安価スレ「【安価あり】わとしとまことにちいさなくに【内政?】」のデータやこれまでの歩みなどを纏めておくwikiです。

御製歌なり。 御門春宮におはし給ふ御時、后とあはむとおぼさせ給ひて、庭に菜摘み給ひけり。
博学にたまへば、庭菜の名も悉く識り給ひけるとか。
御文
おもはるる うちの広庭 花おうる わらべつみたる はなふちな すなほなれども いといとう ことにみゆるは この庭に いくとせ前ぞ おはせたまへる
見ゆるたび 名思はるる またうちの 庭のつまにこそ 来なむとおもへ
                  仲㠀天皇
皇后これに返させたまふ御返事なり
世にあまた花はあれども、かのこまかなる花めづるるはことなり。
守山にものする屋戸にはその花またつまをば飾るるなり。
君こなたにおはして、つみたまはざりてむ。
菊月に きみにまゐらむ 取り掛かる ことなる花に うつろひすてじ
                  縁皇后

あるあきびとの詠みける歌なり。 あきびとは商ひ業とししかば、金なくば即ち乞食ならむ。
かやふに南北に商ふ人少なかれば、弟遣るも止むにおへざらむ。
かねがねは 陸奥からの 文ぞくる 南のおとは つつがやあらむ
                   詠み人しらず
商人つれなしといへども朋友の死は容れがたし、このとき賊にてあやふき南海なればその心地いとど益すらむ
南海の 波たち騒ぎ 飲まれゆく 友らへいかに 供儀なすべきや
                   詠み人しらず
大宰府にある鎮兵の投銭して商人につく、海のほかなる国乱るるを知りて、武具など売れむなどといひて詠む
乱れ行く 遠き三國の 風受けて 御国海内 帆をば膨らむ
                   詠み人しらず

殊勝たるもののふの詠みたるなり。かやうなものにおきては傷すなはち官が位なり
まだ折れず 受けし傷とて 我が血肉 痛みも力よ 勝ちをつかまむ
                   詠み人しらず

左近衛少将安部公利若くして左衛士府大志に任ざるるとき、高麗乱るるをききて香椎にまいりたるに詠む
神の国 まもりし対の こま犬は 動かぬままに かたきを睨める
                   安部公利
参議蘇我呼八木、これも高麗みだるるを聞きての歌なれどおとなしけれども、結ひをばせちにす。
焦りとは 嵐よりなお 恐ろしき 心一つに 機をぞ待つべき
                   蘇我呼八木
こなたは因幡守紀片成、軍の駒いななきければ、高麗をぞおぼへられて地震ひたるの恐ろしに比ぶれば詠みたる。
暴れ馬 吠え猛ること 酉の如し 鯰の背にぞ 怖じて暮らさば
                   紀片成

高麗卒に破れて、にはかに経慎国立ちぬ。 いくとせ后、中風花院おくらむとせばある臣詠みていはく
終わるとも 忘れられぬ名 高句麗よ 並ぶ者なき 青丘の雄
                   詠み人しらず

中風花院文鄭妃那の津におくらむとする御時、吉備津神社宮司、かの女宮の傑たるを聞きて詠み奉る
彼方より えびす来たりて 姫攫う いざやまつらむ 同胞共に
                   吉備津神社宮司某

高麗破れて、穢れ来たりと案ずる人あり。されども人和して、結びければ、かく詠みけり。
外つ国の 血ぞ海を越し 地震わす 不死なる国の 健磐ならん
                   詠み人しらず

任那鎮守府副将黒歯朝臣恒好、よきしらせとわろきしらせの船をばわかちて筑紫にいだしけり。
さきによきしらせの船つきて、うち沸きたり。しかものちにわろきしらせの船つきて。鎮まりぬ。
さらば、市人詠みにけり。
新しき 国を迎える めでたさに 沸きし都の いと静かなり
                   詠み人しらず

美鹿国の大君の領なりたるを祝ひて、宴開かむとする人あり
その人の陸奥鎮守府将軍小野春樹の衛士少尉たりけるをぞ招きたる文にかきつけたるは
新しき 地の新しき 防人よ 甕の腹満て 共に祝はむ
                   詠み人しらず
その宴にて少尉春樹この地にては倭歌など詠みけるも少なしなどとはつかに侘びて、美鹿国得たるをひとまずめでたしとおぼへて詠みにけり
ひさかたの 雲より出でし 三日月や これより後は 満ちゆくばかり
                   小野春樹

武蔵国より任那に出で来る防人、里より出づるもひさしうなりけれど、家もともしうおぼへければ
暇をぞ乞ひて、山郷にも帰りにければ友もはかなくなりにけり。
時過ぎし 懐かし家に 友は無く 我と眠るは 馬と空なり
                   詠み人しらず

司は民をぞ扶かば、民司をぞ支えむ されば共に相信ずるなり。
日ノ本の 民よく宮に 仕ふるは 宮よく民に 仕ふればこそ
                  詠み人しらず

陸奥国に大逆せむとする夷ありけり 
そこに陸奥少主典道嶋文屋麻呂言向けするに、ただこの歌をぞ詠みにける。
大竜の 震へど我ら 知り居たり 上に罪なし 乱に理なしと
                  道嶋文屋麻呂
夷ども涙を落として、刀にかへて鍬を持ちけるとか

官人の難波わたりより来る人、あまりにことしげしくて、かこちぬれば書に書きたる字、数を見て詠む
福島に くじょう有れども かねは無し あらまほしけれ 一千百万
                  詠み人しらず

御鳥谷帝の蕎麦など食み給へる御時、蕎麦などくらふはげにあやしき者の業なりなどといふ人あり
そこに、参議安部高根行き摩りたれば、短冊に書きつきて頭にあはれを組みければ、
そんずれど
はらがへるなり
かもわれも
きみらとともに
食らひ笑はむ
                  参議安部高根
その人改めて、七日に一たびは蕎麦食みにけるらし

今は昔、齢三十ほどになりて水面が際に立つまじと決する人ありけり。
その人曰く水面に写るは偽の影なれど、見ればうつつにぞなるらむ。と
それを聞きける人
煌々と 歌に詠まれる 飛鳥山 今こそ見ねば すがたの真
と詠みて、今は、昔の偽の影うつつとなりけむ。さればその偽の影をとらば即ち緑なるべし。とて言ひて
水面の影見させけれど、そのむげなることかぎりなし。

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