作者：かすてら 
ずんだ料亭 甘味編
前置き
前回結構コメントで料理の案をいただきました。今回は個人的にいいなあと思った冷たい系をテーマにデザートを作っていきたいと思います。あと前回豆腐作って食べるの忘れてましたねw気が向いたら修正します。
本文
料亭「ずんだ庵」ーずんだ虫を使った高級料理を提供する老舗の料亭であるー連載も3回目であるが引き続き取材させていただいた。
メイン料理はあらかたいただき、お腹も膨れてきた。そろそろデザートと行きたいところである。
ー板長、デザートをいただきたいのですがー
板長「かしこまりましたなのだ。当店自慢のずんだ虫を使った見た目も味も最高の甘味を提供するのだ。」
ずんだかき氷
板長「ずんだ虫のかき氷はもはや一般的になってきたのだ。氷の上にすりつぶしたずんだ虫をシロップとしてかけるのだ。しかし、うちではお客様に最高のかき氷を食べてほしいのだ。そこでこんなものを用意したのだ。
板長は冷凍庫から大きな氷を取り出してきた。それは不純物が一切ないことが素人目に見ても明らかなほど透き通っていた。その中に閉じ込められているずんだ虫達の様子もハッキリと見えるほどに。
ーすごいですね。生きているのですか？これー
板長「もちろんなのだ。この氷は特注で一週間かけて不純物が一切入らないように凍らせたものなのだ。中に入れるずんだ虫も不純物が入らないように無菌室で育てたスイーツ用ものを事前に徹底洗浄して入れるのだ。ずんだ虫は生命力が高いのでこんな状態でも生きてるし、感覚もあるのだ。この段階でもストレスでかなり旨くなっているはずなのだ。」
「ぶるぶるぶる…ちゃむい…ちゃむいのだ…おとーちゃ…」
「だ、だいじょうぶなのだおちびちゃん！おとうちゃがすぐにここからだしてあげるからね…だちて！ここからだちゅのだ！」
「おかーちゃ…ぼくたちこのままちんじゃうのだ？ぶるぶる」
「へーきなのだ！おとうちゃがなんとかちてくれるのだ！しんじるのだ！」
確かによく見ると凍って動けないながらも中のずんだ虫達は生きているように見える。
しかし、かき氷ということはこの氷はこれから削られていくわけだ。
板長「生きたままのずんだ虫を削ることでさらにストレスを与えて旨味を蓄えてもらうのだ。」
「え？」
「ぼくたちたべられちゃうのだ？」
「うわーん！こわいのだ！」
「だいじょうぶだよおちびちゃん！こんなこおりさん、こわしてそとにでてやるのだ！」
中のずんだ虫の会話が少し聞こえてきたが今壊せない氷なら残りのずん生での脱出は不可能だろう。
板長はかき氷機に氷をセットするとゆっくりとハンドルを回し始めた。それはかき氷が溶けないようにしながらずんだ虫に最大限ストレスを与える最適な速度であった。
「やーや！こわいよ！こわいよ！」
「おちびちゃん！おちびちゃん！
「おにーちゃ！にげて！」
「くちょ！くちょ！うごけ！ぼくのからだ！うごくのだ！」
板長「実はずんだ虫の並べ方にもひと工夫あるのだ。この氷、子ずんを下、親ずんを上の方に向かい合わせで閉じ込めているのだ。これが最高のかき氷を作る条件なのだ」
氷を削りながら器用に喋る板長。かき氷機の刃は1匹目の子ずんに達するところだった。
「おかーちゃああああああああああああ！いちゃい！がりがりちないで！」
「あああああああああ！おちびちゃん！」
「どうちてこんなひどいこと！いますぐやめるのだ！」
「おにーちゃにひどいことちないで！たちけて！」
雪のような氷に綺麗な緑色が混じり始めた。
凍ったずんだ虫は耐久力が減少しているようだ。ほとんど抵抗なく削られていく。しかし、痛みはしっかり感じているようで悲鳴をあげている。親ずんは我が子が死にゆく様を透き通った壁の奥から見ることしかできない。
「くちょ！くちょ！かみさま！おねがい！ぼくにおちびちゃんをたすけるちからを！」
「ぼくはどうなってもいいからおちびちゃんだけは！」
「うわーん！おにいちゃをたちゅけて！」
「あがががががががががががが！かひゅー…かひゅー…あ,あちのかんかくがないのだ…」
子ずんが爪先から順に削られていく様は実に美しかった。氷と子ずんの結晶に光が反射し、幻想的な光景が繰り広げられていた。
「やだ！やだ！おかーちゃ！おとーちゃ！たちけて！たちけたああああああああああああああああああああああああああああああ」
「いやあああああああああああああ！おちびちゃんが！おちびちゃんが！」
「おにーちゃがなくなっちゃったのだ！うわーん！」
「くちょお！くちょお！まもれなかったのだ！」
板長「こうやって下から順番に削っていくことで残っているずんだ虫にストレスをかけていくのだ。どんどん甘味と旨味も増すのだ。しかも綺麗な氷が削れていくところが見られるので目でも楽しめるメニューになっているのだ。」
そういうと板長は再び氷を削り始めた。
「ああいちゃい！いちゃいよぉ！」
「これいじょうはやめるのだ！」
「うごけ！ぼくのからだ！」
「いちゃいいちゃいいちゃいいちゃい！あばあああばばばばば…」
2匹目の子ずんはサイズも小さかったためかあっという間に削れてしまった。
「お、おちびちゃん…もうたえられないちゃ…どうちて…」
「うわーん！かみさまどうちてなのだ！どうちてなのだー！」
このあと親ずん達は子ずんを失ったことを嘆きながら削られていった。こうして器にはボリューム満点のかき氷が出来上がった。シロップはこれからだがこのまま食べても美味しそうだ。
板長「シロップにも当然ずんだ虫をふんだんに使っていくのだ。まずは産地直送今朝とれたてのものを用意するのだ」
「あれぇ？にんげんしゃん？ここはどこなのだ？うわ！」
板長はずんだ虫を摘み上げると胴体を手で握った。
「に、にんげんしゃん。ちょっとくるちいのだ。ゆるめてほしいのだあああああああああああああああああああ！？」
そのまま力を込め、胴体からシロップを絞り出した。みるみるかき氷が緑色に染まっていく。要するにシロップとは搾りたて体液のことらしい。もちろん国の厳しい検査をクリアしているのでこんな見た目でも健康への被害はない。
板長「お待たせしましたのだ」
出されたかき氷を一口…
ーこれは…、まるで抹茶のような苦味の中にずんだの濃厚な甘味が広がっています！なんと不思議なスイーツだ…ー
板長「気に入ってもらえて嬉しいのだ。さて次がいよいよ最後の料理なのだ」
なんとー実に名残惜しいが仕方がない。最後の一品も楽しみだ。
続く。
次回完結予定です。悲鳴もワンパターンになってきちゃったので…完結させたら実験編とか別の短編とか書こうと思っています。それでは
ps.ずんだもんでナンとか作ってる方いましたっけ？自分で調べりゃいいんですけど…
前置き
前回結構コメントで料理の案をいただきました。今回は個人的にいいなあと思った冷たい系をテーマにデザートを作っていきたいと思います。あと前回豆腐作って食べるの忘れてましたねw気が向いたら修正します。
本文
料亭「ずんだ庵」ーずんだ虫を使った高級料理を提供する老舗の料亭であるー連載も3回目であるが引き続き取材させていただいた。
メイン料理はあらかたいただき、お腹も膨れてきた。そろそろデザートと行きたいところである。
ー板長、デザートをいただきたいのですがー
板長「かしこまりましたなのだ。当店自慢のずんだ虫を使った見た目も味も最高の甘味を提供するのだ。」
ずんだかき氷
板長「ずんだ虫のかき氷はもはや一般的になってきたのだ。氷の上にすりつぶしたずんだ虫をシロップとしてかけるのだ。しかし、うちではお客様に最高のかき氷を食べてほしいのだ。そこでこんなものを用意したのだ。
板長は冷凍庫から大きな氷を取り出してきた。それは不純物が一切ないことが素人目に見ても明らかなほど透き通っていた。その中に閉じ込められているずんだ虫達の様子もハッキリと見えるほどに。
ーすごいですね。生きているのですか？これー
板長「もちろんなのだ。この氷は特注で一週間かけて不純物が一切入らないように凍らせたものなのだ。中に入れるずんだ虫も不純物が入らないように無菌室で育てたスイーツ用ものを事前に徹底洗浄して入れるのだ。ずんだ虫は生命力が高いのでこんな状態でも生きてるし、感覚もあるのだ。この段階でもストレスでかなり旨くなっているはずなのだ。」
「ぶるぶるぶる…ちゃむい…ちゃむいのだ…おとーちゃ…」
「だ、だいじょうぶなのだおちびちゃん！おとうちゃがすぐにここからだしてあげるからね…だちて！ここからだちゅのだ！」
「おかーちゃ…ぼくたちこのままちんじゃうのだ？ぶるぶる」
「へーきなのだ！おとうちゃがなんとかちてくれるのだ！しんじるのだ！」
確かによく見ると凍って動けないながらも中のずんだ虫達は生きているように見える。
しかし、かき氷ということはこの氷はこれから削られていくわけだ。
板長「生きたままのずんだ虫を削ることでさらにストレスを与えて旨味を蓄えてもらうのだ。」
「え？」
「ぼくたちたべられちゃうのだ？」
「うわーん！こわいのだ！」
「だいじょうぶだよおちびちゃん！こんなこおりさん、こわしてそとにでてやるのだ！」
中のずんだ虫の会話が少し聞こえてきたが今壊せない氷なら残りのずん生での脱出は不可能だろう。
板長はかき氷機に氷をセットするとゆっくりとハンドルを回し始めた。それはかき氷が溶けないようにしながらずんだ虫に最大限ストレスを与える最適な速度であった。
「やーや！こわいよ！こわいよ！」
「おちびちゃん！おちびちゃん！
「おにーちゃ！にげて！」
「くちょ！くちょ！うごけ！ぼくのからだ！うごくのだ！」
板長「実はずんだ虫の並べ方にもひと工夫あるのだ。この氷、子ずんを下、親ずんを上の方に向かい合わせで閉じ込めているのだ。これが最高のかき氷を作る条件なのだ」
氷を削りながら器用に喋る板長。かき氷機の刃は1匹目の子ずんに達するところだった。
「おかーちゃああああああああああああ！いちゃい！がりがりちないで！」
「あああああああああ！おちびちゃん！」
「どうちてこんなひどいこと！いますぐやめるのだ！」
「おにーちゃにひどいことちないで！たちけて！」
雪のような氷に綺麗な緑色が混じり始めた。
凍ったずんだ虫は耐久力が減少しているようだ。ほとんど抵抗なく削られていく。しかし、痛みはしっかり感じているようで悲鳴をあげている。親ずんは我が子が死にゆく様を透き通った壁の奥から見ることしかできない。
「くちょ！くちょ！かみさま！おねがい！ぼくにおちびちゃんをたすけるちからを！」
「ぼくはどうなってもいいからおちびちゃんだけは！」
「うわーん！おにいちゃをたちゅけて！」
「あがががががががががががが！かひゅー…かひゅー…あ,あちのかんかくがないのだ…」
子ずんが爪先から順に削られていく様は実に美しかった。氷と子ずんの結晶に光が反射し、幻想的な光景が繰り広げられていた。
「やだ！やだ！おかーちゃ！おとーちゃ！たちけて！たちけたああああああああああああああああああああああああああああああ」
「いやあああああああああああああ！おちびちゃんが！おちびちゃんが！」
「おにーちゃがなくなっちゃったのだ！うわーん！」
「くちょお！くちょお！まもれなかったのだ！」
板長「こうやって下から順番に削っていくことで残っているずんだ虫にストレスをかけていくのだ。どんどん甘味と旨味も増すのだ。しかも綺麗な氷が削れていくところが見られるので目でも楽しめるメニューになっているのだ。」
そういうと板長は再び氷を削り始めた。
「ああいちゃい！いちゃいよぉ！」
「これいじょうはやめるのだ！」
「うごけ！ぼくのからだ！」
「いちゃいいちゃいいちゃいいちゃい！あばあああばばばばば…」
2匹目の子ずんはサイズも小さかったためかあっという間に削れてしまった。
「お、おちびちゃん…もうたえられないちゃ…どうちて…」
「うわーん！かみさまどうちてなのだ！どうちてなのだー！」
このあと親ずん達は子ずんを失ったことを嘆きながら削られていった。こうして器にはボリューム満点のかき氷が出来上がった。シロップはこれからだがこのまま食べても美味しそうだ。
板長「シロップにも当然ずんだ虫をふんだんに使っていくのだ。まずは産地直送今朝とれたてのものを用意するのだ」
「あれぇ？にんげんしゃん？ここはどこなのだ？うわ！」
板長はずんだ虫を摘み上げると胴体を手で握った。
「に、にんげんしゃん。ちょっとくるちいのだ。ゆるめてほしいのだあああああああああああああああああああ！？」
そのまま力を込め、胴体からシロップを絞り出した。みるみるかき氷が緑色に染まっていく。要するにシロップとは搾りたて体液のことらしい。もちろん国の厳しい検査をクリアしているのでこんな見た目でも健康への被害はない。
板長「お待たせしましたのだ」
出されたかき氷を一口…
ーこれは…、まるで抹茶のような苦味の中にずんだの濃厚な甘味が広がっています！なんと不思議なスイーツだ…ー
板長「気に入ってもらえて嬉しいのだ。さて次がいよいよ最後の料理なのだ」
なんとー実に名残惜しいが仕方がない。最後の一品も楽しみだ。
続く。
次回完結予定です。悲鳴もワンパターンになってきちゃったので…完結させたら実験編とか別の短編とか書こうと思っています。それでは
ps.ずんだもんでナンとか作ってる方いましたっけ？自分で調べりゃいいんですけど…
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このページへのコメント
いいセンスの板長さんだ
カキ氷来ましたね
採用ありがとうございます
氷の中のずんだ虫の配置も実に素晴らしい
実に美味しそう・・・じゅるり・・・
最後の一品も楽しみです
確か『裏ずん虐』シリーズでは“甘み”は喜ばせた状態の時が出やすいと聞いたことがある。
氷の塊にはシロップでも染みこませて甘い思いをさせているのだろうか。
シロップ用ずんだもんは全くストレスのない環境で大切に育てられてから出荷されます。よって彼らの体液は甘みをため込んでいるのです。
アレ?｢幸せ｣になるとスパイシーな風味が出るんじゃなかったっけ?(甘味や旨味はずん虐による心身の苦痛や絶望で引き出されるだったはず……)
まぁどっち道めっちゃ旨そうだし、世界もずんだもんの種類も違うだろうからいいや(汗)。