�”磧�すなわち自分。自爆票で家族だけは・・・。
「父妖精、オマエに3票。驚いたね、自分に投票した妖精は初めて見たよ」
「―――――――――――。―――――――――――！―――――――――――？」
[・・・]
不義の言葉が全く耳に入らない。
ナニカを言い、質問や確認をしているようだがもはや何も理解できない。
投票し、結果が出た時点で父妖精は死んだに等しい。いうなればこれはロスタイム。さっさと終わりにして欲しかった。
どちゃっ！！
そんな父妖精の考えに応えるかのように、再三の問いをシカトされ埒が明かないと判断した不義により踏み潰され汚いペーストと化す父妖精。
吹き飛んだ枝耳、ころころと転がる目玉には何も映らなかった。
目の前で殺された父妖精の敵！と自分たちの投票結果なのも忘れ不義に襲い掛かり、ルール違反と裁かれる母と子妖精の姿など、見えようはずもなかった。
「まったく救いようのないクズ共だな。闇の中で仲良く再会できると、いいな」
�∧譟�おちびを守るためには、父である自分が必要なのだ。
「決まりだな。処刑されるのは母妖精だ」
[・・・]
黙り込む父妖精。ここから先も目の前の人間のようにどんな脅威が家族を襲うかわからない。
この中で最も膂力ある(笑)自分が生き延び、子を守り次へと希望を繋ぐ。妖精なりに理に適った(？)考えであった。
[ぱぱずんさいてーなのだ！おちびもゆるせないのだ！！]
だが、切り捨てられる側はたまったものではない。
モニターに映っているのを知ってか知らずか喚き散らす母妖精。逆に自分が殺されることになったとして同じような呪詛を吐いていたであろう、と父妖精にはその様子を直視できない。
[くちょ！くちょう！あんなたんしょーでほーけーやろう といっしょになるんじゃなかったのだ！くちょがきもやくたたずなのだ！]
[くちょくちょくちょくちょくちょくちょっ！みんなみぃんな、ごみいかの くそずんかす、さいってーなのだっ！！]
[あのときもこのときもそのときもっ！しあわせなんてひとつもなかったのだっ！ぐずっ！のろまっ！！あほたれっ！！！]
[や、やめて・・・]
目を背け耳を塞ごうと飛び込んでくる呪詛と怒りに、自分で切り捨てておきながら涙すら浮かべる父妖精。
こうするしかなかった、家族のために許してほしい。いくら正義や理を説こうが我が身可愛さに家族を売った事実は変わらない。
[あああああっ！わあああああっ！！！]
[ままずんんんんっ！ままずんごめんっ、ごめんなさいなのだああああああっ！！！]
がっくりと＿|￣|○し、泣き崩れる父妖精。
茶番はもういいかな、と家庭崩壊の図を堪能した不義が動き出す。
「さあ、罰☆ゲームを始めようぜ。マインドコントロール！！」バ☆ン
しかし不義が指をさしターゲットにしたのは処刑対象の母妖精でなく、みっともなく泣きじゃくる父妖精であった。
[あ、あぎぎっ、あがぐぎぃっ！？]
(なんで？どちてぼくが？ぼくに？？)
バチリ、と全身に電流が走ったように痺れて自由が利かなくなる身体。父妖精の心以外は不義のコントロール下に置かれた・・・らしい。
原理などは全く不明だが、考えれば考えるだけバカバカしそうなのでお虐様ぁん♡諸兄姉にはそういうもんなんだろうなーと諦めてこれから始まる処刑死の様子を眺めて頂きたく・・・。
[ぱぱずん？さいてーさいあくのうらぎりものが、いまさらなにしにきたのだ！？なんとかいったら どうなのだっ！？]
[ごぼりゅ、べべぼぼがぼぁ！？]
(いつのまにままずんが？あやまりたいのに、こえがだせないちゃ・・・)
思いの他近かったのか、気付けば目の前に引き離されたはずの母妖精の姿。
しかし父妖精の意に反して歩みを止めず、両手がバランスの悪い首へと回され・・・。
ｷﾞｭｳｳｳｳｳｳｳｳ
[か、かぁぁぁ〜〜〜]
[ぼぐ、を、ぶっころちに、きた、の、だぁ？]
(ちがう、ちがうのだ！くちょにんげんがかってに！！)
[わざっ、わざ・・・？そん、なに、にくかった、の、だ？？]
[まちがいだと、おもったの、に・・・おもいたかった・・・の、だっ・・・]
[くちょ、おす・・・ちね、ちねちねちねちねちねちねちねちねちね]
(やべてーっ！やべろおーっ！！ままずんがちんじゃう！はなちぇ！おてて、おててしゃんがいちゃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ！！！！！)
明らかに限界を超えた力が手先に込められ、空気が漏れるようなか細い声で呪詛を漏らし続ける母妖精の首を捩じり切る。
滅茶苦茶に込められた力に貧相なボディが耐え切れず、あらぬ方向へ捻じ曲がり亡骸と混ざり合い、汚いオブジェと化す父妖精の両手。
「闇の扉が開かれた・・・。オマエは投票でも、物理的にもその手で最愛の家族を殺したのさ」
「だが自分の決断を悔やむことはない。現にオマエとおちびは生き残った、それでいいじゃないか」
[ちて・・・ころ、ちて・・・ころ。ころ。ころころ・・・]
不義の言葉が父妖精に届くことはなかった。これではコントロールを通り越してクラッシュである。
「ハハッ、こりゃあ参った。オマエたちの脆さをナメてたぜ」
[おとーちゃ？おとーちゃちっかりちてぇ・・・！]
[ちて、ころ]
自分を守ってくれるものはもういないと理解を拒み、壊れた父に縋り続ける憐れな子妖精の姿を眺めた不義は満足そうに目を細めた。
「そいつを連れて森でもどこでも消えるんだな。用は済んだ」
��子。おちびは、また産めばいいのだ。
「投票の結果は子。さあ覚悟を決めなクソガキ」
[・・・]
[・・・]
子を犠牲にしてこの場を凌ぐ。
生き残った自分とパートナーで改めて子を作り、愛し育てれば良い。
我々人間からすれば理解しがたいが、野生生物としては間違っていないのかもしれないロジック。
頭ではわかっていて最善を尽くしたつもりなのかもしれないが、親妖精たちの心は晴れることなく重かった。
[あっあっ、あっあっあっあっ・・・]
自分は切り捨てられた。守ってくれる両親などもういない、敵だ。
急に世界がひっくり返ったような感覚に襲われる子妖精は何も出来ず、ただ怯え竦んで震えるだけ。
「オマエにはどんな罰☆ゲームが似合いかな？思いっきり痛い目に遭わせてやろーか、苦しい目に遭わせてやろーか・・・？？？」
焦らすようにゆっくりと歩みを進める不義。その目には狂気の悦びが浮かび、弱者を踏み躙ることを心から楽しんでいるように見受けられる。
[・・・！]
やはり間違っている。これではいけない。絶望を極める子妖精を救えるのは、自分たちしかいないのだ。
自分で投票し、裏切り、窮地へ追いやっておきながらも今更思い直した親妖精たちは同時に駆ける。互いの思いなど知ることもなく、ただ親子愛だけが身体を突き動かしていた。
(おちびちゃん、いまたすけるのだっ！ぼくが、ぼくだけが・・・！！！)
[やびゃああああっ！やががががっ、びゃああああああっ！！！！]
目の前でよくわからないナニカへ引っ張られ、連れ攫われようとしている子妖精。放っておけば命はない、恐れも迷いもどこにもない。
[おちびいいいいいっ！まけるな、あきらめにゃいっ、でえええええっ！！]
ｷﾞｭｳ
引かれている手と逆を取り、自分が助けるんだと無我夢中で引っ張る父妖精。
[いぢゃいいいいいっ！いぢゃ、いぢゃがががががががががががああああああっ！！！]
(ぼくはもう、このてをぜったいはなさないちゃ。おちびちゃん、ぜったいまもってみせるのだ！！)
悲鳴、いやそれを超えた絶叫を漏らす子妖精にも構わずに引いて、引っ張って、引き寄せ続ける父妖精。そしてとうとう・・・。
ぶ ち り
[あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！](5.57)
限界を迎えた貧弱ボディが千切れ、捩じり切られて耳馴染みのある断末魔だけ残し真っ二つになる。
[わああああっ！？]×2
抱き込むような形で引っ張っていた父妖精は勢いそのままくるくる回転し、その場で無様なダンスを踊らされる。
絶望、絶叫の表情で半身に千切れた子妖精の身に何が起こったのか、自分が何を死たのか理解できないまましばらくの間死の舞踏は続いた。
[そんな、おち、び・・・]
残った半身を抱き呆然としているのは母妖精。
夫婦共に互いの姿を認識することなく、必死で子を引っ張り合った結果死に至らしめたのである。バカだなあ。
「おいおい、罰☆ゲームを下すのはオレの役目だぜ。逸っちゃダメじゃないか・・・」
「とはいえ面白い見世物と結果になったから許してやるよ。オマエらの選択、見せてもらったぜ。あとは好きにしな」
子を見捨て、手に掛けてしまった親妖精たち。コイツ等がこれからどうなるのか、それを知るものはいない・・・。
�い泙討茵�全員の票数が同じになれば、みんな死ななくていいんじゃ・・・？
「結果は・・・？へぇ、やるね」
驚いた顔を浮かべる不義。投票結果は『全員1票づつばらけている』というものだった。最多投票ずん無し！
[や、やった・・・！やったのだ、ぼくたちがかったのだ！！]
[ぼくはかんがえたちゃ、かんがえてかんがえぬいたけっか・・・]
「ああ、オレの負けでオマエたちの勝ち。結束の力を見せてもらったぜ」
長ったらしい父妖精の自分騙りをスルーして、潔く負けを認め降参の意を示す不義。
約束通り開放、その前に勝者への敬意と報酬としてずんだ餅を振舞ってやる。
[ずんだもち！？ずんだもちなのだ！？]×3
目の色を変え、ｸｯﾁｬｸｯﾁｬと貪り尽くす妖精親子。
ゲームに勝ったのは偶然か必然かは定かではないが、不義の言った結束の力やら気高さは微塵も感じぬ畜生っぷりを見せつける。
[げぶぅ]
[やったのだ！やったのだ！！きょーはちゃいこーなのだ！！]
[やいくちょにんげん、ずんちゃはこんなんじゃたらないのだ。もっともっとずんだもちをよこすのだ！ばいしょーするのだ！！]
生きている悦びを噛みしめ涙を流す両親とは対照的に、さっさと平らげて報酬の上乗せを要求する子妖精。
『ふゥん』と漏らした不義はしかし嬉しそうに口端を吊り上げる。
「おいクソガキ。あんまり調子に乗らない方がいいぜ？さっきオレが言ったこと忘れたのか？」
[だまるのだ！おまえができるのは、ずんだもちどれーになることだけなのだ！わかったらさっさとするのだ！！]
可能な限り穏便に済ませようとする不義だが調子に乗った子妖精は止まらない。
さっきまで命の危機にあったにも関わらず、別ルートであっけない最期を迎えているとも知らずに調子に乗り倒している。
[ずんだもちを よこちぇまけいぬ！へこへこようの、かーいいめすずんもよこすのだ！！]
「・・・警告はした。これ以上は本当に危ないぜ？仏の顔を三度までという名セリフを知らないのかよ？？」
[うるぢゃ・・・う゛っ！？]
ﾍﾞｼﾞｬｯ
「闇の扉がフルオープンだぜ。ゲームマスターを怒らせるとどうなるか、その身に刻むんだな」
我慢の限界を迎えた不義が実力行使に訴える。
子妖精の尾を掴み、力任せに地面へ叩きつける。顔面から逝った子妖精は大ダメージを受けるが、尻尾が耐え切れず千切れ飛ぶ。
[がぎばばばばばばばばばばっ！？]
ﾌﾞｼﾞｨ!!×4
それだけで飽き足らず、地に伏した子妖精の手足を千切り飛ばし芋虫のような無価値な状態にして転がす。極めつけに・・・。
「マインドクラッシュ！！」
ド☆ン
[おちびぎゃん、りゃめーっ！！]
[あびゃびゃびゃびゃあ〜、にょ、にょだぁぁ・・・]
両親の制止空しく、精神を破壊された子妖精は白痴のような蕩けた声を漏らす妖精以下のナニカへ成り果てていた。
「そいつの悪の心を砕いた。もっともオマエらクソムシにとってはそれが全てかもな。せいぜい心のピースを組み立て直すがいいさ。それまで生きていられたら、だけどな」
まあ戻ってもたりないだけど、と今日一番の嘲笑を浮かべる不義。
[ぼくたちの、ぼくたちのかわいいおちびちゃんがあああ・・・]
[こんにゃ、こんにゃことって・・・！]
「命までは取らないさ。お荷物を抱えてひっそりと生きて行くんだな」
「・・・おっと、オマエらにも罰を与えないとな。この失態は親の責任だ。子の声に傾けられない耳なんて、要らないよな？」
ﾊﾞｼｭｯ
[あぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああっ！？]
[おみみしゃんっ！？ぼくたちのおみみしゃんがあああああああああああああああああああああああっ！！！！]
夫婦揃って耳を切り捨てられる。耳を喪った姿は身体だけ大きくなったアンバランスな子妖精のようにも見える。
「神聖なゲームを汚したのはこれで勘弁してやる。さっさとオレの前から失せな！！」
しかし不義にはわかっていた。
この夫婦がお荷物を抱えて生きてなどいけないことを。
よしんば森に、群れに帰れたとして耳を喪った成ずんは軽視され、迫害される運命にあることを。
連中の逝く末に未来など、無い。
saiyan_party 2024年05月22日(水) 18:46:18履歴
このページへのコメント
太眉のスナイパーが「恐怖だけが危険を遠ざけてくれる」と言うようにその場の感情で動くコイツらでは助かる道はないんだなぁと
コイツらに一番必要なものなんですけどね
感情を処理できんヤツはゴミらしいですからね。
ダメじゃないか妖精〜、お前らは死んだんだぞ死ぬんだぞ〜？？
マルチエンディングはテンション上がりますね！！最初は『子。おちびは、また産めばいいのだ。』にしました。妖精っぽいなあと思って……分岐したところで、最初から悪いことをしている時点でお仕置きは不可避ですね！
最多投票ずん無しで調子に乗っちゃうのがまた、愚か……耳なし親ずんはビジュアル的にもかなり私好みですが、妖精たちにとっては迫害の対象なのがまた残酷です……
言われてから「こいつら詰みデータでセーブしてやがるバカだなあ」ということに気付いたアドヴァンス・バカが俺です。
ゲームの攻略法というか穴は用意した上で自主的な破滅を促す、ご都合と言われればそこまでですがその流れは上手く行ったのかなあ？行ってればいいなあと思っています。
成ずんサイズなのに耳がない→ナニカサレタか不具合持ち個体
人間のところから逃げてきた→生き残ったのはいいが災い持ち込むな
と妖精の群れからすると拒絶するのが自然かなあと。祭屋世界の群れ余所モノに厳しい風潮がありますね…
読者が選ぶマルチエンド、斬新で面白かったです。
遊戯王パロディは、動画とも相性が良さそうですね。
次回「ずんだ虫死す」
デュエルスタンバイ！
ありがとうございます。どの√でも主ずん公の父妖精が破壊されたり母妖精のキャラが薄いのは…その、見なかったことに。
カードゲームごっこする動画は考えてるんですが、〇〇死す！(バレバレ)ネタは外せませんよねえw
ずん虐のデスゲームは鬼威惨側がペガサス並みの理不尽野郎のイメージですが本作はちゃんと生かすのが面白かったです。
鬼威惨はルール守るのに調子に乗るから悲惨な目に合うずんだ虫の馬鹿っぷりよ…。
パロディ元が正しくゲームしてるというか、ルールはちゃんと守る人だと思っているのでﾄｩｰﾝｻｸﾘﾌｧｲｽ野郎とは違う…といいですね。
不義に極力ダイレクトアタック！させようとしなかったのはその辺りの縛りです。
どちらかというとゲーム中の煽りや精神攻撃でルール違反へ導いて破滅させてるような気もしますが…。(序盤は特に)罪人私刑する話だしまいっか！
ワイ「これどうせ全員同じ票数になったら全員死刑なんだろうなーいくら態度クソ虫とは言えちょっとだけ同情するかも」
虫餓鬼悪態→執行
ワイ「えぇ……(困惑)」
夢と予想をいい意味で裏切れたでしょうか？
そうであったなら幸いです(なお困惑)
すみません！いい意味で裏切られたって意味です！
見る前は虫にちょっとだけ同情してたのにまさかの自滅で(困惑)になっただけです！
また次の作品を楽しみにしてます！
暖かいお言葉染み渡ります。
陳々腐イプイなモノを書き殴っているつもりなのでこういう感想を頂くと俺も捨てたもんじゃねーなと勘違いできますね！