最終更新: isotope_manager 2012年06月22日(金) 04:13:12履歴
原子核は、Z個の陽子とN個の中性子から構成されており、その質量数Aは、
A = Z + N
原子番号83までの元素の中には、安定同位体の存在しないもの、安定同位体が一つしか存在しないもの、安定同位体が複数存在するものがあります。
安定同位体が複数存在する元素について、各同位体の存在する割合を原子数の百分率で表した量を同位体存在度といいます。
原子核の質量を表すには原子質量単位(atomic mass unit)Uが用いられます。
これは1個の中性原子12Cの質量を12uと定めたもので、
1 u = 1.6603 x 10-27 [kg]
で与えられます。
陽子、中性子、電子の質量は、
陽子:Mp = 1.0073 u = 1.6726 x 10-27 kg
中性子:Mp = 1.0087 u = 1.6749 x 10-27 kg
電子:Mp = 5.486 x 10-4 u = 9.1094 x 10-31 kg
質量はエネルギーと相互変換の関係にあります。(アインシュタインの公式)
E = mc2
を用いると、
1 u = 1.492 x 10-10 [J] = 931.5 [MeV]
この値から、
陽子と中性子のエネルギーはそれぞれ、938.2 MeV、939.6 MeVとなります。
原子核は、Z個の陽子とN個の中性子からなりますが、これらの核子の質量の総和より軽い。これは核力により結び付けられているのでその分エネルギーが減っており、このように原子核を構成している核子の質量の総和と原子核の質量の差を質量欠損といいます。
原子核の質量欠損をエネルギーに換算したものを原子核の結合エネルギーといいます。この結合エネルギーを核子数で割ると核子あたりの平均結合エネルギーが得られます。これは核子が原子核とどのくらい強く結びついているかを表しています。
下の図は、原子核の質量数とともに平均結合エネルギーがどのように変化するかを示したものです。
核子あたりの平均結合エネルギーはおよそ7-8 MeVで、また、鉄が最も結合エネルギーの大きな原子である、ということになります。
(機中の中心部の核には鉄が多い、というのはこのような理由によるものです)
このことから、質量数が鉄よりも小さな原子核は、融合することによりエネルギーを放出でき、鉄よりも大きな原子核は分裂することによりエネルギーを放出する、ということになります。
コメントをかく