芭蕉の高弟といっても俳句がよく分っていた訳ではありませんでした。
門下は芭蕉というブランド力を後ろ盾にする事で世間的には通用する。
高弟ほど周りに持て囃されているうちに知らずに、慢心を起しやすい。
いつしか師の芭蕉をも凌いだ錯覚に陥って我侭になるのかも知れない。
即ち高弟ほど慢心に陥らないよう気をつけて自戒しなければならない。
本来、人間は嫉みやすく・慢じやすく・堕落しやすいかも知れません。
そして人間は強情で・怠惰で・痛みやすく・扱いにくいかも知れない。
更に自分に甘く・人に辛く・批判力旺盛で・裏切りは日常茶飯事かも。
そういう弟子を良くまとめることは至難の業であるとも云えましょう。
芭蕉が細心の注意を払ったのも実に、この点にあったのかも知れない。
後輩の成長を阻害する要因の一つに、先輩の誤った干渉が考えられる。
芭蕉は嘱望していた去来と凡兆に『猿蓑』編纂を任せ・教育し始めた。
純粋培養によって新生の門下生を生み出そうと考えたのかもしれない。
古い体質を刷り込まれないよう二人を手元において教育したといえる。
『猿蓑』完成の時点で他の弟子から一目置かれるまでに成長した二人。
師の膝元にいて教えを受ける事で人は己に力がついたと錯覚したがる。
凡兆が同門の弟子を悪しざまに罵ったのも慢心が顔を出したといえる。
未熟のゆえに人は己の過ちに気づこうとしないし、気づけないらしい。
仮に気づいても病膏肓に入りては反省せず・逆に他を憎むに違いない。
自然の理として水は高きより低きに流れていると知る師弟は幸いかな。
＊ 病鳫の夜さむに落て旅ね哉
この句を｢取り合わせ｣と捉えるか、それとも｢一物仕立て｣と捉えるか？
芭蕉がこの句は｢取り合わせ｣であると言えば古い弟子たちは動揺した。
何せ、去来や凡兆さえ｢一物仕立て｣であると信じた｢病鳫｣の句でした。
>早くからあった江戸、伊賀、尾張の門弟たちの間では芭蕉の新風、いわゆる蕉風をめぐって意見が分かれ、のちに袂を分かつ人も出た
古い門弟には到底受け入れられない珍説にしか思えなかったでしょう。
マスコミの寵児・長谷川櫂氏も｢病鳫｣の句は｢一物仕立て｣と公言する。
マスコミが挙って櫂氏に「右へならへ」するのは火を見るより明らか。
況して、無名の於多福姉が｢病鳫｣の句は｢取り合わせ｣だと発言したら？
この書込みを見ていた俳句関連者は千の中、九百九十九までが逃げ腰。
芭蕉の発言さえ信じずに否定する弟子が続出したのですから仕方ない。
>其後先師曰、「病鳫を小海老などゝ同じごとく論じけり」と笑ひ給ひけり。
芭蕉には入門して間無しの去来・凡兆だから仕方ないと思えたけれど、
では、古い弟子たちに選ばせていたら、結果は如何だったでしょうか。
それはもう全員が｢病鳫｣をさんざん貶して｢小海老｣を採ったでしょう。
現代の俳句界では｢落て｣なんて句は｢説明俳句｣だと貶されるでしょう。
｢病鳫｣の句を｢一物仕立て｣と捉えるときは｢説明俳句」に堕してしまう。
然るに｢取り合わせ｣と理解されて初めて｢病鳫｣の句は光を放つのです。
＊ 病鳫の夜さむに落て旅ね哉
上五中七では、
病鳫の様子を詠んだのです。実景ととるも心象ととるも御自由にね。
下五では、
芭蕉が堅田の地で旅寝したと述べている。これは芭蕉自身の実景です。
だれかの顔色を窺うのでなく、論理は自分の｢心｣に立てたいものです。
門下は芭蕉というブランド力を後ろ盾にする事で世間的には通用する。
高弟ほど周りに持て囃されているうちに知らずに、慢心を起しやすい。
いつしか師の芭蕉をも凌いだ錯覚に陥って我侭になるのかも知れない。
即ち高弟ほど慢心に陥らないよう気をつけて自戒しなければならない。
本来、人間は嫉みやすく・慢じやすく・堕落しやすいかも知れません。
そして人間は強情で・怠惰で・痛みやすく・扱いにくいかも知れない。
更に自分に甘く・人に辛く・批判力旺盛で・裏切りは日常茶飯事かも。
そういう弟子を良くまとめることは至難の業であるとも云えましょう。
芭蕉が細心の注意を払ったのも実に、この点にあったのかも知れない。
後輩の成長を阻害する要因の一つに、先輩の誤った干渉が考えられる。
芭蕉は嘱望していた去来と凡兆に『猿蓑』編纂を任せ・教育し始めた。
純粋培養によって新生の門下生を生み出そうと考えたのかもしれない。
古い体質を刷り込まれないよう二人を手元において教育したといえる。
『猿蓑』完成の時点で他の弟子から一目置かれるまでに成長した二人。
師の膝元にいて教えを受ける事で人は己に力がついたと錯覚したがる。
凡兆が同門の弟子を悪しざまに罵ったのも慢心が顔を出したといえる。
未熟のゆえに人は己の過ちに気づこうとしないし、気づけないらしい。
仮に気づいても病膏肓に入りては反省せず・逆に他を憎むに違いない。
自然の理として水は高きより低きに流れていると知る師弟は幸いかな。
＊ 病鳫の夜さむに落て旅ね哉
この句を｢取り合わせ｣と捉えるか、それとも｢一物仕立て｣と捉えるか？
芭蕉がこの句は｢取り合わせ｣であると言えば古い弟子たちは動揺した。
何せ、去来や凡兆さえ｢一物仕立て｣であると信じた｢病鳫｣の句でした。
>早くからあった江戸、伊賀、尾張の門弟たちの間では芭蕉の新風、いわゆる蕉風をめぐって意見が分かれ、のちに袂を分かつ人も出た
古い門弟には到底受け入れられない珍説にしか思えなかったでしょう。
マスコミの寵児・長谷川櫂氏も｢病鳫｣の句は｢一物仕立て｣と公言する。
マスコミが挙って櫂氏に「右へならへ」するのは火を見るより明らか。
況して、無名の於多福姉が｢病鳫｣の句は｢取り合わせ｣だと発言したら？
この書込みを見ていた俳句関連者は千の中、九百九十九までが逃げ腰。
芭蕉の発言さえ信じずに否定する弟子が続出したのですから仕方ない。
>其後先師曰、「病鳫を小海老などゝ同じごとく論じけり」と笑ひ給ひけり。
芭蕉には入門して間無しの去来・凡兆だから仕方ないと思えたけれど、
では、古い弟子たちに選ばせていたら、結果は如何だったでしょうか。
それはもう全員が｢病鳫｣をさんざん貶して｢小海老｣を採ったでしょう。
現代の俳句界では｢落て｣なんて句は｢説明俳句｣だと貶されるでしょう。
｢病鳫｣の句を｢一物仕立て｣と捉えるときは｢説明俳句」に堕してしまう。
然るに｢取り合わせ｣と理解されて初めて｢病鳫｣の句は光を放つのです。
＊ 病鳫の夜さむに落て旅ね哉
上五中七では、
病鳫の様子を詠んだのです。実景ととるも心象ととるも御自由にね。
下五では、
芭蕉が堅田の地で旅寝したと述べている。これは芭蕉自身の実景です。
だれかの顔色を窺うのでなく、論理は自分の｢心｣に立てたいものです。
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