安価スレ「【安価あり】わとしとまことにちいさなくに【内政?】」のデータやこれまでの歩みなどを纏めておくwikiです。

師走ごろにて、寒さやはらがず年も明けきらむとき、図書寮助秋蔭なる人つれづれなりとおぼへて、庭にて雪の中に童の遊ぶを見て詠みけり
時過ぎし 師走を駆くる 黒髪の 小は飛び跳ね 大は動けず
                   雪代秋蔭
さるところに主殿助朝賀の儀がためいそがしきの走りつつ
暮れの日に 主も走るが 師走月 精つき果てし 弟らも走る
                   蘇我雄竹

童のたくましく長づをねぐは父母が理なり 雪の降るほどに外の駆けるをおこなふことにみたてむ かく詠まれり
幼き子 しんしん積もりし 雪の海 駆けよや走れ 達磨になれや
                   詠み人しらず

家の者集まりて酒などのみて、語らふこそ楽しけれ
囲炉裏 熱燗肴と 持ち寄りて 今は話そう 後では話せぬ
                   詠み人しらず

師走といいけれども、法師のみにあらず神も祈りを聞くにいそがしからむ
かやうに多くのことねぎけるもよろしかりけり
我祈る 今より往きし 我と友 家族と御国に 幸ある事を
                   詠み人しらず

師走晦日、鐘を聞きつるうちには空に月あらず されども明けて、朝賀に参らむとありきいきて登りし日は殊更なり
晦日夜の 月の影こそ なかれども 明くる日輪 まろく大いなれ
                   編者

ある人の童どもに交じりて、床など磨くはあはれなり さるときに床板にうるはしき柄などみあひたるはなほよろし
童共のののしりて床走りたるはむつかし まぎらはさむと文などやりに家に赴きければ師走の忙しきに人あらざりければ
年の瀬に 稚児も拭き去る 夕なれば 言の葉読みて 家垣に差す
                  詠み人しらず
とて詠みて、文が表にあらたしく書きて置きけり

子の刻、鐘の名残、消えぬるとき、折節眠りて、聞きつかざるはいと悪し
新しき 年の初めの 一時に 目開けざれば あたらしきかな
                  詠み人しらず

坂東、筑紫にありても正月は祝ふべきものなれば、祝ひの賀儀がためやすまじて務る人もあり
むつきなる 明日が儀がため 睡もなく かえり見すれば 日の登りきぬ
                  詠み人しらず

かれよりは甲申元日朝賀の儀があとに帝の開き給ひける御歌会にてのことなり

名は記さざりけれど、古き人の初歌なり いまだ祝詞など宣りけるときに詠みければ、方々わらひて、時の春宮も心付き給へるとかや
朝靄を 自ら掃わん 初日の出 今年も輝く 我が飛鳥山
                  詠み人しらず

散位蘇我賀和津、年毎にかれこれせむとの思ひ正月にはおぼゆるものぞとて詠みける
新年は 思い続けて 今年こそ 吹けよ山駆け 背に春一番
                  散位蘇我賀和津

前陸奥介貴成、以理解して、都に還りければ、任地が景気など詠みにけり
初日の出 みししこの春 榛名山 寒桜咲く 風の黒岩
                  前陸奥介貴成

麗の国より来たりける人、彼が国にては晴れかありがたからむ、晴れに感じけり
凍て雲行き 晴るるを見想う 春来たるをば その空景色 正にあっぱれ
                  麗使烏波子

安部兄貞、やさしき人なりければ縁に出でて火鉢に酒など温めて飲みけり 
梅の花など酒にいりなばをかしと覚へて飲みにけり 雪の花酒にいるもをかしと覚へて詠みにけり 
暖を取り 御節をつまむ 朝酒に 落ちて溶け行く 風花の舞
                  安部兄貞

初日のとほしろきはおのれが身の細かなるをおしゆるものなり
浮世にて はかなき身なる 我とても 初日仰げば など感じざる
                  古明使竹部月村

大神善足、神にしこふ職なりければ、よすがらねぎてえ祝はじ
大晦日 元旦ともに 働きて 新年来ぬと 我は感ぜず
                  大神善足

氏祝ふ歌なり 氏祝ふ歌はめでたき歌まことにおおかれども、場につきづきざれば人そらすことこそありけれ。心置くべし
初凪に 霞払いて 朝が澄み いや年さかる 石上の苔
                  野比大滝

なべて年のすゑそめの忙しき人、忙しき日並べてな働かせそと拝みけり
大晦日 新年元旦 御正月 骨も休まぬ 休むに休めず
                  逢坂河内

大炊頭持胤歌会つよらせむとかの歌詠みければ秀歌なりとて右大臣殿褒め給ふ 音はさらなり、ゐづまひなどにこころづき給ふべし
はやはるの 我が目にうつる よみびとの はやよみけるを 囃し立てんと
                  安部持胤

任那人の語りにては大和武尊が歌入れて詠むは任那人の誉れなりとぞ
大和とは 海を隔てし 年明けよ 祝うは同じ 心の友よ
                  鍵山隆人

雪のめづらしきに紅ありければしかれば花なりけむ 乙女にありければおどろきぬるこそいみじけれ
花園に かかる白妙 雪やある せめて見すれば 乙女椿よ
                  榊慎

音に聞く薬師、板師梳田といふ人かの年召されけり かの人うむがしげに物語しけり
仕事餅 今年は然程 働かず 搗くほほえみの つづくたのしや
                  板師梳田

これも召される翁、大宅永世の九十七ばかりなるが、古きを偲び、朋を思ひて詠みにけり
集まりて 屠蘇が注がれ 箸伸びて 祝えや居らぬ 友の分まで
                  大宅永世
さる心にうごひて富樫の春宮父おおひに動き給ひて衣をばかづけ給ふ

民部太夫雪代伊雅、休みてややしどけなかりければ、薬師寺調にてかやふに歌詠みけり
餅食ひて 伸び伸び過ごす 三が日 事始めなり 身が入らず 腹にも入らず
                  雪代伊雅
方々わらひて「うるわしふはたらけ」などと言ひ戯る されども前のくすしうしろめたげなる気色なり 帝、いづこにかわろきところやあらむとたづねさせ給へば
心せずして餅食ふことにて人あまた失せにけり、官事かく空なる人餅くはばいつかは失せぬべし されどもかかるいつくしき場にてののしるもわびしきことなりとて答へる
帝、意を得給はれて供御の者召して、な餅出だせそ、餅食ふほどの機根は朕にあらずとのたもふて、隠れ給ふまで餅食ひ給はじ

中納言蘇我務治名、華にあるものかくあるべしとて、わきまへ歌ひけり
散り行くも かどにつぼむも 若き花 世に印象を 結ぶはいずれぞ
                  中納言務治名

さきの由あれども、なほ餅は祝ひにつきづきしものなれば、いくらもあらばいとどめでたかるべきと覚へけむ 小槻清季といふ人詠みにけり
望月の 百道の浜の 餅飯つき つきてもこねても 持ちつ持たれつ
                  小槻清季
春宮父、おもしろしとおぼして清季召して褒めなし給ふ 春宮父、人召して褒むのめづるおおんかたにはべり給ふらし

参議左大将野比道足、朋友よりの文見てよろこばしきこと詠みけり
雪積もる 遠山鳥の しだり尾の 長きいとまに 文を返さん
                  野比道足

耽羅星子高慶寿、持ちたる船の名殊にめでたきもの入れて詠みにけり
初春の 子日遊びに 若葉摘む 霜の有明 易き夕暮
                  高慶寿

因幡守安部箕作、春になりても山陰の方にては寒しと言はんとかく歌ふ
寒からし まだ吹きにける 雪風は 梅の蕾も 押さえつけたり
                  安部箕作

雪あはれなるものなりけれども、人のつとまむとする心にさはるものなり
去年の晦日、大和の国にては雪つゆふらざりければ大和守蘇我朴葉、侘びしとおぼへて詠みけり
雪降らず 明けも眠りて かき出さず 楽にはあれど 寂しかりけり
                  蘇我朴葉

野比高敷の若人なるの初昇殿にて召されたるが、雪木にかかりぬるをいみじふ詠みけり
黒枯れ木 芽吹く若葉は 見えぬども 新雪彩る 白銀の華
                  野比高敷
后の清らなる風光好み給ひければ、歌よくおぼして、高敷、ほめやらむと帝と語らひ給ひて、帝褒め給ひければあまりにうれしふて倒れけるとか

土佐守紀石見、暮れ明けのいそがしきに歌なべて敷島人の心にかかりぬるを誇らしふおぼへて詠みける
年変わり 歌を好むは 変わりなく 誇らしまこと 小さな国よ
                  紀石見

宮の内にて肉のこと歌ふはすこしなめしきことなれど、うましには違ふことなし
古明使道嶋小楯の陸奥人なるが、詠みけり 竹部月村のちに口にては戒めけれども心にては感じける
新年に 醬と薑 ぐっと付け つくづく炙りて きときとと 火を通せる 山羊串を 我が手に持ちて 食らうは美味し
                  道嶋小楯

今は道、野比のいづれにてまふけて、歌枕やすく見られけれど、いにしへにてはさもあるまじ
されども歌、万葉の歌集などにありければ歌の心いにしへよりあるべきとおぼへて学府頭蘇我衣那理、詠みけり
歌に揺れ 垂れる蜘蛛の巣 凍りつき とける水音 遥か昔も
                  蘇我衣那理

卜占今様にては儀にのみのこりつれども、信ずる人もあり
かやふな人吉備介清原経平の、えにくく和歌詠まじとてさきにいひて詠みける歌なり
見逃しき 定めたづぬる 締切に 次や何時なる 涙目で待つ
                  清原経平

空海法師の書きつる書に天竺震旦のおしへ人に似せける書ありけれど、さる書ににたる書やありけむ
図書寮、今の書院なるが頭蘇我綾萠の面白き書みあひたりと詠みけり
国々の 可憐な乙女 似せにけり ないはさせそ 中身は翁
                  蘇我綾萠

七十ばかりなる人、散位外従五位下逢坂奈良彦の大墓公のさはぎにてはたらきたるの召されて忠詠みけり
朝露に 翻し背は 勇敢に 寄る波こえて この身をぞはる
                  逢坂奈良彦

御籤はおのづから仕掛けるものなれば、よかればせちに持ちあしかれば御木に結ふべし
されど福良雀、白烏などは吉兆なりてそちより寄りてくるものなれば重く幸ぞあるべくとは宮司の語りなり
何語る 福良雀の 寄り添いて 引きし神籤は 良縁ならず
                  日吉宮司

安芸介小槻仲枝、家にありける児が話のど物語しければ歌も自ずから詠みつるぞ
返りては 年玉わとし 思ひ出づ ちいさなわれの くにへかへるを
                  小槻仲枝

越後介吉備牧麻呂、掛詞にて正月らしくせむとていへびとと飯掛けにけり
紅白で 伊達な錦の 里妹の えびよろこぶを ちほども愛でたし
                  吉備牧麻呂

帝、膳部どもに、きむじらも遊べとてのたまひければ、慣れずして、少しあらあらしき詞なれど、ある膳部の詠みけるに
雑煮とて 言へども雑に 作らじと 食らへば美味し 餅ももちもち
                  詠み人しらず

またをこがましふてみなにめづられし膳部、茂吉といひけるの詠みけり
火の酒は 枸櫞点眼 鼻に塩 もだえのたうつ みんなもやらむ
                  無姓 茂吉
さらばとて、とかれが弟茂助といひけるの続けければ
辛子菜に 山葵山椒 酢と生姜 敗者の鼻へ 次はお前か
                  無姓 茂助
これ聞こしめして春宮あやふしとおぼせられければ、少し戒め給ひて、のちに阿保の姓たまはりけるとの語りなりけれど定かにはあらじ

としにあはせて干支の移るは児心得ぬることなれど、獣げに出だして詠むはありがたきわざなり
申去るを 見送り祝へ 続ひては 酉のお通り 歌へや歌へ
                  野比兼足

子の日の遊びとは古よりいひけるものなり この場にも遊びける大人一人ありけり
馬競ひ 箱根山越へ 賽遊び 楽しき熱闘 今年も紡ぎて
                  文室継成

椿が花散れども、雪にいと映へて、いまだ咲きける風光いとをかし 詠み人、雪代頼岑こそいといみじけれ
深々と 歩みが残る 白道に 零れる椿 咲き渡るよう
                  雪代頼岑

飛鳥物には語る言葉不要なりけれど、輝きはいみじとだに書きおく
初日の出 裾より淡海を 踏みにけり 常に南中 我が禿げ頭
                  詠み人しらず

定みの分かれつる歌なり 編者は飛鳥物なりと覚へけれども朋は僧がことさながら詠むと言ふ
いづれにても、頭輝きけるものの強しをよみぬる歌にこそ
雪氷 淡海盃 北平寺 多くあれども 勝るは坊主
                  詠み人しらず

世の中にある身、等しくはあらず 怪我尽きぬひともあれば、毛が尽きぬる人もあり
草芽吹く されど芽吹かぬ 我が身かな 怪我なく過ごせど 欲はつきまじ
                  詠み人しらず

初日は輝きぬるものなれば、飛鳥が詠み人に詠まれける
年の劫 重ねしあたまは 亀の甲 しかと輝け いざ初日の出
                  詠み人しらず

餅がゆといふもの、正月十五の日に食ひて、邪、物の怪の類払ふ儀あり
宮内太輔蘇我追犬のこの験信じけるが詠みけり
米に粟 きびひえみのに 胡麻小豆 七篠捧ぐ 春の望がゆ
                  蘇我追犬

かの歌に詠まれけるはまことにきよげなる風光、つごもりが夜のことなり この歌詠みけるは近江介野比常智なる人なり
薄暮過ぎ 空に初月 手に白貴 払暁迎え 願うは凪穂
                  野比常智                

雪、初日に光りて照らすこそをかしけれ されども春にもなりて花のあらずこそさびしけれ
雪作る 明けの光や 寒々し 蕾付きたる 花もなければ
                  安部石守

紀伊国、さきの年風雨なりければ守、介え参らざりて、紀伊掾田辺某参りけり
我内ばかりか京に参らむととは思はざらむ 動きてかく詠む
氏もなく 宮に参らぬ 賤屋にも 新芽吹くらむ 歌会始
                  詠み人しらず              

雪代種房、年暮れまでえ帰らざりて、夕に帰りければ通ふも軽くなるものもならじとて少し息巻きて
年越しに 疲れて帰る 足軽く つとめて重い 春の通い路
                  雪代種房

歌が本意おのづの心言に出だすことなりければ出来の良し悪しにゆかりあらざるべき
歌うのに 良しも悪しも ありけるや 悔いが残るは 歌わぬことぞ
                  紀津積

御舩の宮司古にまふけける宮に霧島、伊都伎島などと呼ばれける島あり 瀬戸に浮きぬる島なれば海に出ものみな参りければ混むこと伊勢宮が如し
御舩大宮司、年暮れ頃にも参りし人の多しを歌ふ
鐘の音の 鳴りぬる中で 押し押され 恩賀の島に 酉いつきたる
                  御舩治氏

飛騨守清原沖津神無月頃以理解して、暇ありければ桂川、逢坂関などの歌枕見て詠みにけり
暴れ川 関など越えて 平らなる 都に年を 越すぞ嬉しき
                  清原沖津

従五位下蘇我古熊、うらなき人なり まづ歌のとほり正月忘れけり、またのは近頃に五位に上りて御歌会にめさるること忘れけり
目が覚めて 急ぎ外出れば 目に映る 門松気づき 今日は休み
                  蘇我古熊

去年陸奥鎮守副将公滝、ことめでたきものことごと見むと鷹具して、那須があたりの山に登りて、富士見むとす
かかること物語して詠みけるに
初富士を ともに拝むる 肩の鷹 今朝は見ゆるか 那須の富士から
                  野比公滝

この日一番なるべき秀歌なり 言、詞道具、いづれを見てもをかしき歌なり
音のみにあらず、味の趣捉えたればいとどめでたかりけるぞ
雪を裂く 慣れたものよな 鶏の声 啜る菜粥の 塩の強さよ
                  榊隆平

若けれどよき身にあらるる人蘇我伎佐麻呂、はやふに驚きぬるのわりなしと覚へけれどなほ淡海に映る日みばやと覚へてまかりけり
案にたがはずいみじきものなりければその風光など詠みぬる
朱染まる 重き白砂 冷や風の 中にて耐える 眠気まなこよ
                  蘇我伎佐麻呂

師走には、法師のみにあらず官人も走りぬ つごもりことにいそがしふて、飯だに食べてまたつとむとぞ
除夜の音の 鳴るうちだけよ 三ヶ日 門松飾りは 鬼の角かな
                  古明使秋佐

文章博士土師清実文章生三名具して、詠めといひければ
正月、雪深くして、え耕さず、家に入りてめでたきもの食ふこそ日の本の民の手本にあれ
たちならぶ 松たて濡らす 朝霞 鹿火屋が上に 吹ける初凪
                  文章生某
隋土にては人の笑ふを咲くと言ふ さらば酒も入りて皆えびければ詠みけり
七草の 花はいまだに 咲かずとも 人の花咲く 歌会始
                  文章生某
残りの一人え詠まじといひて、臆しければ、大納言緒伎少しいきどほりて詠む
今時の 若い者ども 不甲斐なし 挑みもせずに 歌は詠めぬと
                  蘇我緒伎
そのおり、右大臣野比道武諫めて詠み給ふ
今時の 若人はなどと 言い出すは 己を老い人と 言うと同じぞ
                  右大臣道武
大納言しらけて、え返さざりけり 
歌、心よりいづるものなりければあながちに詠ませるものにはあらず ただしこのよしにては御歌会に歌まふかざる文章生もわろし

干支、年変わり明かす得やすきよしなれば、歌に詠む人多し 清原朝博といふ人もさる内が一人なり
去る年や 歳取りけれど 嫁も居ぬ 獅子舞う音ぞ 寝転びて聞く
                  清原朝博

すべきつとめの数多ありぬれど、明かりなかりければともしくおぼへて淡路守菅野木津詠みけり
暮六つの ときに先んじ 伸びし影 冬至過ぎぬと 天よ知らなむ
                  菅野木津
かく歌ひけるにさかしき人兵部卿野比師貴本意をみあひて詠みにけり
日の本の のびゆくときぞ 大事なる 己が力を ださむと思へば
                  兵部卿師貴

雪代木挽いはく、歌は山なり 皆で登りておもしろき山もあり、高みに登る山もぞある
我々と 詠みて飛び込む 歌の山 友と登りて 君に捧げよ
                  雪代木挽

さても、日頃におもひたる歌にあるべし 折句に近しきものなれどさもあらず 春を出来する歌なり
一歳に 一事をなさむ 人心 一重の雪解け 光照るらむ
                  山岡仲真

おはりに内大臣喜慈の締めければかく詠めり
読むほどに 心にしみる 詠み人の つむぐ言の葉 よろず善きかな
                  内大臣喜慈

山背権守佐伯県主が祖母の安芸に住みけるの伏して孫くすし率ひいかむと師走かの国に下りけり 
如月ちかふなりて都に上りければ、御門の祖母いかんぜむと聞き給ひしかば
暮れの瀬戸 祖母看よとて 年も明け 我用済みと 安く帰りぬ
                  佐伯県主
と返し答へける 孝の心いといとふありぬる人なり

御歌会の歌にはあらず我が朋の歌なれどもおもしろき歌なりければ記しぬ
春暖かくなりぬれば気も暖かく身も暖かくせむとこもりけるはわろかれど一つの理なり
明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なほしてしまう 眠り正月
                  詠み人しらず

内にて菅野木津、兵部卿みあひけるほどに、御歌会にての歌返さむと詠みけり
日ノ本の ために励むは 臣の常 愚痴の小吏に ことありがたし
                  菅野木津

飛鳥物の祖たる歌世にありて、連歌にもとられて詠まれぬる
初日の出 明日か明日かと 飛鳥山 悔なき一年 篤と励まむ
                  連歌

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