ジュリアンとリカード

ジュリアンとリカード1

ジュリアン「よう、リカード。
ジュリアン「そこでなにしてるんだ？」
リカード　「あっ！
リカード　「ジュリアンのアニキ…。
リカード　「エヘヘヘヘ。」
ジュリアン「ずいぶん大きな
ジュリアン「包みをかかえてるじゃねえか。
ジュリアン「重たそうだし、
ジュリアン「おれが半分持ってやろうか？」
リカード　「だ、大丈夫ッス。
リカード　「これはおいらのものなんで、
リカード　「おいらの力で運ばないと…。」
ジュリアン「嘘つけ。
ジュリアン「それはお前のものじゃ
ジュリアン「ないだろう。
ジュリアン「おおかた、こないだの戦場で
ジュリアン「倒したやつらからくすねたんだろう？」
リカード　「さっすがアニキ、
リカード　「いい勘してますね。」
ジュリアン「それくらいは目をつぶるけどな……。
ジュリアン「アリティア軍のものを
ジュリアン「くすねるのだけはやめとけよ。」
リカード　「大丈夫ッス。
リカード　「おいらみたいなチンケな盗賊、
リカード　「誰も気にしてないっすよ。」
ジュリアン「するつもりなのかよ…。
ジュリアン「まあ、いいけどな。」
リカード　「あれっ？
リカード　「止めないッスか？」
ジュリアン「この軍には、
ジュリアン「おれなんかよりもずーっと怖い
ジュリアン「お兄さんたちがいっぱいいるからな。
ジュリアン「捕まったらどうなるか…
ジュリアン「覚悟しとけよ。」
リカード　「…や、やだなあアニキ。
リカード　「おいらがそんなことするわけ
リカード　「ないじゃないッスか。
リカード　「おいらは義賊なんですから。」
ジュリアン「そうだよな、
ジュリアン「お前は義賊だもんな。
ジュリアン「…そんじゃ、そろそろ行くか。」
リカード　「え？
リカード　「どこへ行くんスか？」
ジュリアン「その包みに詰まった金を
ジュリアン「貧しい人たちにばらまきに行くんだろ？
ジュリアン「だってお前、義賊だもんな。」
リカード　「え、えええええっ…！」
ジュリアン「どうした？」
リカード　「わ、わかりましたよ…。
リカード　「やっぱジュリアンのアニキには
リカード　「かなわねえなあ。」

ジュリアンとリカード2

リカード　「おっとっと…。
リカード　「す、すみません！」
ジュリアン「なにやってんだ。
ジュリアン「調子でも悪いのか？」
リカード　「おかしいなー。
リカード　「朝飯はちゃんと食べたのに…。
リカード　「野菜が足りないのかな？」
ジュリアン「気をつけろよ。」
リカード　「えっへっへ…。
リカード　「お財布、ゲーット。
リカード　「アニキも腕がなまったのかな。
リカード　「それともおいらが上達したのかな？
リカード　「どれどれ、戦利品を…
リカード　「って、あれ…財布がない。
リカード　「しかもおいらの財布もない。
リカード　「な、なんで？」
ジュリアン「なんでだろうな？
ジュリアン「お前の腕がなまったのか、
ジュリアン「おれが更に上達したのか…。」
リカード　「アニキ！
リカード　「ばれてたっすか…。」
ジュリアン「お前もこりない奴だな。
ジュリアン「そういや、初めて会ったときも
ジュリアン「こうやってお前の財布を
ジュリアン「スリかえしたんだっけな。」
リカード　「そうッス。
リカード　「あれから何回挑戦しても
リカード　「アニキには負けっぱなしっす。」
ジュリアン「それで、何回も向かってくるうちに
ジュリアン「ここまで来てるんだよな…。
ジュリアン「お前って意外としつこいよな。」
リカード　「アニキの財布をスッてみせるまで
リカード　「おいらはどこまでも
リカード　「ついていくっすからね！」
ジュリアン「ふん、簡単にはやらせねえぜ。
ジュリアン「もっと腕を磨くんだな。」