随分と間が開きましたが、9スレの412〜419に投下したものの続きです。


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 朝野真里(あさの・まり)は十数人の不良生徒の前に立っていた。
 黒髪をお下げにしていて眼鏡をかけている。一見して野暮ったい印象だが、眼鏡の奥の瞳を見る
と、実際にはかなり整った容姿をしていることが分かる。学校指定の制服は、修道服を機能的に改
造したようなデザインで、それが小柄な体格に良く似合っていた。
 場所はひと気のない体育倉庫。仮に助けを求めたとしても、その声は誰にも届かないだろう。
 ──もっとも、助けを呼ぶ気力すら彼女にはなかった。おびえた小動物のような表情を、同年代
の少年たちに向けるだけだ。
「へへ、今日も来たんだな。よっぽど俺たちに犯されたいらしいや」
 彼らの目は、いずれも欲情でギラギラと異様な光を放っていた。
「そ、そんな、違います……」
 真里が慌てて首を振る。一週間前に輪姦されて以来、なかば彼らの肉奴隷のような生活を送って
いた。
 そして今日も──
 真里にとっての悪夢が、彼らにとっての天国が始まろうとしていた。
「とっとと始めようぜ。俺、もう溜まっちゃってさ」
 一番目の男が、真里をマットの上に押し倒す。
 固いマットの感触を背中に受けながら、真里は目を閉じた。目をつぶってしまえば、彼らの顔を
視界から消してしまえば、少しは屈辱感も和らぐ。
 荒い息遣いとともに、制服を乱暴に脱がされる。
 薄暗い倉庫の中で、真っ白い裸身があらわになった。
 膨らみきっていない小ぶりな胸が、肉の乗り切っていない細身の腰が──少年たちの目の前にさ
らされていた。
 彼らには、すでに何度もオールヌードを見られている。だが羞恥心が消えることはない。恥ずか
しさに頬が火照り、背中からはじわりと汗がにじんだ。
 少年たちの息を飲む音とともに、一瞬の静寂が訪れる。その場の全員が、真里の美しい裸に見と
れていた。
 しばらくの間、少女の裸身を鑑賞すると、おもむろに一人目の少年がのしかかってきた。強引に
左右の太ももを押し開き、腰を割り込ませる。
 固い感触が、股間にあてがわれた。
 真里は反射的に身をすくませた。
 少年のペニスはすでに十分そそり立っている。どうやら前戯は省略するようだった。
 チューブ状のローションを真里の秘処に塗りたくると、一気に押し入ってくる。好きでもない男
の性器を胎内に迎え入れる不快感は、何度味わっても慣れることがない。
 ぐちゅ、ぐちゅ、と水っぽい音を立てて少年の怒張が瑞々しい粘膜を割り開いていく。
「ああっ……!」
 挿入されながら、真里は思わず声を上げていた。
 気持ち悪い。
 気持ち悪い。
 気持ち悪い。
 頭の中がそんな文字列で埋め尽くされていくようだ。




「うわ、スゲー締まる」
 奥までインサートすると、少年が嬉しそうに叫んだ。処女同然の締め付けを楽しみながら、性急
に腰を動かし始める。
(嫌……早く終わって)
 真里は堅く目を閉じ、神に祈った。
 ずぷっ、ぬぷっ……
 膣内の入り口から奥までを真っ直ぐなストロークが襲い掛かる。少女の粘膜を擦り上げ、ただ
自分自身の快楽に没頭するだけの単調な動き。相手に快楽を与える気持ちなど微塵も感じさせない、
幼稚なセックスだった。
 少年が体を前傾させ、真里の乳房を鷲づかみにする。小ぶりな肉球を揉みしだかれ、軽い痛みが
走った。
「んっ……!」
 眉をしかめ、胸の痛みを堪え忍ぶ。
 少年の指先が乳首をつまみ、コリコリとしごいた。ピンク色の先端が刺激に反応し、わずかにし
こりだす。
 と、少年のピストンが急に切迫したリズムに変わった。顔を真っ赤にして、腰を振りたくる。表
情がだらしなく緩み、半開きにした唇の端から涎が垂れ落ちた。
「うわ、もう出るぞ! 中出しオーケーだよな、朝野」
「な、中は……!」
 真里の顔が一瞬歪んだ。
 彼らは避妊の措置を講じていない。危険日ではないが、妊娠のリスクは当然あった。
 だが、所詮彼女に『ノー』の返事は許されていない。
「は、はい……」
 眼鏡の奥の瞳を堅く閉じ、小さくうなずいた。
 うなずくしか、なかった。
 たちまち、周囲の少年がいっせいに囃し立てる。
「じゃあ、自分からおねだりしてみろよ。中に出して、ってな」
「くっ……」
 屈辱感で目の前に火花が散った。噛み締めた唇が小さく震える。
 たとえ体を許しても、心の奥底までは屈服したくない。
「中に──」
 真里は上ずった声で告げた。
「私の中に……出してください」
「へへへ、よーし、妊娠しても知らねーからな」
 少年はにやりと笑い、深々と貫いた。
 腰を震わせ、真里の最深部にドクドクと射精する。
「ああ……」
 膣内に大量の精液を注ぎ込まれた瞬間、真里の口からため息が漏れた。




 少年が真里の胎内から出ていくと、すぐに二人目がのしかかってくる。
 先程の少年よりも大きなものが、精液と愛液で濡れ光る花弁の中心に押し当てられた。ぐっと腰
を押し出し、一息に挿入される。
 中出しされた精液が潤滑油になって、抵抗なく貫かれてしまった。
「ほら、キスしようぜ」
 真里の体を抱きこみ、少年の上体が覆いかぶさってきた。
「んっ……んぐぐ」
 苦しげに喘ぐ唇を、少年が貪るようにして吸いつける。キスを仕掛けながら、真里の体内を突き
上げた。内臓まで押し上げるような、パワフルな一撃だった。
「はああっ……!」
 真里は思わず唇を離して絶叫した。
 男が腰をしゃくり上げたび、巨大なペニスが膣の中で暴れ回る。根元まで押し込まれたかと思う
と、入り口近くまで引き戻される。
 激しい抜き差しに瑞々しい裸身が揺り動かされた。
 二人目の少年が達するのは早かった。
 あっという間に腰をガクガク震わせ、野太い声で吼える。
「よーし、俺も中に出すぞ。ザーメンをたっぷりと出して、孕ませてやるからな!」
 少年が腰を突き上げ、そのまま動きが止まった。
「ううう」
 うめき声を上げると同時に、真里の体の奥にドクドクと熱いものが流れ込んだ。今日、二度目の
膣内射精だ。
「嫌ァ、これ以上中に出さないで……!」
 真里は堪えきれずに苦鳴を漏らす。堅く目を閉じて、必死で敗北感と戦っていた。
 男がペニスを外すと、白い女体が床の上にぐったりと崩れ落ちた。ぽっかりと開いた秘腔から白
い液体がこぼれ落ちる。
「じゃあ、次は俺ね」
 三人目の少年が真里にのしかかる。
 先走りの液で濡れたペニスを股間に押し当てる。
 と──
「何をやっているの、あなたたち!」
 凛とした声が聞こえたのは、そのときだった。





 真田操(さなだ・みさお)が駆けつけたとき、真里は何人もの男たちに犯されていた。
 親友だった真里とは一週間前に仲たがいをして以来、疎遠になっている。
 きっかけは些細なことだった。
 真里はかつて学校の教師に犯され、処女を失った。それを知った操は、相手の教師の前に単身乗
り込んだ。
 そして──返り討ちにあい、操自身も犯されてしまった。
 無様な敗北だった。友人の無念を晴らそうとして、結局、自らも処女を奪われてしまったのだ。
 翌日、操の身を案じた真里の言葉に、過剰に反応してしまった。
 真里は操に起きた出来事を知らない。友人として心配してくれただけだというのに。
 操はきつい言葉を投げかけ、真里を突き放してしまった。
 その後、真里とはほとんど口を利いていない。ただ、その日以来、真里の様子は明らかにおかし
くなった。放課後になるとすぐに教室から出ていき、どこかへ立ち寄っている様子だった。
 気になって後をつけたところ、体育倉庫での凌辱を見つけたのだ。
「なにやってるの、あなたたち!」
 操が悲鳴に近い怒号を上げる。
 不良少年のひとりがゆらり、と立ち上がった。その下腹部には汚らしいペニスがぶら下がってい
る。
「てめえも犯られにきたのか、あ?」
「真里──」
「操ちゃん、逃げて……!」
 こんなときにまで自分よりも友人の心配をしている真里を見て、小さくため息を漏らす。
 真里は──操にとって一番の親友だった。
 優しく穏やかで、一緒にいるだけで安らぐことができる存在。学年でもトップクラスの成績を誇
りながら、それを驕ることはない。勉強の苦手な操にも、丁寧に教えてくれる。
 自慢の、友人だった。
 一週間前の出来事を思い出す。自分を心配してくれた真里に対し、操はきつい言葉を浴びせ、一
方的に突き放した。
(あたし、最低だ)
 胸の奥が締め付けられるように痛む。醜い八つ当たりで、操は真里の友情を踏みにじったのだ。
「ごめんね、真里」
 唇を噛み締める。
「今助けるから──」
 竹刀を手に、操が踏み出した。
 不良の一人が両手を掲げて向かってくる。
 瞬間、操は地を踏みしめ、一気に蹴り上げた。凄まじい加速に空気が軋む。
 不良生徒は、自分の身に起きた出来事を理解できただろうか。
 連続した打突音が三度、響き渡った。
 胸を二度、そして腹を一度──
「がっ……」
 強烈な三段突きを食らい、少年はその場に崩れ落ちた。




「な、なんだ、こいつ……!」
 残った不良生徒たちが色を失う。
 一人倒されたとはいえ、彼らは五人。対する操は一人きり。
 まだ圧倒的な数的優位を保っているにもかかわらず、彼らはすでに逃げ腰だった。
「それで全力か?」
 操は無造作に竹刀をかまえた。
「そんな程度じゃ、あたしは犯せない」
「こ、このっ……」
 今度は二人同時に襲い掛かってきた。
 丸太のような腕が、すらりとした体に触れる──瞬間。
 操の姿がかすんで消えた。
「えっ……?」
 少年たちの、あっけに取られた声。
 次の瞬間、操は彼らの背後に現れていた。おそらく、彼らの目には白い残像しか映らなかっただ
ろう。縮地法と呼ばれる、古武術独特の歩法。
 無防備な背中を向けた彼らに、操は容赦なく竹刀を振り上げた。彼らは大切な親友を汚した連中
だ。手加減する理由はない。
「はあぁぁぁぁっ!」
 空気を裂いて、竹刀の先端が弧を描いた。鋭い斬撃が二度、閃光のように閃く。打突音が重く響
いた。
 体格の良い二人の不良が冗談のような距離を吹っ飛ばされる。
「す、すごい……」
 真里が背後で呆然とつぶやく。
「な、なんだ、こいつ」
「化け物め」
「くそっ、囲め!」
 残った不良たちは散開して取り囲もうとする。
「無駄よ」
 操は冷ややかに告げて、ふたたび加速した。
 彼女の戦闘能力は、男と女だとか、一対多数だとか、そういった問題を超越していた。
 圧倒的な身のこなしで彼らを置き去りにし、竹刀を繰り出す。目にも止まらぬ速さで三人の不良
の間を駆け巡る。またたくまに不良少年たちは全員が地面の上に折り重なり、ノックアウトされた。
 苦しげなうめき声があちこちから漏れる。
 対する操は息ひとつ切らしていない。
 まるっきり大人と子供の戦い──いや、アリとライオンの戦いとでも言ったほうが適切だろう。





 地面に倒れたままの不良たちを一瞥し、操は真里に駆け寄った。
「ほら、これ着て」
 操が床から制服を拾い、真里に渡す。
「……ごめんね、遅くなって」
「そ、そんな……」
 手を振る真里に対し、操は重い口を開く。
「あたし、ずっとあなたに言えなかったことがあるの」
「えっ?」
「あたしね──」
 操は意を決して告げた。
「森先生……いえ、森にレイプされたの」
 ずっと心の奥に封印していた悪夢だった。教師に犯されて処女を奪われた──忌まわしい記憶を
親友に告白する。
 真里が息を飲む気配が伝わってきた。
「言い出せなかったの。あなたの気持ちを晴らすために、森に向かっていったのに……返り討ちに
あって……」
「操ちゃん……」
「八つ当たりまでして、ごめんね」
 操が深々と頭を下げる。
「ううん、そんなこと……」
「あたしはあの男を許さない」
 操が凛とした表情で告げた。
「あたしたちみたいに、被害にあった女の子はまだまだいるはずよ。その子たちの無念を晴らすた
めにも、そしてあなたの誇りを守るためにも──
 あたしが、あいつの悪事を暴き立てる」


【続く】

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