安価スレ「【安価あり】わとしとまことにちいさなくに【内政?】」のデータやこれまでの歩みなどを纏めておくwikiです。

巻壱に記しける歌、頭を読みし歌の、世に飛鳥山の歌などといひてはだきけり さに似せし歌を飛鳥物といひて多く詠まれぬ
飛鳥物は名を記さずの掟なりければ、記さじ
ある男、もののふの頭がこと尋ねて、もののふかへす
日頃より 備えのありし もののふは 常にて抜かむ 禿げではなしと
                   詠み人しらず
されど男聞き開かずまたかく詠みけり
青々と 残る頭と 傷の後 なくばなからん なくてなからん
                   詠み人しらず

重ねてもののふが歌なり かの武士は老ひて齢五十といひけり
月代も いくさの支度と しのぶ日も 今や日頃も つねの戦場
                   詠み人しらず

またもののふが歌なり 毛抜きの痛しはかくれなし、頭のかくしなしはいたまし
いたしとは 若人どきの わずらひなり 今は毛抜きの さびうらめしき
                   詠み人しらず

蝦夷のさはぎにて、賊どもの木を薪にしければ地の見える山を嘆きてある翁の詠む
いたましき かみのあとなき 蝦夷の禿山
                   詠み人しらず

あるとき、飛鳥物の歌会にて一人上の句詠みければ三人の下の句集まりぬとの語りなり
降り落ちる 髪の話を 人すれば 壱、木々も落とさん 冬の訪れ
                   弐、涙落ちれど 落ちる髪無し
                   参、天より来る 白きかみなり
                   連歌


ある官人、後ろ髪心許なければ、烏帽子かがふりて詠む
我が峰は 雪こそ降りて 落ちにけれ 黒きいはおは 鳥とまるのみ
                   詠み人しらず
さを見て同隷、かへしければ
かみはなし おもしろおかし せむかたなし 烏帽子かぶるの ほかに用なし
                   詠み人しらず

かの歌は髪黒々き若人のつれなくして詠みけり
しらかみを 嘆くをきくは いとおかし しらじらしかみ われはもとめむ 
                   詠み人しらず
さるところにある出仕の者出で
若人が 笑ひ話せし しらかみに 我も思はむ 昔日の時
                   詠み人しらず
あしたにさること詠むをききて、ある翁の若人に詠みけり
八房の 束髪於額こそ 懐かしき 濡れ羽からすも 今は抜け落ち
                   詠み人しらず

ある都の人が父、道に入りければ、子の客人に弁して
父禿げて 自の行方 悟りたり 学問に励み 頭丸めむ
                   詠み人しらず

おとにきく話にあれども、阿弖利爲のさはぎのとき、狼煙といふもののはたりき大なりといひけり 
兵部の官人のさをききて、
花ぐわし 桜背にして もののふは 六花踏み越え 蓬焚きしめ
                   詠み人しらず

ある武人の翁、勢多にまふくる狼煙をみておもひつつ、
逢坂の 峠を越ゆる 馬も昔 今様にては 野比が火の番
                   詠み人しらず

安芸国が二百長、狼煙上げたる兵の陸奥に出でて、ことしげしさに詠む
瀬戸内の 烽火熾せよ もののふの 御業受け継ぎ 遙か御代まで
                   詠み人しらず

ことしげしさ、安芸、吉備、周防だにあらじ。陸奥に出でける兵も忙しさにぞ劣らず
きびつきの 具して黒川 きけれども 気色青青 煙白白
                   詠み人しらず

かの歌はある鎮兵の狼煙をみて詠みき
烽火みて てきのきたりと わかりけり いくたのてきも とぶ火の粉なり
                   詠み人しらず

さはぎのころの百済、任那の人のおぼつかなしを詠まむや かやうの歌も残りけり
大将軍 やまとのさわぎに 発ち征きぬ しらき来ければ 波と散るなむ
                   詠み人しらず

狼煙の任那に立つをききてある兵どもの詠みければ
果てまでも 伸びよ心の 狼煙台 煙は上に 櫓は西に
                   連歌

狼煙櫓の筑後太宰にまふくまで狼煙が兵のいたづらなれば和歌、からうたなどの詠みけり
狼煙立つ やぐらを建つる 道千里 伸びよ白煙 遠く天まで
                   詠み人しらず

阿弖利爲、蝦夷が村々より穀菜掠むことの憂しければ、さする賊どもをおきて、大和にふりぬ 
かの歌はおかれし賊どものこころおくりて、何れかの人の詠みけり
ひをおくり しろく荒れにし えみを知る 君求めける 蝦夷にやなめり
                   詠み人しらず

阿弖利爲がつみなひが日にある官人の息をを延びて
はなたれし 夷の鏑矢 天離る 行きつ戻りつ けふの静けさ
                   詠み人しらず

阿弖利爲に具してふりける兵ども、阿弖利爲がつみなひがのちに許されぬ 
さる兵の後にやまとうたをまねびて詠みけり
益荒男の たゆいがうらの 御霊にて たゆべし命 今かくありき
                   詠み人しらず

つみながひが先とみえれども牢にて兵の詠みける歌を守兵の書きつくと告がれり
いさおしの 照らす光も 今はなく 悪路行くには 心もとなし
                   詠み人しらず

こなたも蝦夷の話なり。鍼の道をすすまむとておぼへたるめしひの人ありければ、つれなき人の吐く
針刺して 仏背負ひて 道極む 人は指差し 外道と呼ばう
                   詠み人しらず

東大寺の僧、阿弖利爲も輪廻に入ると覚えやむ
蝦夷の地を 離れて戻る 渡り鳥 群れの中にて 安らぎけるに
                   詠み人しらず

此方は薬師寺の僧なり さはぎがあとをききて蔵などのしたたみつつ詠みけり
僧蔵に 書いて収めし 和歌木紙と 結ぶ糸こそ 絶えることなし
                   詠み人しらず

栗原郡司の子のさはぎに入りぬの太鼓、むまの音ききて
今散らん 陸奥が二千の さくらばな 名も残らんや 人も知らずや
                   栗原郡司

陸奥鎮守にてむまに乗りたる人、同隷にてらひて
甲斐あるは 陸奥のいくさと 嫁の腹 男振りをば 見ろや見ろやと
                   詠み人しらず

かのさはぎにては大和も兵、兵率いるものこそ多く失せにけれ ある百長が妻の夫のかへらずをききて涙を落とす
出ずるまま 我が背常世に 渡りけり その意は何ぞ あてるいの公
                   詠み人しらず

鎮守副将、さはぎがのちに山に出でて鷹狩りなどしけり さるときおもふことあらむや、かく詠みき
森山に 出でたる木々は のびたれど 忘れがたきや 山桜花
                   鎮守副将

明経直講、陸奥に道敷くをききて、民苦をしらざる悪吏なりとておぼへて、詠みけり
奥山に 道引き伸びし 烽火台 次のしらせは いずこより来る
                   明経直講
そのかみ、兵庫助の過がりに詠む
道下り 豊か敷島 奥に敷き 静か敷島 ついには来るらむ
                   兵庫助

河内の国の近しところに二寺ありて、寺前にものしける男あり。僧の二寺より二人きたりて、すすむれば男のいとほしと思ひて、
大和にて 学をなさるが 仏の道 まことの教え いずれにやある
                  詠み人しらず

ある歌あはせにて、仏の道のおつを詠まむとて、方々の詠みければ、信起こしたる人
仏をば てうぎにするは かしこしと 今は罷らむ または詠むらむ
                  詠み人しらず
とて詠みければ方々かへりみて、またはなし

花といはば梅にありけれども桜、橘をめづひともあり。連歌が面白しは二のおもひ一の歌にいるるなり
匂いをば 灘越え運べ 梅の花 隋土船の 持ってさくらむ
                  連歌
祭に賽を振りて遊ぶ人あり さる人の妻にな振らせそといはれければかへしぬ
才を振り 冬になれども くつわむし 世人笑えど 賽を振りたし
                  詠み人しらず

仁郷帝が皇后、子の多く国母なりと称されり さを朝賀にて何某の詠みける歌なり
おおきみに 具したる徳は 数あれど 賢妻賢母 並ぶ物なし
                  詠み人しらず

あるとき、からうた詠みたる人ありけり。
絶句のよまむとおぼへけれど心より思ひいでて五句になりけり。
さをみて「何れかの句を省く。示したまへ。」と強ひぬ時にゆゆしき人のいまそかりていはく、
「和歌、詩などの詠むはこころだにしたがふべし。心より出でつること書きつくるよければ、人の声聞くべきにあらず。」
 おもへば、まづ師より教えらるるは
「人の歌、詩などをあらたむはむげなることにて、いといとふ浅はかなり。教えをこはれざればあらたむべからず」にて侍り
世にからうた、歌は形さだむれど、いにしへには心より出でつることこころのままにしたがひて形もさだむらざらむ。

世の中は 糸の結びの いと固し ほどくるひとの いみじかりけり
                 編者

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