あっさむ(@assamuchan)の創作設定とか置き場

あらまし

森に隠れ住む。
対等に取引できる相手を厳選し、限られた交流の中で暮らす。
自分の護衛を任せられるような「強い弱者」、ホムンクルスの研究開発がライフワーク。

森に大々的な研究施設を作れば目立ってしまうので荒野に移住することにした。
自分の分泌できる毒素を更に濃くした特製の毒を生み出す。
同時に、この毒を吸収して成長するキノコも生み出す。

できそこないのホムンクルス数十匹ができあがる。
彼らにも資材の運び手を担うくらいはできたので、移住を実行に移す。
壁が鉄でできた研究施設を地下に作り、最下層にキノコ栽培室を作る。

周囲に毒を散布し、毒が付着し溶けた土で研究施設外を毒沼へと変える。
毒への免疫を持つ生物は自分とホムンクルスに限定。

荒野に転がる特定の種の残骸から、変わった角が生えているのを発見する。
すべての移住作業を終えた後で、別の種の残骸からもあの独特の角が生えていることを発見した。
この時点で科学者は嫌な予感を覚える。

新しくできた研究施設でホムンクルスと、興味を惹かれた角の研究を始める。
この頃の主食は最下層で栽培しているキノコ。


........................2ヶ月後のこと───


罹患

頭部に2か所、ひび割れのような皮膚疾患ができる。
嫌な予感の的中を確信した科学者は角の研究を本格的に開始する。

生活の雑事はホムンクルスの担当となる。

........................罹患から1ヶ月後

皮膚疾患のあった場所がかさぶたのように盛り上がり始める。
拾得した角を調べたところ、どんな薬液にも溶けず、どんな衝撃を受けても折れないことがわかる。

出来の悪いホムンクルスは雑事ですらあまりまともにできていない。

........................罹患から1.5ヶ月後

皮膚疾患の盛り上がりは指でなぞれば角の先のような頂点を感じる程度になる。
だがまだ頭髪に隠れるほどの嵩である。
角の研究に専念するためにもホムンクルスの改良も同時進行する。

........................罹患から3ヶ月後

角がその先端を頭髪からちらりと覗かせるまでになる。
科学者が自身の体調の変化を徐々に感じ始める。
具体的には「寝落ち」してしまうようになる。

改良の結果、雑事程度ならこなせるホムンクルスが誕生。
更には少年程度の人型をとる知能の高い個体も誕生する。
この個体は「カシコイヤツ」「カシコイ」等自ずと呼ばれるようになる。

........................罹患から4ヶ月後

角の先端が1センチ程の長さになる。
過去が思い出せなくなってくる。
簡単な計算にも時間がかかるようになった。

助手として実験の手伝いも卒なく熟していた、が…。
「カシコイヤツ」の頭部にも皮膚疾患ができる。
科学者に自身も罹患したということを報告。

........................罹患から5ヶ月後

角の長さが3センチ程までになる。
論理的な思考をすることや感情の制御が難しくなる。
結果、焦りや恐怖に囚われて常に怒っているような態度をとってしまう。

科学者と比較して角の伸びる早さが早く、すでに歪曲した角が額を半分も進んでいる。
それに伴い知性が低くなり、科学者を「ご主人様」と呼べなくなる。
ぼーっとしていたりしてまともに動けないため放っておかれる。

角の成長進度と身体機能、脳の機能の衰えに関係性があることがこれで判明する。

........................罹患から6ヶ月後

科学者の角は人差し指程度の長さを露出するまでになっている。
弱者であるホムンクルスに自分の姿を不意に重ね見てしまうようになる。
意図的に「見ないようにしていた」カシコイヤツを意を決して実験室に運ぶ。

角の先端はもう眼前に迫っている。
最早断続的に「パ」と呟くしかできず、そうでないときは死んだように横たわっている。

罹患したカシコイヤツを検体として扱い殺す。
角が脳から生えていること、角の根本が死んだ直後は繋がっていないこと、脳全体の組織がなんらかの変質を起こしていることがわかる。

カシコイヤツの処理に関して。
他ホムンクルスたちに「資料にした」と伝え
「死んだ」「ゴミになった」とは言わなかった。(言いたくなかった)
感傷的な心境の変化による。

これまで、荒野からは生きた検体が手に入らなかった。
賢いホムンクルスならば罹患する可能性があるのではないかと推測する。
生きた検体で研究をするために賢いホムンクルスをなんとか3体作る。

........................罹患から7ヶ月後

角の成長が、その先端を眼球目掛けて歪曲し始める。
言葉が出にくくなる。

3体とも見事に罹患し、各々生きたまま実験体と化す。
角を取り除く手術、失敗して死亡。
脳の一部を切除する手術、角の成長速度に変化なし。
眼球を取り除く手術、効果なし。

これらの「資料」は資料室に保管し、ホムンクルスの立ち入りを禁止する。
追加で賢い個体を作ろうとしたが手順のミスが重なり1体しか作れなかった。

ホムンクルスを犠牲にすることにこれまでなかった心労を感じている。
情を抱くようになってきている。
精神面の脆さが繕えなくなった。

........................罹患から8ヶ月後

角が額の領域にまで伸びてくる。
ぼーっとすることが増える。

例にもれず5体目の賢い個体も罹患する。
立ち入りを禁止されていた資料室の中を不可抗力で覗いてしまい、自身の作られた理由を悟る。
「喜んで実験体になるのに、何故まだ自分は解剖されないのか」と科学者に尋ねる。

ホムンクルスへの情が抑えきれない。
解剖しない理由を取り繕って解剖を先延ばしにしてしまう。
「助手として利用できるから」などと自分にも言い訳をして。

角のせいで助手としての仕事が覚束なくなっていた5体目がミスを犯し大けがを負う。
「モウムリデス」と宣う5号を治療してしまう。
このことでもう研究を続けることは不可能だと自覚する。

毒沼での日常生活に仄かな危機感を覚える。
自分の頭脳があってこそ、普通の生き物では暮らせないような危険な環境での生活が成り立っていた。
その前提が崩れたと感じたからだ。

研究資材や治療した5号を毒沼の研究室に放置し、古巣である森に帰ることを決める。
もし角が土地病だったら、帰った後で賢い個体をもう一匹ぐらい作れたら良いと思っていた。

帰郷

........................罹患から9ヶ月後

古巣に帰るころには角は額を覆う程まで伸びていた。
移動による疲れも手伝ってか、最早科学者には一片も研究意欲は残っていない。
それどころか感情すらもあまり沸かない腑抜けのようになってしまった。

生存を諦めた。

旧知の中堅にこれまでの経緯を説明し、サポートを要求する。
食料と引き換えに古巣に残してあったものを次々と物々交換していく。

思考が明瞭とせず、ぼーっとしているため不意にケガをしてしまう。
なので基本は横になって過ごすようになった。
日常生活は主にホムンクルスたちに介護されることになる。

ホムンクルスたちに生きる術を教えることくらいしか出来ることがない。
自分がいなくなった後もなんとか生きていけるよう…。
そうしてホムンクルスたちとの交流を深めることになる。

ホムンクルスたちに「死」を認識させようとするがうまくいかない。
「死」は悲しい?寂しい?よくないこと?
科学者自身も「死」をどう捉えていいかもうわかっていない。
ホムンクルスたちは大雑把に「イヤナコト」と捉えたように見える。

もうホムンクルスからパパと呼ばれても怒らない。
角が伸びる恐怖や焦りも感じない。
科学者の心に無という平穏が訪れ始める。

........................罹患から10ヶ月後

角の先端はもう視界にちらついている。
それをなんとも思わない。
何をする気も起きない。

サポートを頼んだ中堅が罹患し、お前のせいだと科学者を襲う。
それをホムンクルスたちが寄ってたかって圧殺した。
ホムンクルスが生き物を殺めることを覚えた。

食材を自分たちで調達しに行かなければならなくなった。
科学者はホムンクルスたちに「卵は栄養価が高い」と教える。

ホムンクルスたちは卵を手に入れるためだけに生き物を殺すようになる。
肉を食材と認識できる個体とできない個体がいるので基本は卵だけ。

........................罹患から11ヶ月後

角が眼前に迫る。
しかし心も体も「凪いでいるよう」。
静かな幸福感が満ちているような満ちていないような。
もう自分が何を思っているのかも解らない。

科学者と旧知の中堅が角に罹患したことが噂になったのか、森から知性のある中堅が消え失せた。
おかげでこれまで味わうことのなかった穏やかな日々を過ごす。

........................罹患から12ヶ月後

角が目に食い込む

パパガ ウゴカナクナッタ。
パパハ シンジャッタノ?
シンジャッタラ ナニニナルノ?

ゴミニナルノ?
シリョウニナルノ?
ソレトモ パパハパパノママナノ?

........................科学者死亡。
........................角はさらに眼窩を抉り、死後3日で完全に成長を止めた。
........................亡骸は今もホムンクルスたちに囲まれている。




























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