MONSTER HUNTER EX 第9話

作者:結城


第9話「入隊」



ユウキはそのまま地面に倒れ落ちた

あわてて駆け寄るアキ・・・

しっかりとユウキを腕で抱いた

「・・・」

セインは何故か遠くから二人を見ているだけだった・・・

(とりあえず、応急処置をしないと・・・)

アキは立ち上がりベースキャンプへと向かった

(あの娘がユウキを・・・?

いや違うそんなはずが・・・

でも、もしかすると黒翼の者かもしれない・・・)

セインは不安になりアキを追うことにした

アキはベースキャンプに着くと

すぐに馬車を呼んだ

「はやく街に・・・」

「待ってくれ!」

あわてて振り向くアキ

馬車も動きを止める

「ひとつ聞きたい事があるんだ」

そういいながら馬車に乗り込んだ

暫くの沈黙の後セインが口を開いた

「聞きたい事があるといったけど・・・

率直に聞くよ・・・

きみは黒翼の者じゃないのか?

森と丘にいた理由は俺たちを待ち伏せして殺そうとしたから?」

アキは動揺の表情を隠し切れない・・・

セインはなおも続けた

「しかし途中、レウスに邪魔をされ応戦していると

予想外の展開で俺たちが到着した

そして仲間になったように見せかけユウキを・・・

違わないか?」

アキはうつむいたまま答えることが出来なかった

「どうなんですか?」

セインの手にはしっかりと剥ぎ取り用のナイフが握られていた

アキはゆっくりと口を開いた

「仕方がないわね・・・」

セインの腕に力が入る・・・

「信じてもらえるかは分からないけど・・・

私は【焔雷】所属の

ハンターなんです」

セインはただただ驚くばかりだった

【焔雷】といえば規模は小さいものの実力をもつギルドだ

驚くのも仕方が無い・・・

アキは続けた

「森と丘にいたのは最近増えている黒翼の連中を始末するためだったんだけど・・・

こちらの手違いできみ達が来た、そしてリオレウスとはあなたが言ったとおり

戦わざるを得なくなっただけです・・・」

「何故なんだ?何故言わなかったんだ?」

「戦団でのルールに従ったまでです・・・

他言無用・・・暗黙のルールの一つですから・・・」

「そうか・・・」

それからは二人とも一言も喋らなかった

余計な詮索をすれば相手を苦しめるだけ・・・そんなこと分かりきっていたから・・・

街に着くと二人はユウキを宿に連れて行った

宿主が驚く

「うお!? どうしたんだい?そのかっこ?」

「すみません、部屋を用意してくれませんか・・・」

「ああ、わかった、301号室だ」

「ありがとうございます」

丁寧にお辞儀をし301号室へむかった





ユウキをベッドに寝かせた

アキは無線機のようなものを取り出し無線機越しにだれかと会話していた

その会話の中には「紅い目」や「黒翼」などといったものも混じっていたが

はっきりと聞き取る事は出来なかった

「いま、戦団に救助要請を出しましたユウキ君を少しの間預からせてください」

「ボクはまだあなたを信用しきったわけじゃありませんが・・・

      • ・・・・・・

分かりました・・・しかし保障してくださいユウキを元に戻してくれると・・・」

「出来る限りやってみます」

そう言いアキはユウキを背負い

宿を後にした・・・

(無事でいてくれ・・・ユウキ・・・)





アキはユウキを背負いながら今居るシンシアの自由区から

待合所まで足を運んだ

そして・・・

「遅いぞ、アキ」

「すいません・・・『ライマン副隊長』

それに、ノブさん、オスキー、ナベさん」

「だが、まぁいい・・・で、ユウキといったか?その少年・・・・」

「はい、私が気付いた頃にはすでに【ゼロセンス】を発動していました・・・

このままでは命にかかわります」

「案ずるな、その少年からは力強い何かを感じる・・・

死にはしない」

「そうだといいんですが・・・」

「大丈夫だって、もしものことがあれば俺も居るしな!」

「いや、おまえがいても何の役にも立たないぞ」

その場に居合わせた5人は笑った

しかしすぐに真剣な顔になり話を続けた

「とりあえず応急処置を・・・」

そういい青年は手に持っていた何かをユウキの上に置いた

5人は黙って様子を伺っていた・・・
2006年04月02日(日) 20:50:39 Modified by funnybunny




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