MONSTER HUNTER EX 第14話

作者:結城


第14話「暗躍する影」



「今ここに、死んでいった数々の騎士を称える・・・

そして、勇敢なる勇者、デインに、騎士軍将の・・・地位を・・・あた・・・え・・る・・」

「パルダインさん・・・泣いてる・・・」

「ああ、よっぽど信頼していたんだろう・・・」

城の裏庭では大規模な葬式が行われていた

しかし、ここにいるのはユウキら3人と国王であるパルダインだけだった

そのまま、静かに、静かに葬式は行われた・・・





1日後・・・





「もう出るのか?」

「はい、あまり長居していると副長に怒られるんで」

パルダインは仕方がないといった表情でむぅ、とうなった

「では俺らはそろそろ行きますね」

「ああ、元気でな」

「ありがとうございました、また今度来た時にはよろしくお願いします」

「ああ、立派な新王国を作って待っているぞ」

遠ざかる3つの影はいつまでもいつまでも手を振っていた

「久々に、いい目を持った者達と出会えた・・・

神に感謝せねばな・・・」

そう呟いて、国王は王宮へと足を運んだ





薄暗い空間で一人、ブラックテイルがいる

「ちぃっ!私があんな虫けらどもに・・・・」

「哀れだな、ブラックテイル・・・」

「!? デモントか・・・何のようだ?」

「いや、珍しく無様なんで見に来ただけだ」

デモントと呼ばれた男は精悍な肉体でたくましい

「たしかに、お世辞にも美しくなんかなかったな・・・」

「ヴァルス! 貴様まで・・・」

「私もいるのだがね・・・」

「おお! ゲイルまでいるとは珍しい事もあったもんだなぁ」

「いや、フォウルもいる・・・」

ゲイルとよばれた男が言う・・・

「・・・・・」

フォウルは黙ったままだ・・・

彼は白く、長い髪をしている・・・

顔立ちも整えられていた

「まったく、久々に顔合わせたんだから少しぐらい話せっての」

「話すことなどない・・・ただやつに呼ばれただけだ・・・」

フォウルと呼ばれた男が指差した方向には一人の男がいた

「おっと、もう皆、あつまったか?・・・」

「まだ2人足りんな・・・」

ヴァルスが応対する

「まぁいいだろう

今回呼んだのは他でもない・・・あらたな零感発動者が出た、

そいつについての決定とブラックテイルの処分についてだ」

「なっ! 私に処分?ふざけるな!」

「ふざけてなどいないさ、任務を仕損じた・・・

それだけで本来なら殺されても文句をいえないのに

こうしてどうするか考えてやろうといっているのではないか」

ブラックテイルは悔しそうに顔をゆがめた

「おれなら殺すな」

そういいデモントはガハハ、と大声で笑った

「同感」

「依存はない・・・」

「……」

その場に居合わせた全員が納得する

「あなた達 それでも同志ですか!?

もういい、誰です?その、零感を発動した男は?」

「さっき、貴様と戦っていた小僧・・・あいつだ」

ブラックテイルの顔がニヤつく

「分かりました! やつを生け捕りにして差し上げましょう!」

そういい、その場から消えた

「おいおい、いいのかよ?逃がしてちまってよぉ」

「最初から計算済みだ、しかし、やつは死ぬな」

謎の男は平然と答えた

「ああ、ヤツが零感発動者、それも神龍の零の鼓動を発動した相手に勝てるはずがない・・・」

「最初から捨て駒ってわけか」

「その通り、そして発動者の実力を見る・・・ただの噛ませ犬だったわけだ」

そういい、苦笑いを浮かべた

(この男・・・ふっ、敵に回したらこれほど恐い物はいないな・・・)

「ここに集いし、黒龍の者よ・・・次のターゲットはヤツ・・・「ユウキ」だ!」

そういうと、その男は姿を消した

(とりあえず、本部に連絡せねば・・・)

ゲイルは実はギルドナイツから派遣されたスパイだった

そして謎の男、八大暗黒龍筆頭、ファントム。

それがヤツの名前だった

その場に集まっていた4人は次々と姿を消した・・・





砂漠も越え、本部に帰ってきた3人・・・

「あぁ〜〜、久しぶりに帰ってきたって感じがするわね」

「ああ、ホントに疲れた」

「まぁ、俺の活躍がなければ皆死んでただろうけどな」

「それは無いな」

そういい、オスキー以外は笑った

「まったく・・・それが任務遂行した団員にいうセリフかよ・・ぶつぶつ・・・」

「まぁ、あいつは置いといて・・・よくやったなおまえ達、ドルバインはどうだった?」

「予想以上にしぶとくて、苦戦したわもう戦いたくない・・・」

「まぁ、そういうな、おまえ達には色々と依頼が来てるからな」

「えぇ〜〜、今日はもうイヤよ・・・

ゆっくりとお風呂にでも入って身体を休めないとおかしくなりそう」

「同感、今日はパス」

「う〜む……」

腕組みをするライマン

「まぁ、いいだろう、今日はゆっくり休め」

そういいライはその場を後にした

3人も各々の部屋に戻り、ゆっくりとその日は身体を休めた・・・





「あぁ〜、今日もいい天気ね」

「だな」

アキとユウキの二人は外でゆっくりと伸びをした

「ふわぁぁ、おはよ・・・」

寝癖で髪の毛がぐしゃぐしゃだ

この部隊は寝室は男子全員、同じ部屋だ

アキはちょうど、起きて暇つぶしにユウキのところへきていたところだ

「よぉ、」

「おはよ」

「ふぁぁぁ、眠い・・・」

「いや、むしろ寝すぎだし」

「もう10時間も寝てるのにまだ眠いなんて・・・平和ねぇ」

「当たり前だ!俺様は平和を守る勇者だからな」

そういい胸を張った 

「はいはい・・・」

「あっそ・・・」

オスキーは部屋の隅に行き、泣いた

「あいつら、鬼だ!絶対鬼だ!」

「鬼だって?」

「いいわねぇ・・・勇者を倒す鬼ってのも悪くないわ」

オスキーはさらに落ち込んだ・・・

「お〜い、おまえらぁ、任務だぞぉ」

「うっ」

「げっ」

「うっわ・・・」

3人があからさまに嫌な反応を見せる

「何だその反応は? まったく・・・」

「内容は?」

「今回は楽だぞ、ただのリオレウス狩りだ こんなのすぐ終わっちまうだろ?」

「了解 すぐ終わらせてきまぁ〜す」

そういい、3人は本部を出た

黙って見送るライ・・・

「なぜだろうか・・・嫌な予感がする」





「今回は森と丘かぁ・・・速く着かないかなぁ〜・・・」

そういっていると・・・

馬車の運転手の声が聞こえてきた。

「む!? だれだい?あんた」

「ただの通りすがりの男ですよ」

次の瞬間、運転手はピクリとも動かなくなり馬車が止まる。

様子がおかしい事に気付いたユウキは外に出た

そこには、馬車の前に立ちはだかるブラックテイルの姿があった

「おまえは!」

「どうしたの?」

アキとオスキーがあわてて、外に出てくる

「ったく、運がわりぃ……」

「泣き言は後だ、オスキー」

3人は武器を構える

物凄いスピードで周りにある木を蹴りながら飛ぶブラックテイル

「そこだぁ!」

ブラックテイルの剣がユウキに刺さった……

と、次の瞬間ユウキは消えていた

「なに!? 消えた?」

辺りを見回すがどこにも姿は見当たらない

そして、次の瞬間、ブラックテイルからは大量の血があふれ出ていた

「な・・・バカ・・な・・・」

地面に倒れこむブラックテイル

上を見ると紅い目をした少年が立っていた

最後の一撃を入れるべくジークムントを振り上げる

次の瞬間、ブラックテイルは消えていた

紅い目をした少年は辺りを見回す

走り出そうとする少年に少女が抱きついた

「もう、もういいよ、やめて……」

アキの声は震えていた

少年は少女を振り払おうとする・・・

「駄目、ユウキ君が、ユウキ君じゃなくなっちゃう……

そんなの、いやだよ!!!」

少女が叫ぶ・・・必死に声を搾り出して・・・

すると、少年の目は元の黒色に戻っていく

「ア・・・キ・・?」

「ユウキ・・君・・・もとに戻ったのね?・・・よかった・・・」

少女は胸をほっとなでおろした、しかしユウキはその場に倒れこんでしまった。
2006年04月07日(金) 21:57:26 Modified by funnybunny




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