モンスターハンター2[Dos] 新たなる旅立ちの序曲

作者:九十九神の祟り


プロローグ


世界が未知で溢れていた時代。
辺境の空を飛竜種が舞い、未踏の森林を牙獣種が闊歩する。
そして、未開の地に古龍種の雄叫びが轟いていた。
その肉は、人々の腹を満たし、生きる活力を与え、
その骨は、家屋を支える柱となって、人の営みを見守り、
その皮は、風をはらむ帆となって船を新たなる海に導いた。
それらは、ある一部の人々によってもたらされていた。
『彼ら』は、砂漠の暑さにも耐え、雪山の寒さにも負けず、時に、鳥竜種の群れを蹴散らし、時に甲殻種の殻を叩きわり、時に魚竜種を屠った・・・。
『彼ら』は、【狩人】であり、【伝説に挑む者】であり、【世界を知る者】であり、そして、語り継がれる者たちだった・・・。
後の世の者たちは、『彼ら』を【英雄】と讃え、また、【殺戮者】だと卑下した。
だが、じかに彼らの姿を見て『彼ら』の武勇を聞いていた人々は、『彼ら』をこう呼
んだ。
『モンスターハンター』と・・・・・・。


【新たなる世界】


「いやはや、今日は特に冷えるのぅ・・・。」
その老人は、望遠鏡を覗きながら呟いた。
彼の周りには、様々な機材や、書物が積まれており、はんば、埋もれている様であった。
さらによく見ると、この老人、背丈が大人の腰ぐらいまでしかない。
そう、この老人は竜人族と呼ばれる者であった。
古の昔、龍と接し、龍と共に暮らしてきた者の末裔である。
「・・・少し、高度を上げるかのぅ。」
と、老人は天井から伸びているレバーを引いた。
すると、老人のいた『部屋』がゆっくりと上昇を始めた。
いや、『部屋』というと語弊がある。
正確には、『気球』と呼ぶべきだ。
そう、この老人は『気球』に住んでいるのである。
「ほっほ。今日も平和じゃのぅ。まぁ平和が一番じゃが・・・。」
と、老人は眼下を眺めた。
そこには、広大な銀世界が広がっていた。
ここは【雪山】。
山脈が連なり、まるで人が来るのを拒むかの様に、高くそびえ立っていた。
だが、この人が住めぬような所にもモンスターたちはいる。
ポポと呼ばれる、マンモスのような生物をはじめ、ここにも多くの生物達が暮らしている。だが、雪山の生物すべてが、ポポのようなおとなしい生物ばかりではない。
「ふむふむ・・・・・・むぉ?」
望遠鏡を覗いていた老人は、【雪山】の山頂付近に3人の人影を見つけた。
「ほっほっほっ。この寒い中ようやるわい。」
と、老人は少し満足げに微笑んだ。
「この時期なら、『あれ』はまだ、おとなしいからのぅ・・・。」

【雪山の猛威】


老人が、望遠鏡で見ていたのは、『彼ら』だった。
『彼ら』は、『モンスターハンター』である。
『モンスターハンター』・・・彼らは、その名のとうりモンスターを狩って、それらから獲った骨や皮を売って、生計をたてる者たちである。
「・・・おい、見ろよ。この死体。まだ、温かいぜ。」
と、3人のうち身の丈ほどもある大剣を背負った大剣使いが、死体に触れ、武器を構えながら仲間に言った。
「あぁ。この近くにいるな。」
と、鉄製のハンマーを持ったハンマー使いも構えながら、同意する。
「まぁ、せいぜい餌にならないよう、気をつけるんだね。」
と、ガンナーが、弾を装填しながら物騒なことを呟く。
「へいへい。」 「誰がなるか。」と、軽く応じ、気を引き締める二人。
「さぁさぁ、どっからでもいらっしゃいってん・・うぉお!?。」
と、いきなり大剣使いの足元の雪が割れ、そこから飛び出してきたものがあった。
たくましい巨躯に大きな牙。そして真っ白な毛皮。
その名は、ドドブランゴ。別名『雪山の主』である。
今回、彼らがはるばるこんな辺境の【雪山】まで来たのはこいつの狩猟を依頼されたからである。
大抵、子分のブランゴを連れているが、冬眠明けは単独で行動するため、狩るならこの時期が狩り時と言われていた。
「うおぅぁぁああぁあぁあああぁあ!!!」
大剣使いは雪と共に吹っ飛ばされた。そして、まさにドドブランゴの牙が、その身を貫こうとした瞬間!

ドウゥゥゥゥン!

と、轟音が轟き、ドドブランゴの体は横に吹き飛ばされた。
間一髪、ガンナーの放った徹甲榴弾が命中したのだ。
苛立たしげに、ドドブランゴは振り向き、

ぐるるぅぅ・・・。

と、威嚇の声を上げる。が、ガンナーは意にもかえさず、
「もう一発くらいなぁ!!」
と、続けて2発目を発射する。
が、ドドブランゴは軽々と避け

ぐおぉぉぉぅう!!!

と、ガンナーめがけて突っ込んできた!
「まずい!」と、ハンマー使いは、ドドブランゴめがけて走り、一瞬遅れて、大剣使いも、「ちっ!」と、走り出す!
ガンナーは応戦しようとするが、玉が詰まったのかリロードが間に合わない!!!
「くっ!こんなときに!」と、ガンナーめがけ、ドドブランゴが殴りかかる!
「くそっ!」とガンナーはボウガンをもうりすて、前にとんだ!
と、ガンナーの居た場所をドドブランゴの腕が叩きつけられる!
そして、2、3と殴ってくるのを何とか避け、2人の方へ一目散に駆け出した。
そのあとを、ドドブランゴが猛スピードで迫ってくる!
もう少しで追いつかれそうになった時、ガンナーは死を覚悟した。
と、今まさにドドブランゴがガンナーに襲いかかろうとした瞬間、
間一髪、間に合った大剣使いが、ガンナーを突き飛ばし、大剣でドドブランゴを受けとめる!
と、ドドブランゴの動きが一瞬止まる!
「今だ!!いけぃ!!!」と、大剣使いが叫ぶ!
「ああ!!」と、ハンマー使いが、渾身の一撃を叩き込んだ!!!
痛みに思わず大剣から手を離したドドブランゴ目掛け、大剣使いが切りかかる!! 

と、片手でドドブランゴは大剣を受け止める。
しばしにらみあう両者。
と、先ほどまでの快晴が嘘のように、にわかに吹雪いてきた――――――――――――


【空駆ける、漆黒の魔物】


「むぅ・・・。これは、もしや・・・・。」
今まで、ハンター達の戦いを見ていた老人は、急激な天候の変化に戸惑っていた。何故なら、急激に天候が変化するのは、『奴』が現れる前兆だからである。
「やはり、報告をしなくてはのぅ・・・。」と、老人は一羽の鷹の足にメモをくくり付け、飛び立たせた。
「ふむ・・・。」とまた、中に戻ろうとしてふと、振り返るとそこに広がる『影』。

「おぉぉおぉぉ・・・。」と老人がつぶやく中、『影』はゆうゆうと『そこ』へ向かう。
ハンターたちのもとへ・・・。

――矮小な『モノ』が此処までやるとは・・・。――
『彼』は、目の前の『モノ』をにらみながら思う。
『彼』は、主であった。極寒のこの世界は彼の庭、家、餌場であった。
誰もが、『彼』の力にひれ伏していた。そう、この眠りが覚めるまでは・・・。
ところが、目覚めてみればどうだ。空腹を満たそうと餌を獲りに来てみれば、見たこともない『モノ』が自分を傷つけようとする・・・。
――何故だ!?――
『彼』は当惑しつつも、怒りをおぼえていた。
――逆らうなら、相応の報いを与えてやろう・・・。――
と、身構えようとしたとき不意に『彼』は妙な感覚をおぼえた。
それは、殺気とも寒気とも違う・・・。あえていえば、気配。
自分とは別格の気配。遥かなる高みからの気配。
反射的に『彼』は気配のほうを見上げる。
そこに広がるのは『影』。

「・・・?」急に相手の力が弱まったのを感じ、大剣使いも同じように見る。
そこにいたのは・・・・・・・。
「そ、そんな・・・。」呆然としたガンナーが呻くように言った。
と、そこにすさまじいほどの風が吹く。否、『影』が風を『吐いた』。
吹き飛ばされる中で、大剣使いは確かに見た。
漆黒の体、長大な翼、強固な尻尾。
それは・・・・・。
(な、なんでここにクシャ・・・ダ・・・が・・・。)
薄れていく意識の中で、大剣使いは自らの不運を呪っていた・・・。


【動く脅威と見張る者】


一つは行く。自らの思うままに。はてしなく。
もう一つも行く。知らせるために。伝えるために。託されたゆえに。

―――――雪山の遭遇から三日後、ハンターの街、【ドンドルマ】街門―――――――
『それ』は、そこにあった。『脅威』を見張るために・・・。
『それ』とは古龍観測所。
この世界には、飛竜を超える生物が存在する。
それが古龍。ここは、それら古龍から人々を守るため、古龍の生態を研究し、また、古龍の出現を予想し、被害を未然に防ぐことを使命とする場所。

そこを取り仕切る、長年古龍を研究してきた竜人族の所長は、
朝から、広げた地図と各地の目撃報告を見ながら、頭を悩ませていた。
「むぅ、今のところラオ・・・ン・・ンに動きは無し・・・テオ・テ・・ト・・は、二十日前に沼地・・・キ・・ンは、先月古塔にて・・・・ブツブツ・・・・・。」
と、地図と報告を見合わせていると、横から
「少しは、お体に気をつけてください。もう歳も歳ですし、昨日も徹夜していましたでしょう?」と、秘書の竜人族の女性が心配げに声をかけた。
「ふん。わしゃ、まだまだ現役のピチピチじゃ!そんな、心配はいらぬ。」
と、また作業に戻ろうとしたところに、一匹の鷹が舞い降りた。
「これは、【雪山】からじゃな。」と、足のメモを外して、目をとおす。
と、その内容に驚愕する。
「な、何じゃと!?」あわてて地図を見やる。
「一ヶ月前は、ここじゃったな?」と、秘書に言いながら、
地図の一点を指す。
「はい。その九日後、【砂漠】にて目撃されております。」
と、秘書も地図の一点を指しながら答える。
「その七日後が、ここか・・・。」と、自分が指した場所と秘書の指した場所をみながらまた一点を指す。
「はい。その五日後、【雪山】に向かっていた商隊が襲われております。」
「その二日後が、今回の【雪山】か・・・。」
「はい。そして、【雪山】から西に向かったとの報告が入っております。」
「むぅ。日数と距離からすると、予想より遥かに速いな。」思わず唸る所長。
「・・・と、なると次は・・・ここか!」
結論付け、所長は一点を指す。そこは・・・・・【密林】。


【轟く遠雷、吹き荒ぶ暴風(かぜ)、分かたれる両者】


「な、なんと言う事じゃ!」老人は叫んだ。
ここは、【密林】。温暖な気候と豊かな自然に囲まれた場所。
それほど、危険な生物も少なく、『ハンター』成りたての者たちが、狩猟に慣れるために初めに訪れる場所。
しかし、普段の晴れ渡る天気が嘘のように、そこはまるで嵐のようであった。
「おい!早く来い!」一人が叫ぶ。
慌てて、残りの三人が走ってくる。
その後ろに迫るのは『影』。
「くそっ!なんで奴がいるんだよ!!?」一人が悪態をつきながら駆ける。
ふと後ろを見ると迫る『影』。
『影』が追う。倒木を紙か何かの様に、無造作に踏みつけ粉砕し、迫る。
「くっ!やべぇ!避けろぉ!!」一人が声をあげ、飛び退く。残る3人も飛ぶ。
と、その間を『影』が走り抜ける!

ぎゅおおぉぉぉおおん・・・

追い詰めたとばかりに『影』が吼える。
と、その声に従うように雨が強まる。
雨に打たれながら、ゆっくりと起き上がる4人。
そして、対峙する両者。
にわかに遠雷が轟き、強まった雨が森の香を舞い上げる。
そして、目の前には美しくも荒ぶる『影』。
と、『影』の方から、暴風が吹き荒れる!
飛ばされないようにするのに必死の4人。
と、一筋の光が差し、雲を貫き大地を照らす。
すると、先ほどまでの天気が嘘のように晴れ渡る。
4人は悟った。この出会いは必然だと。そして、まもなく両者は分かたれると。
すなわち、
狩人と、その獲物。
狩るか、狩られるか。
生か、死か。
どちらかが、どちらかに分かたれる・・・と。

覚悟を決め、己が武器を構える4人。
その姿は・・・・・・
狩猟笛――――皆を鼓舞する旋律奏でる、闘いの笛。
ガンランス―――刺し、撃ち、放つ異色の戦槍。
太刀――――――東方より伝わりし、息もつかせぬ怒涛の刀技。
弓―――――――空駆ける猟矢、疾風の飛具。

両者の戦いの幕があける・・・。







      ・・・・・戦いの行方? ・・・語る必要は無い。
      何故なら、皆が想像したことこそが真実なのだから・・・。


【世界の果てにて、待ちわびる者】


【それ】は待つ。
自らの元に戦いを挑みにくる者を。
血沸き、肉躍るその瞬間(とき)を。
そこは・・・・・・・・・・・。




【あとがき】


こんにちわ。いや、こんばんわでしょうか? それともおはようございます?
お初にお目にかかります。(実際は私の書いたものがかかってるわけですが・・ ・。)
稚拙としか言いようのないような、物語というのもおこがましい様な文字の羅列ですが、いかがでしたでしょうか?

読んで気づいた方もおられると思いますが、これはMH2のオープニングムービーを私の多大なる妄想で文章化したものです。
読んで、「ここはこんなじゃねぇよ!!」とか「こんな事書いてはずかしくね?」などと思われた方も多いと思います。

いやぁ、実際ムービーみて、衝動的に書いたもんなんで私自身こんな風に書いてよかったのかどうか、迷うところです。(なら、書くなよ!!!)
ですが、これもムービーのとらえ方の一つとしていいんじゃね?とかおもったりw

実際MHは自由度の高いゲームです。好きなクエいって、好きな防具作って、好きな武器集めて・・・っといったことが余裕です。
ラスボスもいない。明確な目的があるわけでもない。ただ狩る。狩って狩って狩りまくる!それがこのゲームです。

長くなりましたが、要は、とりあえず楽しめ!ってことです。
せっかくの自由度の高いゲームです。
多大な妄想OK。自己流解釈大歓迎!
すばらしき、ハンターライフを楽しみましょうw

では、また衝動的に書くことがあれば、お会いましょうw
2006年06月04日(日) 17:34:02 Modified by enemy000




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