冬に生まれて
最終更新：
komekouji42786 2024年05月21日(火) 00:53:31履歴
嫌な気持ちになりてぇ！嫌な気持ちになりてぇ！と思いながら書いたので救いも制裁もないです。ごめんなさい。
作者：米コウジ
作者：米コウジ 
ぼとり、ぐちゃり。
籠った落下音が洞窟の中にわずかに響く。
しばし遅れて
「おぎゃーのだ！おぎゃーのだ！」「うぇーん！うぇーん！」
と、繰り返される産声は落下音の主が妖精の幼体、所謂「赤ずん」であることを主張するように響いている。
泣き続ける10匹の赤ずんはお互いの顔を見合わせながらその声に不満の色を交え始める。
なぜおかーちゃはぼくたちの体を舐めてくれないのだろう？
なぜ抱きしめて愛してくれないんだろう？
なぜ枝耳ミルクを飲ませてくれないのだろう？
その答えは頭上でわずかに身じろぐばかりだ。
「おお、産まれてるのだ！」
音を聞きつけた洞窟の奥から1匹の成ずんが顔を出し赤ずんへ近づいた。
赤ずんたちは泣くのをやめて媚びた視線を成ずんへ向けた。
1匹が集団から抜け出し、ゆっくりと這い出すと
「お…おとーちゃ！だっこ！ごはんしゃん！」
と成ずんの足へ頬を擦り寄せる。
その瞬間、成ずんの脚が力強く放たれ赤ずんの頭にめり込んだ。
ビクビクと痙攣する末っ子を見て赤ずんたちは初めての恐怖を自覚した。
「おめーらクズどもがおとーちゃなんて呼ぶんじゃねーのだ！それは”ぼくたちのおちびちゃん“だけが言って良い言葉なのだ！」
言葉の意味も目の前の成ずんがパパずんなのかそうでないかもわからない赤ずんたちは、末っ子が何か悪いことをしてしまったせいで蹴られたのだろうとしか考えられなかった。
「ごめんなしゃい！ごめんなしゃい！ごめんなしゃい！ごめんなしゃい！」
何が悪い行為かわからないので、次に蹴られるのは自分かもしれない。その不安が謝罪の大合唱を呼んだ。
「うるさいのだ……あいつのおちびが産まれたのだ？」
今度顔を出したのはメスの成ずんだ。
その体は食糧の少ない冬にも関わらず毛艶が良く、ほんの少しふっくらとしていた。
「お…おかーちゃ！おかーちゃ！いちゃいのだ！だっこちて！」
痙攣が止んだ末っ子が懲りずにまた叫び出した。
蹴られ、石で擦れた顔からはまばらに緑の血が流れていた。
「あ〜？ぼくがお前らのままずんなわけないのだ。お前らのママずんはそこなのだ！」
今度は顎を蹴られた末っ子が後ろ側に倒れ仰向けとなる。
視線の先、兄たちが震える頭上に黒ずんだ大きな塊が植物の蔦に絡まり吊るされていた。
塊の下部からは粘液が滴り、時折赤ずんたちの頭にかかっている。
「全く、とんだくちょメスなのだ。パパずんを誘惑した挙句死にかけのくせにこんなに産んじゃって…」
メスずんは軽蔑の目を赤ずんに向けたあと最後に成ずんの顔をじっと見た。
「ご…ごめんなのだ！でも…こんな冬にママずんとヘコヘコしたらママずんのおにゃかの負担になっちゃうからこいつで妥協したのだ！だいちゅきなママずんとは枝豆のたくさんできる季節にいっぱいヘコりたいのだ！」
成ずんの言葉にメスずんは頬を赤く染めながら彼の元へ駆けていく。
「しょ…しょうがないのだ！パパずんの浮気性には困ったものなのだ！……でもぼくを大事にしてくれるのはキュンときちゃうのだ！」
枝耳を擦り合わせる親愛行動によって頬の紅潮は成ずんへも伝わる。
その間赤ずんたちは末っ子を集団に戻し、傷を舐めながら頭上の塊を観察していた。
風の音、やかましいイチャつきの声に遮られてるがわずかに塊から音がする。
「げて……に……げて……ちゃ……ん……」
当然赤ずんたちには聞き取れなかった。
「ふー……それにしてもあにゃるさんのぶっ壊れたくちょメスから10匹も産まれるなんてさすがぼくのタネちゃんなのだ。でも冬の間中遊ぶつもりがくちょメスがくちょザコなせいでおじゃんなのだ。」
「こいつらはどうするのだ？”ぼくたちのおちびちゃん“の分も十分ご飯さんは集まってるから非常食はいらないのだ。」
詳細は理解できなくとも自分達を守るものがいないこと、この2匹は味方ではないこと、会話の中の不穏な空気を感じ取った赤ずんの瞳には涙が浮かぶ。
「こいつらは教材なのだ。冬が明けて外の世界に出た時、“ぼくたちのおちびちゃん”には他の妖精をぶっころちゅ覚悟が芽生えてないといけないのだ。」
言いながら成ずんは洞窟の奥へと向かっていき、寝ぼけ眼を擦る5匹の子ずんを連れてきた。
皆、体格は赤ずんの3倍ほどで生えかけの1匹を除き枝耳も立派に生え揃っている。
不満そうに歩く子ずんたちだったが赤ずんを視界に捉えると口々に騒ぎ出した。
「ふわあ！この子たちとってもぷりちーなのだ！ぼくたちのおとーちょといもーちょなのだ！？」
「寒そうなのだ！おねーちゃとぶるぶるちてあったまるのだ！」
「上のはおとなりしゃんなのだ…？なんでちんでるのだ…？」
「この子たち誰なのだ？ケッ！ぼくのほうがかわいいのだ！調子乗ってんじゃねーのだ！」
「おめーらうるちゃいのだ！おにゃか空いたのだ！」
口々に騒ぎ立てる子ずんたちを両親は微笑ましそうに眺めているが赤ずんに触ろうとしたところで待ったが入る。
「おちびちゃんたち！そいつらは未来のおちびちゃんたちの敵なのだ！いつかおちびちゃんがずんだ餅を取り合った時！くちょにんげんに追われた時！ヘコりターゲットにつがいがいた時！同じずんだもんであろうと蹴落とさなきゃいけない時が来るのだ！そういう時はこうするのだ！」
赤ずんの集団から1匹が取り上げられた。
異様な空気を感じたにも関わらず初めての同族の手の温もりに赤ずんは喜びの表情を浮かべる。
「だっこなのだ？ちゅきなのだ〜」
成ずんのもう片方の手は笑顔で細まった赤ずんの瞼を突き破り、その裏にあるものを根こそぎ掻き出した。
「のぎゃあああああああ！」
眼球が落ち、潰れた。
赤ずんたちは例外なく泣いた。
子ずんたちは真顔、あるいは何匹かは薄い笑みを浮かべている。
「ぼくはいきなりぶち殺せなんて厳しいことは言わないのだ。まずおめめを潰してみるのだ。始め！」
「はーいのだ！」
迫る子ずんに赤ずんができることはない。
なすすべなく目を腕で突かれていくが成ずんのように突き切ることは難しいようだ。
瞼が切れ、半端に眼球が潰れ、なぜか鼻に入り、腕の先が抜けなくなり、赤ずん子ずんともに悲鳴雄叫び入り混じった声が洞窟内に響いていた。
「おちびちゃん？どうちて砂遊びしてるのだ？今お勉強の時間なのだ。」
耳が生えかけの子ずんは目突きをやらずに掘った土を赤ずんに被せていた。
「おとーちゃ！こいつらクッセーのだ！触りたくないのだ！」
「うーん確かに酷い臭いなのだ。でもお外の妖精は僕たちみたいにきれいきれいじゃない時もあるのだ。そんな妖精が襲ってきたらどうするのだ？ほらおとーちゃが持ってて上げるから突いてみるのだ。」
成ずんはひょいと近くにいた赤ずんを抱えながら優しく語りかける。
「わ……わかったのだ！えいのだ！えいのだ！」
「いちゃい！やだ！やめてほしいにょだ！」
子ずんの手はなかなか当たらないものの成ずんはその姿に微笑ましさを感じていた。
「ふふっ！その調子で頑張るんちゃ！いっぱい頑張ってさいきょーの妖精になるのだ！」
───────────────────
30分ほど経ったあと洞窟内は緑色の血が散乱し、静寂が訪れていた。
成ずんは目突きだけで良いと言ったものの流石血の気の多い彼のおちびたちである。
1匹が目のさらに奥を突いていくと赤ずんが面白い声を上げることに気づいてからは奪い合うように暴力が加速していったのだ。
「たのちかったのだ！早くお外に出て他のおうちの子たちと遊びたいのだ！」
「ずんちゃのおもちゃが一番おっきい声だったのだ！一番さんはごはんさんもいっぱい食べて良いのだ！」
皆口々に武勇を誇り洞窟の奥へと食事を取りに向かっていった。
「おとーちゃ！おかーちゃ！しーしーしてからごはんさん食べるのだ！ぼくの分食べないでね！」
生えかけ子ずんは家族から離れて1人残った。
ガシガシと土を掘るとわずかに息の残った赤ずんと子ずんの目が合った。
「ころちゃにゃいで…いたいことしにゃいで…」
すがる声を聞いた生えかけ子ずんの目に涙が浮かぶ。
「こ……ころちゅわけないちゃ……ぼく、君たちのおにーちゃだって知ってるのだ……
ぼくの家族はみんなおかしいのだ。でも逆らったらぼくもちんじゃうちゃ……」
子ずんが赤ずんを抱きしめると心臓の音が弱まっていることが伝わってくる。
「おとーちょ。ここから出て壁伝いに歩くのだ。きっと……きっと他のおうちにいけるのだ！」
「おにーちゃ……おにーちゃ！ありがとうなのだ！」
「そうなのだ！僕は君のおにーちゃなのだ……」
───────────────────
「おかーちゃ！ただいまなのだ！」
焚き火を囲い食事をして居た家族に生えかけ子ずんが戻ってくる。
「おかえりなさいのだ！ぺろぺろちてあげるからずんぽを出すのだ！」
「はーいのだ！ずんぽペロペロだいちゅきなのだ！」
メスずんが生えかけ子ずんのずんぽに口を近づけ…そのままずんぽを食いちぎった。
「ああああああああああああ！おかーりゃあああ！どうちてええええええええ！」
錯乱した生えかけ子ずんは地べたに体をぶつけながら絶叫する。
「お前、さっき1匹もころちてなかったってみんなから教えてもらったのだ。お前みたいなのがいると家族の和が乱れるのだ！」
転がる生えかけ子ずんを他のきょーだいたちはニヤニヤと眺めていた。
「さっ！あとは君たちのおもちゃなのだ！さっき学んだことを活かしていっぱい楽しむのだ！」
───────────────────
生えかけ子ずんの絶叫が洞窟の外に漏れたころ。
吹雪のつもる地面にはわずかに膨らみがあった。
籠った落下音が洞窟の中にわずかに響く。
しばし遅れて
「おぎゃーのだ！おぎゃーのだ！」「うぇーん！うぇーん！」
と、繰り返される産声は落下音の主が妖精の幼体、所謂「赤ずん」であることを主張するように響いている。
泣き続ける10匹の赤ずんはお互いの顔を見合わせながらその声に不満の色を交え始める。
なぜおかーちゃはぼくたちの体を舐めてくれないのだろう？
なぜ抱きしめて愛してくれないんだろう？
なぜ枝耳ミルクを飲ませてくれないのだろう？
その答えは頭上でわずかに身じろぐばかりだ。
「おお、産まれてるのだ！」
音を聞きつけた洞窟の奥から1匹の成ずんが顔を出し赤ずんへ近づいた。
赤ずんたちは泣くのをやめて媚びた視線を成ずんへ向けた。
1匹が集団から抜け出し、ゆっくりと這い出すと
「お…おとーちゃ！だっこ！ごはんしゃん！」
と成ずんの足へ頬を擦り寄せる。
その瞬間、成ずんの脚が力強く放たれ赤ずんの頭にめり込んだ。
ビクビクと痙攣する末っ子を見て赤ずんたちは初めての恐怖を自覚した。
「おめーらクズどもがおとーちゃなんて呼ぶんじゃねーのだ！それは”ぼくたちのおちびちゃん“だけが言って良い言葉なのだ！」
言葉の意味も目の前の成ずんがパパずんなのかそうでないかもわからない赤ずんたちは、末っ子が何か悪いことをしてしまったせいで蹴られたのだろうとしか考えられなかった。
「ごめんなしゃい！ごめんなしゃい！ごめんなしゃい！ごめんなしゃい！」
何が悪い行為かわからないので、次に蹴られるのは自分かもしれない。その不安が謝罪の大合唱を呼んだ。
「うるさいのだ……あいつのおちびが産まれたのだ？」
今度顔を出したのはメスの成ずんだ。
その体は食糧の少ない冬にも関わらず毛艶が良く、ほんの少しふっくらとしていた。
「お…おかーちゃ！おかーちゃ！いちゃいのだ！だっこちて！」
痙攣が止んだ末っ子が懲りずにまた叫び出した。
蹴られ、石で擦れた顔からはまばらに緑の血が流れていた。
「あ〜？ぼくがお前らのままずんなわけないのだ。お前らのママずんはそこなのだ！」
今度は顎を蹴られた末っ子が後ろ側に倒れ仰向けとなる。
視線の先、兄たちが震える頭上に黒ずんだ大きな塊が植物の蔦に絡まり吊るされていた。
塊の下部からは粘液が滴り、時折赤ずんたちの頭にかかっている。
「全く、とんだくちょメスなのだ。パパずんを誘惑した挙句死にかけのくせにこんなに産んじゃって…」
メスずんは軽蔑の目を赤ずんに向けたあと最後に成ずんの顔をじっと見た。
「ご…ごめんなのだ！でも…こんな冬にママずんとヘコヘコしたらママずんのおにゃかの負担になっちゃうからこいつで妥協したのだ！だいちゅきなママずんとは枝豆のたくさんできる季節にいっぱいヘコりたいのだ！」
成ずんの言葉にメスずんは頬を赤く染めながら彼の元へ駆けていく。
「しょ…しょうがないのだ！パパずんの浮気性には困ったものなのだ！……でもぼくを大事にしてくれるのはキュンときちゃうのだ！」
枝耳を擦り合わせる親愛行動によって頬の紅潮は成ずんへも伝わる。
その間赤ずんたちは末っ子を集団に戻し、傷を舐めながら頭上の塊を観察していた。
風の音、やかましいイチャつきの声に遮られてるがわずかに塊から音がする。
「げて……に……げて……ちゃ……ん……」
当然赤ずんたちには聞き取れなかった。
「ふー……それにしてもあにゃるさんのぶっ壊れたくちょメスから10匹も産まれるなんてさすがぼくのタネちゃんなのだ。でも冬の間中遊ぶつもりがくちょメスがくちょザコなせいでおじゃんなのだ。」
「こいつらはどうするのだ？”ぼくたちのおちびちゃん“の分も十分ご飯さんは集まってるから非常食はいらないのだ。」
詳細は理解できなくとも自分達を守るものがいないこと、この2匹は味方ではないこと、会話の中の不穏な空気を感じ取った赤ずんの瞳には涙が浮かぶ。
「こいつらは教材なのだ。冬が明けて外の世界に出た時、“ぼくたちのおちびちゃん”には他の妖精をぶっころちゅ覚悟が芽生えてないといけないのだ。」
言いながら成ずんは洞窟の奥へと向かっていき、寝ぼけ眼を擦る5匹の子ずんを連れてきた。
皆、体格は赤ずんの3倍ほどで生えかけの1匹を除き枝耳も立派に生え揃っている。
不満そうに歩く子ずんたちだったが赤ずんを視界に捉えると口々に騒ぎ出した。
「ふわあ！この子たちとってもぷりちーなのだ！ぼくたちのおとーちょといもーちょなのだ！？」
「寒そうなのだ！おねーちゃとぶるぶるちてあったまるのだ！」
「上のはおとなりしゃんなのだ…？なんでちんでるのだ…？」
「この子たち誰なのだ？ケッ！ぼくのほうがかわいいのだ！調子乗ってんじゃねーのだ！」
「おめーらうるちゃいのだ！おにゃか空いたのだ！」
口々に騒ぎ立てる子ずんたちを両親は微笑ましそうに眺めているが赤ずんに触ろうとしたところで待ったが入る。
「おちびちゃんたち！そいつらは未来のおちびちゃんたちの敵なのだ！いつかおちびちゃんがずんだ餅を取り合った時！くちょにんげんに追われた時！ヘコりターゲットにつがいがいた時！同じずんだもんであろうと蹴落とさなきゃいけない時が来るのだ！そういう時はこうするのだ！」
赤ずんの集団から1匹が取り上げられた。
異様な空気を感じたにも関わらず初めての同族の手の温もりに赤ずんは喜びの表情を浮かべる。
「だっこなのだ？ちゅきなのだ〜」
成ずんのもう片方の手は笑顔で細まった赤ずんの瞼を突き破り、その裏にあるものを根こそぎ掻き出した。
「のぎゃあああああああ！」
眼球が落ち、潰れた。
赤ずんたちは例外なく泣いた。
子ずんたちは真顔、あるいは何匹かは薄い笑みを浮かべている。
「ぼくはいきなりぶち殺せなんて厳しいことは言わないのだ。まずおめめを潰してみるのだ。始め！」
「はーいのだ！」
迫る子ずんに赤ずんができることはない。
なすすべなく目を腕で突かれていくが成ずんのように突き切ることは難しいようだ。
瞼が切れ、半端に眼球が潰れ、なぜか鼻に入り、腕の先が抜けなくなり、赤ずん子ずんともに悲鳴雄叫び入り混じった声が洞窟内に響いていた。
「おちびちゃん？どうちて砂遊びしてるのだ？今お勉強の時間なのだ。」
耳が生えかけの子ずんは目突きをやらずに掘った土を赤ずんに被せていた。
「おとーちゃ！こいつらクッセーのだ！触りたくないのだ！」
「うーん確かに酷い臭いなのだ。でもお外の妖精は僕たちみたいにきれいきれいじゃない時もあるのだ。そんな妖精が襲ってきたらどうするのだ？ほらおとーちゃが持ってて上げるから突いてみるのだ。」
成ずんはひょいと近くにいた赤ずんを抱えながら優しく語りかける。
「わ……わかったのだ！えいのだ！えいのだ！」
「いちゃい！やだ！やめてほしいにょだ！」
子ずんの手はなかなか当たらないものの成ずんはその姿に微笑ましさを感じていた。
「ふふっ！その調子で頑張るんちゃ！いっぱい頑張ってさいきょーの妖精になるのだ！」
───────────────────
30分ほど経ったあと洞窟内は緑色の血が散乱し、静寂が訪れていた。
成ずんは目突きだけで良いと言ったものの流石血の気の多い彼のおちびたちである。
1匹が目のさらに奥を突いていくと赤ずんが面白い声を上げることに気づいてからは奪い合うように暴力が加速していったのだ。
「たのちかったのだ！早くお外に出て他のおうちの子たちと遊びたいのだ！」
「ずんちゃのおもちゃが一番おっきい声だったのだ！一番さんはごはんさんもいっぱい食べて良いのだ！」
皆口々に武勇を誇り洞窟の奥へと食事を取りに向かっていった。
「おとーちゃ！おかーちゃ！しーしーしてからごはんさん食べるのだ！ぼくの分食べないでね！」
生えかけ子ずんは家族から離れて1人残った。
ガシガシと土を掘るとわずかに息の残った赤ずんと子ずんの目が合った。
「ころちゃにゃいで…いたいことしにゃいで…」
すがる声を聞いた生えかけ子ずんの目に涙が浮かぶ。
「こ……ころちゅわけないちゃ……ぼく、君たちのおにーちゃだって知ってるのだ……
ぼくの家族はみんなおかしいのだ。でも逆らったらぼくもちんじゃうちゃ……」
子ずんが赤ずんを抱きしめると心臓の音が弱まっていることが伝わってくる。
「おとーちょ。ここから出て壁伝いに歩くのだ。きっと……きっと他のおうちにいけるのだ！」
「おにーちゃ……おにーちゃ！ありがとうなのだ！」
「そうなのだ！僕は君のおにーちゃなのだ……」
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「おかーちゃ！ただいまなのだ！」
焚き火を囲い食事をして居た家族に生えかけ子ずんが戻ってくる。
「おかえりなさいのだ！ぺろぺろちてあげるからずんぽを出すのだ！」
「はーいのだ！ずんぽペロペロだいちゅきなのだ！」
メスずんが生えかけ子ずんのずんぽに口を近づけ…そのままずんぽを食いちぎった。
「ああああああああああああ！おかーりゃあああ！どうちてええええええええ！」
錯乱した生えかけ子ずんは地べたに体をぶつけながら絶叫する。
「お前、さっき1匹もころちてなかったってみんなから教えてもらったのだ。お前みたいなのがいると家族の和が乱れるのだ！」
転がる生えかけ子ずんを他のきょーだいたちはニヤニヤと眺めていた。
「さっ！あとは君たちのおもちゃなのだ！さっき学んだことを活かしていっぱい楽しむのだ！」
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生えかけ子ずんの絶叫が洞窟の外に漏れたころ。
吹雪のつもる地面にはわずかに膨らみがあった。
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このページへのコメント
生えかけ子ずん、善良に見せかけてクズの淫獣なのかよ。
鬼威惨「最底辺の下等生物のくせに弱い者いじめをする卑怯者め。俺様がせいっさいっしてやる。」
ずんだもん「僕達を愚かで醜くひ弱な存在に設定していじめることしかできない卑怯者が、何を言っているのだ？」
無害な赤ずんと善良ずんが害獣に殺される、救いも制裁も無い展開がナイスです。
救いや制裁が無いからこそ生まれる、続きを想像する余地も、こういう作品ならではの良さですよねぇ。
土を赤ずんに被せる、臭いから触りたくない、子ずんの手がなかなか当たらない。これらが実は腹違いの弟を助けようとした行為だったのが分かった時、おおっ！となって面白かったです。
素晴らしい胸糞でした！
これから倍返しを食らうフラグにしか見えないです笑
せいぜい今のうちに狩られる側の恐怖を知らずに狩る側の愉悦を味わってるがいいさ。
ママずんにフェラチオしてもらうの喜ぶのキモすぎるだろ……