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天然ガス田開発実験Project Gasbuggy (1967)

核爆発の平和利用を目指したOperation Plowshareの一部として、1967〜1973年に、地下資源開発実験が3回、行われた。その第1回が、1967年12月10日のProject Gasbuggyである。これは、原子力委員会の資金援助を受けて、Lawrence Radiation LaboratoryとEl Paso Natural Gas Companyが、ニューメキシコ州で実施したものである。

Popular MechanicsはこのProject Gasbuggy実験前に、紹介記事を掲載している。


来月のニューメキシコでの地下核爆発で、世界の天然ガス生産量を倍増を期待できる
By Norman and Jon Carlisle

大したものには見えないだろう。ピニヨンマツの上の立ち昇る塵の雲だけ。音も大したことはないだろう。通過する鉄道のような、ゴロゴロした音だけ。

しかし、ニューメキシコ州ギャラップの北160kmの辺ぴな荒れ地に集まった、数百名の技術者と科学者には、地下原爆の目に見える証拠は必要ない。彼らは、地下1260メートルでの、広島爆弾の恐るべき力を持つ核爆発が、豊富な地下資源の採掘を狙ったユニークな実験のトリガを引くことを知っている。

Project Gasbuggyは、米国がさらに必要としている大量の天然ガスなどを解放する、政府と民間企業が470万ドルを投じた賭けである。それなので、このとてつもない爆発の成功によって、米国の誰もが利益を得ることになる。

[ Norman and Jon Carlisle: "Next month an underground nuclear blast in New Mexico holds promise of doubling the world's supply of natural gas" on Popular Mechanics Sep 1967, pp.102-105 ]
このとき、放射能汚染について、問題がないと言う専門家の見解を載せている。


放射能はどうだろうか? 誰も汚染されたガスで家の暖房をしたくないだろう。専門家たちは、放射性ガスが家庭の暖炉に届く可能性はないと言っている。Gasbuggy後に実施される一連の放射能検査で、専門家たちは自分たちの計算が裏付けられると確信している。

核分裂や核融合による放射性物質は、蒸発した岩石が冷却され固体化したあとの空洞の底に固定されると、専門家たちは言っている。残留放射性物質は最初に煙突に満ちたガスを抽出するときに、引き出されると、専門家たちは推定している。天然ガス製造施設に少量の放射性物質が到達したとしても、有害レベル以下であり、さらにこれが、核爆発を使っていない天然ガス田のガスと混合されるので、さらに薄まる。

[ Norman and Jon Carlisle: "Next month an underground nuclear blast in New Mexico holds promise of doubling the world's supply of natural gas" on Popular Mechanics Sep 1967, pp.105, 222 ]


で、実験の結果はというと、天然ガスの熱量及び生産物量的に、商用利用に至らなかった。
Project Gasbuggy stimulated gas production in greater quantities than in nearby conventional gas wells, but the natural gas was radioactive. Test results also indicated that the gas had a significantly lower heat value. Gas production tests and project evaluation activities were conducted from 1967 until 1976. Fracturing into the gas-bearing formation outward from the chimney (above the cavity) did not penetrate as extensively as expected.

AEC decommissioned and demobilized the site in 1978. Structures and equipment used for the test were decontaminated, if necessary, and removed; liquid radioactive waste was injected into the cavity formed by the nuclear explosion; solid radioactive waste was removed to the Nevada Test Site; and test wells were decommissioned and plugged. Soil sampling was performed in 1978, 1986, 2000, and 2002. Cultural resources, endangered and sensitive species, and floodplain and wetland surveys were performed in 1993. Final surface remediation was completed in 2004.

Prohject Gasbuggyは近所の通常のガス井戸よりも、大量の天然ガス生産をしようとした。実験結果は、生産された天然ガスの熱量が有意に小さかった。ガス生産実験とプロジェクト評価が1967〜1976年に実施された。空洞上部の煙突から外向きに生成されたガスガンうう層への破砕は、予期されたほど貫通していなかった。

1978年に、原子力委員会はGasbuggyサイトを終了・解散させた。プロジェクトで使われた構造物や機器は除染され、必要に応じて除去された。液体放射性汚染物質は、核爆発で形成された空洞に廃棄された。固体放射性汚染物質は、ネバダ核実験場に搬出された。事件用井戸は廃止された。途上サンプリングは1978年と1986年と2000年と2002年に行われた。文化財、絶滅危惧種やセンシティブな種、氾濫原や湿地などの調査は1993年に実施された。地表除染対策は2004年に完了した。

[ DOE:"Fact sheet of Gasbuggy Site"
放射性物質による汚染については、エネルギー省によれば、4252m3の汚染表土を除去し、2004年に地表除染が終わり、地上の土地利用の制限はなくなっている。また、効果のある技術がないため、地下除染の計画はない。1972年以降、米国環境庁はGasbuggy及び周辺地域の地表水をモニタリング。特に異常は見られず、2009年以降は5年おきにモニタリング実施。また、2009年から、米国エネルギー省は、Gasbaggy及び周辺の井戸の天然ガス中の放射線をモニタリング実施。Gasbuggyに関連する放射線を検出されたことはない。





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