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千のFX千夜一夜 第九夜 〜 『建玉』って何て読む?

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さて、皆さんが一緒に取り組んでいるFXのような金融商品の世界、皆の思惑が交錯する心理状態を反映してか、漢字で書いても訓読みする「やまとことば」が案外と多かったりする。

そのせいで、良く見るんだけど、何て読むんだろう・・・意味は何となく分かるんだが、、という用語は、結構あるのではないだろうか。

今回は、そんな用語の中からいくつか選んで、ちょっと読み方を考えてみよう!

マニアックでほとんど見ない用語よりも、ある程度良く見かける言葉のほうがいいと思うので、そういうものを集めてみた。

とりあえずは読んでみよう。

もし、調べたいと思った人は、できれば漢字表記で検索をかけるのではなく、「自分の思った読み」をひらがなで打って検索してみた方が、面白いかも知れない。
(ただし、このネットの世界、少し違っていてもそれを掲載しているサイトがヒットするという点はあるけど・・・)

割と素直に読めば良いもの

高値】・・・・その日一番高かったレートのことです。
安値】・・・・その日一番安かったレートのことです。
指値】・・・・安く買いたい・高く売りたい、と待っているレート
逆指値】・・指値の反対
仲値】・・・・9:55に決まる、その日一日の銀行の取引レート
為替】・・・・知らないと読めない熟字訓だけど、さすがに知っていて欲しい
相場】・・・・市場で形成された価格のこと
気配値】・・その値段なら売買してもいいよ、と提示している値段

若干悩み入るけど読み方は幾分素直なもの

始値】・・・・その日の取引が始まったときのレート
終値】・・・・その日の取引が終わったときのレート
寄付値】・・その日の取引が始まったときの価格(株価で言うことが多いかも)
引値】・・・・その日の取引が終わったときの価格(株価で言うことが多いかも)
前場】・・・・午前中の取引時間。日経株式なら、9時〜11時
後場】・・・・午後の取引時間。日経株式なら、12時半〜15時
公定歩合】・・今は「基準割引率および基準貸付利率」という味気ない名前です

言われないとちょっと厳しいもの

外為】・・・・「外国為替」の略ですが、「為替」のほうをどう略すか
建玉】・・・・新しくたてたポジションのことです。決済するポジは「落玉」
約定】・・・・めでたく注文が通ることです
追証】・・・・思わず証拠金を追加してしまうことです
難平】・・・・Mポジ増加の元凶。NGワザ。
直物】・・・・“今”の為替レートの取引。普通のFXはこちら。
先物】・・・・こちらは簡単に読めますね・・将来のレートの取引

他にも、相場の状態を表す言葉に「底堅い」「高止まり」「下げ渋る」「小じっかり」「小緩む」「強含み」「弱含み」など、やまとことばで微妙なタッチで表現される用語も多い。相場の雰囲気で、書くほうもそのココロに照らして使い分けているところもあるので、違いを説明するのは難しかったりする。

売買の仕方も「売り崩す」「買い上がる」「踏み上げ」「投げ売り」「飛び付き買い」「狼狽売り」など、動作を交えて投資家の心理をつかんだ「やまとことば」の用語が多い(「狼狽売り」は違いますが)。これらも、とても日本語的であるが、どういう売買の仕方がそれか、というのは結構表現の説明は難しかったりする。

ちなみに先程の【 】のことばは、全てが「やまとことば」ではないが、やはり「やまとことば」が多い(つまり訓読みが多い)。

さて、読める人は簡単に読めてしまうかも知れないが、知らなければ読めないというものもあるので、ここからは早速1つ1つ書いてみよう。

高値】(たか・ね)[名]
安値】(やす・ね)[名]

・・・これらは、良いですね。為替や株など投資の世界では値段を表す【値】はおおかた「ね」と読むようです。

指値】(さし・ね)[名]
逆指値】(ギャク・さし・ね)[名]

・・・指値は、指値注文の指値。今より低いレートで買いたい、あるいは高いレートで買いたい、と思うときに、予約みたく入れておくもので、後でそのレートに達すると注文が発行されます。リミットオーダーとも。ときに「指値する」のように動詞で使うこともあります。逆指値は、その反対なので、今より高いレートで買う、あるいは低いレートで売る、というもので、ストップオーダーとも。

仲値】(なか・ね)[名]

・・・仲値については、当シリーズの第四話でも取り扱っていますので、詳しくはそちらへ。。

為替】(▲かわせ)[名]

・・・為替(かわせ)はかなり特殊な読みです。為は「か」とも「かわ」とも読まないし、替も「わせ」とも「せ」とも読まないけど、為替でまとめて「かわせ」という訓を当てているので、区切れません。
語源としては「交わせ(カハセ)」=「交わすこと」であり、交換する意味。挨拶を交わすとかの交わすですね。「交ハス(カハス)」自体も「交フ)」「替フ」「換フ」と同じで、「買フ」も同じルーツと考えられています。要は為替とは「交わせ」つまり「替える」こと、英語のexchangeも「為替」と「交換」の両方意味があります。

相場】(ソウ・ば)[名]・・・・市場で形成された価格のこと

・・・相場という言葉は大変意味が広くて、端的には「市場で形成された価格のこと」ですが、その市場そのものとか、その取引とか、市場参加者の思惑とか、そういったものまで含めて言うこともあります。

気配値】(ケ・ハイ・ね)[名]

・・・気配値とは、その値段なら売買してもいいよ、とFX会社が提示している値段で、我々が取引画面で見ているbidとaskのレートは「気配値」です。提示しているだけで、そのレートで売買が出会っているかどうかは別。ここで注文を出すと、そこで初めて売買の価格が確定し、約定価格として決定されます。

始値】(はじめ・ね)[名]
終値】(おわり・ね)[名]

・・・始値はその日の取引が始まったときのレート、終値はその日の取引が終わったときのレート。この2つに、その日一日の一番高いレートである「高値」と一番低いレートである「安値」をあわせた4つを「四本値(よんほんね)」といいます。英語では、始値(Open)、高値(High)、安値(Low)、終値(Close)の頭文字をとって「OHLC」とも言います。
高値、安値、終値は、比較的良く聞くしFXニュースでも良く見る重要なファクターですが、「始値」自体は登場頻度もこれら3つに比べて低いせいか、一瞬迷ってしまうかも知れません。

寄付値】(より・つき・ね)[名]
引値】(ひけ・ね)[名]

・・・基本的には「寄付値=始値」、「引値=終値」ですが、寄付値・引値は株価で言うことが多いようです。これは、株式市場は、取引開始時は「板寄せ(いたよせ)」と言って、集まっている注文を全部一同に介して注文を突き合わせる、ということが行われる点もあるかも知れません(為替との違いの1つ)。株式市場の取引がスタートすることを「寄り付き」と言います。寄り付き後は、「ザラ場(ざらば)」と言って、普通の為替のように、次々と注文が出るたびに売買が行われる形式です。そういう意味では、為替には「ザラ場」しかありません
取引が終了することを「引け」といい、特に一日の取引が全部終わることを「大引け(おおひけ)」といいます。このときの価格を「引値」といいます。

前場】(ゼン・ば)[名]・・・・午前中の取引時間。日経株式なら、9時〜11時
後場】(ゴ・ば)[名]・・・・午後の取引時間。日経株式なら、12時半〜15時

・・・午前中の取引時間を「前場」、午後の取引時間を「後場」といいます。今は、日経株式のように昼休みを挟む市場で使います(昔は為替も前場・後場あったらしい)。日経株式の場合、前場は9:00〜11:00、後場は12:30〜15:00です。

・前場が始まることを「寄り付き」
・前場が終わることを「前場引け」
・後場が始まることを「後場寄り付き」
・後場が終わることを「大引け」
と呼ぶことになります。

なお、株の先物ではこのあと「夕場(ゆうば)」と呼ばれる取引時間があるようです(ただし、1日の取引は15時で終わるので、夕場の取引は翌営業日扱いだとか)。

公定歩合】(コウ・テイ・ぶ・あい)[名]

・・・日銀からお金を借りる時の金利です。今は「基準割引率および基準貸付利率」という何とも機械的な名前です。昔は政策金利でしたが、今は「無担保コールレート翌日物」の誘導目標が政策金利です。

「公定歩合(基準貸付利率)」は現在0.3%で、概ね市中の金利の上限を決める働きをしています。ある銀行がこれより高い金利で貸そうとしたら、借りる方は日銀から借りれば良いため。

政策金利は現在0.1%で、無担保コールレート翌日物をここに誘導するよう促すとしています(ニュースになるのはこれ)。

「補完当座預金制度の適用利率」は現在0.1%で、概ね市中の金利の下限を決める働きをしています。ある銀行がこれより低い金利で借りようとしたら、貸す方は日銀に預金すれば良いため。

外為】(ガイ・ため)[名]

・・・「外国為替(がいこくかわせ)」を略したいいかたですが、「為替」で述べたように、為は「か」でも「かわ」でもないので、区切れないので、しかたないので、元の漢字の読みである「ため」に置き換わります。それで、「外為」は「がいため」と読みます。FX会社名の一部にもなっているので、分かる方も多いかと思います。

同じように、「為銀(ためぎん)」という言葉もあり、外為法(がいためほう)が改正される前は外国為替取引は「外国為替公認銀行」略して「為銀」を通じて行わなければなりませんでした。

建玉】(たて・ギョク)[名]

・・・ポジションのことです。ポジションを「玉(ぎょく)」といい、新しく建てたポジションや保有中のポジションを「建玉」といいます。「たちぎょく」という言い方もあるようです。

今ポジションを「玉」などと言う人はほとんどいないと思いますが、建玉という言葉だけは「建玉評価損益」という言葉で取引画面で見かけるかも知れません。

(私も最初は「たてだま」と読んでました・・・)

決済するポジションは「落玉(おちぎょく)」と言います。

いわゆる
 ショート・売りポジは、この言い方では「売り建て玉(うりだてぎょく)」
 ロング・買いポジは、この言い方では「買い建て玉(かいだてぎょく)」
です。
「売り建て玉」と「買い建て玉」の両方を建てることを、「両建て(りょうだて)」と言うわけです。

約定】(ヤク・ジョウ)[名][動サ変]

・・・私は最初は「やくてい」と読んでいました。「やくじょう」と読むことを知ったのは割とあと。しかし、言葉の意味は十分わかるので問題ないですが。意味は、注文が通ること。取引画面に表示されたbidとaskの「気配値」に対し、注文を出して有効になった(=「約定した」)時に決まった価格が「約定価格」。これが気配値とずれることをスリッページと言います(許容スリッページを設定することで約定価格がずれ過ぎそうなら無効にできる)

追証】(おい・ショウ)[名][動サ変]

・・・証拠金を追加すること、あるいはその追加証拠金のこと。相場が一方向に動いて含み損が増えたとき、ロスカットを免れるためだけに追証するのはかえって資金をゴッソリ持っていかれる可能性もあるので要注意(これは次回第十夜でも述べたい)。

難平】(ナン・▲ピン)[名][動サ変]

・・・いわゆるナンピン。平(ピン)は、平和(ピンフ、ピンホー)同様中国語読みですかね、、、ナンピンはNGと一般に言われています。

直物】(じき・もの)[名]
先物】(さき・もの)[名]

・・・直物と先物は、対をなす取引で、先物(将来のレートの取引)は良く聞くし読むのも簡単ですが、「直物」は普段行っている為替取引がそれである分、かえって普段使いませんし、読みも若干特殊だと思います。先物と違って、“今”のレートの取引で「直(じき)」のもの、ということですね。通常のFXは直物為替(じきものかわせ)で、2営業日後までに受け渡せば直物、とされています。

以上、FXをしていて、たまに見かけるけどちょっと読みにくい漢字の紹介でした。

(読み方のひらがなは訓読み、カタカナは音読み、▲は元々その漢字の日本読みにないものです。[名]は名詞、[動サ変]は「〜する」という形のもの。[名][動サ変]と両方付いているのは、「〜する」とも「〜をする」とも言えるもの)

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