
ここから、現在の布薩で「誦戒経」が行われるものと理解できるが、本来の布薩とは戒本の確認が重要である。
��現在の布薩会は、「誦戒経」を要するが、これは典拠となる『梵網経（下）』に、布薩の時に十重四十八軽戒の確認が必要だと説かれているためである。
布薩の日のごときは、新学の菩薩、半月半月に十重四十八軽戒を誦し、時に、諸仏菩薩の形像前に於いて布薩せよ。一人布薩するならば即ち一人誦す。若し二人三人、乃至、百千人もまた一人誦す。誦者は高座にし、聴者は下坐せよ。各々、九條・七條・五條の袈裟を披せよ。 『梵網経（下）』
これを受けて、面山が以下のように指摘する。
読誦とは、看文為読、常得不忘為誦と、大論にあり。諳によむを誦と云。梵網戒は、誦とあり。これには訣あり。余経とは各別なり、戒師諳誦すべし。〈中略〉経に十重四十八とあれども、略は十重ばかりを誦す、十重を略し軽戒ばかりを誦するは非なり。 面山『考訂別録』巻３「略布薩作法考訂」
これらに見るように、戒の内容確認をすること（＝説戒）が示されており、それが布薩である。また、『梵網経』に見るように、行うのは毎月２回ということも分かる。戒の内容確認ということから、現在の「布薩会」には「誦戒経」があるが、当時と違って現代は、出家在家問わずに「十六条戒」のみをもって受戒しているため、本来であれば、『梵網経』の全てを誦する必要はなく、唱えても「十重禁戒」のみに略す、または『梵網経』を使わずに『仏祖正伝菩薩戒作法』を用いて「十六条戒」だけを唱えれば良いはずだが、無批判に『梵網経』を使った「誦戒経」が残り続けている。ただし現行の『行持軌範』では「説戒を省いては布薩にならぬから、戒師取捨して簡易にでも説戒すべきである」（72頁）とはされるが、「止むを得ぬ場合」として、それすらも略す方法が書いてある。これは、不思議なことだ。それならば、「十六条戒」だけで良いと思われる。
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