18禁フリーゲーム「プリンセスティアーズ」の二次創作作品まとめwikiです。

迷宮と奇蟲 1

作者:rima

プロット元に依頼して書いていただきました。



【また件の実験機械の元に来るエルシー…】


 台座の上で眠る巨大な白い幼虫の前で、あたしは謎の不安に襲われた。

(どうしても気になって戻ってきちゃったけど…)

 頭上のパネルには「実験用 生体活性薬剤の不足」と警告表示が忙しく明滅している。

手元にある薬剤のラベルには確かに“生体活性薬剤”と古代文字で記載されていた。
(この薬で間違いないわね…)
目の前の実験装置にこの薬品を投入する。それが何を意味するか。どんな危険を孕んでいるのかは明白だった。
巨大な奇蟲に視線が向く。そのグロテスクな姿を視界に入れただけで吐き気が込み上げてくる。刹那、奇妙な感情に脳が鷲摑みにされ、あたしは右手で自分の胸元を押さえた。
理由は不明だが、1000年以上もこの無機質な檻に放置され、なおも命を保つ哀れな巨大人面幼虫。この実験を再開すれば、この哀しい怪物の1000年は報われるのだろうか。行く末は現状、あたしに委ねられたことになる。
(あたしには何も関係ない…。こんな気持ちの悪い幼虫を目覚めさせる理由なんて何もない…。それもあたし自身の手で…)
 鼓動が暴れ、呼吸が乱れる。
 ぶくぶくと肥大した胴から伸びる骨と皮だけの腕。蟲と人が禁忌の実験行為でミックスされた嫌悪感の塊。
(こんな怪物を人の手で作り出すなんて命への冒涜よ…。絶対にダメ…。あたしがそれに加担するなんて…)
 ざわつく心臓。また、眠ったはずのままの巨大幼虫が蠢き、視線をあたしのヒップに向けてくる。お腹の内側がねっとりと舐め回されるような不快感が込み上げ、ゾクゾクと下腹部が震えた。

(そうね…あなたも被害者なのよね…)
 ふと何故か感情が別のモノに支配された心地になる。しなやかに伸ばした指先。装置が静かに唸りを上げる。
「あっ、あたし…何してるのよ!」
 蟲に繋がれた無数のチューブへと青い液体が注がれていく。気づいた時には空になった生体活性薬があたしの手に握られていた。

 チューブを通して勢いよく生体活性薬が化物に注入されていく。あたしの目の前で。機械に繋がれた巨大幼虫が水を得た魚のごとくビチビチと不気味に跳ね回る。
「い、いや…イヤァァァァ」
 どうして、あれほどの危険を感じながら、生体活性薬を充填してしまったのか。自分でも理解できない。ただ、いくら喚いても今となっては後の祭りだった。
そんなあたしの心情とは裏腹に装置は順調に作動していた。蟲の体表を覆うゼリー状の皮膚に青色の波紋が広がり、それは微かな光を放っているように見えた。
 ぶくぶくと肥大した蟲の胴体。白く濁った半透明のそれに薬品が注入されるたび、蟲の総身がびゅくびゅくっとおぞましく脈動するのが見て取れる。
(う…く、気持ち悪い…!)
嗚咽が漏れ、胃の中が手で直接掻きまわされたような酷い吐き気が込み上げる。
 幼虫の姿はそのままに、頭身の至る所がボコボコと歪に隆起を繰り返した。心なしか呻き声のような音が脳に伝わってくる。
(苦しいのかしら…? 無理やり成長させられて…)
 蟲は徐々に変化していった。
 薬剤は確かに効いている。効いてしまったのだと、あたしに訴えかけているみたいだった。
(あたしがこの実験を…この手で進めてしまったの? そんな…どうしてこんなことになっちゃったのよ…!)
 胸に湧き上がってくる危機感。目の前で不気味に脈動する哀れな実験体の様相に圧倒され、今すぐ逃げ出したくなった。地獄絵図という言葉では物足りない。この世の終わりを見たような絶望感に手の震えが止まらなくなる。
(あぁ…また、あんなに大きくなって…!)
 小さな胸の奥で鳴りやまない警鐘と壮絶な後悔。けれど、あたしは逃げ出すことも蟲から目を離すことさえできなかった。
 肥え太った脂肪の塊がさらに肉質を増し、幼虫の姿のまま強制的に成熟していく。ビキビキと次第に今までよく見えていなかった器官が膨張し始めていることに気づいた。
(あれって…まさか…!)
 細い無数のチューブから劇薬を注がれ、不気味に蠢く巨大幼虫。その下半身と呼ぶべき箇所にある棒状器官が異様な膨らみを見せている。あたしは嫌でも今までの経験や知識と照らし合わせてしまい、羞恥を爆発させてしまう。
(蟲の…生殖器…。お、オチンチンなの?)
 思わず下品な想像が頭に浮かび、あたしはかぶりを振った。
「い、イヤ…ちがうの! そんなわけないわよ!」
 声を出してしまい、余計に恥ずかしくなる。
 一度は否定した。だけど、目の前で次第にグロテスクさを増して変異し、発達していく歪な棒状器官。その臓器が明らかに男性の生殖器に類似するナニかだと理解できてしまった。
(や、やっぱり…。あんな卑猥な形、他にはないもの…)
 まるで強いオスだと主張するように反り返りきった歪な形状の巨大生殖器。ビクビクと激しく脈打ち、太い血管のような青筋まで通っている。男性器を象る器官が肥大化していき、ついには完全な勃起状態に陥っているのだ。そればかりか、先端部から透明な液体を垂らしている姿も確認できた。
(いや…あたし、どうしちゃったの…?)
 こんな気持ちの悪い蟲にもオチンチンがあるんだ。思わずそんな卑猥な考えに脳が支配されかけたが、あたしはそれどころじゃないと頭を左右に振った。
 少しして、薬品の注入によって、散々蠢いていた巨大幼虫がスッと静かになる。
(動きが止まった…? でも、装置はまだ正常に動いて…)
 なおも青白い光を放つ実験装置。冷静さを取り戻したあたしは、すっかり変異した蟲の様子を固唾を呑んで見守る。
 直後、ミシミシと何かが軋む怪音がした。
 蟲の骨と皮だけの多椀がゆっくり、ゆっくりと広がっていく。
「キシャァァァ」
  巨大幼虫の目覚めの咆哮が実験室内に響き渡る。それは仮にも人間の顔から放たれたものとは思えない奇怪な響きだった。
蟲を固定していたアームが悲鳴を上げ、暴れ抜けたチューブが弾け飛ぶ。ギチギチと肉が軋み、そして、ブチブチという嫌な音とともにビチャビチャッと周囲に謎の粘液が飛び散る。
「い、イヤァァァァ」
 思わず後退り、あたしは尻もちをついてしまった。
 そして、蟲の瞼がゆっくり開かれる。その目もまた人間の眼球を平面に張り付けたような異形のものだったが、瞳には明らかな生命の光が宿っていた。
 生理的嫌悪感を催す怪物の目。それが真っすぐにあたしを見つめている。激しい焦りと動悸がして、身動きが取れなくなった。
「や、やめて…来ないで‼」
 狼狽え、叫び声を上げることしかできない。平らで不気味な顔があたしを視ている。
(な、なんでよ! あたしを視るなぁ!)
 怨恨なのか、欲情なのか。または両方なのだろうか。眠っていた時とは比較にならないほど執拗な思念が巨大幼虫から伝わってくる。
 蟲を押さえつけている装置のアームはまだ壊れていない。が、激しく蠢くブヨブヨの胴体と奇妙に暴れる多腕の様子から、いつこの怪物が解き放たれてもおかしくなさそうだった。
「い、イヤ、来ないで…来ないでよぉ!!」
 もう駄目かもしれない。迫る恐怖にショーツがじわっと湿り気を帯びる。あたしが瞳を閉じかけた瞬間、フロアが赤く明滅する。

≪非常警報発令 非常警報発令 非許可区域での実験体の活動を確認。緊急移送シークエンスに移ります≫

 けたたましく鳴るサイレン。同時に感情のない機械音声が部屋中に響いた。
 直後、巨大幼虫を固定していた実験装置や機械群が周りの床ごとガクンッと一段下に沈み込む。突然の事態に頭が追いつかず呆然としていると、そのまま、蟲は機械ごと落ちて行った。深い深い闇の中、深層へと降下していく。
轟音と共に床に空いた穴に落ちていく巨大幼虫。穴の底は見えないほどに深く暗い。恐らくあの巨大な化け物でさえ這い上がれないほどの深さだろう。
(あたし、助かったの…?)
境目にいたあたしは呆然としたまま、その様子を見届けていた。
床に空いた大穴は機械扉でがっちりと閉じられていく。フロアは何も無かったように元の静寂を取り戻した。
気持ちの悪い巨大人面幼虫はもういない。
 あれ程下層に落ちたのだ。もう、怯える必要はなさそうだった。
「本当に助かった…のよね」
 震える身を抱きつつ、あたしは立ち上がった。フロアにはもう何もない。
 込み上げてくる安堵感。でも、どこか虚しくて…。
(はぁ…なによこの感覚。あたしはそんなこと…!)
 ショーツには気持ち悪い湿り気が残ってる。あんな奇形の蟲にここまで動揺させられたなんて…。

 脳裏にはまだあの不気味に蠢くぶよぶよの巨大幼虫の姿がこびりついている。確かに視られていた。あたしのお尻やお腹の大事な部分を…。
(くぅ…あ、ありえないわ! 助かったのよ。これで良かったの!)
 あたしの手によって成長を始めた蟲。その下腹部で隆起していた異形の生殖器。人の腕よりも太くて長い。ボコボコと歪に膨張したグロテスク極まりない肉凶器。
(もし、あのまま装置が壊されてたら、あの蟲ペニスであたしのアソコが狙われて…)
 身勝手な研究者による人の道を外れた実験に付き合わされ、1000年もの間閉じ込められていた哀れな怪物。“彼”が生殖器を勃起させていたということは、あたしを性交の対象として認識していたに違いない。
(う、くぅ…本当にもう何も起こらないのかしら)
 ゾクゾクと下腹部に異常な熱がこもる。もし、襲われて、あんな巨大ペニスでオマンコを貫かれてしまったら…。膣の奥まで届くどころじゃない。もっとその先、子宮まで直接届いちゃって…。そのまま子種を注がれたら、巨大芋虫の異常遺伝子で孕まされて…。
(ち、違うの…! そんなこと望むわけ…!)
 じゅわぁっとショーツが生温かくなる。明らかに粘ついた液体で股布がびっしょりと濡れそぼってしまう。
(イヤ…想像したら…お腹がジンジンしてぇ…)
 下腹部から込み上げてくる奇妙な感情に動揺を覚えながら、あたしはすっかり狼狽えてしまっていた。



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