腱鞘炎だと知って心配してくれた方、ありがとー
これは腱鞘炎を心配してくれた方への感想返しです。
注意。アインズが壊れてます。冗談が結構含まれてます。多分一ヵ月後とかにあるかもしれない話です。
夜半過ぎた遅い時間帯だが、アインズの部屋には煌々とした光が灯っていた。そしてその光の下、アインズは黙々と働いていた。それはアンデッドであるアインズは睡眠というものを必要とはしないためだ。そして何より疲労というものが無いため、幾らでも仕事をこなせるという事でもある。
そんな室内にいるのは、アインズを除けばあとは戦闘メイドである、ユリ・アルファ、シーゼットニイイチニイハチ(シズ)・デルタ、ソリュシャン・イプシロンというこれまた睡眠を不用とする者たちだ。
部屋にあった豪華な机の上に、幾枚かの用紙を広げ、それらをアインズは眺める。アウラから回ってきた、ナザリック外の避難所作成に係わる様々な資料だ。
「ふむ……」
アウラに任せた計画の遂行率は非常に高く、順調に物事は進んでいる。現在では箱の外の部分はほぼ完成したという状況だ。
これから、あとはどれだけの要塞化を進めるか。どれぐらい内装にこだわるかなどの中の部分に取り掛かる必要がある。
そうなると宝物庫を開いて金銭を取り出し、色々と買い集める必要があるだろう。それとも宝物庫のデータクリスタルを取り出して、家具を自作した方が良いか。
迷ったアインズは、報告書から目を離して、中空を睨む。
要塞化を重視するべきか、避難所での生活を重視すべきか。せっかく作るのだから、両方を兼ね備えた別荘を作りたいものだ。
アインズはそう考える。そうなるとデミウルゴスやセバスという人物の知恵を借りる必要が出てくるだろう。しかしながらデミウルゴスは現在ナザリックにはいない。ならばこの場合はまずはセバスの調度品関係の意見を聞くべきだろう。
しかし遅い時間でもあり、セバスを呼びつけるには少々気が咎める。だから雑談程度の気分で、アインズは戦闘メイドの代表者でもあるユリに問いかけた。
「そういえば、セバスはどうした?」
「はい。今日は16日ですので、アーニアの部屋で寝ているかと」
するっとユリは答える。
その答えに含まれたアーニアという名前に聞き覚えがあったため、アインズは記憶を探る。そして思い出したのは一ヶ月前、王都で拾ってきた女の1人の名前だ。
アインズは僅かに笑った。
「……寝ているって何だ? あの女は1人では眠れないのか? 子供じゃあるまいし」
「――え?」
「まぁ、過酷な経験をしたからか? 1人では眠れないのも分からんでも無いな。もしなんであれば恐ろしい記憶は消してやっても良いのだがな」
寛大な口調でアインズはユリに笑いかける。アインズの魔法による記憶操作をもってすれば、1人で眠れるようになるだろうという優しさをもって。
しかしユリは僅かに顔を引きつらせた。それから――
「失礼します、アインズ様」
ペコリと頭を下げると、その場にいたメイドを全員アインズの部屋の隅に呼び集める。そしてぼそぼそと相談を始めた。
一体何事だ。アインズはそう思い、耳をそばだてる。
「もしかしてアインズ様ってご存じない?」
「アンデッドだからそういう知識は無いのかもしれない」
「ボクもアンデッドなんだけど?」
「…………ユリ姉。シャルティア様がいる」
「あの方は例外でしょ。あれはちょっと行き過ぎ」
「ではどうしますか?」
「まずはお尋ねしてみましょう」
「でも直接的に聞くのは、あまりにもあれじゃ……」
「では間接的に。――アインズ様」
「なんだ?」
ユリがアインズに伺うように、部屋の隅から声をかけた。
「人間の赤ちゃんってコウノトリが運んでくるんですよね?」
「……」
何を言ってるんだ。アインズはユリをそういう眼で見る。元々アインズは言うまでも無く人間だ、ちゃんと性教育は受けているし、実戦経験だってある。
しかしながらユリなりの冗談かと思い、アインズも同じように答えた。
「違うぞ。キャベツ畑で取れるんだ」
その答えを聞いたユリ、ソリュシャン。そして僅かにシズにすら、驚きのような表情が浮かんでいた。
「そ、そうでした。キャベツ畑でしたね……」
「間違えるなよ?」
「は、はい……」
その歯切れの悪い返答に、アインズは不安を抱く。
戦闘メイドってそんな知識も無いのか? そうアインズは僅かに困惑し、性教育をしないと不味いのか。そんなことまでも考え出してしまう。
教師役は誰を据えるか、流石に自分がやるのはイヤだな。そこまで考え始めたアインズはふと、あることを気付く。突然のユリにわけのわからない質問。
もしかして寝てるってそういう意味か?
この肉体になってから性欲というものはほぼ無くなった。そのためか、即座に気付くことができなかったのだ。さらに重ねてアインズは気付く。
「ちょっと待て? 『16日ですので、アーニアの部屋で』だと?」
その言葉に込められた意味は明白では無いか。アインズは王都で拾ってきた女の数を思い出す。確か全員で8人だ。
「……1つ聞こう。セバスの相手は……日替わりで8人か?」
「はい。そのはずです。明日はジャネット、明後日はバーバラ……。順番は滅多には変わらないと思いますが?」
「…………」
「アインズ様?」
押し黙ったアインズにユリは恐る恐る声をかける。
そして噴火が始まった。
「くそジジィ! 何、ハーレム作ってんだ! どーせ、8人同時とかやったんだろう! ちくしょうが!」
そこにあったのはぶっちゃけ嫉妬だ。性欲は無いし、アンデッドであるため大きな感情で動かされることも無い。しかしながらこの夜のアインズは違った。アンデッドだからといって妬ましいという気持ちまで完全に消えたわけではないのだ。
「セバスを呼べ! ガツンといってやる!」
「は! はい!」
慌ててユリが部屋から出て行く。
こうしてナザリックにハーレム禁止令が出たり、シャルティアが慌てたり、デミウルゴスの取り成しがあったり、アインズがしょんぼりしたりと、色々な出来事が起こるのだが、それはまさにどうで良い話である。
2011/Aug/28(Sun) 01:48 pm
腱鞘炎のため、感想返しはちょっと簡素化してます。そのお詫びというほどのものでありませんが。
ナザリック大地下墳墓、その宝物殿。
無数の煌びやかな宝が眠り、金貨の海が存在する場所である。
その中に1つの部屋があった。玄室とも言えるような無骨な作りであり、石でできた聖櫃のようなものが中央に1つ置かれている。周囲の壁には金貨を入れた袋が置いてあり、パンドラズ・アクターがそれの1つの中を覗き込んでいた。
この部屋はナザリックの出費関係を管理する部屋だ。
ギルドの本拠地はその大きさや備えなどに応じて、常時金貨を消費していく作りとなっている。例えば食料の自給自足率などもその一環だ。そしてそれはナザリック大地下墳墓とて例外ではない。しかし、基本的にナザリックは課金アイテムやワールドアイテム。さらには存在する出現するモンスターはアンデッドが殆どということもあり、出費は殆ど無いぐらいに抑えられている。
しかし、それでも対外防御用の罠が発動した場合は、その発動したレベルに応じて金貨が消失することとなる。
パンドラズ・アクターはそれの管理もこっそり行っていたりするのだ。
「金銭的にはまるで問題無しのレベルですね」
ナザリックに対する攻撃を確認し、防御用の罠が発動したので急いで来たのだが、大したことではなかったようだ。いや、ワールドアイテムに守られているナザリックを、外からの攻撃で貫通しようということ自体無理なのだが。
しかしそれでも第2防御結界まで突破するとは。何度か第1防御結界が反応していたが、その程度の力では意味がないと無視をしていた。
「……16層の結界の1つを突破できるとは……中々ですね。まぁ、防御結界を破った分だけ反撃は厳しいものになるのですが……さて、では結果を調べるとしましょう」
パンドラズアクターは眼鏡をくいっと上げると、聖櫃を覗き込む。
そこには色々なものがあった。鎧、剣などだ。もし知る者がいればそれが何か分かっただろう。スレイン法国の紋章が入っていると。
「鎧も剣も同じものですね。一品物は無しですか。……魔力は殆ど無し、ゴミですか……」
パンドラ・アクターは聖櫃に入っていた装備品を取り出すと、どこからか出した袋に押し込んでいく。その袋はどれだけ入れても、大きさは一切変わらない。まるで四次元に吸い来れていくようだった。
「銅貨ですか……ふむ?」
パンドラズアクターは1枚の貨幣をその長い指で取り上げ、天井からの光に晒す。
「磨り減っているところを見ると、使用済みですね。しかし……知らない貨幣です。これはそういった趣味を持っている人でなければ正確な価値はつけられませんね。アインズ様送りですね」
そしてもう1つの袋を取り出すと、その中に放る。
「指輪……中には人の名前? 結婚指輪ですか? ……混ぜ物が多い……削っても潰しても価値はあまり無いですね」
無造作に最初の袋に放る。そして一枚の布を取り出す。パンドラズ・アクターの顔の無い顔が引きつる。
「……女性用の下着」暫しの時間が開き、「……使用済み。……こんなものの値段なんか分かるわけがないでしょう」
パンドラズ・アクターは2つ目の袋に放り込んだ。
「では、こんなものですね」
あった全てのアイテムを分け終え、パンドラズ・アクターは満足げに頷く。それから金額未設定の品を入れた袋を持ち上げた。
「さて、アインズ様に値段を決めていただかなくては。持って行きますか」
こうしてアインズが女性の下着を手に金額設定で悩むことになるのだが、どうでも良い話である。それを見たシャルティアとアウラがアインズがそういう趣味の持ち主かと勘違いするのも、本当にどうでも良い話である。脱ぎたてですとか言われて渡されたアインズがぶちぎれるのも、完全にどうでも良い話であった。
2011/Sep/04(Sun) 06:06 pm
バッドエンドでのツアー戦 タイトル「国堕(仮題)*1」 [2012年 05月 27日 17時 35分] 
バッドエンドでのツアー戦について*2 | なろう活動報告「休みが来てずっと休みだったらいいのに」 |
なろう後編感想返し [2012年 05月 28日 22時 16分]への感想返し[2012年 06月 03日 20時 19分] | |
なろう後編感想返し [2012年 05月 28日 01時 28分]への感想返し[2012年 06月 03日 20時 18分] | |
なろう後編感想返し [2012年 06月 07日 19時 50分]への感想返し[2012年 06月 09日 13時 42分] | |
なろう後編感想返し [2012年 06月 09日 23時 26分]への感想返し[2012年 07月 08日 10時 37分] |
バッドエンドでのツアー戦
シャルティアは自らの視界が白く染まるのを見た。次の瞬間、自らがどこにいるのかが理解できなくなる。
渦に飲み込まれた枝のように、揉みくちゃにされ、平衡感覚がうまく働かない。それが何かシャルティアも理解できなかった。ただ白い光の中、激痛が襲いかかってくる。
防御をしようとしても体が非常に重く、動かすのが難しい。だが、シャルティアは全身全霊をかけて動かす。これは不味いと理解できたためだ。
全身を丸め、両腕で身を守るように庇う。
それは極限の爆発。
白い閃光が世界を染め上げる。
轟音と爆熱。
生み出された衝撃波が大地を吹き飛ばし、舞い上がった土砂がキノコの形を空に作る。
超熱波による致死領域はキロメートル単位にも及び、その範囲内に存在し、今なお動く影はなかった。土煙が収まるにつれ、その凄惨な有様が明白となる。
生きる者がいるはずがない、そんな中、土を払ってよたよたと立ち上がる者が1人。
「かぁ、かぁ、かぁ」
すさまじい爆発によって生じた超高熱波の中にいたために、喉が焼け爛れており言葉がうまく働かない。いや、喉だけではない。全身は焼け爛れ、かつての美しさはどこにもなかった。髪を全部失い、まるで黒く焼けた棒のようだ。
熱量での火傷以外にも、爆風によって全身に切り傷を負っている。
左の視界は完全に閉ざされている。右目はなんとか白濁しただけですんでおり、ぼんやりとだが像をかたどってくれる。体が傾げるのは、右腕を肩口から失ったためだ。ズタズタになったドレスが、見窄らしい焦げた残骸となって体に張り付いている。その中にあってシャルティアの身につけた最高級のアイテムたちのみ、そしてそれに隠れた部分が無傷なのが異様だ。
全身から突き上げてくるような痛み。
この痛みはまずい。
この痛みはシャルティア・ブラッドフォールンを滅ぼすものだ。
「ああああああああ」
思考が千切れになり、欠片が絶叫となって口から飛び出す。
炎によるすべてのダメージを無効にする自分がなぜ、熱ダメージを受けているのか。自らの守りはどうして突破されたのか。無数の疑問が頭をよぎるが、そのほとんどが痛みと混乱によってかき消される。
思考があちらこちらに飛び交う中、ただ1つだけが最重要事項として頭の中で警鐘をならしている。
それは――これ以上ここにいることは出来ない。このままでいたら死ぬから撤退すべきだ、という内容。
しかし、だ。
しかしナザリック大地下墳墓の守護者であるシャルティア・ブラッドフォールンが背を向けて逃げて良いのだろうか。はるかに劣るものたちに。
それはナザリックを、至高の41人の期待を――裏切る行為ではないだろうか。自らが死すとも、この下らない国を滅ぼすべきではないか。忠義と生存本能。2つがシャルティアの動きを縛る。
ギギギギ――。
シャルティアの口からきしむような音が漏れる。わずかに残った歯が擦り合わされ起こった音だ。
「かぁああ、くぃうう」
魔法が発動しない。
「ぎがあああがっがっぐ!」
憤怒。ありとあらゆることに対する怒りがシャルティアを染め上げる。
……この話が公開される日が来るのだろうか?
注意! 注意! 注意!
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
※DVD1巻発売記念として心の赴くまま書いたので誤字脱字などの推敲はしておりません!
※おそらくオーバーロード8巻ぐらいまで読んでいないと意味不明です。読んでいてもどうだろう?
※二次創作的な気分でいてください。お願いします。0
玉座に腰掛け、僅かな満足感と倍する羞恥心から目を逸らし、室内を見渡したモモンガは、眼下でセバスとメイドたちが固まって立っているのに気が付く。棒立ちというのもこの部屋ではすこし寂しいものがある。1
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
確かこんなコマンドがあったような、モモンガは昔見たことがある命令一式を思い出しながら、片手を軽く上から下へと動かす。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
「ひれ伏せ」
アルベドにセバス、そして六人のメイドは一斉に片膝を落とし、臣下の礼を取る。
これで良い。
モモンガは左手を持ち上げ、時間を確認する。2
23:55:48
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
ぎりぎり間に合ったというところか。
恐らく今頃ひっきりなしにゲームマスターの呼びかけがあったり、花火が撃ちあがったりしているのだろう。そういったすべてを遮断しているモモンガには分からないが。3
モモンガは背を玉座に任せ、ゆっくりと天井に顔を向ける。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
最高難易度を誇るダンジョンだからこそ、この最終日に乗り込んでくるパーティーがいるかと思っていた。
待っていた。ギルド長として挑戦を受け入れるために。4
かつての仲間達全員にメールを送ったが来てくれたのはほんの一握りだ。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
待っていた。ギルド長として仲間を歓迎するために。
「過去の遺物か――」
モモンガは思う。
今では中身が空っぽだ。それでもこれまでは楽しかった。5
目を動かし、天井から垂れている大きな旗を数える。合計数四十一。ギルドメンバーの数と同じであり、それぞれのサイン。モモンガはその旗の一つに骨の指をむける。しかし、その手は途中でピタリと止まる。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
(──こんなことしている暇はないじゃん!)6
モモンガはある計画の準備をしていたことを思いだす。最後を派手に締めくくるための計画を。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
誰も残ってくれる人はいなかった。皆、当たり前の、現実の世界を優先した。ごくごく当たり前ではあったが、モモンガ的には非常にさみしい思いだった。だから忘れていた。7
ガタっと音を立て、モモンガは勢いよく立ち上がる。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
(行かなくては! せめて! 俺だけでも、俺だけでも派手に終わらせてやる!)
時間はもうない。
モモンガは即座に右手の薬指に嵌めた指輪の力を起動させる。8
リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを弄り、転移先一覧を浮かび上がらせる。一番上に来ているのは自分の部屋だが、なんでこんなところに配置しているんだと、モモンガは苛立ちながら一覧をスクロールさせていく。9
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
「あった!」
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
喜色に彩られた声が出た。目的である地表部への最寄の転移先を見つけ、即座に押す。
瞬時に転移が行われ、飛んだ先は大きな広間だ。10
左右には遺体を安置する――現在は無いが――細長い石の台が幾つも置かれている。床は磨かれたような白亜の石。後方には下り階段が続き、行き止まりに大きな両開きの扉――ナザリック地下大墳墓第一階層への扉がある。11
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
この場こそ指輪の力で転移できる最も地表に近い場所、ナザリック地下大墳墓地表部中央霊廟である。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
「急げ!」
モモンガは叫び、自分を急がせる。
左腕に嵌めた時計を見れば時間は──
23:58:03
──無いなんてものではない。12
もはや電車のベルは鳴りやみ、ドアからは空気が漏れるような音が聞こえるような状況だ。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
全力で階段を駆け下りるサラリーマンのごとく、ギルド長モモンガは〈飛行〉の魔法を起動させる。
そしてナザリック地下大墳墓の外に広がる沼地目掛けて全力で飛ぶ。13
飛行状態の操作というのは意外に難しい。ある種、空戦ゲームを行うような感じとも言える。しかしながらとにかく飛ぶだけなら簡単な操作で済む。というより操作の必要が無い。ただ、コンソールを動かさないだけなのだから。14
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
すぐに霧が立ち込める沼地が見えてくる。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
霧の中、影のようにモンスターの姿が見えるが、ユグドラシル最終日ということもあり、全てのアクティブモンスターがノンアクティブ化している。そのために攻撃したりしないのであれば襲われることは無い。15
(だから、侵入者が来ると思ったんだけどな。グレンベラ沼地をリソースの消費なく突破できるんだから)
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
だが誰も来なかった
モモンガは目を細め──表情は動かないが──目的となる沼地に浮かぶ島に到着する。
奇妙な島だ。円筒形の筒のような物がとにかく並べられている。16
モモンガは、空間から一つだけボタンの付いた棒のようなものを取り出す。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
「行くぜ!」
普段の彼らしからぬ、強い口調で叫んだモモンガはボタンを強く押し込む。17
その瞬間、下の島に隙間が無いほど並べられた筒から、一斉に光弾が上空目掛けて打ち上げられた。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
それは製作が安く販売していた花火である。
今頃大量に打ち上げられているであろうそれをモモンガは計五千発買い込み、この島に並べていたのだ。18
あまりにも密集して配置されていたため、打ち上げられたそれはまるで一つの塊のようですらあった。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
本当であれば来てくれたメンバー達と共に眺めるつもりだった。しかし、横には誰もいない。
「……四時起きか」
上空に登って行くまるで白い柱のような光弾を見ながらモモンガは呟く。19
そして上空で巨大な大爆発が起こった。それはもはや花火ではない。まるで超位魔法の一つ、〈失墜する天空〉のようだった。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
白い閃光が、眩しくて目も開けられないような光の塊がモモンガを包み込む。
(ああ……)20
DMMOの最後がどんな感じで終わるのかは知らない。モモンガ、いや鈴木悟という人物はユグドラシル以外のゲームをやっていないから。しかし、決して希望に満ちた終わり方ではないはずだ。突然、ぶつっと切れるように現実の世界を突きつけられるに違いない。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
それでも──21
(光に包まれて終るのであれば、少しは気持ちが良いものだな──)
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
数秒後には現実が突きつけられる。それでもこの一瞬はまさに鈴木悟という人物の楽しみが具現したようだった。22
CM:オーバーロードアニメ第1巻好評発売中です!23 pic.twitter.com/FcI502oivM
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
大変だ……ニンスレの人凄いな……。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
どうやら眩しさのあまりに思わず目を閉じていたようだ。モモンガは恐る恐る目を開ける。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
おかしな話だ。
脳とメガコンをコードで直結させているにもかかわらず、目を閉ざすなどということが出来るのだから。モモンガは慌ててる。もしかすると失明したのでは、と思ったためだ。24
「…………何これ?」
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
モモンガはポツリとつぶやく。
どう思えばよいのか分からなかった。
あまりにも想定外の光景がそこには広がっていたのだ。25
モモンガが空に浮かんでいるのは、まぁ、良いだろう。先程まで〈飛行〉の魔法で空を飛んでいたのだから。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
しかしながら足元に広がっているのは沼地などではない。
──廃墟だ。
それも建物が一軒や二軒というレベルではなく、集落──いやもっと広い。一つの街が廃墟と化していた。26
「は?」
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
モモンガは不思議なぐら冷静に左腕に嵌めた時計で時間をチェックする。
0:03:45、46、47……
「は?」27
もう一度繰り返し、モモンガは周囲を確認する。空には分厚く暗い雲が覆っているが、夜であるのは間違いないだろう。そして足元はまるで滅びた都のような廃墟だ。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
「な、なんだこれ?」
0時は確実に過ぎている。時計のシステム上、表示されている時間が狂っているとは考えられない。28
「サーバーダウンが延期した?」
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
無数の可能性が頭をよぎるが、どれも決定的な意見には程遠い。ただ、最も可能性が高いのは、何らかの要因――あまり好ましくないものによって、サーバーのダウンが延期したというところだろう。29
もしそうならGMが何かを発表している可能性がある。モモンガは慌てて今まで切っていた通話回線をオンにしようとして――手が止まる。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
コンソールが浮かび上がらない。
「何が……?」
モモンガは焦燥と困惑を微かに感じながら他の機能を呼び出そうとする。30
どれも一切の感触が無い。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
まるで完全にシステムから除外されたようだ。
「……なんだこれ?」
というかどうやって下に降りればいいのか。〈飛行〉の魔法が発動している間中出ている操作用のコンソールは何処に──探そうと思ったモモンガはそれが不要だということに気がつく。31
ゆっくりとモモンガは高度を下げていく。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
そして難なく地面にたどり着いた。
「これは……」
モモンガは自分の骨の手を見る。自分の手だという強い実感がわく。32
「なんなんだ、これは?」
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
先程モモンガはどうやれば〈飛行〉を上手く操作できるか感じられた。そう、まるで自分の右手を動かそうという意思が無くても動かせるように、自らの思うまま〈飛行〉を操作できるということが理解できたのだ。
あまりにも異常な事態だ。33
だが何よりもそんな状態に陥っているのに、平然でいる自分が少し怖い。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
ふと仲間の言葉が思い出される。
焦りは失敗の種であり、冷静な論理思考こそ常に必要なもの。心を鎮め、視野を広く。考えに囚われることなく、回転させるべきだよ。
(ああ、そうでしたね)34
まず最初に考えるべきはここが何処かだ。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
(誰かいればいいんだが……)
〈飛行〉で上空から周囲を窺えばいいのだろうか。いや、廃墟とはいえ家屋の形を残している家々が多い。
そして不気味だ。まるで倒壊した家屋と家屋の間の細い道からこちらを窺う何かがいるような感じさえする。35
開けた場所に出るというのは視界が通る分、相手からも丸見えということになる。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
この奇怪な状況下に遭遇し、PKを企む者がいないと思えるが、それはモモンガだけであり、謎が解明するまでできる限り隠密裏に行動した方が良いかもしれない。
ならば最初に取るべき手段はこれだろう。36
〈完全不可知化〉
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
モモンガは魔法を発動させる。〈不可視化〉の遥かに上位の魔法だ。これで特別な魔法や能力を使ってない限り、誰にも見えなくなったはずだ。
モモンガは自分の骨の手を見て、首をかしげる。不可視化アイコンが出てないから、どうも自信が湧かない。37
次にモモンガはゲームであった頃のユグドラシルでは使えた特殊技術を行使してみようと思う。幾多もあるが、アンデッドを生み出す系は不可視化となっている状況下ではメリットがない。まぁ、囮に使うという意味では良いかもしれないが、この状況下では友好的に会うべき相手を警戒させかねない。38
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
(俺の顔を隠した方がいいのか? いや、でもユグドラシルでは顔を隠している奴の方が胡散臭い……。おっと……)
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
モモンガは自らの特殊技術──パッシブスキルに数えられるものの一つを発動させる。アンデッドを探知する力を持つものだ。39
発動しないかもという思いを良い意味で裏切り、能力が起動する。それと同時にモモンガに悪い知らせを伝えてきた。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
「っ!」
モモンガは体を小さくし、近くの廃墟の壁に隠れる。正確に言えば最も近くにあったアンデッド反応から遮蔽を取るような位置に移動したという方が正解だ。40
(なんだ? 辺り一面にやたらとアンデッド反応があるぞ? 何処に飛ばされた?)
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
モモンガは壁にへばりつくような姿勢のまま固まったように動けなくなった。アンデッド反応はあっても敵の強さまで分かるわけではない。最高位のアンデッドであれば〈完全不可知化〉を看破できる者もいる。41
手は二つ。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
一つはここから──より正確にはアンデッド反応がなくなるまで離れる。もう一つはアンデッドのレベルなどを調べ、対処できる程度のレベルであれば、ここが何処か探索をする。そのどちらかだろう。42
ただ、ここから離れたとしてもそこが安全だという保障は何処にもない。それであればアンデッド反応で探知できるここの方が安全ではないだろうか。それにモモンガはアンデッドなので、相手が低位のアンデッドであった場合、敵対行動をとらなければ襲われないことの方が多い。43
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
(まぁ、アンデッドしかいないのであれば、だけどな)
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
モモンガは〈飛行〉が使えた時と同じ感覚を蘇らせる。そして自信を持つ。44
(行ける。なんでだか分からないけど、攻撃魔法も問題なく使えるという自信がある。……気持ち悪いな。自分であって自分でないような──いや、それはあとで考えるべき問題だ。それよりも〈転移〉が出来るなら逃げる手段はいくらでもある。いざとなったら上空への転移で距離を取って逃げればいい)45
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モモンガは周囲を見渡し、視界が通らないような場所を探す。丁度運の良いことにすぐ近くにある家屋はまだまだ壁もしっかりしており、身を隠すにはもってこいの場所に思われた。
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モモンガはそこまでダッシュし、亀裂の走った壁に開いた穴より中に入る。46
「……崩れないよな」
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天井は抜けており、足元に積み重なっている。とはいえ、四方の壁はまだまだそれなりに健在だ。
魔法を発動させようと思ったモモンガはそこで疑問に思う。なんというかあまりにも文化レベルが低いのだ。47
家屋は鉄筋もコンクリートも使っていない。足元に積み重なっているのは崩れて分かりづらいが木材のようだ。
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「やはり……ユグドラシルなのか?」
現実世界の光景だとは思えない。しかしながらそうだとしたら疑問が多すぎる。48
ひとまず問題を棚上げしたモモンガは魔法を発動させる。
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〈遠隔視〉
魔法の感覚器官が作り上げられ、それがふよふよと飛んでいく。透明化看破を持つアンデッドだと最悪だが、それ以上に探知阻害や情報収集系魔法に対する反撃手段を持つ者がいないことを祈るほかない。49
「なんだこれ……」
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まるでユグドラシルの時とは違う光景だった。
ユグドラシル時代であれば〈遠隔視〉によって生じた視界は、画面として端っこに浮かび上がった。ちょっと小さかったりするので必要なときは画面を大きくすることもあった程度のものだ。50
しかしながら現在、まるでもう一つの視界が同時に展開されている。
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奇妙というか奇怪すぎる感覚だった。しかしだからと言って問題があるわけではない。平然と、ごく当たり前のように操ることができる。まるで完全に自分が変わってしまったような、そんな感じさえあった。51
モモンガの僅かな混乱を無視し、〈遠隔視〉がアンデッドの姿を捉える。
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名前は「ゾンビ」。名前の色は青。レベル的に相手にもならない程度のものだ。そのままモモンガは周囲のアンデッドを調べていく。どれもこれもゾンビだ。52
モモンガは「ふぅ」とどうやってか知らないがため息をつき、〈遠隔視〉を解除する。そして維持にMP消費が激しい〈完全不可知化〉もだ。
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自分の力がどの程度かには確証がないが、魔法がそのままの強さで使えるのであれば何の問題もない。53
出来れば一体ほどゾンビを殺して強さを確かめたいが、それをするとこの廃墟都市内のすべてのアンデッドが敵に回る可能性も存在する。
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ゾンビであればモモンガが同じアンデッドであるので襲いかかってこない確率の方が高いのだし、ここは情報収集を優先させるべきだろう。54
行動を決定したモモンガはこの廃墟都市を調べようと動き出す。55
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CM:オーバーロードアニメ第1巻好評発売中です!56 pic.twitter.com/9UbF8R21C0
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調べれば調べるほど分かったことは文化レベルが低いということだ。まるで映画か何かのセットのように、現代機器という物が一切置いてない。線などは地中に埋めているかもしれないが、それでもこれでは生活ができるはずがないというレベルだ。
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竈なんてユグドラシル以外では初めて見た。57
「──ユグドラシルか。いや違うな。あまりにも違う」
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薄々とモモンガは気がついていた。
これは決してゲームではあり得ないことに。だが、そうなると自分はなんだ、ということになる。まずこの骨の体でどうやって動いているというのか。58
今までの自分を培っていた常識など既に崩壊しているが、まだこの新しい常識に付いていけないモモンガは大通りに出る。見ればこの都市の主なる通りらしく、ずっと見て行けば門のような物が見えた。のような、というのも崩壊しているからだ。59
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「しかし、なんだ? 爆発でも起きたにしては完全に倒壊しているわけでもない。台風でも通り過ぎたのか?」
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この都市の歴史に思いをはせたモモンガはふと、一つの反応に気がつく。
「何?」
アンデッドの反応が遠ざかっていくところだった。60
「……これは?」
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ゾンビの移動速度ではない。何かが駆けるような速度で、しかも自分から遠ざかっていく。
モモンガは目を細める。
ゾンビではあり得ない、知的な行動だ。61
「逃がさんよ、情報源」
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ふわりと体が中空に浮かんだ。走るよりも〈飛行〉の方が早い。相手はジグザグに移動しているのでどうやら都市の構造に熟知しているようだが、その差は飛ぶことで打ち消す。62
空から一直線に相手に向かって追いかけるモモンガは一つの影を捉えた。フードつきのマントを着た小柄な人影が後ろを幾度も振り返りつつ、狭い路地を駆けていく。
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モモンガはその人影の前に降り立つ。たまたま後ろを振り返っていたタイミングであったため、その人影はモモンガの体にぶつかる。63
小柄な人影はぶつかった衝撃を殺しきれず、トスンと尻をついた。フードの下から金の髪がこぼれて見えた。
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「……こんばんわ、曇ってはいるが良い夜だな」
「ぃっ」
挨拶に対する返答はなく、ただ息を飲む音だけが聞こえた。64
「幾つか聞きたいことがあるんだが、構わないかな?」
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フードの下からモモンガを上目使いで見つめる真紅の瞳があった。
(子供か? ストリートチルドレン……にしては臭いがない。まぁ、アンデッドだからだとは思うが……いや、小ざっぱりしすぎているな)65
「……もう一度聞くぞ、幾つか聞きたいことがあるんだが、構わないかな?」
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
子供はぶんぶんと首を縦に振る。
「……私は……鈴木悟というがお前──君の名前は?」
真紅の瞳が円を描いたようだった。66
「……ぁ、ぅ……ぁ……ぁ」
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
発せられたのは掠れたような声であり、子供が何を言ったのかはさっぱり聞き取れない。
(日本語ではない? プレイヤーでもないのか?)67
「お前の名前は?」
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「……あ、ぅ……あ……ぁ」
少し馬鹿にされているような気もしたが、外国の名前というのはそういうものなのだろう。
「あうああ、か? 変わった名前だな……ん?」子供が首を横に振っている。「違うのか? ではもしかして喋れないのか?」68
再び首が横に振られる。
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そして必死に声を出そうとしているようだが、まるで意味のある言葉には聞こえてこない。
「親は何処に……」
ここまで言ってモモンガは相手がアンデッドであることを思いだす。親などいるはずがない。しかしながら子供の反応は少し奇怪だった。69
俯き、そして頭を振ったのだ。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
まるでいたけど、いなくなったような反応だった。
(……どうしよう)
それじゃ、と言って別れた方がいいのだろうか。奇妙な発音を繰り返す子供を見下ろしながらモモンガが考え込んでいると、非常に小さく意味のある言葉が聞こえてきた。70
「──ィーノ・──ァスリス・インベ──ン」
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
繰り返し聞こえる言葉はやがて明確にモモンガに意味を教えてくれた。
「なまえはキーノ・ファスリス・インベルン」
それは少女の名前だった。71
終わり!
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
Sugar and spice and all that's niceルート。もしくはモモンガさんラノベ主人公っぽいルート。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
というかこれ無理。二度とやらない。ニンスレの人凄い……。
ツイッターって最初の一文字を開けることってできないのか。あんまり使ってないから知らなかった。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
取り敢えず最後のCM
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オーバーロードアニメ第1巻好評発売中です!!! pic.twitter.com/0EfYwtWNtC
あ、人名録とか魔法とか丸山データを見ないで書いたから誤字あるかも。でもゆるして……。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 26, 2015
そーいえば、昨日やったあのルートですけど
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 27, 2015
あのルートだとオーバーロードでは戦わない(というか出てこない)竜王と戦ったり、「サトル、頑張って!」とか言われたりします。
まぁ、あんなルートもあっても良いよね。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) September 27, 2015
皆さん、こんな時がないですか?
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
ナザリックに行かなくちゃいけないんだけど、生きて戻れるか分からない。
分かります。その気持ち。
そんな不安を抱えた皆様に、生存確率の非常に高いナザリック侵入の方法をこっそりお教えしましょう。
まず、注意として謎の戦士が一行の中にいない場合は絶対に戻ってこれませんので、謎の戦士がいることをちゃんと確認しましょう。リセマラを繰り返してでも彼が出るまで粘りましょう。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
あ、それと1円シールをもらっている目つきの悪い子とかは熱烈な大歓迎を受けた上に妹の友達を見に来たプレアデス全員になでくりまわされ、アインズさんからお土産まで渡されてスキップしながら帰れますが、ああいうのは例外です。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
0:前提条件です。ユグドラシルの知識がなかったり、低い地位に就いているなどの利用価値が低いと助かりやすいです。利用価値が高いとモルモットの運命がちらほらと見え隠れします。つまり「まぁ、見逃してもいいかな?」と思わせることが重要だと言うことです。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
1:出発前。まず、最初に行かなくてはならない理由を謎の戦士に一生懸命アピールしましょう。ここで最悪なのは不快に思わせるようなことを言うことです。お勧めは家族や友人のために行かなくてはならないということです。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
2:1で良い反応を得ていれば、謎の戦士は止めた方が良いよと優しく言ってくれます。ここでミスると、それがお前たちの選択ならば、というモードに入りますので、もう一度、家族や仲間のために行かなくてはならないと必死にアピールしましょう。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
3:ではナザリックです。あぁ、来ちゃいましたね。生還は諦めたら?
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
冗談です。
ここからが重要です。まず謎の戦士に聞こえるような声で、墳墓の地表部を褒め称えましょう。多分、その話を聞いた謎の戦士が近寄ってくるので、ここでもう一回必死に褒め称えます。
4:さて、ついに侵入です。ここでデッドエンドを向かえないための一つは絶対に墳墓の財宝に手を出さないことです。盗賊の最後はむごい物です。逆にコインを一枚も盗らない、その無欲さは生還に全力ダッシュです。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
5:ここまで来ると、侵入したとしても殺されずアインズの元に連行される可能性が高いです。連れてこられなかったら? はい、死にました。まぁ、出会った相手が最悪だったとあきらめてください。ちなみにカルマが低い相手に会った場合はかなり運任せです。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
6:最後です。アインズに出会ってからの問答が全てを決めますので、注意深くやっていきましょう。タレントなどの特別な能力を持っているならアピールすると非常に良い反応があります。アピールする場合、若干ですがモルモットの運命が見えるような気もしますが、気のせいだと思いましょう。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
以上になります。おめでとうございます!!
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
ここまでクリアできていれば90%前後の確率で生還できます。ただし、もしかするとナザリックぐらし!が始まるかもしれませんが、仕方がないですよね。でもこれで皆さんも安心してナザリックに行くことが出来ますね!
さてオチですが…………。
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
…………やった!
これで献体が一杯だ!!
まぁ、そんなこんなで、エルフが生き残った理由はなんとなくわかってもらえただろうと思います。運がいいね!
— 丸山くがねちゃん(11歳) (@maruyama_kugane) August 29, 2018
- 「【限定】プレイアデスな日」|オーバーロード二次創作の総文字数が5万文字を超えている二次作者のみが読める特典小説(下記投稿後に27万文字となった)。
- 「【限定】このすば×オバロ 」|オーバーロード二次創作の総文字数が27万文字を超えている二次作者のみが読める特典小説。
- 「色んな人の現状。のプロローグ 」”チラシの裏”に投稿されているため検索では出てこない。
このページへのコメント
シャルティアがツアーに殺されてもアインズ的には自分のミスで友人の娘を自分の手で殺したからいつの間にか何者かとの戦闘で死亡していたになるから、むしろハッピーだと思うんだけど。
ワールドアイテムの存在に気づかずもっと大きな失敗をやらかすって意味でのバットエンドか?
バッドエンドでのツアー戦ってそもそもアインズ(というかモモンガ)が転移してきてない世界の可能性もある。
なろうの感想で、
『蛇口をゆっくり廻すように話を流して、最後にあのツアー達との戦いにつながるのか。(−−;)
それとも途中でいっきに廻して流すのか。
力加減(または戦力)の出し方も今後のポイントですね。
アウラの戦闘とか。
投稿者: 謙信
−−−− −−−−
2012年 05月28日 22時16分
バッドエンドは完全に別物とお考え下さい。アインズがナザリックにいないしね。
丸山くがね
2012年 06月03日 20時19分』
って書いてあるし。
『アインズがナザリックにいないしね。』という言葉をどういう意味で受け取るかにもよるけど、もしもアインズが転移してきてないという意味ならナザリックのNPC的には最初からバッドエンドで、ツアー戦はバッドエンドを迎えた後のNPC達の後日談の一つ的な感じになるのかな。
『ツアー戦はバッドエンドですので、ナザリック縛りプレイです。アインズがいないとか、宝物殿に入れないとか……。
丸山くがね
2012年 06月03日 20時18分』
って書いてあったから尚の事アインズが転移してきてない可能性が高まったわ。
ありえないかもしれないけどアインズがナザリックを捨てたって可能性もごく僅かながら有るかもしれませんが。
>DVD特典小説や映画特典小説などはここでいいのでしょうか……?
このコメント欄で話題に出していいかという話だったのだろうか
わからん
ハーメルンのプレイアデスな日のことですか?
今でも普通に見れますよ
いまでも5万文字達成で読めてる人が続々増えてるので頑張って書いてください
マジですか!これはもうカキコするしかないっすねぇ!
5万字じゃ見れなくない?
27万時でこのすば&プレイアデスだと思うんだけど
そういや昔はプレアデスな日も隠し番外編でWeb公開されてたんでしたっけね?
特典化されてWeb終了したそうな、勿体無いよね・・・
特典小説は『メニュー』→『商品情報』→『書籍関連』にあります
URL
http://seesaawiki.jp/overlord/d/%bd%f1%c0%d2%b4%d8%b7%b8
内容については特に記載してませんけど